テリー 冒険のその後   作:ストイコピクシー

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第15話 仲間は誰にしよう?

「ほらー、もう宿出る時間だぞー!起きろー!」

テリーはそう言ってスラリンとピエールを起こした。魔物の2匹は夜行性なのか朝弱い為、目をしぱしぱさせていた。

「歯を磨いて、顔洗ったら部屋出るからな。忘れ物するなよ。少しでも部屋から出るのが遅くなったら(もう一泊されると思っていたので、別のお客様の宿泊を断りましたから)とかなんとか言って追加料金取ろうとするからな、この宿は。さっさと出るぞ」

テリーは2匹を急がせた。

「1階の食堂で朝飯食いながら昨日の話の続きをしようぜ。どんな魔物を仲間にするか決めよう」

そう言って、テリーは食堂のテーブルの椅子に座り、スラリンとピエールもそれに続いた。

「話し合いをする前に1つ言っておかなければならないことがある」

テリーがそう言うと、スラリンとピエールも目が覚めたように気を引き締めた。昨日の戦闘の反省点か?これからの未来への展望か?

「この食堂は回転率を上げるためか何かわからんが、こっちが飯を食い終わると、まだもう少しゆっくりしたいなーとか思っててもすぐに皿を引いて、テーブルを拭き始めて早く店から出て行けオーラを出しやがるんだ。食事を持ってくる時はごゆっくりどうぞとか言ってるくせに。それは客が多い時でも、客が俺一人しかいない時でも変わらない。だから飯はゆっくり食うんだ。3分の1位残してゆっくりしてると皿を引こうとするからその時はまだ残ってるんでってはっきり言うように。飯を全部食ってしまったら水でねばれ。ここは高級なとこや健康指向のとこみたいにアモールの水を使ってる訳じゃなくてその辺の井戸水をだしてるだけだから水はタダだ。ただし、コップの水を一気に飲み干すと目を離しているスキにコップを持っていかれておかわりの水を頼もうとすると有料のお茶を勧めてくるから水のおかわりはコップの水が半分になったらすぐにおかわりをするのがベストだと思う。あとデザートは割高だから注文しちゃダメだぞ。あんなもん、道中に咲いている果実を切って、ヒャドで冷やして剣で切って食えば良いだけだからな。それを定食と同じ値段で出してくるんだからな。それから夜ここで飯を食うとお通しとか言って小さな皿にちょっとの料理出してくるんで、サービス良いなと思ったらなんと金取りやがる。頼んでねーし、ビミョーに高いからここで夜飯食う時は席について店員がメニュー持ってくる前にお通し要らないっていうんだ。それから100%フレッシュ林檎ジュースっていうから、林檎の果実を専用器具で搾ったものかと思ったら市販のリンゴジュースをそのままコップに移してるだけで・・・」

テリーの話を食堂の大将と女将は頬をピクピクさせながら聞いていた。この食堂としてもほかの客に、うちの店は世界を救った英雄、青い閃光テリーがよく来て料理を絶賛してるんですよとかここの料理を食べたから魔王を倒せたとか言ってますとかテキトーなこと言ってるからあまり文句は言えなかった。魔物と戦い、毎日数千ゴールド稼いでいるから数ゴールドの金は気にしないだろうと思っていた。こんなことなら宿と飯はタダにするから世界中でクリアベールの食堂を宣伝してくださいとか、装備品のよく見える場所に(食べたらレベルアップ!クリアベール食堂の日替わり定食)とか書いてもらえば良かったと2人は思った。

スラリンとピエールは目のあった他の客にどうもすいませんね、こういう人なんですよと目でメッセージを送り頭を下げていた。

「テリー、大変参考になりました。さあ、本題である仲間の魔物を誰にするか話し合いましょう」ピエールは言った。

「今からこの店のメニューの原価と利益率とそれによって導かれる損益分岐点の話をするつもりだったのに・・・。まあ、いいや」テリーはしぶしぶ納得した。

 

「テリーはどんな魔物を仲間にしたいの?」スラリンは聞いた。

「そうだな、俺は今からはぐれメタル、賢者、スーパースター、レンジャーと武器を使った直接攻撃が得意でない職業を極めていかなきゃならないから、単純に物理攻撃が強い奴が欲しいよ」

「レイルーラありきの今の戦術はダーマダンジョンに入った時は使いづらい、いや、使えませんからね」ピエールが言った。

「何で?」テリーがたずねた。

「ダンジョンというのは奥にいるボスを頂点とした組織になっていることが多いからです。今までのようにフィールドでの戦闘ならそこで完結しますが、ダンジョン内でテリーがレイルーラを使えば、レイルーラという呪文を使うということがそのダンジョンのボスに伝わり対策をとられてしまうことがあります」

「レイルーラの対策っていうとやっぱり・・・」テリーは聞いた。

「一番簡単なのはテリーが消えた瞬間、防御することでしょうね。攻撃が来ることがわかっていますから。もしくは体全体から魔力を放出させることが出来る魔物であれば、テリーがレイルーラで消え姿を消した際に魔力を放出させれば、出現したテリーを吹き飛ばすことができるのではないでしょうか」ピエールは言った。

「それにね、僕、後ろから見てたからわかったんだけど、テリーってレイルーラ使ったら大体敵の真後ろに現れるでしょう?敵が複数の時は敵の死角に隠れるってのもあるけど、出現する場所のバリエーションやパターンが少ないからカンの良い魔物が相手なら、戦っているうちに、テリーの出現場所がわかってくるんじゃないかなあ?僕、昨日の戦闘の途中で予想できるようになったもん」スラリンは言った。

「ぐぬぬ・・・」テリーは歯噛みした。便利な技だが単純な技でもあるため、少し観察されただけで弱点が解析されてしまった。

「今までのテリーのレイルーラで敵を攪乱して攻撃という変則的な戦術からオーソドックスな前衛・中衛・後衛といった役割を決めたフォーメーションに移行していきましょう。

それから戦闘スタイル、バリエーションを増やしていくのです。テリーの言う通り、今のところ我々には直接攻撃の強い者がいない。まず、重い武器の持てる力を持ち、体力(HP)の高い魔物を仲間にするというのはいいアイデアでしょうね」ピエールは言った。

「うーん、だったら体のでかい奴かな。そうだ、お前らスライム族にキングスライムっているじゃん。あれでいいんじゃね」テリーは言った。

「ああ、キングスライムね・・・。あれね・・・」スラリンとピエールは暗い顔になった。

「あいつら自分たちがキングスライムって名前だから、なーんか他のスライム族を下に見ててイヤなんだよね」

「そもそも、あいつらはスライムの合体したものというのが始まりだそうですので、スライムの亜種である私やホイミスライムと変わらないはずなんですけどね。キングスライムなんて自分で言い出した名前ですし、大して賢い訳でもないのに一人称が我輩(わがはい)なのもイラッとくるポイントです。しかしテリーがどうしてもと言うのなら私は血の涙を流し受け入れるつもりです」

「僕も前世でお地蔵さんをいっぱい倒した罰を今世で受けると思って耐え抜くよ・・・」

「いーよ!わかったよ!キングスライムいらねーよ!つーかお前らあいつ嫌いってはっきり言えよ!」

テリーがそう言うと2匹の顔色が元に戻った。リーダーの言うことに従います、テリーがそう言うなら仕方ないよねと2匹は明るい声で言った。

 

「いや、直接攻撃が強い奴が欲しいって言ったのは思いつきで即戦力になってくれるなら戦闘スタイルはそこまで求めないんだよね。例えば素早さが高くて攻撃をくらわないとか、一番最初に攻撃が出来るとか、防御力が高くて敵の攻撃を受けても大丈夫とか。まあ、一芸に秀でてくれればそれで良いんだよね」

「「ああっ!!」」テリーがそう言うとスラリンとピエールは声を揃えて叫んだ。

「あいつがいたね・・・」スラリンは言った。

「確かに。どこかに人間のパーティーに加わった記録が有るとか無いとか・・・」ピエールは言った。

何だよあいつって、とテリーが言う前にピエールがテリーを指差した。

「テリーの今の職業と同じです。はぐれメタルですよ」

 

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