野獣「狩りごっこだね!負けないんだから!」
「「「たべないでくださーい!?」」」
「たべるよ!!」
「いいか総士、出来ればでいいから無理はするな」
『探知機で探すのは先輩達です、僕は統計して予測位置を計測するだけなので問題ありません」
「そういう問題じゃない、少しは自分を労われ」
『……はぁ、支障の無い範囲でやっているつもりですが…』
(ダメだ、この天然鈍感ガンコモノめ…)
『みんなー、こっちには二つあったわ』
『こっちにも一つありました』
『よし、引き続き探索を行ってくれ』
『『「了解」』』
俺達は海上に流出してるであろう、人類軍スパイが流した情報入りのカプセルを回収していた。
本来なら工作員だけの作業なのだが、
漁船を模した探索船と空中に飛ばしてある偵察機と共同で効率よく探している。
地形から流れる海流を解析して、予測位置を総士が割り出して見つけたカプセルを
ファフナーが回収、探索船に渡し、工作班が中身を調べる段取りになっている。
かれこれ2時間ほど行って10個ほどカプセルを回収した。
回収は順調に進んでいるが、俺達の成果は著しいものではなかった…
『あー…こちら工作班!回収したカプセルの解析結果が出た』
「溝口さん、どうでしたか?」
工作班の溝口さんから通信が来た、通常回線だとフェストゥムを呼び込む危険があるから、
ジークフリードシステムを介しての連絡通信だが。
溝口さんは歯切れの悪そうに溜めてから連絡が来た、俺の予想だとおそらく…
『残念だが
ああ…やっぱり…
『えぇー?またハズレですかー…』
『もう13個も見つけたのに全部ハズレだなんて…』
『気を抜くな、カプセルが見つかるだけでも僥倖だ』
『そうそう、俺達じゃ2、3個見つけるのが限度だもんねー』
「それでも全部ハズレだなんて気分が萎えますよ…」
溝口さんの機嫌の良さそうな声とは裏腹に俺達の気分はだだ下がりだった…
『しょうがねぇだろ、まっ、こっちもたまにトラップがあったり、
そんなに気分はいいもんじゃないけどなっ』
『全然そうに聞こえませんよー…僚先輩?昨日首輪を渡しそびれたので後で着けてくれません?』
「断固として断るっ!」
昨日の帰りの際、説教してやろうとしたら首輪を振りながら来たので全力で逃げた。
総士に伝えるよう言っておいたから総士には貧乏クジを引かせちまったな…
『えー、せっかく持ってきたのに…あっ!じゃあ祐未先輩が着けて下さい!』
『自分で着ければいいんじゃない?』
祐未は冷たく返し、果林の対応に慣れてきている。
『 いいですねそれ!ご主人様としてリードを持って下さい!将陵家のペットとして!』
『もういやぁっ!?』
『俺は何も聞いちゃいない…俺は何も聞いちゃいない…』
「溝口さん、後で調査データとして動画送りますね」
『ああ無情…、お前さん逞しくなったなぁ…』
『不甲斐ない姉ですがどうかよろしくお願いします』
『総士くん!?気持ちはわかるけどお義姉さんを押し付けないで!』
『祐未センパーイ♪私お利口ですよー?頭撫でてくださーい!』
「総士、後で胃薬を選ぶのを手伝ってくれ…」
『愛用しているおすすめがあります、父も使っているので効能は保証しますよ』
親子で胃薬を愛用してるだなんて…もう少しこいつに優しくしてやろう。
『あれ?祐未先輩、合流付近に大きなカプセルがありました』
『えっ?あっ!ほんとだ!スゴイよ果林さん!』
『えへへ…!』
果林と祐未の方に大きなカプセルが見つかった、それにしても大きいな…
「総士、そちらからでも見えるな?」
『はい、ですがあの大きさは怪しすぎます』
『おい、こっちにも映像を移してくれねぇか?嫌な予感がする…』
『きっと本命のデータですよー!さっそく回収しますね!』
『手伝うよ、ちょっと大きいもん』
マークツヴァイとマークエアストが近づこうとして、
溝口さんから焦りを含んだ悲鳴のような叫びが響いた。
『二人とも離れろ!!そいつはデータカプセルじゃない!!』
「溝口さん!?っ!?離れろ祐未!果林!!」
『二人とも急げ!!すぐにその場を離れるんだ!!』
溝口さんの大声で俺達は罠だと察した、ひょっとしてあの大きさはもしかして…!
『ほえっ?みんなどうしたの…?』
『はっ…!?蔵前さん逃げて!!』
『そいつは多分フェンリルだ!!早く離れろ!!』
溝口さんがカプセルから離れるように言ったそばからカプセルが発光し始めた!
エアストは逃げられるがこのままじゃ果林が…っ!!
『マークエアストのリミッターを解除!祐未先輩!』
『間に合って!?』ヒュンッ!!
祐未がレージングカッターのワイヤーをマークツヴァイに巻きつけ急速離脱する。
頼む…!間に合ってくれ!!
『そっ!?そんなっ!?』キイイイィィィン!!
『きゃああああああああアァァァァァッッッ!!』
果林が爆発に巻き込まれ、爆音が遅れて海中に響いた。
『果林さん!?果林さん!!ねぇ果林!!応答して!!返事してよ!!ねえ果林!!』
「総士!!マークツヴァイの状況を確認しろっ!!」
『3秒待って下さい!!………無事です!!ですがマークツヴァイは大破!!
聞こえるか蔵前!!』
『救護班を用意する!!持ち堪えてくれ!!』
『ダメです!!意識不明の重体!!浸水も始まっています!急いで!!』
「祐未!余波を受けたその機体じゃ間に合わない!!俺と変われ!!」
『お願い僚!果林を助けて……!!』
エアストからワイヤーを手繰り寄せ、マークツヴァイを抱き上げる。
俺は推進部を同化させ、ヌルの最高速度を上昇させて果林を運んだ。
(ここまでするのか人類軍!!貴様らだけは絶対に赦さん!!)
人類軍に対し憤り、
犯人の予想を立てていたがふと俺は違和感を感じた。
…合流位置…フェンリル…ッ!まさか…!?
「総士!!聞こえるか!!不味い事になった!!」
『僚先輩!どうしたんですか!?』
ここまで狡猾な相手だったなんて…!?
「これはファフナーとパイロットだけの罠じゃない!事故としてアルヴィスを陥れるつもりだ!!」
『…!?だからフェンリルか!!』
「それだけじゃない!偽装鏡面も剥がれてる!数日もしないうちにフェストゥムが来る!人類軍もだ!!」
『なんだと!?』
ファフナーの燃料は液体燃料、フェンリルが爆破すれば事故に見られる筈だ!
更にフェンリルの衝撃波で偽装鏡面が剥がれた…!あの爆発でフェストゥムが気づかないはずがない!
それにもしデータカプセルが流出しているのなら人類軍までやって来る!!
ここまでしてやられるなんて…!!
「急いで幹部を集会させろ!!アルヴィスが内部から崩されるぞ!クロッシングを解け!!」
『わかりました!先輩もお早く!!』
くっ…!クロッシングを解いたから同化が…!…それでも!!
「死ぬな果林!一度ぐらいなら首輪ぐらい着けてやる!!だから死ぬな!!」
『…うっ…(─ザッ ザ)りょー…(ザッ )せん、ぱい…(ジジッ)…』
死なせない…!!必ず助ける!!
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ーー『竜宮島・海岸某所』ーー
「あーはっははは!あーはっはっはっ!!ザマァないわねー!!」
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ーー『アルヴィス・第1CDC.パーシバルルーム』ーー
「ハーブローク電子偵察機を出せ!偽装鏡面の修復はまだか!!」
「ですが司令!偵察機は発見される恐れが…」
「あの爆発で既に気づかれている!急ぎこの海域を離れる!アルヴィス航行準備急げ!」
「了解!全スタッフに通達、アルヴィス航行準備!」
「航行警報発令!市民への通達を開始!」
「父さん!」「総士!?なぜここにいる!」
「人類軍の罠だ!恐らくデータカプセルは流出された、もう一つの狙いはアルヴィスの内部崩壊だ!」
「…!?クソっ、ファフナー回収急げ!幹部を収集させろ!緊急事態だ!!」
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ーー『竜宮島・海域付近』ーー
「閣下!レーダーに反応!目視可能範囲にアンノウン発見!」
「モニターに回せ!我等の希望の光かも知れん!」
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ーー『日本海域上空』ーー
『おい…あの爆発は…』
『API-1…!実在したのか…!』
『17区域探索機、ヤングスター2より新国連本部!
ヤングスター2はAPI-1のものと思われる爆発を確認!
ヤングスター2はAPI-1のものと思われる爆発を確認!』
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僕たちは気づかなかった…
この平穏はいつまで続くだろうと…
人の悪意は、この美しいものを壊すはずがないと
人の心の脆さに、僕たちは気づくことなど、できなかった。
知りたくない事を、僕たちは知った。
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巡る運命、逃げられない運命。
俺たちは運命を変える事ができないのか?
迫りくる者たち、誰が敵で、誰が味方なのか。
ただ俺たちは今を抗うしかない。
あなたはそこにいますか?
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「真由は、もう平和の中ですごせないな」
((あなたはどうしたいの?))
「守るよ、ボクの全てで真由を、真由の叔父さんを奪った罪滅ぼしに」
((それは本当に真由のため?それとも自分のため?))
「キミは本当に癪に触るね…どっちもだよ、ボクは真由が欲しい」
((素直になればいいのに))
「ボクみたいなバケモノが、真由を好きになっちゃいけないんだよ」
((…ううん、そんな事言わないで))
──そんな、悲しい顔をしているのに、好きになっちゃいけないなんて──
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ーーそのひ、わたしはだれかがてまねきしているゆめをみました。ーー
だれかが…わたしをよんでる…
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次回、原作開始