変なのに愛されて悪夢しか見れない   作:蒼穹難民

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BGM『艦隊戦』zガンダム,ver
からの『マークザイン』


さんじゅういちにちめっ!なかっ!

 

『警報発令。島民、シェルターへ退避。全島に、警報発令。島民、シェルターへ退避』

 

 

『全島に、シグナルレッド』

 

 

(どうやら、避難してはいないようね)

 

 

アルヴィスの全島民避難施設、地下シェルター通路で女は思案していた。

 

 

(死ぬなら死ぬで都合がいいわ。島の奴等に幸福など無用だもの)

 

 

女は避難誘導の担当であったが、外に出るのは自殺行為。

助けるつもりなど欠片も頭にはなかった。

 

 

(この未避難者のリストに私に有益な人物はいない。

いっそのこと、全部死んでしまいなさいな)

 

 

女はほくそ笑みながら、司令補佐に戻りにCDCに向かう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー『第1CDC:パーシバル・ルーム 』ーー

 

 

 

「全システム接続確認、防衛機構連動、動作確認」

「南西海上より生体振動波確認。送ります」

「目標、質量増大中」

 

 

竜宮島では初となる戦闘ではあるが、日々の訓練の練度と、

過去、L計画のテンプレートを元に、職員は迅速に対処できた。

 

 

「スフィンクス型か……」

「ソロモンは!?」

 

 

「システムは起動しています。ですがソロモンの予言、依然としてありません」

「実体がなければやはり反応しないか…」

 

 

ソロモンにはフェストゥム感知機能『ソロモンの予言』があるが、

実体がない今の状態のフェストゥムに、ソロモンは反応しなかった。

 

 

「質量を測定により索敵。レッドアラート発令。第3種戦闘配置!」

「総員、第3種戦闘配置!」

「ヴェルシールド展開準備。擬装鏡面、解除します!」

 

 

島の防衛に、偽装鏡面は見つかった今では、もはやフェストゥムには通用しない。

偽装鏡面を解き、物理防御に適したヴェルシールドを展開させて、襲撃に備え始める。

 

 

『司令!ファフナーの発進準備出来ています。

ブルギルム隊の先制からファフナーの波状攻撃を仕掛けます』

『起動力が高いエアストは待機、島の防衛につきます』

 

 

 

「了解した、ブルギルム隊、並びにファフナー発進!向島、自立迎撃システム用意!」

 

 

 

「擬装鏡面解除終了。第1ヴェルシールド展開!

第2ヴェルシールド展開まで170秒!」

「島民の避難は、完了したのか!?」

 

 

「現在、99.8%が所在確認済み…そんな!?」

「何があった!」

 

 

「避難者の中に、将陵 真由の所在が確認出来ません!」

「なんだとっ!?」

 

 

避難者リストには避難できていない人間が表示され、

殆どの住民は各集会で付近のアルヴィス出入り口から避難しており、

避難者リストに表示されている人物はごく少数に留められていた。

 

その中で、避難に遅れた一人暮らしの老人や、怪我人や病人など、

まだ地下シェルターに避難しきれていない者もいるが、時間の問題だろう。

彼らの自宅に職員が向かい、遅れてすぐに保護され、避難できるだろう。

 

 

行方の予想ができない、非常時のため職員が誘導に向かえない(行かない)

 

()()()()()()()()()()()

 

 

この知らせに出撃待機していたラハムは怒りをあらわにし、

未だ辞任前であるアルヴィス司令、皆城公蔵に非難の怒号をあげた。

 

『話が違うじゃないかっ!?真由はっ、真由はどこっ!?

アルヴィスが、責任を持って保護すると言ったじゃないかっ!?』

 

 

ラハムがここまで狼狽えるのも当然だろう。

ラハムは今までの実験、アルヴィスのコアとの不本意ながらの対話、

竜宮島に多く貢献してきた仕打ちが、これなのだから(真由の行方不明)

 

 

「悪いが、今は問答している余裕はない。迎撃体勢に入れラハム」

 

 

『っ!!この役立たずの無能が!!

約束を反した今!ボクが貴様に従う、義理も道理もないんだぞっ!?」

 

 

「だがここで島がやられたら、どの道、将陵 真由に居場所はない」

『クソがぁっ!!貴様ッ!ただで済むと思うなよォッ!!塵芥風情がァァ!!!』

 

 

(アルヴィスの総司令が、なんというザマだ。やはり私ではこの程度か…)

 

公蔵は未然に対処できなかった事態の多さに、自身の能力の限界に悔恨の念を抱いた。

 

 

 

((ラハム!!聞こえるか!?))

((僚!?))

 

 

僚は読心できないラハムに外部通信ケーブルをつないで同化させ、

クロッシングでの会話を試みた。

 

 

((出撃と同時に真由を捜しに行け!!予知通りならフェストゥムは一体だ。

俺一人で十分対処が出来る!倒してしまうかも知れんが真由がいなくなるより断然マシだ!!))

((私も沿岸付近を捜すわ!警戒を理由にエアストに付いて来て!!))

((…ぅっ!!やっぱりキミたちはあんな奴らとは違うよぉ!!))

 

 

『司令、ラハムも出撃させてください。何が起こるかわかりません』

 

「……ラハムは島上空にて待機、警戒にあたらせろ」

『司令……!!』

 

(これで最後なら、これぐらいの戯れはいいだろう)

 

 

公蔵はラハムへの感謝をしていない訳ではなかった。

真由を捜し出せるように、ラハムに島上空から警戒させる事にしたのだ。

 

 

「目標、第1ヴェルシールドに接触!」

「出力低下!突破されます!」

「ヴァッフェ・ラーデン、起動!総士はジークフリード・システム搭乗に入れ!」

 

「わかりました!ジークフリード・システム、入ります!」

「ヴァッフェ・ラーデンに移行完了!」

「目標は依然進攻中」

「目標、視認可能領域に入りました。モニターに映します!」

 

 

モニターの映像には晴天にもかかわらず、雷雲を含んだ嵐が巻き起こっている。

 

 

「こっ…これがフェストゥム……?」

「ラハムとは全然違う…」

 

 

「いいやっ!!こんなモノではないっ!」

 

 

 

「単体密度 2.33、原子量 28.0855、陰性度 1.8質量……えぇっ!?

数値が大幅に上昇!質量、多数計測!フェストゥム、実体化します!!」

 

 

『バカな…!?』

『うそ…こんなに……!?』

『っ!?なんて数…!数えるのがバカバカしいくらいだ…!!』

 

 

 

 

嵐から次々と黄金の球体が発生、そこから小型のフェストゥムが現れ、

ワームスフィアが嵐の中心で全てを呑み込み

上半身が人型の光輪を背負い、二対四枚の翼と尾羽、

尻尾のような触手を持つフェストゥムが三体と、

L計画のデータにもあった翼が同じく二対四枚、しかし腕の指が三本で、

胴体がない触手を複数持つフェストゥムが一体がいた。

 

 

それらを合わせ嵐の中から小型を含む、1000以上のフェストゥムが姿を現した─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─その黄金の輝きが、空に広がる姿は、まるで世界の祝福するかの如く─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「いそがなきゃ…!!みんないなくなっちゃう……!!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「群体だと!?」

 

 

「綺麗……」

「なんて美しさ…!まるで天使みたい……」

 

 

史彦が驚き、公蔵が冷や汗を流す中、

CDC職員全員が、その美しさに目を囚われていた。

 

それほどまでに彼等(フェストゥム)の姿は目が離せぬ程、美しかった。

 

 

「美しいものが、人類の味方とは限らないものだ。

…まるでこの世全ての悪を体現したかのような、醜いラハムが我々の味方のように……」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

(見誤っていた…!この世界に異常があるなら、こんな事は予想出来ただろうに!)

 

 

──いや…予想出来ても対処なんぞ仲間(L計画参加者)以外、聞いちゃくれないか…

 

 

ましてやこの数と最近の事件、俺が考えている方法は出来ないだろう。

くだらない、もしもの妄想(IF)を頭から振り払い、俺は作戦を提示した。

 

 

「総士!祐未!俺に考えがある」

『…っ何ですか』

『私も、少しだけど』

 

 

さすがの総士もこの数には呆然としていたが、すぐに切り替えて俺に返事を返した。

 

 

「最近の事件で思いついた。ブルギルム隊を撤退させフェンリルを搭載、

第1、第2ヴェルシールドの間にこれを投下、向島から制圧攻撃を仕掛ける。

第2ヴェルシールドにブルギルム隊が撤退したら俺達も撤退する。

ブルギルム隊がフェンリルを投下するまで、大型のフェストゥムは俺が足止めする。

あのタイプなら海中に引きずり込めば、ある程度弱体化する。問題ない。

牽制に祐未が上空にいる奴らに攻撃、ラハムはブルギルム隊の援護にあたってくれ』

『私からは海中に魚雷を爆破、フェストゥムに海水を浴びせて弱体化、

小型フェストゥムなら足止めは出来る筈、それに高速で動いてる相手ならダメージも狙える』

 

『(なっ!?これがL計画を生き残ったエース達…!)了解、すぐに伝えます!!』

「頼む!」

 

 

『僚!すぐにそっちに向かう!』

「俺でも4体を同時に相手をするのは無理だ、

祐未が来るまでゲーグナーで牽制しながら対処する。

なるべく早く来てくれないと全部倒しちまうぞ?祐未」

『そっちこそ、やられて情けないカッコ、見せないでよね?プク僚』

「プク僚って何だ、別々で呼べ、別々で」(ワンワンッ!)

 

俺の中のプクも別々にしろと抗議してるぞ。

 

 

軽口を交わして、俺はフェストゥムに攻撃を始めた。

 

 

 

『しかし僚先輩、いくら貴方といえど、

この数のフェストゥムを相手出来るのですか?』

 

 

「なぁに、俺にはこいつらを引きつける策がある」

『引きつける…?それって!?』

 

 

総士は気付いて青ざめたが、死ぬつもりは毛頭ない。

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは、そこにいますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺ならここにいるぞ!!来いっ!!」

 

 

 

 

 

『なんてことを…!?』

 

 

「心配するな、機動力ならこっちが上だ」

『誰か、この規格外に常識を教えてやってくれ…!?』

 

 

 

 

──…流石に今のは言い過ぎだぞ、総士…

 

 

 

俺は無性に泣きたくなった…キュゥーン…

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「閣下!アルヴィスを補足!形状から日本第1アルヴィス、『竜宮島』と思われます!

現在多数のフェストゥムと交戦中!至急、援護に向かうべきと進言します!」

 

 

「やむを得ん!搭載してある貨物コンテナを降ろせ!!少しでも軽くするのだ!

機関全速!目標、日本第1アルヴィス『竜宮島』!!これ以上、人類軍に遅れをとるな!」

 

 

「コンテナ射出!機関全速!目標、日本第1アルヴィス『竜宮島』!!」

「全エンジン出力最大!全ブースター、開放!!セーフティ解除!!」

「乗組員は対ショック姿勢を取れ!各員、衝撃に備えよ!!」

 

 

(頼む…!間に合ってくれ!!)

 

 

他のアルヴィスは殆どが人類軍、フェストゥムに壊滅されていた…

だが、あれは間違いなく日本製のノートゥング・モデルのファフナー…!!

 

 

「ホーク・トルーペン、発進準備!隊長機はVOBを換装させろ!先に救援に向かえ!

絶対にアルヴィスを守りきれ!自分の命も落とすな!落とすのは(フェストゥム)だけだ!!」

 

 

「「「Jawohl Herr Führer!!(了解、我等の指導者よ)!!」」」

 

 

私は諦めんぞ、人類の栄華を、ユートピア(楽園)をこの手で実現させるまで…!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あぁぁっ!?もうキリが無い!!フェンリルはもう載せたの!?」

『今ので最後だ、これより投下に移行する。援護してくれ!』

「最初からやってるでしょ!?」

 

 

ボクはスコーピオンとガルム44を使って戦闘機達を援護していた。

 

本音を言えばレールガンのような威力の高い武器が使いたかったが、

あれはファフナー専用でファフナーから電力を供給するそうで、

仕方なく連射性が高い牽制に適している、この武器を使わざるを得なかった。

 

 

「祐未がフェストゥムを倒して作った道があるけど、もう閉じかけてる!

帰り道が無くなる前にチャチャッと落として来てよ!」

『無茶を言うな!?下手に全速を出したらフェストゥムにぶつかる!!』

「出来なかったらどっち道死んじゃうでしょ!武装積んでるんだから君達も撃つ!!

泣き言を喚いてる暇があるなら、少しでも敵を落として道を作るんだ!!」

『わっ、わかった!!』

 

 

僚と祐未が半分以上引きつけて、ボク達の方には五分の一くらいだけど、

それでも200近くも来てる…!ボクは僚達のような化け物じゃないんだぞ!!

ああもう、僚達の才能と力が羨ましい…妬ましい…!!

 

 

ガシィッ!『ぐわぁ!?助けてくれ!取り付かれた!』

「ぬがぁっ!?世話の焼ける!!」

 

 

少しでも目を離したらこれだよ!!

 

 

 

ポイッ!「ふんっ!」『ありがとう!助かった!!』

 

 

こんな時じゃないと本音でお礼が言えないのかい!

 

 

『ラハム避けろ!!敵が掴んだミサイルがお前に投げてるぞ!!』

「畜生!撃っても撃たなくても面倒が増えるのか!!」

 

 

敵はまだ信管に火が着いたミサイルをこっちに投げてくる。

だからボクは自分より早いモノを簡単に避ける化け物じゃないと(略

 

 

『全部落として来たぞ!後はこの空域を離脱するだけだ!』

「待ってたよよよーー!!」

 

 

護衛している内にフェンリル投下の報せがきた。

多分ボクは何時間も戦闘した気分だけど、一時間も経っていないだろう。

 

 

一機の戦闘機(『ケストレル』だったっけ?)が合図の信号弾をあげて、

後はボク達は一瞬だけ穴を開けた、安全なヴェルシールド内に入って撤退するだけだ。

 

 

「これだけ離れてればフェストゥムも下手に寄って来ないね、

今のうちに入って入って!!」

『お前も早く来いよ!終わったら、食えるか知らんが晩飯食わせてやる!』

「そりゃどーも!ボクもモノが食べれるか試した事ないんだ!」

 

 

 

ん…?確か今の流れって………あ"っ"

 

 

 

「避けろよーーーー!!」ボグォォッ!!

『ラハム!?』

 

 

 

 

フラグを盛大におっ立てた戦闘機の後ろから、

敵が掴んで投げたミサイルを、ボクは庇った。

 

 

「(防壁が張れないから痛い…)だめっ…おちる………」

 

『ラハムーーーーーーーー!!』

 

 

 

戦闘機のパイロットの声も聞こえない……

 

 

 

 

 

ボクの意識が…だんだん遠のいていく…

 

ははは…眠いと自分の事が他人事みたいに思えるってほんとだったんだ…

 

 

 

 

 

ちょっと………だけ………………い…い…よ……ね………………

 

 

 

 

 

 

 

 




フェストゥム「ここにいるっていうから…」

1話終わってないのに凄いつらい…
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