変なのに愛されて悪夢しか見れない   作:蒼穹難民

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前回のあらすじ


編入前
「「真由はお淑やか…真由は謙虚…真由は素直…」」ヒソヒソ
「………………」チーン…


さんじゅうよんにちめっ!

 

その日はアルヴィスのパイロット育成を目的に、適正がある子供達の家に

ファフナーの搭乗適正通知書『フログパッド』、その赤い形状と招集令状、

二つの共通点から島民からは通称『赤紙』と呼称される出頭通知が届き、

CDC、オペレーターの遠見弓子とファフナーパイロット教官として船橋幸弘が、

適正者である『遠見真矢』『羽佐間翔子』『春日井甲洋 』『要咲良 』『近藤剣司』『小楯衛』

以上、全6名をアルヴィスへ引率している。

 

彼等はアルヴィスの入り口で、興奮しながら地下のエレベーターが来るのを待っていた。

 

「僕達も入れるの?」

「あなたたちの体には、既に身分証明のチップが入ってるから大丈夫」

 

「中に入ったら私語は慎めよ。アルヴィスには下手をしたらボタン一つで島が大損害を受ける物もある。仕事中に家族とは言え話しかけたり、自分に関係の無い所に近づいたりしたら最悪、裁判でお前達の家族にも迷惑をかけるからな。ちゃんと言う事聞くんだぞ」

 

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

自分の行動で家族に迷惑をかけるかも知れないと聞き、彼等は気を引き締める。

 

エレベーターが到着し地下へ行くエレベーターに乗り込み、

アルヴィスに着く前に彼等は引率の二人に疑問を投げかける。

 

「どうして私たちに隠していたんですか?こんな凄いものを……」

「そうねぇ……」

 

「大人達の自己満足さ…」

「えっ?」

「幸弘くん!」

 

翔子が投げかけた問いに弓子が答える前に、幸弘が質問に答える。

 

「自己満足でも悪いものじゃない。現に島は平和だったし、

普通に生活していてなんの問題も無かっただろ?それで良いし、十分なのさ」

 

「「おおー…」」

 

「確かに、あたし達が知っていてもなんの役にも立たないし、

出しゃばって父さん達に迷惑かけるだけだったかも……」

 

エレベーターを降りて移動用の動く歩道に乗り、各施設の案内をされる。

 

その際に剣司の母親の近藤彩乃が通りかかる。

 

「母ちゃん……?」

「………………」

 

彩乃は剣司の声を無視してそのまま通り過ぎて行った。

 

 

「どうしちゃったんだ?」

「私語は慎めと言ったろう?此処では直ぐに島中の大人達に情報が伝達されるんだ。

家族に恥をかかせる様な事をすれば直ぐに伝わる。仕事中に話しかけるなよ」

「うっ、ごめんなさい…」

 

「そう言えば最近うちのお母さんもそっけないのよねぇ」

「訓練候補生とは言えファフナーに乗るんだ。心配で思い詰めるぐらいするさ。

さあっ、話しは終わりだ!お前ら静かにしろよ」

 

 

第1CDC、パーシバル・ルームに入り、中には史彦が総士と一騎に話しをしている。

 

「一騎くん…!」

「総士もいるね?」

 

「ここが総合管制室、第1CDCパーシバル・ルームだ。主な指令はここで出され、

防御機構やレーダー、遠隔モニター、超高速演算機など様々な機能を担っている。

ちょうど話している真壁史彦さんがアルヴィスの現総司令だ。失礼のない様にな」

 

 

一騎と総士も彼等と行動し、CDCを出た後も子供達は色々な部屋を案内され、

水中展望室で各々は休憩を取る事になった。

 

「皆集まってー!」

 

「記念写真を撮るんだってさ」

「記念写真…?(しまった、こんな事ならカメラを持ってくるべきだった)」

 

「此処が珍しいのも分かるんだけどねぇ…」

 

記念写真を撮ろうとする真矢のカメラを幸弘は取り上げた。

 

「こらこら、ダメだろ遠見」

「えっと…やっぱりダメですか…?」

 

恐縮する真矢に幸弘は微笑みながら話しかける。

 

「せっかくお前達の記念撮影なんだ。遠見も居なきゃ意味ないだろう?

ほらっ、撮ってやるから並んだ並んだ!」

「ありがとうございます!じゃあ問題はこれで…」

 

幸弘はカメラマンとして真矢からカメラを預かり、並んだ子供達に引き算をだす。

 

 

「15436引く15434はー?」

 

 

「「「「「「「「にーーっ!!」」」」」」」」パシャッ!

 

 

 

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ーー『アルヴィス・シミュレーションルーム』ーー

 

 

「これから貴方たちに、ファフナーの訓練に入ってもらいます」

 

 

パイロット候補生達はシナジェティックスーツに着替えてシミュレーションルームに向かい。

シミュレーションルームに着いてからは専門医の遠見千鶴と主任訓練官の日野 恵(ひの めぐみ)も交えた、

シミュレーションでのファフナー教習訓練が始まった。

 

「今日から貴方たちの訓練を担当する日野恵です。大まかな説明は私から教導しますが、

先輩パイロットもいるのでわからない事があればどちらでもいいのでキチンと相談してください」

 

『先ずはメディテーション訓練を行う。ファフナーの適正テストだ。

ファフナーと一体化する為に、イメージをより明確にする訓練だ。

仮想空間の中は海で表現される。その表現された海が、お前達の心象風景だ』

 

総士はジークフリード・システムから指示を出し、説明をする。

 

「シナジェティックスーツを着てるとはいえ痛みは感じる。

お前達、心してかかれよ。自分の心象風景に呑まれるな。

仮想現実から戻れなくなるなんて冗談にもならないからな」

 

全員が配置に着いてシミュレーターに乗ろうとした時。

真由と僚と祐未がシミュレーションルームに入って来た。

 

「千鶴先生、ここに居たんだ」

「真由くん?どうかしたの?」

 

「森田先生が使節団の配属で島を出るけど、千鶴先生に委託し忘れた書類があるから

持って行って欲しいって頼まれたんですよ」

「俺と祐未は反乱軍の人達が持って来たデータを調整する為に、

近藤さんと総士に会いに行ったんですが…肝心の総士が訓練中で、

ジークフリード・システムの方にデータが送れないからデータだけ近藤さんに渡して、

迎えに来てくれた真由と帰ろうとしていた道中、頼まれたんですよ。真由は付き添いです」

 

「そこまで強調しなくても……」

「お前は身内とはいえ、完全に外部の人間だからな。こればっかりは譲れん」

 

 

「そう…三人ともありがとうね(本当に真由くんが大事なのね、僚くん)」

 

 

僚が真由をここまでアルヴィスから引き離そうとするのは、

真由にもうこれ以上危険な目にあって欲しくないからだろう。

 

森田は同化現象の治療法を島を出て探すと決め、アーカイブデータを虱潰しに探したのだろう。

千鶴の渡された書類には過去、類似した症状の記録が大量に記載されていた。

 

(同化現象が発症するのは彼だけじゃない。何時この子達も発症するかわからない…)

 

「わぁー!コレってファフナーのシミュレーターですよね!」

 

真由の声に思案に暮れる千鶴は今は訓練中だった事を思い出し、真由の質問に答える事にした。

 

「ええそうよ、これで仮想空間の戦闘訓練が出来るの」

 

「いいなぁー…私はファフナー乗れないしなぁ」

「それが普通なのよ、真由くんは何の手術も受けていないもの」

 

ファフナーに乗るにはシナジェティックコードを形成する必要があり、適正率も必要である。

ただの人間(?)である真由はファフナーの適正が皆無と言っていい程低く、

ファフナーに合わせる脳波は黄金比が望ましいのだがそれも合う事は無かった。

 

彼はまさにフェストゥム(祝福)に愛され、ファフナー(巨人)に嫌われた子供だった。

 

「一回くらい乗ってみたいなぁー…ねぇいいでしょ?千鶴先生」

「駄目だ、適正の無いお前が乗ってもシミュレーターは動かないんだ」

「真由、みんなの迷惑になるわがまま言っちゃいけません!」

 

シミュレーターに乗りたがる真由を二人は咎め、

理屈では無理とわかっている真由は大人しくみんなに謝った。

 

「千鶴先生、皆さん。ごめんなさい…」

「いいのよ、気にしないで」

 

しかし、意外なところから真由に助けの声が入る。

 

『構いませんよ、メディテーションぐらいなら、適正が無くても大丈夫です』

 

「総士くん?」

「本当!?総士くんっ!!」

 

許可が出るとは思わなかった真由は大層喜び、僚は真由に聞かれないよう。

備え付けの端末で総士に通信を繋げた。

 

『(どういうつもりだ?真由はファフナーには乗れないんだぞ)』

『(彼を調べるには、メディテーションでの心象風景を見る事も重要だと判断しての事です)』

 

総士は真由の秘密を探るには、心象風景を見て判断する必要があると感じていた。

 

『(…心象風景のデータは幹部以外には見せるな。それが絶対条件だ)』

『(わかっています。誰だって心を見せびらかされたら気分のいいものではありません)』

 

 

『では、これより。メディテーション訓練を行う』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「これは…海、なのか……?」

 

 

将陵真由の心象風景は全体にノイズがかかり、正確には電子の海のような風景だった。

 

 

海の中には四角いキューブ状の物がいくつかあり、螺旋しながら廻っている。

 

海底には何故か桜が咲いていて、空には人の背骨が浮んでいた。

 

 

 

待て、何故ここに将陵真由がいない…?

 

 

 

 

 

──いけませんね。へっぽことはいえ人の(モノ)に手を出すなんて…

 

 

 

 

 

僕は急に意識を落とした。

 

 

全員の心象風景の海を見ていて、将陵真由の心象風景を見た。瞬間にだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

……何だ?ここは…僕は何故ここにいる……?

 

 

 

ジークフリード・システムの中にいた筈の僕は、将陵真由の仮想空間の中にいた。

 

 

海中なのに息が出来るそこは、四角い通路が一方向で続いている。

 

 

通路の下は奈落の底のような深淵があるだけだった。

 

 

「進むしかないか…」

 

 

奥へ進めば進むほど道は暗くなり、一番奥には出口と思われる光が見えた。

 

 

僕がそこに入ったら今まで来た道がなくなり、広い青い空間に辿り着いた。

 

 

中心には四角い何かが浮いていて、僕はそれに近づいてみる事にした。

 

 

ガシッ「なんだっ!?」

 

 

僕の足に黒い()()()が纏わりつき、気がつけば足元に骸骨と黒い泥が覆っていた。

 

 

四角い何かは泥を出す黒い太陽に代わり、そこから女性のシルエットが見えた。

 

 

 

 

 

見るな

 

 

 

 

見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見 る な

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──Porca miseria,一度は見逃してあげましょう。もう一度来たその時にはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

──…………き………お…………ろ…………きろ………

 

 

 

 

……僕は……()を見たんだ………?

 

 

 

──…おき…………し………そう…………し……

 

 

 

誰かが僕を呼ぶ声に、僕は目を覚ました。

 

 

「起きろっ!!総士!何があったんだ!!」

「…一騎か……」

 

 

 

目の前には僕の肩を掴んで起こそうとしてくれた、一騎の泣きそうな顔が目に入った。

 

 

どうやらメディカルルームに移送されたらしく、部屋には一騎と先輩達、遠見先生が居た。

 

 

僕の隣のベッドでは将陵真由がうなされながら眠っていて、あの時僕と一緒に気絶したようだ。

 

 

「一騎…お前が僕を呼んでくれたのか……?」

「何言ってるんだ…そんなの当たり前じゃないか!!」

 

 

胸に、熱いものが込み上げてくる…自分に居場所があると、実感出来る。

 

 

僕は、一騎がこんなにも思っていてくれてるだなんて、知らなかった。

 

 

「総士…」

「何だ……」

 

 

あの暗闇の世界から戻って来れた嬉しさからか、涙が止まらなかった。

 

 

そんな僕に、一騎は手を握ってくれた。

 

 

「無理するな…俺はここにいるし、お前はそこにいるだろ…」

 

 

「……ありがとう…一騎」

 

 

一騎がいてくれる安心感で、僕の涙は止まった。

 

 

タイミングを見計らっていたのか、そこで僚先輩が話しかけてきた。

 

 

「総士…ジークフリード・システムには、真由の心象風景の記録はなかった。

お前が夢で見たもの、それが全てだ。今日はもう休め。明日、報告してくれ」

 

 

「はい…わかりました」

 

 

今までの疲れが溜まっていたのか、僕はあっさりと眠ってしまった。

 

 

 

 

ーーその日、僕は幼い頃、一騎達と遊んだ夢を見た。ーー

 

 

 

とても懐かしくて、癒される想いだった……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーその日、私は妹にめちゃくちゃイジられる悪夢を見た。ーー

 

 

 

 

──今日は真由を守ってあげたんですよ?報酬ぐらい、渡しなさいな

 

 

 

 

ええい!!やめぬか!()()!!




妹、登場!

真由君の心象風景はSE.RA.PHにアンリマユがある感じ

主人公なのにファフナーに乗れないオリ主ェ…
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