超次元ゲイムネプテューヌ Chronicle 作:黄金の最強ゲーマー
真恋姫-革命-アーサイコサイコ…(恍惚)
仮面ライダーに変身して恋姫世界に殴り込みたいけどなー俺もなー(届かぬ想い)
室内に展開されたゲームフィールド。多くのエナジーアイテムが配置され、実に数十人ほどが余裕を持って戦闘行動を行えるほどの広さを持った『採石場』。
そこで、本来であればあり得るはずもない光景が繰り広げられていた。
「ハァッ!」
「くっ…!」
三対一。三体一である。
本来であれば、三人に対して一人が苦戦を強いられるのが普通であろう。
遥か昔から、戦闘において数の差というのは数字以上に圧倒的な差を持つものである。個の能力がさほど重要な差ではなくなる事が多い『軍』での戦闘においてでも『攻者三倍の法則』というものがある。
これは敵が防衛する場所を真正面から攻略するには三倍の戦力を持って攻めるのが望ましいというものだ。様々な条件においてこの差は変化するものであるが、法則自体は個対個の戦闘においても、そう大きく変わるものではない。
むしろ、一側が周囲との連携が取れなかったり、三側が周囲を一切気にする必要がない分、一側がより不利であろう。
なにしろ、一は、たった一人で三人分の挙動を把握し、それを同時に捌き続けなければならないのだ。対して三は一人の挙動だけに注視し、最低限自分への攻撃を捌くだけでいい。単純に手数の違いは大きいのである。
つまり、三人に対して一人が互角に…最低限守りに徹してでも戦うには、単純にスペックだけでなく、本人の経験や直感、才能が非常に重要になってくるのだ。
それは決してスペックが高いだけでは埋めることが困難な差であり、ましてやその実力が伯仲しているのであればどれだけの才能を持っていたとしても簡単に覆せるものではない…通常であれば、の話ではあるが。
「このっ…いい加減にまともなダメージくらい通りませんの!?」
「クソッ!パワーが違いすぎる!」
そのスペックに『埋めようのない差』があり『実力が伯仲している』のであれば、その前提は覆る。
現在戦闘している三対一の三──ブラックプレイヤー、ホワイトプレイヤー、グリーンプレイヤーは、レベルにして、『3』が二人『2』が一人。
対して、アクションパープルのレベルは『10』である。
レベルで表現しても分かりにくいだろうか、ではこうしよう。
『普通の人』は大の大人でも『パンチ力:40~70kg』とされる。
『プロのボクサー』が『パンチ力:150~500kg』であるらしい。
一般的に知られる銃である『9mm銃』であれば、『200~300kg』程度しかない。
個人携行可能な銃の最強格である『対物ライフル』が『10~20t』の威力である。
『レベル2』は数値にして、『パンチ力:約8t』『キック力:約13t』。
『レベル3』は数値にして、『パンチ力:約12t』『キック力:約17t』。
『レベル10』は数値にして、『パンチ力:約24t』『キック力:約30t』である。
お分かり頂けるだろうか?レベル10は、レベル3に対して数値上でおよそ2倍のスペックを持つ。
もう一度言おう、『数値上で2倍』なのだ。
数値上で2倍だから、威力も単純に2倍──などといった、甘いことなど有り得ない。
パンチ力とキック力、それぞれの力から放たれる実際の一撃の威力は、文字通り桁違いに跳ね上がる。
分かりやすいところで『対物ライフル』だろうか。知らない人も居るだろうから説明しよう。
話は簡単だ。一撃で『人の上半身と下半身が真っ二つになる』。
もちろん弾の形の影響などもあるから一概には言えないが、大雑把に言って『レベル10』とは対物ライフルを超える威力を連打可能なのである。
それだけでも脅威は分かって貰えたと思うが、さらに『仮面ライダー』の戦いにはとある補正がかかるのである。
所謂『レベルキャップ』いうものである。
たった1のレベル差であってもその差は大きく、倍のレベルを持つ相手に対してはこちらの攻撃は殆ど通らない物と思ってくれて構わない。対して相手側からの攻撃はほぼ防御無視で通るレベルである。もちろんエナジーアイテムを使えば攻略は不可能ではないが。
それが、現状は『2』と『3』が『10』と戦っているのである。3でも三倍超のレベル差があり、2に至ってはレベル差5倍であった。
つまるところ、この戦いは『3人の攻撃は殆ど通じず』『アクションパープルの攻撃は一撃で変身解除まで持っていきかねない』戦いであるのだ。
冒頭で散々攻者三倍の法則云々言っておいてなんだが、これだけのレベル差の暴力があってその法則はほとんど意味を成さない。
であるのに、何故いまだに三人が苦戦しながらも十分近く戦えているのか?
簡単である、ネプテューヌは『倒す気で戦っていない』。端的に言ってしまえば試しているのであった。
それは、エムの為に少しでも戦闘データを収集したいというのもある──それが半分くらい占めている──が、決してそれだけではない。
彼女は、『覚悟』を引き出そうとしているのだ。
誰のかと問われれば、全員、と答えるしかない。未だにゲーム感覚の抜けきらないベール、ただ怒りと憤りのままに戦うブラン、恐怖を心の奥底に抱え戦いに覚悟を持てていないノワール、そして今この戦闘を映像で見ているであろう各国の女神候補生や他次元の女神、共に戦ってくれた人間達、──そして、自分自身。
自分と共に戦ってくれた人々全てに、そして自分自身に対し、今の自分の『覚悟』を見せつけ、そしてより強い覚悟を持ってほしいのであった。
覚悟──エムが、かつての犯罪神との闘いや、次元を巡る戦いにおいて辿り着いた境地である。エムの知る『仮面ライダー』達が、形が違えど、立場が違えど皆持っていた力である。
──これから先、バグスターとの闘いにおいて、エムの隣に立つのであれば必要不可欠な力である。
今のネプテューヌが、ようやくその入り口に立った。そして、皆も後に続かなければならない。
それこそが、それだけが、バグスターに対抗する力足りうるのだから。
◇
≪GAME OVER…≫
≪GAME CLEAR!!≫
「…終わった、か。戦闘終了、ゲームフィールド解除。」
結果は言うまでもない、ネプテューヌの完全勝利である。
ベールはエナジーアイテムを駆使して多少耐えたが、それでもこのレベル差を覆すには至らずに敗北。ブランは特攻して、ネプテューヌにカウンターを入れられて敗北。ノワールは戦いに集中しきれず防戦一方のままジリ貧になって敗北。
ふと、ネプテューヌが言っていた言葉を思い出す。
「覚悟の力…か。」
俺に自覚はなかったが、俺にもあそこまでの覚悟があったのか。
ガシャットは、覚悟を持った者でなければ使いこなせない。レベルが上がれば上がるほど、その特性は浮き彫りになる。
ならば、俺には彼女を上回る覚悟が、人知れず存在していたのだろうか。
確かに、彼女たちの、この世界の運命を変える為ならば自分の身を犠牲にしても構わないとは思っていた。しかし、彼女達だってそれは同じだった筈。
なにか、何かがおかしい。俺だけが、『どこかずれている』。
俺には、確かに覚悟がある。しかし、その覚悟はネプテューヌの覚悟に比べれば、決して勝っているとは言えない程度のものだという自覚があるのだ。
何か、何か見落としていることはないか?本当に高レベルガシャットを使う条件はそれだけだったか?そもそも、何故彼女達との絆でガシャットが生まれるのか?なぜ俺はそれを難なく使いこなせるのか?
考えろ、考えるんだ。俺がガシャットを使いこなせる理由を。覚悟──それとは違う、もっと別の…手段が…。
一瞬、脳裏に、心底楽しそうに笑う『彼』の姿が見えて──掻き消えた。
◇
「勝てなかった…」
私は、プラネテューヌ協会の医務室のベッドで横になりながら、一人呟いた。
両隣のベッドには、未だ意識を取り戻さないベールとブラン。
私が意識を保っているのは、強かったからなんかじゃ、決してない。
弱かったからだ。意気地なしだったからだ。腰抜けだったからだ。
──友達を、ネプテューヌを見て恐怖してしまうほどに、私が弱かったから、彼女が倒す価値もないと思ってしまうほどに臆病だったから、倒されなかっただけのこと。
ネプテューヌの、あの見たこともない程に強い眼差しに怖気づいてしまったから──。
いやだ、いやだ、いやだ。
ベールは、ゲーム感覚だったとはいえ、彼女の眼差しを見ても挑み続けた。
ブランは、あれほどのネプテューヌを相手にして、自分の意思を貫いた。
エムは、言うまでもない、遥か高みに居る。
そして、ネプテューヌは、エムのいる高みに近づき始めた。
私だけだ。何もできずにいるのは、何もできずにいたのは。
きっと、ベールもブランも、彼の高みに近づいて行ってしまう。ネプテューヌもやがて、彼の隣にたどり着けてしまう。妹達も、他の皆も、いずれ私を置いていってしまう。近づけないのは、意気地のない、恐怖してしまう私だけ。
──そんなの、いやだ。
皆に置いて行かれたくない、仲間外れになりたくない、私だけ何もできないままで終わりたくない、ネプテューヌに負けたくない、ベールに負けたくない、ブランに負けたくない、ネプギアに負けたくない、ユニに負けたくない、レムに負けたくない、ラムに負けたくない、コンパに、アイエフに、イストワールに、うずめに、ビーシャに、シーシャに、エスーシャに、ケーシャに───
──恐怖を、私のものにしてみせる。
戦闘描写はどこ…?ここ…?
お前の文章ガバガバじゃねぇかよ(自虐)
こんなくっさい文章書いちゃってさぁ、恥ずかしくないのかよ(追い打ち)
次回は本格的に物語が進みますので許してください!何でも島村卯月!(風評被害)
-追記-
今気づきました。ほのぼの君また息してないやんけ!
次回:『巻き起こるHURRICANE!』