変なのに愛されて悪夢しか見れない   作:蒼穹難民

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原作知識を持ってるのは主人公(前)だけじゃない!


裏の裏

ーー『人類軍・ファフナーブルグ』ーー

 

 

技術士官達は新型ファフナーの調整とブラジルでの大戦

《カムランの再戦》のデータを収集していた。

 

その中には竜宮島を脱島した元アルヴィス所属、ファフナー開発担当者

現人類軍技術開発者『日野洋治』の姿があった。

 

 

「信じられません、現段階で最新型のメガセリオン・モデルとベイバロン・モデルを

遥かに上回る数値です。これまでのファフナーの平均値を段違いに超えています。

これなら騎士王を降せたのも納得ができます」

 

「そうか、データを収集後はミツヒロに伝えてくれ。私は開発に戻る」

 

興奮冷め切らぬ技術士に反して、洋治の反応は冷たかった。

 

「このファフナー、確かネクスト・モデルでしたよね?これが量産できればフェストゥムなど、

恐れるにたりません。流石、新国連上席技官、ミツヒロ・バートランド氏だ」

 

「本当にそう思うかね?」

 

技術士が褒める発言に反応した洋治は険しい顔でネクスト・モデルを見上げる。

 

「残念ながらこの機体は大量生産が出来ない。汎用性が低く、出来ても数機が限界だろう」

 

「何故です?今の状況なら人類救済を理由に資源は集められる筈です。

パイロットは耐えられない者が多いでしょうが、それは尊い犠牲です。

量産する価値は十分にあります」

 

「したくても出来ないのだよ、この機体は」

 

洋治は技術士に顔を向けた、その顔はとても辛そうで何かを抑えている表情だった。

 

「この機体は致命的な欠陥品だ。確かにフェストゥムは倒せるが、問題が多過ぎる」

 

「問題…でありますか?」

 

技術士の疑問の声を洋治は答えた。

 

「まずこの機体は、フェンリルの気化燃料では無く、核を搭載している」

 

 

「なっ……!?」

 

 

技術士は驚愕に目を見開いた、それが確かなら自分達は既に被曝しているからだ。

 

「そして次にこの機体の操作は従来実現出来なかった脳神経の接続を可能にしている。

何故だかわかるかね?」

 

「…バートランド氏の過去に開発したティターン・モデルのニーベルング・システムの応用では…?」

 

洋治は刹那げに笑いながらその返答を否定した。

 

「全く違う、Allegory Manipulate System(アレゴリーマニュピレイトシステム)、通称AMSと呼ばれる生体機体制御機構。

脳に直接プラグを接続し脳から脊椎、延髄にかけての電気信号をファフナーに送り、

実機挙動のタイムラグをほぼゼロにするシステムだ」

 

「そんな馬鹿な!?人間がそんなモノを扱える筈が無いッ!第1パイロットは新国連事務総長、

へスター・ギャロップの御息女、レティシア・ギャロップ嬢なんですよ!?」

 

「その御息女がシナジェティックコード形成率が高いのは、

実は遺伝子操作によって人工授精で産み出された子供だとしたら?

AMSの適合者強化手術を施された生体CPUの養子だったとすれば?」

 

技術士はその恐ろしい真実に息を呑んだ。

 

「その結果として人工授精によるテロメアの低下、強化手術による肉体改造、

AMSの脳細胞の酷使、脳へ直接の放射能汚染、この様な機体のパイロットを、

どう用意すると言うのだ。命を愚弄するにも程がある。私はこの機体の()()だけは決して認めん」

 

日野洋治はネクスト・モデルを睨みながら見上げた。

 

(そしてこのAMS…開発したのは()()()()()()()())

 

ネクスト・モデルは本来複座式で、同調率の高い血縁者を乗せて動かす、

アキレス・システムだけを投入する筈だった。

 

アキレス・システムは竜宮島製プロトタイプファフナー機体開発コード「AGX」

エーギル・モデル『ゼロファフナー』に近い存在だが、ゼロファフナーはその大き過ぎる体型とジークフリードシステム一体型の極めて同化進行率と暴走の危険を持つファフナーである。

 

それに対してアキレス・システムは移動拠点にジークフリードシステムを配置、

更に複座式にしてパイロットを同調率の高い血縁者を乗せる事でパイロットの負担を減らし、

ノートゥング・モデルより長時間戦えるシステムだった。

 

しかし騎士王(ギネヴィア)侵攻により急遽量産体勢から戦略型短期決戦兵器に変更され、

同化進行より先に、システムそのものに殺されかねないファフナーになってしまった。

 

ミツヒロの兵器技術、ヒトラーのアキレス・システム、へスターの生体CPU

 

そして()()()()A()M()S()()()()()()()()

 

(まさに悪魔そのものだ。人は悪魔と契約せねば生き残れないと言いたいのか、ミツヒロ)

 

パイロットのレティシアの寿命は長くはないだろう。

テロメア低下の短命に加え、放射能汚染、脳の酷使で脳細胞は焼き切り、

強化手術での身体の限界、クロッシングでの同化進行、細かい問題を含めたetc…

 

(これでは道連れの為の機体、ミツヒロのフェストゥム滅亡理念とも違う。

一体誰がこの悪魔を産み出した)

 

彼はこの人類軍の裏にフェストゥムとは異なる、新たな敵を見捉えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーその日、彼は自身の開発中の機体が悪魔に破れる悪夢を見た。ーー

 

 

ーー…私一人では無理か…せめてミツヒロ、お前が力を貸してくれたら或いは…

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「これがケイトの言っていたイレギュラーの対策か…」

 

 

金髪の少年はモニターでネクスト・モデルと騎士王の戦闘を視聴していた。

 

ーーケイトの計画では既にヒトラーはLボートに到着、竜宮島「API-1」に接触する筈だった…

 

(しかしヒトラーは痕跡は見つけたがLボートを発見出来なかった)

 

当初の計画が狂い、金髪の少年は懸念していた。

 

ーー…このままでは死んで逝った人達の犠牲が無駄になる…!

 

 

少年は普通の人間ではなかった。

 

 

少年は人類軍が竜宮島以外のアルヴィス、

第三アルヴィスの海神島アトランティスの住民を皆殺しにし、

島のコアの少年「アトランティスミール」を偽の記憶で傀儡化する人造人間

「パペット」を製造する『プロメテウスの岩戸』から

ミツヒロ・バートランドの子という設定で製造される()()()()

 

まだ名称はされていないが、ケイトがとあるフェストゥムに

自身のコアの欠片を与えフェストゥムを成長させ、

本来完成していないプロメテウスの岩戸の完成を早めたのだ。

 

そして造られた少年をフェストゥムから独立させ、ケイトの知識を少年に与えた。

 

人類軍に駒として戦場に送られ、フェストゥムからはグレゴリ型に操られる体験を

 

少年はその知識に錯乱し、自分を見失った。

 

 

ーー俺は……俺は誰なんだあぁぁ!!?

 

 

 

ーーアハハ☆キミ、自分が誰なのか()()()の?

 

 

ーーならさー、名前をあげるから私とトモダチになってよ♪

 

 

ーーそうだねー…キミの名前は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイ・ザ・バレルなんてどうかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョナサン・ミツヒロ・バートランドとして造られる予定だった少年は、

自分の名前と、自分自身を手に入れた。

 

 

 

世界の犠牲を減らす、トモダチのお願いを約束して。

 

 

 

(俺は憎しみに囚われたりなんかしない…!あれは唯の予測だ!)

 

 

レイは、自身が憎しみに囚われ、人類軍とフェストゥム両方の傀儡にされ、

罪の無い人々と戦って死んだ体験を、幻の予測であると否定した。

 

 

名前の元になった、『レイ・ザ・バレル』も人間のエゴによって産み出され、

傀儡としての生涯を送った事に気づかぬまま、ケイトに従うトモダチになった。

 

 

 

(俺はレイ・ザ・バレルだ…!ジョナサン・ミツヒロ・バートランドじゃない!

俺は…俺は人形でも、道具なんかでもない!!)

 

 

人々を救う、それが自分の意思だとすり替えて。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーその日、彼は死ぬ前に家族と共に過ごす、自分に似た少年の夢を見た。ーー

 

 

ーーそうさ、俺にだって家族が作れる…トモダチだっている

 

 

 

 

だからニセモノなんかじゃない

 

 

 

「虚飾」で塗り潰さなければ、自分が潰れてしまう…

 

 

 

レイは自分自身の心を騙し続けた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「気に入らないなぁ…抑止力の権化である私を出し抜くなんて」

 

 

 

「何処の誰かな?世界に刃向かうなんて莫迦な事をするのは」

 

 

 

「おかげでへスターちゃんにも出し抜かれちゃったじゃないか…」

 

 

 

「ムカツクなぁ…会ってみたいなぁ…どんな絶望顔を見せてくれるんだろ☆」

 

 

 

「この私をコケにしたオシオキ…たっっっぷりしてあげるカラネッ!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーその日、彼女はSMプレイに勤しむ淫夢を見た。ーーーーー

 

 

 

ーーーーーヒャッハー!でもリョナは勘弁ネッ!ーーーーー

 

 

 

 

 

 




世紀末世界の汚染(敵味方問わず)するやべーやつ

ジョナサン・ミツヒロ・バートランド?
そんな子…ウチには(もう)いないよ…
前は居たが、今はもういないっ!

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