変なのに愛されて悪夢しか見れない   作:蒼穹難民

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前回のあらすじ


全てのものは生まれ、やがて死んでゆく。ただそれだけのことだ。


さんじゅうさんにちめっ!

ーー『アルヴィス・ミーティングルーム』ーー

 

 

 

「やはり島を出るんですね…父さん」

 

「前から決まっていた事だ、自主的というものを除けばな」

 

 

ミーティングルームにはアルヴィス幹部、反乱軍幹部が揃い合同会議が開かれ、

公蔵は竜宮島を出る趣旨を述べていた。

 

 

「先の戦いの功績で、私は特例として罰則が軽減されて島追放はなくなった。

…だが研究職の私では指揮にやはり疑問が残る。そこで、専門である真壁に代理を任せ、

私は反乱軍とともに島を出てフェストゥム研究にあたる。帰還は2年後を予定としている。

なあに、心配するな。必ず島に帰ってくるとも」

「その点に関しては安心して頂きたい。我等が責任を持って彼の身柄を約束しよう。

…ついでに件の少年の身柄も預かりたいものだが…」

 

 

「それについては散々議論しただろう…諦め切れない気持ちは理解出来るが」

 

 

公蔵は先の戦闘で1000体以上のフェストゥムを相手取った功績から罰則が軽減されたが、

反乱軍と共同で状況を打破する条約と同盟を結んで使節団がアルヴィスで編成される事となった。

 

 

フェストゥムを研究するのなら島外の情報を入手出来る機会として、

公蔵は前のL計画参加者が多く参加する使節団に自らも志願して参加した。

 

 

「仕方ないだろう、何故かは判らぬが私自身があの少年を求めているのだ。

憶測だがオルフェノク型は真由少年に惹かれる性質だと、私は推測している」

 

「オルフェノク型…コア型とも、マスター型とも違う。

意思を持ったフェストゥムが存在しているとは思わなかったがな」

 

「仮定として彼が我等オルフェノク型のミールなのか?

それともただフェストゥムを惹きつける性質なのか?

彼ではなく、ラハムに何か関係があるのか?こう言ってはなんだが全部だと私は思う」

「元から選択肢が無いな…」

 

 

彼等は久方ぶりの友人のように会話しながら話を進める。

公蔵は規格外達(ラハムの泥とその影響)の心労から、ヒトラーは周りの環境(人類軍の問題)で心労が溜まっており、

話がまともかつ常識的な相手にシンパシーを感じとり、気が緩んでいるのだ。

 

「まさか島に何体かフェストゥムが駐留するとはな。我が軍も駐留させたいのだが、

これでは迷惑にしかならんだろう」

「そちらこそ、如何してファルケンではなく英名のホークなのかと思ったら、

まさかファフナーを人類軍から奪取したものと脱走兵のものだとは夢にも思わなかったよ」

「ははっ、そう言ってくれるな。我等の移動要塞『ファフニール』、これを完成させるのに、

ファフナーの工場まで建造すれば人類軍に露見されてしまう可能性があるからな」

 

 

2日経った今でもフェストゥムはスフィンクス型を筆頭に島に滞在している。

反乱軍は小型の島ほどの大きさの潜水艦で訪れ、潜水艦にはジークフリードシステムが搭載し、

中には陸海空と全ての地形に合わせたグノーシスモデルが各10機、合計30機配備されており、

ジークフリードシステムと連携させ、有効範囲内ならば擬似クロッシングが可能となり、

フェストゥムの読心能力を防ぐ事が出来るのである。無論、潜水艦自体にも有効である。

 

 

「竜に英雄を乗せ、英雄は竜の血肉を喰らい成長する。正に的を得ているな」

「そうだろう?互換性があり、汎用性が高いやり方だ。厳しい所はあるがね。

それに引き替え人類軍は経済的余裕がある筈なのに経済面と言い訳をし、

未だフェストゥムに有効な手立てを考えてなどいない。技術はある。資材もある。

しかし彼処にいる技術者は不遇極まりない。政治屋気取り共の為に折角の技術を、

金で助けられる人々を見殺しにしているようなものだからね。心を痛める者が多いだろう」

「ふむ、違いないな。今回の使節団は渡りに船だった。本当に感謝している」

 

 

人類軍は実は既に、フェストゥムに有効な手立ては用意出来るのだ。

 

竜宮島から出た日野洋治とミツヒロ・バートランド。

彼等ならティターンモデルなら生産出来るであろうし、

人類軍は別のアルヴィスの住民を皆殺しにし、コア型のフェストゥムも入手している。

交戦規定a(アルファ)などなり振り構わず味方殺しや統一の為戦争をする人類軍なら、

コア型の細胞を使った遺伝子操作でファフナーのパイロットも生み出せるのだ。

 

だが人類の危機であるにも拘らず金持ちや政治家は自分の富を分け与える事など出来ず。

結果、グノーシスモデルという安価かつ、フェストゥムの読心能力回避としてファフナーが造られたのに何の解決にも至らない機体が、ハイエンド機として新国連は人類軍の主力としてグノーシスモデルを配備した裏がある。へスター・ギャロップの人類至上主義のフェストゥム嫌いから、遺伝子操作した兵士の忌避感、反乱と国民の批難を恐れてでもあるが。

 

 

「最近は人類軍の探索機も巡回している。これを反乱軍が敢えて姿を現して移動すれば、

人類軍はアルヴィスから目を背けて躍起となって反乱軍を追うだろう」

「最も、我等はアルヴィスほど優しくは無い。邪魔をする者は全て蹂躙してくれよう。

無駄な殺生はする気は無いが、使節団と大破しているとはいえノートゥングモデルまで我等に預けてもらっているのだからな。手を抜く気は一切無い」

 

 

反乱軍はアキレス・システムとファフニールのデータ提供と使節団の護衛を条件に、

大破したマークツヴァイを受け取る契約になっている。win-winと言っても過言では無い。

 

「真壁…後を頼む」

「その事で一つ聞きたいのだがいいか?」

 

史彦は挙手までして自分の意見を述べる。

 

 

「早乙女君まで連れて行って貴様、面倒事を全て私に押し付ける気だな?」

「「はて?なんの事やら(でしょう)?」」

 

 

ヒトラーは日本人の腹黒さを改めて認識した。

 

(味方をこうも簡単に切り捨てるとは…非戦闘主義とはいえ侮れんな…)

 

 

違う、そうじゃない

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー『竜宮島中学校』ーー

 

 

「一昨日はほんと凄かったよなー、島に色んな秘密があってさ。

俺の母さん、あのアルヴィスの研究員だったんだ」

 

「僕ん家の父さんも、あのロボットのメカニックのチーフなんだって。

ほんともうビックリだよ」

 

「あんた達なんてまだいいわよ…ウチなんてお父さんが飛行機のパイロットで、

あの黒いフェストゥムを夕飯に呼んだのよ?もうほんと信じらんない!」

 

 

ーーただいま、今日は友人が来てるんだ。さっ、庭だけど入ってくれ。

 

ーーご相伴預かりました、ラハムと言います。旦那さんにはお仕事でお世話になっています。

 

 

「「うわぁ…さすが姐御ん家…」」

「今回ばかりは否定出来ないわね…」

 

 

「蔵前、やっぱりロボットのパイロットだったみたいなんだ。

爆発事件の時大怪我したみたいで…俺、蔵前の家の鍵預かってるから、

アルヴィスの人がやって来て教えてもらったんだ」

「ウソっ!?甲洋と蔵前さんってそういう関係だったの!?」

「なんだと!?チクショウ!女子に告白されても断っていたのはそれかー!」

「なんだよ、甲洋も隅に置けないね〜」

「違うよ、そんなんじゃないって」

 

実際は家に帰りづらい時に泊めてもらったり、

家に置けない飼い犬のショコラを預かって貰ったり、

一人暮らしで留守が多い蔵前の為に食事を作って用意したり、掃除や洗濯したり、

日用品を買い足してゴミ出ししたりする程度である。

 

完全に通い妻です。本当にありがとうございました。

 

 

会話に花が咲く中、教室に担任の理科教師である羽佐間容子が入室してきた。

 

「はいみんな席に着いて、HRを始めるわよ」

 

容子のかけ声に気づき、生徒達は着席する。

 

 

「今日はみんなにお知らせがあります。

実習生の先生方と、飛び級ですが編入生もやってきました」

 

 

「編入生?飛び級で?」

「そんな頭いいヤツ竜宮島に居たんだ…」

 

「あの潜水艦で来た人かも知れないわよ」

「鏑木先輩の弟くんかもよ」

 

「(実習生…飛び級…それってもしかして)」

 

「真矢、確か僚先輩達が…」

「うん、もしかして…」

 

 

「二人共、入って来て」

 

 

容子の呼び声に入って来たには、

黒いスーツを着た僚と、パーカー姿の真由だった。当然キグルミではない。

 

 

「みんな覚えてると思うけど、OBの元生徒会長の将陵僚先生です。

彼は数学の担当だから、わからない事があったら進んで相談してね」

 

「ご紹介に与りました、将陵僚です。みんなとは卒業式以来だけど、

先生としては初めてだから、至らない所があったらドンドン言ってくれ。

でも、プライベートは別だぞ?こっそり話してくれよな」

 

普段のラフな格好の時とは違い、スーツを着てしっかりした僚は、

女子の傍目から見るとぁゃιぃ色気があり、注目の的になっていた。

 

「僚先輩ここのクラスだったんだ…」

「なに言ってんのよ、夏休み中そう言ってたじゃない」

「いやクラスまで被るとは思わないだろ」

 

「やっぱり僚先輩だったね、一騎くん」

「ああ…でも真由と一緒なんて偶然。本当にあるのか?」

「そういえばそうね…」

 

 

「こちらは小学1年生から飛び級して来た、将陵先生の弟の将陵真由くん。

彼は将陵先生からの強い要望でクラスが一緒だけど、みんな仲良くしてあげてね」

 

 

「こんにちは、私は将陵真由です。得意な科目は数学、苦手な科目は体育です。

歳は離れていますが、精一杯頑張ります。みなさん、仲良くしてくださいね?」

 

 

お淑やかな真由の自己紹介は、女子と見紛うばかりの可憐さがあり、

クラスの男子達は固唾を呑んでしまっている。

 

「なあ…あれって真由だよな…」

「あんなに可愛かったっけ…?」

「女子のあたしから見ても相当可愛いよ…」

 

「真由くん、なんだかいつもと雰囲気が違うね」

「………………」

「どうしたの?一騎くん」

 

 

真由を知っている人間で、その異変に何人が気づけた事だろう?

 

 

(真由…!完全に目が死んでる!!まるでそこにいないみたいだ…!!)

 

 

今の真由は目が完全に死んでいて、自己紹介もよく聞くと機械的で、

居た堪れなくなった一騎は最後列の席にも拘らず、真由の肩を掴んで正気に戻そうとした。

 

「真壁くん!?」「一騎!?何をする!」

 

「目を覚ませ真由!今のお前は、普段のお前じゃない!!お前はそこにいるのか!?」

「ハッ!?私は一体何を……?」

 

真由のアメジストの瞳にいつもの光が戻り、真由は正気に戻った。

真由は足元が覚束ず、肩を掴んでいた一騎の腕を支えにしてやっと立てている。

 

「一騎くん…悪夢を……悪夢を見ていたんだ…」

「どうした?何を見たんだ?」

 

「僚先輩と祐未先輩が私を着せ替え人形にして…

どこからともなく一騎くんと総士くんがやって来て、助かったと思ったら、

一騎くんが私にとどめをさして…堂馬食堂で好物の玉子丼を食べて帰ったら、

先輩達に行儀を学ぶという名目の淑女教育される悪夢をずっと見るんだ……」

「ごめん、最後のはともかく後は全部現実で、とどめをさしたのは俺だ…」

「オマエノ…シワザ…ダタノカ……」

 

「真由くん、大丈夫?」「チッ……(一騎め、余計な事を…)」

 

 

僚を除くクラスの全員が思考を一つにした。

 

 

この先輩(将陵家)ブラコンのやべーやつだと。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーその日、私は家族に着せ替え人形にされ、果林さんも混ざっている悪夢を見ました。ーー

 

 

私の家族はともかくあーたは生きてるでしょーが。

そんな所に行かんで戻ってきんしゃい。

 




真由は悪夢をぶっ続けで、ずっと見ていました(笑)

公蔵さん、ヒトラー閣下もご満悦
特に面倒な案件が史彦さんの胃に襲うーーー‼︎
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