衛宮士郎であり、衛宮士郎ではない   作:夢幻パンチ

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はい久しぶり!

全然書けない!エクストラ編書いているけど
こっちの方が早く出来たからの投稿

それとちょっと整頓
度々こう言う事しますので悪しからず…

言い訳としては、気分で書いているので今はこう言う気分なんですよ

すいません。後いろいろとツッコミ所満載ですが、ご都合主義でお願いします


一日限定ヒーロー

第五次聖杯戦争

 

人類史に刻まれた

 

魔術師達が万能の聖杯をめぐる

 

戦いである

 

 

これは

 

たった1日

 

ヒーローになり

 

たった1日で

 

ヒーローを辞めた

 

男の話である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいよ!嬢ちゃん。豚バラ300グラムな」

 

「ありがとうランサー。昨日は魚屋だったのに、今日は肉屋なんだ」

 

「おうよ。明日は花屋のバイトだ」

 

「犬の肉とかないの?」

 

「毎回思うが…、嬢ちゃんは心臓に毛が生えているのか?」

 

「ランサー。サボりですか?おや、白野ではないですか。いらしゃい」

 

「バゼットさん。ランサーがサボってるから、200グラム追加でおまけして」

 

「ランサー?」

 

「テメッ!あー!わかったよ。持ってけ泥棒」

 

「よっしゃぁ!」

 

この日、いつもの日常。衛宮家居候中の岸波白野は、晩御飯の買い出しをしていた。家にいる男二人のせいで貧乏生活を余儀なくされ、現在ランサー、そしてマスターのバゼットに値段交渉していた。奇妙なことに、この女、岸波白野は聖杯戦争に関係無いのだが、関係あるみたいな中途半端な位置にいる。原因として…

 

「白野。何を貧乏くさいことをしている?おい狗。この店の肉を全て寄越せ」

 

「ぎ、ギルガメッシュ?」

 

「げ、めんどくさい奴が…」

 

「私、用事を思い出しました」

 

「バゼット逃げんじゃね!」

 

原因1の男

英雄王ギルガメッシュ。衛宮家問題児衛宮士郎の通称先輩で家に来ては、士郎の浪費を手伝っているサーヴァントである

 

「ほー、いいこと聞いたわ!ランサー。白野にサービスしたんだから私にもサービスしなさいよ!セイバーの食費でこっちは金欠なのよ」

 

「わ、凛」

 

原因2の女

遠坂凛。衛宮士郎ボッチ飯同盟(士郎が勝手に凛をボッチだと思っている)で、なんやかんやあり白野とは仲がいい凛。白野も知った人間に似ているので仲は良好

 

「凛におまけをするなら私にも」

 

「ライダー!あんたは別にいいでしょ?あんた家は金持ってるんだから、この前だって『姉さん。見てください。高級肉で作ったハンバーグです』ってメールが来たわよ!ふざけんな!慎司が憎い」

 

「………シンジも最近は『桜の料理は美味いな。いやマジでな。………衛宮の奴の料理に比べれば、………もう最高だよ。はは』と言っていまして」

 

「ごめん。私が悪かったわ」

 

「奴の料理は宝具級の威力だからな」

 

「なんか、すいません」

 

原因3

間桐家サーヴァントのライダーと、間桐桜。出会いとしては単純。問題児衛宮士郎がいつもの様に弁当を忘れ、白野が学校に行った際に桜を見かけた白野がナンパ、もとい話しかけたのが発端。そっからは自然に仲良くなっていった。ライダーも桜からの紹介で仲良くなった

 

「じゃ私もいいわよね?ランサー?」

 

「マジかよ?キャスターまで来たぞ…」

 

「キャスターさん。ヤッホー」

 

「白野。貴女も苦労するでしょ?あの問題児。なんか私の弟弟子に似た腑抜けオーラバリバリのアホの子の相手して」

 

「もう慣れました」

 

原因4

葛木宗一郎の自称妻キャスター。宗一郎が一番気にかけている生徒問題児衛宮士郎の話を聞いたキャスター。昔、師の元で修行していた頃の弟弟子に似ている士郎を気にかけてくれるので、白野とは仲が良く。会えば井戸端会議をする仲

 

「アレに慣れるとか、凄いわね」

 

「尊敬します」

 

「我も慣れたぞ?」

 

「「「「……………」」」」

 

「褒めろ女ども!」

 

「ウルセェ!テメェら帰れ!」

 

とまぁ、まだまだ原因はあるのだが、これが岸波白野の日常である。

そして夜、小さな言い合いにより事件は起こった

 

「諸君。よく集まった。今回の「御託はいいわ。さっさと要件をいいなさい綺礼」……、凛。せっかちは、またうっかりを招くぞ?」

 

その夜

 

聖杯戦争監督役である言峰綺礼のもとに集まった5人のマスターと1人。そして5人のサーヴァントが集まった。

 

アサシンのサーヴァントは欠席。バーサーカー陣営はマスターのみ参加。ライダー陣営は、マスター権利を桜に譲ったが慎司もサポートとして参加。アーチャー陣営は未だ不明のマスターだけは不参加。ランサー陣営、セイバー陣営、キャスター陣営はマスター共に参加

 

「まぁ良い。簡潔に話そう。間桐臓硯のルール違反を犯した」

 

「はぁ⁈なんだよそれ、爺さんがルール違反?おい僕達は関係ないぞ。爺さんは最近見かけてないし、なぁそうだろ桜?」

 

「兄さんの言う通りです。私達はすでにお爺様の元から離れました。お爺様がルール違反を犯した所で、私達には関係の無い話です」

 

「もちろん、ライダー陣営にペナルティは無い。間桐蔵硯の元から別たれているのは、こちらも把握している。問題はそこでは無い」

 

「問題とは、なんでしょう綺礼」

 

ルール違反と言っても、聖杯戦争に細かいルールなどは無い、が

 

「本来、聖杯戦争とは儀式だ。七騎のサーヴァントを聖杯に捧げる事により、聖杯を召喚する。だが、もしも聖杯同様の魔力がこの冬木にあるとしたら?」

 

「………………なに?私は関係ないわよ。アインツベルは、この件に一切関与してないわよ。関係あるんだったら、アレじゃない?私より魔力のある人」

 

「まさか………!」

 

「フ、そう………、岸波白野だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、衛宮家

 

「(んー、おかしい。聖杯戦争は始まった。俺の手には令呪が宿らなかった。多分俺のせいではない。だとしたら……)」

 

「ん?なにかな士郎。僕になにか用でも?」

 

「(駄目だ。奴はまだ生きる。安珍しねぇ)」

 

「え?なにその顔⁈そのまだ居るよみたいな顔は…!いや死なないから僕」

 

当時、士郎は焦っていた。原作を知っている彼は、今イレギュラーな状況に、安心と焦りが入り混じった心境だった。聖杯戦争に参加しなかった安心と、衛宮士郎と言う死が間近の人間になった自分に恐怖を持っていた。彼はこの数年、鍛錬は欠かさなかった。出来ないと諦めず日々、魔術の修行。だが、一度として成功はなかった

 

「(俺は、俺は!)」

 

「士郎?ご飯できたよ。士郎?おーい」

 

「俺は衛宮士郎じゃないッ!」

 

突然の大声が、家に響く

 

「………タダ飯食らいに来たけど、士郎どうしたの?」

 

いつもの様に藤村大河が間が悪く来ていた。さっきまで新聞を読んでいた切嗣も、士郎を見る

 

「ご、ごめん。なんか考え事してた?」

 

「(まて、おちつけ、かんがえろ、どこでくるった、どこが、へんなんだ?)」

 

「士郎大丈夫?調子が悪いなら「お前か…」え?」

 

「そうだ!なんで岸波白野が居るんだよ!なんでお前が…!」

 

「士郎!それ以上はダメだ」

 

「うるせえ!ジジィは黙ってろ!」

 

焦りは疑念を生んだ。恐れは妄想へと発展していく

 

「お前のせいでおかしくなった。岸波白野はここには居てはいけないんだ!」

 

夜に響く怒号。そして、それを上回る破裂音。大河が士郎の頬を叩いたのだ

 

「あんた。今なんて言ったかよく考えな」

 

「…………………」

 

打って変わり沈黙が続く

 

「あ、あー!そうだった。卵が切れてたんだ。私買いに行ってくるよ!」

 

白野だった。ドタドタと急ぐ様に家を出る白野。まるで逃げるかの様だった。白野が出た後、家には沈黙が続いていた。何分経っただろうか、何時間?わからないほどに静かだった。

 

「…………切嗣さん。私、今日は帰るね」

 

「…………うん。ごめんね」

 

「ううん大丈夫。士郎も今日は気が立ってるだけだもんね?明日には、うん。明日にはまた、いつもの日常に」

 

「そうだと、いいね。僕もそう思うよ。玄関まで一緒に行くよ」

 

気まずい雰囲気の中、大河を送ろうと玄関まで行く切嗣。玄関まで着くと、勢いよく玄関が開く

 

「邪魔するぞ」

 

「英雄王?」

 

ギルガメッシュだった。いつもの黒ライダースーツで、観察するように、家を見る

 

「ギルガメッシュさん?こんな夜遅くに、こんばんは。でも今日はやめた方がいいよ。士郎もなんか機嫌が悪いみたいだし」

 

「………大河。今日はこの家に泊まるといい。我が許そう。切嗣。道化と白野は?」

 

「士郎なら家に居る。白野ちゃんはさっき家を出たよ」

 

「結界を貼り直せ」

 

「いきなりなにを「今からこの街は戦場になるぞ」ッ!大河ちゃん。家に居るんだ」

 

ギルガメッシュが放った言葉の意味を一瞬で理解した切嗣。急いで外に出て、家近辺の結界を最大レベルまで引き上げる。切嗣が出たとすれ違う様に、ギルガメッシュは家に入る

 

「なにをしている?」

 

「………………」

 

「貴様のせいで、我自ら、この家に来てやったと言うのに、貴様はなにをしている?」

 

「………帰ってくれ。今は、アンタの顔見たくない」

 

「道化風情が、我に命令か?生意気な。息の根を止めるぞ?」

 

「……言いすぎたんだ」

 

「………………」

 

「白野はなにも悪くないのに、パニクって、テンパって、変な事言って、馬鹿みたいだ」

 

「………やはり、貴様は世話のかかる男よ」

 

はぁ、と深く溜息をして士郎の目を見て

 

「名など!見た目など!」

 

ギルガメッシュの声が響く。まるで民に言う様に、だがそれは今一人の男に向けて発せられる

 

「貴様は!貴様であろうが!」

 

王がいた。いつも一歩前を歩く王が

 

「……………うん!俺行ってくるよ」

 

士郎の悩みは消えない。だが今、やらなければならぬ事がある。士郎は走った

 

「士郎⁈どこ行くの」

 

「藤姉。ごめん。ビンタありがとう。目が覚めた」

 

「ううん!いいよ。私は、士郎が道を踏み外したら何度だって戻したあげるよ。ちゃんと謝ってきな」

 

「うん」

 

藤村大河は思った。今、自分は夢が叶ったのでないだろうかと、自分は彼が道を外さない様に、教師と言う道を歩んだ。姉として、そしてもう一人いた姉の様な存在との約束のため、彼が真っ直ぐと走れる様に、大河が出来るのはそれくらいだった

 

「士郎!どこに行くんだ。英雄王が外は危ないと言っていただろう」

 

「ジジィ。さっきは悪かった。でも行かせてくれ」

 

「ダメだ。行かせられない。僕が行ってくるよ。士郎は「ジジィじゃダメなんだね」士郎!今はふざけている場合じゃないんだ」

 

「ふざけてない。俺は、なにも知らないし、ジジィの想いはわかる。でも俺じゃなきゃダメな気がするんだ。今行かないといけないだ。大丈夫。ただ白野連れて帰ってくるだけだ。だからちゃんと迎えてくれよジジィ」

 

本当は行かせたくない。切嗣と士郎の関係は、魔術の事を互いに知っている事を知っているにもかかわらず、知らないフリをしあっている。切嗣の士郎を守りたいと思う気持ち。士郎の切嗣を心配させまいとする気持ち

 

「…………わかった。無茶しちゃダメだよ?いってらっしゃい」

 

「無茶なんかしねぇよ。連れて帰るだけだ。行ってきます」

 

それでも息子の成長が嬉しくてたまらなかった。だから行かせてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、白野は間桐蔵硯に捕まっていた

 

「くっ!この糸みたいなの、無理だ。ビクともしない」

 

「クフフ、あははは!聖杯同様の魔力。お前さんから、なぜそれほどの魔力があるかは知らないが、これならば聖杯が!聖杯が!ぁぁ、これで、これで!我が夢が叶う」

 

「(ダメだ。この糸、私の魔力をちょっとずつ吸ってる。私の存在自体が魔力の塊。月の聖杯のバックアップで成り立ってるからだ。魔力を吸われ続ければ、私は……)」

 

「ん?言峰め…!儂の邪魔をするか。だが魔力はある。我が、使い魔よ!儀式の邪魔をする者を排除しろ!ふふ、ついでに人々から魔力を奪っておけ」

 

蔵硯の号令とともに、無数の蟲たちが召喚される。大小様々なサイズが、中にはビル一個分程の大きい虫までが、無限に巻き出るのだ。それも白野の魔力で

 

「(私の、せいで、関係ない人が…)」

 

白野の頭によぎるのは、士郎の言葉

『岸波白野はここには居てはいけないんだ』

今、自分がここに居るのは、ワガママだった。ただ、また会いたかっただけだった。ただそれだけだった

 

「バーサーカー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

士郎は今走っていた。街には火の手が上がり、人々は逃げ惑う。だが士郎はその逆を走っていた。闇雲に、だった騒ぎが大きい場所にひたすら足を動かした

 

「無茶苦茶だな。ヤバ、逃げてぇ。ってうわっ!虫?」

 

人気が無くなった街には彼方此方に虫が漂う。遠くを見れば、かなりデカイ蟲かどうか疑う化け物までいる

 

「邪魔だってのッ!」

 

崩れた瓦礫から鉄パイプを抜き取り武器がわりに構える

 

「トレース・オン!って出来ないか」

 

今の士郎は非力。魔術師が召喚した虫に、ただの鉄パイプが叶うわけがない。蟲達が士郎に襲い掛かりそうな瞬間。蟲達が弾けた

 

「え?」

 

「え?じゃねぇよ。なにやってんだ坊主」

 

「士郎。なぜ貴方がここに」

 

赤みがかかった髪に、スーツの女性。赤く長い槍を持っち、青いタイツを着た男

バゼットとランサーだ

 

「バゼット。と青タイツ」

 

「たく、テメェの前でこの姿は初めてなはずなんだが…、まぁいい坊主。さっさと逃げな」

 

「ごめん。無理」

 

「…………お前さん。そりゃマジで言ってんのか?今ならまだ間に合う。回れ右して引き返せ」

 

「俺は、あの一番火の手が上がってる所に行きたい。あそこには、白野が居るんだ」

 

「だからってな」

 

「俺が行かなきゃいけないんだ。俺が、俺がアイツを助けたいんだ」

 

「……………はぁ、バゼット」

 

「危険なのは変わりありません。ですが、ふふ。こうなった士郎は引き下がりませんよ」

 

「へ、嫌いじゃないぜ坊主!行きな!」

 

ランサーは槍を構える。バゼットは拳を握り構える

 

「こっからの道は!」

 

「私達が!」

 

「「切り開いてやる」」

 

「………ああ、応!」

 

士郎はまた走った。士郎を邪魔せんと蟲は襲いかかる。だがそのことごとくが、ランサーとバゼットによって消える。士郎は二人を信用してただひたすらに走る。白野の元に、そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!爺さんめ、ついにボケが回ったか」

 

「シンジ。愚痴を言っている暇があるなら手を動かしてください」

 

「うるさいよ!お前や桜と一緒にするなよ。僕には僕の仕事があるんだ」

 

「兄さん。人民避難お願いします。邪魔な蟲は私とライダーで」

 

「当たり前だろ。僕を守れないほどお前は鈍臭くないだろ桜。しっかり僕を守、ん?」

 

「シンジどうしました?」

 

「………クソ!なんでアイツが居るんだよ。おいライダー、桜。場所を変えるぞ」

 

「兄さん?避難誘導は「そんなのさっさと終わらせるんだよ!」あ、はい!」

 

「全く、いつもアイツの尻拭いか、恨むぞ!衛宮!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宗一郎様。どうか避難を」

 

「キャスター。心配するな。お前も気になるのだろう?衛宮の事が」

 

「……私は」

 

「彼は私の生徒だ。それも一番の問題児。手のかかる生徒ほど可愛ものだと、初めて知った。ならばこう言おう、キャスター。共に来てくれる」

 

「はい。マスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

知らぬ間に、次々と巻き込んでいく。衛宮士郎と言う男を中止にサーヴァント達が募っていく。彼を守るように…

 

そして

 

「見えたぞ」

 

「相変わらず目がいいこった。おーおー走ってる走ってる」

 

「まったく、嫌になる。私の知らない衛宮士郎を見るのは」

 

「それは同感」

 

「ん?お前は衛宮士郎のファンではなかったか?」

 

「そうだよ。だから嫌なんだ。ありゃ外見を真似た。ただの偽物だ」

 

「ふ、まぁいい。さて我々は我々の仕事をしようではないか」

 

「あい了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、魔力を吸われ続ける白野。月の聖杯の効果により一生分の魔力を大半、蔵硯に持っていかれた。その間、気を失っていた白野が目を覚ます

 

「………うぅ(身体がダルい。まだ動けるけど)」

 

「どうやら目が覚めたようだな?」

 

「貴方はッ!誰?」

 

先程までヨボヨボであった蔵硯は見る影もなく。そこに居たのは青髪の三十代くらいの男性だ。その容姿から間桐慎二を思い出させる容姿をしている

 

「フン。貴様の魔力のおかげで半分願いがなかった。感謝しよう。そして、これだけ若返れば、残りの魔力も吸い取ってくれる」

 

蔵硯の手が、白野に向かう。白野は覚悟した。

あぁ、自分はここまでなんだなと、自分は月で勝ち、願いを叶えてここにいる。満足だ。これ以上欲張ってはバチがあってしまうと、そう思った

 

でも

 

でも!

 

自分はなんて、往生際の悪い女なんだろうか。この一瞬で思ってしまった。まだ、諦めたくないと。士郎とまだ、一緒にいたいと

 

「…あきらめない!ここで諦めたら一生悔いが残る。私は諦めない!それが、私だ!」

 

かつて、ある男がよく言っていた言葉だ。今それを思い出したのなら、まだ自分は余裕があるみたいだ

 

「無意味だ。誰も助けな「その女から」ッ!何もの「手を離せッ!」グハッ!」

 

白野に向かう蔵硯は、イレギュラーの拳によって吹き飛んだ。なんせ家からここまでずっと助走つけて殴ったのだから。蔵硯が吹き飛んだことで、白野を縛る糸は緩み、男の腕に受け止められた

 

「待ったか?」

 

「……うん。待った」

 

「そうか、家からすっ飛ばして来たんだがな」

 

「でも、やっぱり来てくれた。ありがとう。士郎」

 

「おう」

 

衛宮士郎が蔵硯の前まで来た

 

「き、貴様!」

 

「歯くいしばれよウジ虫野郎。今から駆除してやるからよ」

 

蔵硯と対峙する士郎。白野を後ろに下げて前に出る。白野は今の現状に懐かしさを覚えた。昔もこうやって、彼の背中を見ていた

 

「指示を頼む白野」

 

「え?」

 

「お前こう言うの得意だろ?主人公出し」

 

「また変こと言ってる。でもわかった!勝とうバーサーカー 」

 

「誰がバーサーカーだ!セイバーとお呼び。でもなんか悪くねぇな。トレース・オン!って無駄よな。行くぜマスター」

 

遥か未来。もしくは別の世界かもしれない。でも、そう言った次元を超えて、別の形として、この男女はこうして共に戦っている。

 

「小僧!邪魔をするな」

 

蔵硯は蟲を召喚する。白野は魔力源であるため攻撃はせず、士郎中心に攻撃が始まる。当然士郎では敵わない。必死に鉄パイプを振って当ててもダメージは負わせられない。白野の指示で逃げながら戦うしかない

 

「クソッタレ!(やっぱりダメか!俺は結局、衛宮士郎にも慣れない半端ものか)」

 

二匹の蟲が士郎に襲いかかる

 

「危ない!士郎」

 

だがそれは叶わなかった。二つの影が蟲を切り裂いた。顔はフードで見えなかったが、二人とも白と黒の剣を両手に持っていた

 

「「迷わず走れ」」

 

その言葉と共に、左の男は白の剣を、右の男は黒の剣を蔵硯目掛け投げる。士郎も言葉通りに蔵硯目掛けて走る

 

「小癪な真似!」

 

弾かれた二つの剣は

 

「ああ、わかってるよ。この剣がどんな意味か」

 

士郎の手にハマる

 

「体は剣で出来ている」

 

蔵硯が蟲達を召喚しても、そのことごとくを切り裂かれた。雰囲気、強さ、目が違った。そして、先程から蔵硯は蟲を召喚しながら呪いを士郎にかけているのだが

 

「(何故だ。何故だ何故だ何故だ!呪いが全て通じてない。何者なんだ)貴様がしゃしゃり出て良い話ではない!」

 

魔術が効かないと思い、蔵硯は手を鉢の針の様にし、士郎に襲いかかる

 

「ぐっ!何者?だと、テメェが知る必要はねぇよ。さっきから頭ん中にいろいろ流れている映像も興味ねぇ。俺は…、お前が白野に手を出した時点で、俺とお前はこうなる運命なんだよ。この一秒、この一分、この一時間、この一日!衛宮士郎を名乗る男だ!」

 

蔵硯の針を弾き、蔵硯に斬撃を浴びせる。その体は引き裂かれたが、すぐに再生する。蔵硯の体はもはや、蟲の集まりし体。何度切られようと本体さえ死ななければ何度でも蘇る。

 

でもそこは白野の仕事であった。士郎が何度も切り裂く中、その戦いをちゃんと観察していた

 

「(士郎が頑張っている。私は突破口を見つけるんだ)ッ!士郎!頭の方に一匹だけ違う蟲がいる」

 

「だったらッ!」

 

「ぐっ、舐めるなぁぁ!」

 

この一撃で勝負が決まる。両者が刃を構えた

 

「あんたと俺は似てるよ。ただ生きたいと強く願い。夢を忘れた。でもわるいな、俺は先に思い出したよ。こう言う男が居たんだって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日

 

誰かの視点で、地獄を見た

 

身体が熱いのに、他人事の様に

 

「そっちは地獄だぞ」

 

後ろから声が聞こえた。知ってる声だ

 

「ああ、知ってる。今、引き返すよ」

 

知ってる声が出た。ひどく懐かしい声だ

 

「でも、お前は地獄に進んでいるじゃないか」

 

そんなバカな。あ、本当だ

 

「見ろよ。あのガキ。地獄を歩いてる。かっこいいな」

 

「かっこいい?」

 

「ああ、かっこいい。希望なんて無いのはわかっているんだよ。でも生きたいと。ただ生きたいと願って歩んでる。俺は生きることから逃げたんだ。眩しいな。この炎の中で唯一、違う輝きを放ってる」

 

「だったら、もうアンタも輝いているよ」

 

「そうかな…、そうだといいな。うん。じゃいくよ。白野が待ってる」

 

「ああ、あとは任せた。衛宮士郎」

 

「任せろ!俺の、俺の憧れ」

 

赤髪の青年に背を押された。あとは任せたと、だから走った。黒髪の冴えない俺は……

 

「行ったか。…………たく、柄にもないことしちまった。本来ならバレるが、まぁこう言う場ですし、騙せたぜ。ヒッヒヒ!ザマァねぇな。…………頑張れよ人間。俺じゃあお前の夢を叶える為には、地獄に蹴り落とすしかないんだ。でも大丈夫だ。今のお前は根暗じゃない。ちゃんと輝いているよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら遅かったようね」

 

「士郎!目を、目を開けて!」

 

蔵硯との相打ち。士郎の胸にはデカイ穴ができていた。蔵硯はどうにか生きたが、遅れて来たセイバーと、そのマスターである遠坂凛によって完全消滅した。これにより街に蔓延る蟲達は消え、騒動は終結した

 

「おい。こりゃどう言う結末だよ!おい遠坂」

 

「ごめんなさい。私にも、全部を把握していないの。でも、士郎が蔵硯と戦ったのはわかるわ」

 

「そして、破れたか。いや坊主は勝ったさ。現にセイバーのマスターは坊主のおかげで場所がわかったんだからな」

 

「……………」

 

「キャスター」

 

「大丈夫です。マスター」

 

終結後、白野と士郎の元に、セイバー、ランサー、ライダー、キャスターの陣営が集まっていた。

 

「誰か!士郎に回復を!」

 

「白野……」

 

「お願いします!まだ、まだッ!」

 

「いやもう遅い」

 

「テメェ!今の今までどこほっつき歩いてた?」

 

「狗に答える義理はない」

 

金色の鎧を纏ったギルガメッシュが呆れた表情で歩いてくる

 

「……王様」

 

「其奴の心臓はすでに止まっている。もはや死人だ」

 

「でも……!なんかいい宝具が「それ以上、口にするなよ雑種」」

 

すがる白野の目を、怒りにこもったギルガメッシュの目が合う

 

「死んだ人間を生き返らせるなど、人に余る甘えよ」

 

「アンタ…!アイツの先輩じゃないの⁈」

 

「知らんな。こいつは我を楽しませる道化。それ以上でも、それ以下でもない」

 

「つくづく腐ってやがる」

 

倒れた士郎の手を、強く握る

 

「士郎。士郎!ごめん。私のせいで、私が、私が居たから。お願い死なないで、士郎!」

 

白野の願いは、ただ響くだけだった。だが、縁とは素晴らしいものである

 

「白野」

 

「……セイバー?」

 

士郎の手を握る白野の手をセイバーが握った

 

「貴女の願い。想い。たしかに私に響きました。この少年。会った時から感じるものがありました。今、その答えがわかりました」

 

「傷が……!」

 

「塞がっていく?」

 

「なるほど、そう言う事だったのね。だから坊やが、異常耐性に強いのね」

 

誰もがその光景に驚いた

 

「あ、ぁぁ。ありがとう。セイバー」

 

涙でくしゃくしゃになった顔で強く強く、セイバーの手を握る白野

 

「全て遠き理想郷、か。なんで士郎なんかが持っているんだか」

 

「まったく、昔からよくわからない奴だよ衛宮は」

 

「そうですね。士郎は昔からいろいろと問題を起こして来ましたから」

 

士郎を知る者達は口々に言う。変な人と

だからこそ普通ではない人達が寄り付き、彼を見て面白がる。彼はまさに未知の存在が故に

 

「……………ぁ」

 

「士郎⁈」

 

「……………はくの」

 

死の淵にいた彼は息をした。虚ろな目で白野をみる

 

「ごめん。俺、お前の事を何も考えてなかった。自分の事で精一杯て、ごめん」

 

「…………うん」

 

「居ていい。居ていいだ。俺だって一緒なんだ。不安定な存在で、自分でいろいろ無茶苦茶にして、衛宮士郎なんて、ヒーローだって胸張って言えねぇよ……!」

 

「……ううん。士郎は、貴方は私を、助けてくれた。何もないって言って、何も出来ないって言って、それでも貴方は私に大丈夫だって!頑張っていけるからって!だから私は頑張れたんだよ」

 

「………そっか。俺はちゃんと君を守れたか。白野」

 

「…うん」

 

「もう危険はないよ。皇帝の様に君を導けないし、良妻の様に君に寄り添えないかもしれないし、ヒーローの様に君に助言だって言えない。でも、俺は君を想う事しか出来なくても。俺は守るよ。だから…、

 

 

 

 

 

一緒に生きよう」

 

 

 

 

 

 

「…………はい」

 

運命の夜。あれだけの騒動があり、街は半壊していても、だった一人の女を助ける為に、魔術師が動き、英雄達が集った。男は一人、必死に走り、女を助けた。その過程で多くの者を救い。多くの者が男の生き様を見た。そして誰もがそれを他言しなかった。

 

なんだ、またあの二人か

 

あのお騒がせの二人だ

 

あの子。あんなに頑張っている

 

行けっ!やれッ!そこだ!頑張れ

 

あんなバケモノみたいな奴に

 

そうか助かったか、ありがとう

 

ありがとう

 

ありがとう

 

誰も口に出さず、心の声はありがとうで埋め尽くされていた。だが男は知る由もない。ただ一人の女を救う事しか頭になかったからだ。だが英雄とはそういうものである。理想を叶えようとして、その過程でたまたま誰かが救われただけ、それを見て誰もが讃える。ならば

 

今日

 

この夜だけは

 

衛宮士郎であり衛宮士郎ではない彼も

 

英雄と言われてもバチは当たらないだろう

 

 

 




衛宮士郎
この日、英霊の座に認識される。白野に告白したものの、意識が朦朧としていた為、後々恥ずかしくなってしまう。いろいろな人にそれをいじられ人見知りが悪化。謎の人物達から得た経験は忘れた。そしてこれ以降は魔術関係とは関わらず白野と穏やかに過ごす

岸波白野
月からの魔力を大半持っていかれ、一生生きれた存在魔力が途中で月に帰らなければならなくなった。だがそれにめげずに士郎と共に精一杯生きた。恋人同士になった士郎だが、よそよそしくなったので抱いた

遠坂凛
今回、蔵硯を倒した手柄は受け取らず、街の復興を人知れずセイバーと行う。ボッチ同盟の食事で度々士郎を弄る。ちなみに士郎からは凛と呼ばれている

セイバー
薄々士郎から、全て遠き理想郷の存在を感じていたが、半分以上士郎の物になっているのでわかりずらかった。今回は士郎を関して全て遠き理想郷を起動しただけなので、実際は白野の魔力で動いていた

ギルガメッシュ
士郎と別れた後、蟲を駆除しまくっていた。士郎の存在のせいで千里眼があまり機能しないので、士郎が死んだ時にエルキドゥが頭によぎってイライラしていた。この騒動後はいつも通りだが、聖杯戦争が苛烈を増し、慎二を殺す

間桐慎二
現段階で士郎と殴りある喧嘩を終えた後で、イキリがだいぶ抑えられ、お兄ちゃんしている。桜との関係は良好で、凛との関係もなんだかんだで良好。士郎の事は一方的に友達と想っているのは死んだ後も誰も知らない

間桐桜
慎二からライダーのマスター権を譲られる。慎二の兄になった自覚から蔵硯とは決別。士郎の料理を食べた事のある慎二は桜の料理を楽しみにしていて、桜の趣味は料理。白野とキャスターと井戸端会議を度々

ランサー
初対面で士郎に青タイツ呼ばわりされる。聖杯戦争ではバゼットと共にバーサーカーを5回殺し、ギルガメッシュにやられ敗退

バゼット・フラガ
士郎とはカプ鯖以来の仲で、ジャンヌより付き合いが長い。バーサーカー戦で深手を負い、生死を彷徨ったが助かった。その間にランサーが破れる

キャスター
宗一郎が気にかけている生徒が気になって見てみたら、修行時代に居た弟弟子に似ている為、気にかける。士郎が死んだとき、弟弟子が死んだ時を思い出し胸が痛くなった

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
白野の存在は知って居たが接触は無し。切嗣を探して居たがなかなか見つからず。事件中は蔵硯がバーサーカーを恐れて大半戦力をけしかけて倒していた

間桐蔵硯
夢を忘れ、理想を忘れ、ただ生きたかった。最後に士郎と何か通じ合えたような気がして、セイバーに頼んで、生涯を終わらした

謎の人物1
仕事で呼ばれ、衛宮士郎を見て困惑と同時に心配。だって中身は相方なわけですし、告白をしているのを弄る

謎の人物2
恥ずかしくて衛宮士郎を殺そうとするも、相方に止められながらも助ける。そして白野を見て泣く
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