ショタ「私、復活!!」
赤いの「「アルヴィスよ、私達は帰ってきたああぁぁ!!」」
ーー『将陵家』ーー
「先輩!これはどういう事ですか!?」
「落ち着け真由!!」
「そうよ、話すから先ずは落ち着いて」
少しずつ暑くなってくる朝の昼前。
私は朝起きてから、アルヴィスのメディカルルームに呼ばれ身体検査を受けて、
専門医の千鶴さんのある一言から、先輩達に問い質さなければならない事があった。
「なんでですか!?なんでこんな…」
私と先輩達は間にテーブルを挟み、テーブルの上には一枚の書類があった。
私は今朝の森田先生と千鶴先生の会話を思い出す。
ーー真由くん、身体のどこかに不調はないかい?
ーー大丈夫です森田さん、ご心配おかけしました。
ーーそうかい、それならいいんだが…
ーー森田先生、将陵真由くんの身体結果について…あっ!?
私はこの二人の会話から、ある重大な事に気がついてしまったのだ。
その事実に気がついた私は、
島中を走り回ったり、先輩達に内緒でこっそり家の中を探索した。
そして圧倒的な証拠を握り、私のただならぬ剣幕に気がついたのか。
それに気づいた僚先輩と祐未先輩は、明らかに動揺して慌てふためいていた。
誤魔化すように二人からは今の私を、
落ち着かせてからうやむやにしようという魂胆が見え見えだった。
先輩達、隠そうとしても無駄ですよ………!!
「コレですよ、コレ!!一体全体どういう事ですか!?」
「おっ、落ち着け!?これには深い訳がっ…て、えっ?」
「へっ?これって…」
その書類にはこう書かれていた。
住民票:氏名・将陵真由
将陵真由……………
『
「なにさらっと人の名字変えてるんですかあぁぁーー!?」
私は住民票の写しを先輩達に突きつけた!!
「なんだそのことか…」
「もうっ、驚かせないでよ」
「なんだってなんですか!?こんなの驚くに決まってるじゃないですか!!」
あれっ!?なんで二人とも落ち着いてるの!?
「真由、声のボリュームを落とせ、話してやるから」
「ご近所に迷惑でしょ?まったく、そそっかしいんだから」
「ご、ごめんなさい?」
「「よろしい」」
あれ?なんで私が悪いみたいになってるの?
「先ず第一にだ、竜宮島は外部から子供を引き取る里子システムがある」
「ミールからの受胎能力を奪われた私達は、
人工子宮で子供を産むしかなかったから、この制度ができたの」
「だけど里子システムというように一定期間なんだ。
非常時、この場合はアルヴィスの存在に気づくかフェストゥムの襲撃が起こった場合、
戦力を整えるためアルヴィスで赤紙、適正通知が来た子供はアルヴィスで働く義務がある」
「以前はメモリージングという記憶処理が島の子供達に施されていて、
アルヴィスの存在に気づいた一定以上の年齢を超えた子供達もアルヴィスで働いていたのよ」
「そ、そうなんだ…」
就職場所が決まってるってなんかいいかも…
でも、仕事が選べないっていうのもなんか嫌だなぁ…
「ん?ああ、別にアルヴィスだけで働く訳じゃない。
第二種任務といって、自分の好きな職業に就くこともできる。
こういっちゃなんだが今の司令の器屋とか、食っていけるとは思えないからな」
「言うなれば世間体への合わせね。アルヴィスを知らない子供から見れば、
その人は無職にしか見えないもの。工作員の溝口さんとかそう見えちゃうでしょ?」
「た、たしかに…そう言われてみると、
昼間から何もないのに町を練り歩いている人が結構いました…」
「ああ…そりゃ新国連のスパイと、
それを見張ってたアルヴィスの工作員だ…」
「子供達から見ればそうなのよね…
連鎖的にそうなっちゃうから、アルヴィスの工作員の人達は不憫ね」
「もう少し、溝口さんに優しくします…」
「そうだな…」「そうね…」
どこかの喫茶店で、溝口さんのくしゃみが聞こえた気がした。
「話しを戻すぞ、人工子宮を担っている、
アルベリヒド機関がその子供達を管理している訳だが、
そうじゃない自然受胎したミールに汚染されなかった人もいる」
「ほら、遺伝子操作は受けているけど一騎くんとか、
生徒会長をしている近藤剣司くんとか、彼らは自然受胎で産まれたの」
「へぇー…」
「例外として親を亡くした入院中の蔵前とか、
司令補佐の狩谷さんとかはアルヴィスやアルベリヒド機関で育ったらしいけどな」
「真由の場合は前代未聞だったし、幼い真由を預ける訳にもいかないし、
ちょうど真由の携帯から真由のお兄さんの写真があったから、
違和感のない私達の養子にしたの。本当は未成年の私達でも厳しかったけど、
婚約して受胎能力のある私達は、前の作戦の恩赦から真由を引き取る権利を得たの」
「色々とご迷惑をおかけしてすいません…」
「気にするな、家族なんだから」
「そうだよ、私達の弟なんだもん」
なんだこれ…すごい恥ずかしい…
あれ?ちょっと待って!!
「祐未先輩!今写真って言いませんでしたか!?」
「えっ?言ったけど…」
「いやぁぁーーっ!!?殺してぇーー!!
誰かっ!?誰か私を殺してええぇぇぇ!!?」
あの黒歴史の塊がががが!?
「ああ、写真なら既にバックアップ済みだ」
「真由はパンダが好きだったのね、知らなかったわ」
「いっそのこと一思いに殺してーー!?」
「ところで真由、その住民票の写し、どこから持ってきた?」
「ギクッ!!?」
「いけない子だなぁ…真由は…」ジリッ
「オシオキが必要みたいね…」ジリッ…ジリッ…
ドサッ!「ああああ…あわ…あわわわわわ…(ガクガクブルブル」
そ、そんな事だとは知らなかったんです…お願い許して…!!
「許してって顔をしてるな、じゃあオシオキだ」ヒョイ
「悪い事ってわかってるんだし、ちゃんとオシオキを受けて許してもらわないとね?」
椅子から転げ落ち、部屋の隅で怯えていた私を、
僚先輩は小脇に抱えて祐未先輩はどこかへ電話している。
「もしもし、立上さん?以前お願いしていた
えっ!?もうできてる?いえ、送っていただかなくても結構です。
ちょうど服を買いに行こうとしていたので、そちらに向かわせていただきますね」
「りょ、僚先輩…祐未先輩はなにを…」
「ふむ、パーカーでも買おうと思ったが…以前頼んでいた
もうできてるみたいだな。なに、写真と同じ服を買ってやろうってだけだ」
私は全身の血の気を引いたのを実感した…
あの写真の中にはパーカーを着ている他に、オムツ姿や、
妹に無理矢理女子のブレザーを着せられた女装写真もあったからだ…
「さすがにそこまではしないさ。だが、パーカーは受けてもらう」
「僚ー、半ズボンもあるって、早速行きましょう」
「誰かーー!?助けてーーーー!!?」
「抵抗するなら、お前の夕飯は全部肉になるぞ?」
「栄養が偏るけど…オシオキを受けないなら仕方ないね」
私は抵抗を止め、なされるがまま運ばれて行った……
ドーナー…ドーナー…
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「あぶなかった…危うくボロを出すところだった」
今真由はオシオキとして、服屋で着せ替え人形になっている。
最初は俺も着せていたんだが、いかんせん女性の方がやはり上らしく、
俺のコーディネートはことごとく却下され、立上さんと祐未に追い出されてしまった。
(真由の行動には驚いたが、見られなくてよかった…)
それは昨日の夜、真由が本当に受けた身体検査の結果についてだった。
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「真由くんの検査結果についてなんだけど…
二人とも落ち着いて聞いて欲しいの」
「真由、どこか悪いとこができたんですか…?」
「教えてください先生、真由はどうしたんですか?」
俺は遠見先生から落ち着くように言われたが、
内心は不安でどうしようもなく、真由の事が気掛かりだった。
「彼…記憶を失ってたって、言ってたわよね?
どうやら…そうじゃないみたいなの」
「どういう…ことですか…?」
「彼は記憶が戻ったのではなく、記憶を取り込んだみたいなの」
「ハッキリして下さい、どういう事なんですか?」
…俺は、手が震えて先生の言葉を待った。
「彼は幼くなったとも言ってたわね、そうじゃないの。
…本当に産まれ変わって、一度に14年分の情報を、脳に読み込ませたみたいなの」
「それって…」
「脳の神経細胞が一部焼かれていたわ。
今はわからないけど…いつ障害が出るか、わからない状態ね。
本来、脳は何百年、何千年の情報を取り込めるけど…
一度にたくさんの情報、未発達の脳に14年分の情報は多すぎるわ…」
「それだけではないんだ」
「森田先生!?」
「彼の細胞に異変が生じている。彼のテロメアは異常に残り、
細胞は細胞分裂が停止し、本来細胞が死滅して新しい細胞が生まれるはずが、
彼は細胞が死滅せず仮死状態で細胞が保存され、緩やかに身体の機能が停止、
異常な若返りの原因と、ラハムの泥を受けつけない理由がこれだろう…」
「そんな!?なんとかならないのですか!?」
「せっかく…!せっかく記憶が戻ったのに……!!」
「未知の同化現象には、まだどうしようもない…
同化現象の細胞異変で若返った彼は、Lボートの設備では細胞まで検査できず、
現在と比較できなかった。今までの彼を調べられなかった私のミスだ…」
「先生のせいじゃありません!設備が無かったのなら、仕方ありません…」
「細胞分裂できないなら、真由の寿命は……」
「…おそらく、長くはないでしょう。予測だけど、後40年ほどかしら…」
「なんで…?」
「彼の体は、少しずつ五感を失い、筋肉が動かせなくなり、死んでいくだろう…」
「「なんでっ!!!?」」
俺達は行き場のない、この感情を、どうすればいいのだろう?
俺と祐未は、その場を泣き崩れて、泣き続けて、
涙が止まるまで、そこで泣き続けた。
涙が、この感情が、止まるまで
こんなに悲しいのに、涙が止まってしまう…
その時まで
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後で確認したが、住民票が入っていたすぐ側の検査結果が入った、
鍵付きの引き出しは触ってはいないようだった。
精巧なガンドレイクのレプリカを作る真由を警戒しての事だが、
新国連のスパイの警戒のためにも、引き出しには鍵の他に指紋認証、パスコード、
不正に入手されない為の消滅工作があり、正確な手順での開け方が必要だ。
指紋が俺か祐未でなかったらブザーがなり、無理に開けようとすると電流が流れる。
パスコードが間違っていた場合、5秒以内に訂正がなければ警察が来る。
ロックを解除しても、正確な手順で引き出しを開けなければ中の書類は発火し、
家の警報装置が鳴り響き、アルヴィス工作員が来るようになっている。
中には真由以外の重要書類もあるから当然だ。家中にも監視カメラと集音マイクがある。
非常自体でなければアルヴィスにしかデータ提出はしないが。
(もう真由にあの黒い太陽を出させちゃいけない、いや戦わせはしない)
「もう許してぇ…」
「真由、今度はこっちのTシャツを着てみよっか?」
「それが終わったらこっちのパジャマもね?きっと似合うわ」
「もうやらぁ…許してよぉ…」
やっぱり俺も参加しよう(無慈悲)。写真は撮るけど俺だけのけものなんて不公平だ。
三人に近づこうとした時、店に誰かが入ってきた。
「だからなんの相談も無く撃ったのは悪かったって、そう怒るなよ…」
「別にお前の無頓着かつ無謀な行動に怒っている訳じゃない、
ただ、もう少し冷静でまともな判断をしろと言っているだけだ」
「やっぱり怒ってるじゃないか…」
「なんだ…?」「なんだよ…?」
どうやら一騎と総士か。
二人は昨日の事で揉めていて、一騎は謝っていて、
総士は自分が怒っていないと思って、実は怒っていて、
不思議に感じて一騎に問い質して一騎はそれに困惑しているみたいだ。(名推理)
せっかくだから二人にも真由のコーディネートを手伝ってもらおう。(悪い顔)
「よう、二人とも買い物か?」
「あっ、こんにちは僚先輩」
「こんにちは。いえ、シナジェティックスーツの予備を依頼しに来ました」
「予備を依頼?二人はアルヴィスのテスト帰りか」
「ええ、マークエルフの戦闘システムテストを」
「昨日、一騎はスーツを着ずにマークエルフに乗ったんだったな」
「痛くないって言ってたのに、スーツ着てても痛かったです…」
「ははっ!俺もあれには騙されたよ。まあ、あった方がマシだけどな。
突然で悪いんだが二人とも、せっかくだし真由の服を選んでやってくれないか?
真由がちょっとやらかした、オシオキの一環でな」
「別にいいですけど…」
「後は帰るだけですので、構いません」
「よし、帰りに昼飯くらい奢らせてくれ、まだだろ?」
「ご馳走になります」
「どうも」
「あっ、二人ともこんにちは。
ねえ僚、このTシャツかわいいでしょ?」
「あら、こんにちは。今日はお客さんが多いわね」
「シナジェティックスーツの依頼に来ました。6着分お願いします」
「えっ?この前8着分作ったばかりなのに?」
「はい」「そう…納期までには間に合わせるわ」
「お願いします」
「なあ、祐未。この二人にも選んでもらおうぜ」
「良いわねそれ!でも、僚はダメだからね?」
「確かに真由にサスペンダーは似合わなかった、でも見るくらいならいいだろ?」
「一騎くん…たしゅけ…」
「えと…じゃあこれなんてどうですか」
そうして一騎が手に取ったのは予約していた
「一騎くん…やるわね」
「まさかそれを手に取るとはな」
「一騎…それはないだろう」
「あらあら」
「えっ、えっ!?」
「一騎くん…私にとどめをさしに来たのか…」
選ばれたのは、予約していたパンダのキグルミパーカーだった。
昼飯に堂馬食堂へ行くまで、真由の目はずっと濁っていた。
細胞の後退現象、成長しないし、怪我や病気の治りも遅い
同化現象に代償無しで利益は無いってハッキリわかんだね
ネタバレ
「君は死ぬだろう」