ハッサンのところで馬車が完成するまであと3日。今のスラリンの「魔物使い」の熟練度は4。そんな条件下で初期能力の高くない育成枠の魔物の仲間を1匹入れようという話になった。ダーマダンジョン攻略に向けて、レイルーラを使わない戦略を立てたいので、仲間を入れるとしたら回復のスペシャリストを入れるか?色々こなす便利屋を入れるか?
「まっ、回復専門の魔物でしょうね。そうするとスラリンも攻撃に回れて戦闘も早く終わるというものです」
「とりあえず僕がレンジャーになっていろいろやるだろうから、回復係が欲しいよね」
「正直、レベル上げ担当のくちぶえ要員が欲しいところだが、馬車もない今、戦闘で役立たずの遊び人になっても、戦闘中死なない様にそいつをかばうだけで手一杯だろうからな」
話し合いは1分もせずに終わり、回復役の魔物を入れることになった。
魔力の高い魔物として、ウインドマージとレッサーデーモンのどちらを入れるかという話になると
「レッサーデーモンって・・・、見た目キモイから嫌だよね・・・」
「いかにも三下って顔してますからな。敵が自分たちより強かったら裏切るタイプの顔ですな。そのくせ普段はパーティーのリーダーのテリーを親分とか言ったりするくせに、自分より弱い仲間の魔物には陰で嫌がらせしたり足引っ張ったりするタイプでしょうね」
「これ聞いた話なんだけどさあ、夢見の洞くつで夢見のしずくなめて暮らしてたレッサーデーモンのブラディーポってやつがいて、そいつは透明人間の男の人二人と、女の人一人とぶちスライムにやられちゃったの。そのやられた時に人間の男がブラディーポの周りに人骨が転がっているのを見て言ったセリフは(ボクは人間も魔物も一緒に仲良く暮らせると思っている。だがブラディーポ、お前は人間をころしたなあ!!)って言って、ブラディーポは斬られて殺されちゃったの。いやいやいや、人間の男の人、あんただってさんざん魔物殺してきたでしょ。それなのにブラディーポは生命維持で何かを口にするために人間を食うなって、じゃあ、普段何食べろって言うの?同族の魔物を食べろって言うの?そんなんムチャクチャだよって思ったけど、レッサーデーモンだから謎理論で殺されてもしょうがないよね。僕もうろ覚えの話をうろ覚えで言っただけなんだけどね」
「キングスライム同様、お前らがレッサーデーモン嫌いなのよくわかったよ!ウインドマージでいいよ!」
「ホルストックかあ・・・、うん、行ったことないな。スラリン頼むぞ」
「そんなんで、どーやって、伝説の剣を探し出せると思っていたのか不思議だよね。まいっか、ルーラ!」
一行はホルストックに到着した。夜になるまで周辺で戦闘を行ったが・・・
「ウインドマージとは結構戦ったけど・・・、仲間になんないね」
「レッサーデーモンが仲間になりたそうな顔で立ち上がったけど、スルーしましたからね。レッサーデーモンだから罪悪感ゼロですけどね」
「くんせい肉でも投げてみっかなー。でもなんかこの世界じゃ違うって感じなんだよな。よくわかんねーけど。もう暗くなってきたから宿に行くぞ。あっちにホルコッタって村あっただろう。あそこの宿屋に泊るぞ」
「あっ、でもテリー・・・」
そう言うスラリンに手のひらをのせて、ピエールは首を振った。一度現実というものをテリーに見せるチャンスだと思った。
「ねー、もう落ち着いて寝ようよー!テリーもクリアベールより、一人5ゴールドも安くてラッキーとか言ってたじゃない」
「ゴザ敷いてワラのベッドの中で寝るなんて野営とたいしてかわんねーじゃん。メシもビミョーだし、これで一人10ゴールドはむしろ高いじゃねーか!」
「村の外観からして宿屋や食事のレベルも大体わかりそうなもんじゃないですか。旅人もめったに訪れない土地なんで、回転率とかから考えてこれくらい取らないとやっていけないのでしょう。普段文句言いながら泊まっているクリアベールの宿屋がいかにサービスが良いかわかったでしょう?」
「それにしたって、フロはどこですかって聞いたら、池があるからそこで水浴びして下さいって言われたぞ。余計汚れるわ!」
ギャーギャー文句を言うテリーを無視してスラリンとピエールは眠りについた。こういう人間がスローライフとかいって、田舎で農業しようとか言いだして、家まで買った挙句、1年で都会に戻ってくるんだろうなと思った。
2日目の昼ごろ、ようやくウインドマージが仲間になった。
「~。~。」ウインドマージがボソボソと何かを言った。
「んーとねー、たぶん彼の言わんとしているところは・・・」
「よろしく、名前はメルビー。風魔法が得意って言ってるんだろ」
スラリンが訳しようとするとテリーが言った。
「なんで人間がゾンビ系の悪霊の言葉がわかるんですか?!」ピエールが驚いた。
「ん~?何ていうかさ、子供のころ牧場にいたやつに教えてもらったとかさ、そこでドラゴンが卵落としたり、フン落としたり・・・、その辺よく覚えてないんだけど・・・、何となくだよ」
やはりテリーはモンスターマスターだと確信するスラリンとピエールだった。
「けどメルビー、みんながわかる言葉しゃべんなきゃダメだぞ。俺達の言葉聞きながら覚えていくんだ」
「~・・・」テリーの言葉にメルビーはうなずいた。
ムチャクチャ言うなあ。言葉を持たない種族が言葉しゃべったら、成長とか学習じゃなくて進化だよとスラリンとピエールは思った。
「よっし、メルビー、どうせお前はほっといてもバキ系全部使えるようになるんだ。まずは回復呪文のホイミ系覚えるため僧侶になってくれ。お前はパーティーの回復役やってもらうぞ」
「~。~」
「うん、うん。偉い、偉い。賢者目指すなら次は魔法使いだ。魔法使いはHP少なくてすぐへたるから、そうなったら当分は馬車の中だ。けど賢者になったらガンガン攻撃呪文もしてもらうからな」
「~。~」
傍からみれば口のある包帯の部分が上下に動くだけのメルビーと会話しているテリーだった。
「テリ~・・・」スラリンが気の毒そうにテリーに声をかけた。
「言うな。俺だってうすうすわかっていたことだ」
「テリー、すいません」ピエールは言った。
「なんでお前が謝るんだよ」テリーは言った。
ダーマ神殿にて、やはりテリー、スラリン、ピエールの職業熟練度は上がっていなかった。「フフフ・・・。俺だってわかっていたさ。なんせ、戦闘が楽勝も楽勝だしな」
全員レベル30以上のこのパーティーではホルストック周辺では熟練度が入らなかった。
「ま、それは良いとしよう。でもメルビー、お前さ・・・、何でそんなに弱くなってんの?」
仲間になって僧侶に転職したメルビーのステータスを見て、テリーは愕然とした。
「いやいやいや、魔物が仲間になったら、なぜか弱くなっているのは常識でしょ?」
「にしてもなあ・・・」ピエールの言葉にまだ納得のいかないテリーだった。
そんなこというなら、仲間になった時のテリーの期待の裏切り具合の方がすごかったと口にしたいが、すぐ近くにルイーダの酒場があるため、滅多なことは口に出せないスラリンとピエールだった。
「う~ん、う~ん、しゃあない!今の強さのメルビーならさっきのホルストック城周辺がレベル上げには最適だろう。敵の魔物たちがどんな攻撃してくるかも予想付くだろうし、もっと強い魔物が出るところだったら、たとえ防御してても、一撃くらったら死ぬかもしれねえしな。馬車が手に入るまであと1日半、目標はメルビーのレベル上げと僧侶のべホイミの習得だ!」
「魔術師の塔行ったら?あそこだとレベル関係なしに熟練度入るよ」
「あのなスラリン。そのためにわざわざレイドックの城に行って王子で多忙のレックに、ちょっと安全にレベルと熟練度上げしたいからインパス使ってって言うのか?絶対嫌だぞ俺。いいよ。1日半だ。仲間の強化のためにお前たちも我慢しろ」
「~・・・」
「あー!メルビーも申し訳ないなんて思わなくていいよ。たった1日半の事だ。んじゃダーマの食堂でメシ食ったら、まず俺ん家でメルビーに魔導士系の装備させて、、ホルストック戻ってひたすら戦闘だ。ホルコッタ村の宿屋が汚いとかメシが不味いとか言うんじゃねーぞ!」
つっこむ気も起きないので、スラリンもピエールも頷いた。
ブラディーポの話は私が愛してやまない漫画「ドラゴンクエスト6 幻の大地」でのシーンを何となくの記憶で書いたものです。20年ほど前の記憶で書いていますので違っていた場合はご了承下さい。
さすがに記憶と攻略サイトと手持ちのSF版のカセットのクリアデータだけで妄想二次小説を書くのはつらいので、DS版の攻略本を買いました。1500円もしました。昔は攻略本って600円くらいじゃなかったですっけ?まあ、すっごい中身濃くて分厚いんで、いいんですけど。独自の公式イラストとか欲しいと思うのは私だけですかね?SF版とDS版がごちゃまぜになることはあるかと思います。その時は読んで頂いている方の頭の中で変換してください。