ルーラにより、テリーはダーマ神殿に降り立った。ダーマ神殿はすでに廃墟と化している。だがそれは、この世界での話だ。廃墟と化したダーマ神殿内の井戸をつかみ、強く念じると幻の大地のダーマ神殿に行くことができる。本来ならば、デスタムーア討伐後、無くなってしまった、夢の世界に行くことが出来るのだ。
これは自分(テリー)の想いの強さのためだと思う。自分はまだまだ強さを欲している。だから自分が必要としているダーマ神殿は在り続けるのだ。もし、自分が自分の力に満足してしまった時、夢の世界のダーマ神殿に行くことはできないのではないかと思う。
バーバラは本来、夢の世界の住人であるため、現実の世界から消えてしまった。だがテリーは思う。もしバーバラが現実の世界にずっと居たいと思えば、バーバラは消えることはなかったのではないか?バーバラは夢の世界でしなければならないことがあったから、夢の世界へ帰って行ったのだ。大好きなレックや仲間たちよりも大切な使命が。カルベローナの再興だろうか?消えゆく夢の世界を変えたり残すような大きな事だろうか?テリーにはわからない。レックでもわからないかもしれない。
あるいはレックはライフコッドの村のターニアとかいう娘に好かれていた。それを知っていたバーバラが身を引いたのではないかと考え、首を振った。どうして俺はこんな事ばっかり考えちまうんだ。ますます自分の事が嫌いになった。
ともあれ、夢の世界のダーマ神殿にて一人の老婆を訪ねた。この老婆は職業の熟練度を教えてくれるのだ。話を聞くと次の熟練度に達するまで、まだ100回近く魔物との戦闘を行わなければならないらしい。はああっ、とため息をついた。
レイルーラからマダンテを覚えるまで結構な数の戦闘をしてきたのだ。デスタムーア討伐後は、武道家をマスター職にしていた時だった。その後の旅でパラディンをマスター職にして、魔法使いをしているときに「はぐれメタルのさとり」を見つけ、はぐれメタルとなったのだ。一体、一人旅を始めて合計でどれほどの戦闘をしてきただろう。
さらに、はぐれメタルをマスターしても、勇者への道のりは遠い。スーパースター、レンジャーといった上級職をマスター職にするために、下級職をマスターしなければならない。
今更ながら、自分の目指す場所がどれほど遠いか思い知った。
そして、上級職(バトルマスター)を1つマスター職にしただけで「勇者」となったレックとの、選ばれし者と選ばれていない者との差を感じた。自分は世界に、神に選ばれなかった。改めてその現実を思い知らされた。テリーの心が折れかけていた時、ダーマ神殿内の冒険者たちの話声が聞こえてきた。
「祭壇の火がすべて灯ったらしいぞ」