問題児たちが異世界から来るそうですよ?+? 作:金色のツバサ
「なっ……!?」
「一京……じゃと!?」
自分の言った一京というデタラメな数字に
白夜叉と店長の女性から驚きの声があがる。
「ちょ、落ち着いて下さい、声にでてますから!」
声をあげる気持ちも分かるけど、ここは店内だから
他のお客さんも居て噂が流れるのは困る。
『消去』
頭の中で記憶を消す能力の発動をイメージして
白夜叉と店長の二人以外の聞いていた周囲の記憶から
今の一時の記憶を消し、
記憶を偽造する能力で偽物の記憶を上書きする。
幸い一瞬の出来事なのでサウザンドアイズの店に
来るまでに考えておいた「知らない他人が店内で突然大声を上げた」という記憶に上書きし、念のため今の言葉を聞いていた存在全てを能力で記録しておく。
「だが! ……いや、おんし一度こちらに来い
話しやすい場所に移動する」
何かを言いかけ周りを一瞬見渡し白夜叉は言葉を止め、
そう自分に言うとさっきほど店長との会話中に
白夜叉が出てきたドアの方を手に持った扇で指し
「ついてこい」と自分に伝えると足早に店の奥へと向かっていく。
まだ驚きから混乱したような様子の店長に
一礼すると白夜叉の後に付いていった。
「この店の交渉の時に使っている客間だ」
案内されたのは和式の部屋で、さすが最大手のコミュニティだけあり。
しっかりした障子や畳、テーブルや座布団までどれも品があり、自分としては余り落ち着けない場所だ。
「適当に座るといい」
テーブルの向かいの真ん中に白夜叉が座りその横には殿様が
よく使う肘置きがある。
「失礼します」
そう言うと白夜叉に向かい合う形で置かれている
座布団に座りこちらを観察している白夜叉と向き合う。
「して、先程おんしが言っていた一京のギフトと
いうのは本当か?」
うん、まずはソレの説明をしなきゃだよね。
「まず、その事ですが申し訳ありません正確には一京に届く程の多さではありません。 お二人に興味を示して頂きたくて少し大げさな数字を言ってしまいました。申し訳ありません。 ですが、かなり多様の能力を自分が所持はしている事は本当です」
ふむ、と何かを考えながら白夜叉は顎に手をあてる。
「そうか、まぁ今回のウソは黒ウサギのコミュニティを考えての行動じゃろうし特別に目をつぶろう。
しかし、眼のギフトは複数のギフトの中の一つという事か」
自分を見ながら白夜叉はそのまま言葉を続ける。
「このサウザンドアイズは知っての通り主は眼を取り扱う店、
並みの眼のギフトならば本店にもこちらにも幾らでも置いてあるぞ、そのギフトはこの店に並べる程の価値のあるモノか?」
コミュニティ名がサウザンドアイズだからな修羅神仏の世界って
考えれば魔眼や邪眼みたいなものも幾らでもありそう……そう考えると厨二病が大喜びしそうなコミュニティだなココ。
「それについては大丈夫だと思います。
下層のコミュニティだったら間違いなく売れる自信はありますし、使い方によってはこの世界の魔王を倒す切っ掛けをつくれる
モノだと自分は思っています」
「魔王を……倒す、か」
白夜叉が眼を細めこちらを見る。
考えが甘いと思われてそうだな、まあ交渉に
出すつもりの能力はチートな眼の能力と比べれば
一部を除いてそれほどではないのは事実だけど。
「面白い! だがこのままおんしの言葉を
鵜呑みする訳にもいかんな……そこで!!」
パチンと扇を閉じ扇の先を自分に向けてくる。
「おんしの「眼」の力、サウザンドアイズで買い取るに
値するものかギフトゲームで見極めてやろう」
そう言うと白夜叉は双女神の紋が入ったカードを
取り出し、虚空から輝く羊皮紙が現れる。
そして羊皮紙に指を走らせるとその羊皮紙が
ひとりでに自分の前に出現し、ギフトゲームの
内容がそこには書かれていた。
『ギフトゲーム名 "試しの眼"
プレイヤー 秋野 信矢
・クリア条件 ゴール地点への到達
または対象の撃破。
・敗北条件 "眼"以外のギフトの使用。
降参もしくは、プレイヤーが
上記の勝利条件を満たせなく
なった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗と
ホストマスターの名の下、ギフトゲームを
開催します。
"サウザンドアイズ"印』
「白夜叉さん、これは?」
目の前の羊皮紙に指をさし問いかける。
「それは
ギフトゲームを行う際のゲームの内容・ルール
等の確認をする書類と思えばよい」
知ってはいるが確認は大切。
一通り目を通し白夜叉に質問する。
「クリア条件にゴール地点に到達と書かれていますが、
つまりココでギフトゲームをするわけではないんですね?」
「うむ、その通りじゃ。 だが安心しろ、
移動に時間はかからん」
そう言い終わるか否かの間に周りの景色が
一変しサウザンドアイズの客間が見知らぬ場所
に変わっていた。
とんでもない大きさの建物の中の様で
天井が見えないほどの高さ、そして先が
見えないほどの長い壁に周りが囲まれており、
上空には地球で見える大きさより大きめの太陽が見える。
自分はそのスタート地点にいるようだ。
スタート地点から右側と左側に分かれ道があり。
左側にはエジプトのピラミッドのような建造物
があり、右側には湖と花畑が広がっている。
「おんしはこの左右のどちらかの道を進み、ゴールまで辿り着けるかを見させてもらう。 もちろん片方が難しいと思えば戻ってもう片方の道を進んでも構わん。 ただ……」
白夜叉はニヤリと笑い。
「おんしはゴールまで辿り着く事が出来るかのう?」
愉しそうにそう告げるのだった。