召喚師 屍魎己~魔都東京   作:律子

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第5話 仲魔

 爆発音が響くと同時に照明が消えて暗闇に包まれた。

 

「何事です?」

「山田様!! 発電室が爆破されました!!」

「如月の一味が侵入して見張りが(やら)れています!!」

 

 走りまわる足音と銃声が響く。これは逃げるチャンスだ。

 

「落ち着きなさい。予備発電に切り替え、封じていた『悪魔』どもを放つのです」

 

 リーダーらしく山田は冷静に指示を与える。俺を押さえていた男は指示を受け、移動したたのかいない。腰を屈めてゆっくりとドアの方へ歩く。今度捕まったら、人質にされてしまうか最悪は殺されてしまう。息を押し殺してドアに向かう。暗闇だが出口の方向は大体分かる。

 

「山田様!! 子供がいません!!」

「あのクソガキ。逃げやがって、始末しましょう!!」

「まだこの近くにいるはずです」

 

 男達は慌てているが山田の声は冷静だ。

 

「子供は放っておきなさい。建物を異界化させたので逃げられません。この暗闇で身動きが取れないでしょう。それより侵入した彼等を歓迎するのが先です。小林君と木村君はわたしと一緒に来なさい」

「はっ!!」

「分かりました。あの小僧、捕まえてタップリと仕置してやる」

 

 どうやら俺の事は後回しらしい、これで捕まる可能性が低くなった。後はまどかさん達に合流すれば一安心だ。見つからずに通路に出たのはいいけどエレベーターは動かないだろうし、この暗闇では階段を探すのが難しい。

 

「あっそうだ、COMPがあるじゃないか」

 

 こんな事もあろうかと思って持って来たけど正解だよ。上着のポケットから折り畳んだヘッドバイザーを取り出して被ると起動させた。索敵・暗視モードを起動させると暗闇の視界から周辺が見える。このCOMPは便利な機能があって助かる。もしかして通話も出来るかなと、まどかさんに連絡する。

 

「嘘!!マジつながったよ」

『もしもし!! 深町君なの?』

 

 圏外になるのが常識だから、まどかさんもビックリしているよ。

 

『深町です。暗くなってすぐ逃げたんです』

『よかったわ。発信機で君の位置は把握できるから、その場から動かないでね』

『そうですけど、あいつらが追って来るかも知れないですよ?』

『この暗闇だから隠れていれば大丈夫。むしろ動く方が危険よ』

『何で?』

『エネミーソナーが反応するの、無闇に歩き回ると悪魔と遭遇するわよ』

『あ、悪魔って!!』

 

 昨日、浦木さんが戦った餓鬼を思い出した。

 

『餓鬼みたいなのですか?』

『あんなのは雑魚よ。もしかしたらもっと強いのが出てくるわよ』

『マジで脅かさないでくださいよ』

 

 もう、足と背中が震えているよ。

 

『だから動かないでね、って言うのよ!!』

 

 ブチッと通話が切れてしまった。念の為、自宅へ電話しようとするが圏外の表示が現れている。目の前が暗闇と静寂に包まれて不気味だ。時々、銃声と叫び声がかすかに聞こえる。

 

 こ、怖いよ……暗闇がこんなに怖いなんて……助けて姉ちゃん……

 

 通路に座り込み膝を抱え半泣きで、いない姉を呼ぶ。

 

(涼ちゃん、諦めて泣いたら、恐ろしい魔物が涼ちゃんを魔界に、連れて行っちゃうから泣かないで、ね、私の可愛い弟、愛しているわ)

 

 清楚で優しく、でも怒らせると恐ろしい姉。あの事故で命を失った。

 

(涼ちゃんをいじめる奴は絶対に許さない……それが神や悪魔なら私は戦う。だからお姉ちゃんだけを見て、お姉ちゃんから絶対に離れないで、いつも傍にいるから……)

 

 独占欲が強くちょっとヤンデレ気味だった姉。涙を袖で拭うと立ち上がる。

 

「そうだよな泣いても解決しないよな。こ、こんな時は武器になる物を探さないと、鉄パイプかバールのような物があればいいけど」

 

 RPGゲームだとダンジョン内に宝箱が置いてあって、武器やアイテムが手に入るが現実は甘くない。 他のドアはロックが掛かっていて部屋に入れない。銃声は聞こえないが獣のような咆哮が響く。震える両足で、ゆっくり歩くと階段が見える。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 突然、目の前に餓鬼が1体現れた。腰が抜け、床に座り込んで動けない、気のせいか股間が湿っぽい。餓鬼は襲い掛かって来るかと思ったが、俺に近づくと匂いを嗅いでいる。恐ろしさで生きた心地がしない。

 

『ウゲゲ、オ、マエシ、ノニオ、イオレク、エナイ』

 

 獣が人語で話しているみたいだ。地獄で最も貪欲な餓鬼に食えないって、言われるのは何か複雑な気分だ。餓鬼は俺の周りをヒョコヒョコと、うろついているが動きを止め、首をかしげて光る目で俺を見ている。

 

『ウガオ、レナ、カマオ、マエフ、シギヤツ、ドウル、イィ?』

 

 襲う気が無いのは分かるけど、はっきり言ってくれないと分からないよ。

 何と無く、俺、仲間、お前、不思議な奴、同類?でおK?

 

 脳内選択肢。1つ選びなさい。

 ①俺とお前は同期の桜だ!!

 ②あっち行け!!

 ③食わせろ

 ①を選ぶと餓鬼は嬉しそうにはしゃいでいる。

 

「オレ、ガキ、ツヨイ、オレ、サイキョウ、コンゴト、モヨロシク」

 

 餓鬼は光の粒子になって俺のCOMPに吸い込まれた。何がど、どうなっているの教えてよ!!

 ヘッドバイザーに表示されている悪魔召喚プログラムのアイコン『DDS』が点滅している。とりあえずリモコンでクリックする。

 

『悪魔召喚プログラムを起動します』

 

 艶のある女性の音声が耳に優しく響くと同時に、六芒星と意味不明の単語が描かれている魔法陣画像が現れ、メニューリストが表示された。

 1.仲魔リスト 2.召喚 3.帰還 4.削除 5.リカバリー 6.悪魔全書(使用不可)

 

 画面の左上に、月齢時計が表示され、現在はNEWMOON…新月らしい。それと周辺のマップも映し出されて便利だ。右上にマッカとマグネタイトの数量が表示されている。

 マッカは現在0マッカで、マグネタイトは残り100か。でもマッカとマグネタイトって何だろう?

 仲魔リストをリモコンでクリックすると一覧が表示された。1から12まで番号が振ってあり、さっきの餓鬼は1番目で種族は幽鬼だ。2番目から11番目は空欄で12番目に読めない名前が出ている。

 種族、悪霊って何かヤバそうだけど、赤字で表示されているから無理なのかな?

 階段を上がった時、また餓鬼が現れた。ヤバイ、今度は3体も出た。

 

「な、何か用か? こ、こっちには、お、おお前らの仲間がい、いるんだぞ!!」

 

 どもりながら言うと、餓鬼達は俺を見つめている。緊張で足の震えが止まらない。

 

『ウガガナカ、マイル、ダイジ、スル、コ、レヤル』

 

 餓鬼から小さい紫色の石を1つ貰った。

 

『マ、セキ、オレノタ、カラ、ナカ、マヨロシク』

 

 餓鬼達は去った。どうやら同じ仲間がいると、見逃してくれるらしい。これで餓鬼が現れても大丈夫だよ。さらに上がって地下1階にきたが、この階段はここで終わりだ。ここから暗闇の通路を歩いて別の階段を探すしかない。この階のドアもロックされている。進もうとしたら前方に人影が現れた。

 

「ヤバ!! 隠れなきゃ!!」

 

 金髪のロングヘアで派手な女の人だ。身体にピッタリ張り付いた丈の短いピンク色のワンピースは、胸元から両肩を大幅に露出した長袖で、鎖みたいな銀色のベルトを腰にゆるく巻いている。足もピンク色のハイヒールを履いている。年齢は20代くらいで、まどかさんの仲間かもしれない。

 

「もしかして、まどかさんの仲間の方ですか?」

『まどか? 知らないわ、そんな子。それよりアンタのミート、アタシにイートさせてよ』

 

 身体をクネらせて歩く姿が何か不自然に見える。外人だと思ったけど、見ると日本人で染めているのだろう。彼女は額のうえにサングラスを上げ、ギャル系雑誌のモデルみたいで可愛いが、顔色が悪い。

 

「まっまさか!!」

『そのま・さ・か・よ。美味しそうなボーヤ』

 

 嫌な予感がして逃げようとしたが、女は俺の腕を掴む。

 

「はっ離せ!! この!!」

『フフ、久しぶりの獲物だから絶対に逃がさないワケ』

 

 獲物を手に入れて舌なめずりしたが、俺の匂いを嗅ぐと顔をしかめた。

 

『なっなに、この子? 何なのよ?』

 

 女ゾンビにまでに言われるとかなりショックだよ。そっと逃げようとしたが腕を放してくれない。

 

『もしかしてアンタ、屍鬼じゃなさそうだし……もしかしてデビルサマナーなワケ?』

「デビルサマナーって、なっ何ですか?」

 

 時間稼ぎて尋ねる。

 

『何って? 悪魔召喚師の事なワケ。アンタが手にしているCOMPを使って、アタシらみたいな悪魔と会話したり召喚して、使役するんじゃない。そんな事も知らないでここをうろついてるなんて、アンタよっぽど度胸あるのかバカじゃないの?』

 

 良く見ると映画のゾンビみたいに、グロくないのと話が通じそうなので事情を説明した。

 

『へぇー、あのオッさんから逃げて、ガキを仲魔にしたって言うワケ? 食い意地張ったガキを仲魔にするなんて……アンタ!! チョー気に入ったワケ!!』

 

 俺の背中をバシバシ叩かないでよ。もう俺、身体弱いんだから。

 

『じゃあこのナオミがっ……アンタの名前は?』

 

 名乗るべきか一瞬、考えた。

 

「ふ、深町涼太です」

『いい名前ね、悪魔召喚プログラムについてレクチャーするけど、アンタ宝玉か魔石は持ってないの?』

 

 宝玉は知らないけど、魔石は餓鬼に貰ったこれの事だろうと思って1個ナオミに渡した。

 

『サンキュー!!悪魔召喚プログラムについてレクチャーするわよ』

 

 悪魔召喚プログラム。

 それは文字通り、悪魔を召喚するためのプログラムである。

 1986年、東京の吉祥寺に住む高校生『中島朱実』が開発した。彼はコンピュータープログラマー及び魔術師としての天賦の才に恵まれていたが、ある高位悪魔を召喚して大量の死傷者を出す事件を起こし、その後行方不明になる。後にスティーブンと名乗る人物が大幅に改良したプログラムをDDS-NETに流して今に至る。

 悪魔召喚の儀式は、祭壇の設置や生贄の手配、月齢の調整、精細な魔法陣の作成にと事前準備に手間がかかる。 召喚するには経験豊富な魔術知識と強靭な精神力が必要とされ、複雑かつ高度な手順を要求されるが、悪魔召喚プログラムは、コンピュータ上で儀式をシミュレートすることによって、迅速かつ手軽に召喚を可能としている。

 また、悪魔の言語を人間の言語に変換したり、 契約時に行うべき対価の支払いの自動化などの機能を有していて、魔術的な素養が乏しくても悪魔の召喚が行えるようになっている。

 特に言語変換は、交渉時に魔法陣や精神感応を使わずに済む為、悪魔からの精神汚染の危険を著しく下げると言われている。

 プログラムがインストールされているCOMPを扱う者は、デビルサマナー(悪魔召喚師)と呼ばれている。召喚した悪魔そのものを制御できるかどうかは、召喚者の力量(レベル)にかかっている為、それだけの力がない者が扱うのは大変危険である。

 

 テキスト見ながらのレクチャー乙です、ナオミさん。中世ファンタジー世界の召喚師が知ったら噴飯ものの超便利プログラムなんですね、非常によく分かりました。

 

『アタシってチョー物知りでしょ!! 次はCOMPについてだね』

 

 COMP。

 悪魔召喚プログラムを内蔵したコンピューターの事。初期は中島も所持していたノートパソコンで、中にはアームターミナル型、銃型、傘型、メリケンサック型、楽器型、聖書型などある。最近はスマートフォンか携帯ゲーム機型が主流になっている。機種によって大きな違いはあるが、主な機能として。

 01.拡張メモリー用スロット搭載            

 02.全周波数対応の衛星通信・傍受機能                    

 03.索敵・暗視モードシステム 

 04.マグネタイト・バッテリー・システム               

 05.オート・ナビゲーション・システム  

 06.エネミーソナー

 07.ステータス・チェッカー

 08.悪魔会話システム(DCS)

 09.悪魔識別システム(DAS)

 10.悪魔召喚プログラム(DDS)

『と言うわけで現代の悪魔召喚師は、ハイテク・デビルサマナーかも知れないけど、COMPがないとただの人になっちゃうから、絶対に壊したり無くしちゃだめなワケ』

「マッカとマグネタイトって言うのは何?」

 

 これが気になっていた。

 

『それ知らないと、悪魔達からバカにされるから覚えてね。魔貨(マッカ)とは魔界の宰相、ルキフゲ・ロフォカレ様が鋳造した悪魔通貨の事。世界の富の管理を、永遠に偉大なる『あの御方』より任されているメッチャ偉い悪魔なワケ』

 

 おいおい、なんか凄い名前が出てきたよ。

 

『マグネタイトは悪魔が人間界で、実体化するのに必要な生体エネルギーの事よ。通常、悪魔達は霊的な存在で肉体を持っていないの。当然、実体化するにはマグネタイトを消費するし、悪魔の位が高い程、高品質で莫大な量が必要なワケ。人間の身体に含れ、まれに多く持っている人は悪魔達の標的よ。サマナー達は契約した仲間の悪魔『仲魔』の為、マグネタイトを確保するのに苦労しているワケ』

「なるほど、もしマグネタイトが無くなったらどうなるの?」

『無いと悪魔を召喚できないし、実体化している最中だったら身体の維持が出来なくなって最後に消滅しちゃうワケ』

 

 それは大変だ。

 

「手に入れる方法は?」

『マッカに余裕があれば専門店で買うのがベストね。それ以外だと悪魔と交渉して分けてもらうか、倒して奪うしかないワケ』

 

 ナオミはニヤニヤ笑う。

 

『一番簡単なのは人間を殺して手に入れるワケ。マグネタイトは死亡と同時にその体から失われていく為、殺して食うよりも『生きたまま食らう』方が摂取量は多く、効率よく摂取する為、より多くのマグネタイトを含む存在、即ち人間を食うことになる。ダークサマナーなら当たり前にやっているワケ』

「そんな事したら殺人と死体遺棄で指名手配になるんじゃないか。それだけは絶対ダメだ!!」

『食べ残すとヤバイけど骨までマルカジリすればオッケーよ』

「それでもダメ!!」

 

 俺は悪鬼外道呼ばわりされたくないよ。

 

『涼太クンはまじめそうだから、マッカを貯めて買うか、他の悪魔と交渉して分けてもらうしかないわよ。ま、他の悪魔がどーなろうとアタシの知ったこっちゃないってワケ。はぁ、話すの疲れたぁ』

 

 これだけ話すゾンビは映画にもいないよ。これで顔色が良ければエロくて可愛いんだけどなぁ。

 

『とにかく話を聞いてくれてありがとうなワケ。他に分からない事があったらググッてちょうだい。アタシの話に付き合ってくれたお礼に、涼太クンの仲魔になってあ・げ・る』

「マジすか?」

 

 仲魔が増えるのは心強い。ナオミは妖しい笑みを浮かべた。

 

「アタシらダーク系悪魔は人間の言う事なんて聞く耳持たないからね。でも涼太クンは特別なワケ」

「ダーク系って? 悪魔は皆、そうじゃないの?」

「悪魔にも性格の属性があってライト・ニュートラル・ダークに分かれているけど、アタシら屍鬼や幽鬼のガキの他、外道、悪霊、怪異、邪龍、妖獣、妖樹、邪鬼、凶鳥がいるワケ」

「そんなにいるんだ。でも俺が特別って?」

「何ていうのか、親近感で胸がキュンとするワケ。それに死の匂いがするから食べる気にならないワケ」

 

 どういう事なんだろう? まさかあの影響とかあるのだろうか。

 

「アタシは屍鬼ボディコニアンの『ナオミ』。これから一緒に頑張ろうね!!」

 

 ナオミは光の粒子になって消えた。これで仲魔が2体目だ。

 

「なんて言うか俺の日常が……崩れていく………まだ夢を見ているようだ」

 

 さらに進むと前方に餓鬼が2体、背後に3体のボディコニアンが現れた。普通なら絶体絶命だが、今度は落ち着いて、茶髪でショートヘアの彼女に話しかける。

 

「へえぇ、あのナオミが人間の男と一緒だなんて、アンタやるわねぇ」

「でもこの子、チョーカワイイから羨ましいよ」

 

 取り囲まれて生きた心地がしない。

 

「3人で骨も残さず食べるつもりだったけど、ナオミの男だから見逃して上げようよ?」

「そーだね。この子、見た目と違って不味そうだし」

 

 話に参加出来ない餓鬼達は、俺達の周りをうろついている。彼女達から魔石を2個手に入れた。

 他の部屋に入れないかと、ドアノブに手を掛けるがロックされている。ゆっくり歩いていると十字路が見えてきた。右に曲がろうとしたら背後から肩を捕まれた。

 

「うひゃ!! 助けて!!」

「こらっ!! 動くなって言ったでしょ!!」

 

 振り向くとまどかさんが俺を睨んでいる。強行軍だったのか自慢のスーツはヨレヨレになっていた。

 

「君が動き回るから大変だったのよ。おまけに悪魔が徘徊しているから、地下3階まで降りて上がるのは疲れたわ」

「す、すみません」

「まぁ仕方ないわ。でも、丸腰なのに良く無事だったわね?」

 

 俺はここに連れて来られてからの事を話すと、まどかさんは驚いたような呆れた目で見てくれる。

 

「君って子はサマナーの素質があるわよ。屍鬼と幽鬼はひねくれていて会話じゃ仲魔にならないから、ビギナーズラックだとしても凄いわ」

「ははは……まどかさん達は何人で来たのですか?」

「私と竜也を合わせて10人よ、突入しようとしたら異界化して分断されたわ。入れたのは私と3人だけど1人は屍鬼の群れに襲われ、2人は山田に殺されたわ」

 

 苦々しい顔で壁を叩く。途端に明かりがついて眩しい、瞬間に暗視モードがオフなった。

 通路が明るくなって雰囲気が変わった。ホラー映画に出てくる地下研究施設の通路みたいだ。

 

「どうやら発電機が復旧したらしいですね?」

「ええ。ここの指揮官がダークサマナーの山田一郎とはね……あいつが、浦木さんを殺したのなら有り得るわ」

「そんなにあいつはヤバイですか?」

「サマナーとしては一流だけど性格に問題あってね、猜疑心の強い変態サディストで、殺し方が惨いのよ」

「うわっ」

 

 あの嫌らしそうな台詞を思い出して吐き気がした。

 

「どの道、あいつを倒さないとここから出られないわ」

「で、でも他に黒スーツの男達がいるのでは?」

 

 数ではこちらが不利だ。

 

「私が全て始末したから残っているのは山田だけよ。あいつは地下にあるサーバー室で、私達が来るのを待っている筈」

 

 あいつがここのラスボスか。まどかさんは懐から拳銃を取り出した。

 

「私の武器はこのグロック21と予備マガジン2つ、破魔札に各種類のアイテム」

「俺は魔石2個とCOMPだけです」

「COMPですって? 見せてくれないかしら?」

 

 まどかさんは羨ましそうに俺を見つめる。

 

「悪魔召喚プログラムを、一般人の君がよく手に入れたわねぇ。あら、これはサイバース社の最新型よ!! まさか!!」

「そのまさかです。当選したんですよ」

「君って本当に運がいいわねぇ。で、仲魔は屍鬼と幽鬼に悪霊ってこれじゃダークサマナーよ」

 

 話し合った結果、俺が会話で交渉して戦闘を回避するかアイテムを貰う。

 エレベーターは壊されていて動かない。幸い俺の仲魔にした以外の悪魔は、現れないので順調に地下3階にあるサーバー室前に辿り着いた。

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