ハイスクールD×D~降臨せし黒き王~(更新停止) 作:エアーMk-2
今回は秋葉無双回です
「二度と教会に近づいてはダメよ」
その日の夜。
私は部室で部長に怒られていた。その顔はいつになく険しい。
「教会は私たちにとって敵地。踏み込めばそれだけで神側と悪魔側の間で問題になるわ。
今回はあちらもシスターを送ってあげたあなたの厚意を素直に受け止めてくれたみたいだけれど、天使たちはいつも監視しているわ。いつ光の槍が飛んでくるかわからなかったのよ?」
……ふむ、なかなかに危険な状況だったのだな。
『……自覚なしか相棒』
ドライグが何か言っているが気にしない。
監視されているのであればあの時感じた敵意にも頷けよう。(危機感なし)
「教会の関係者にも関わってはダメよ。特に『悪魔祓い(エクソシスト)』は我々の仇敵。
神の祝福を受けた彼らの力は私たちを滅ぼせるほどよ。
神器(セイクリッド・ギア)所有者が悪魔祓いなら尚更。もう、それは死と隣り合わせるのと同意義だわ秋葉」
紅の髪を揺らし、部長の青い双眸は私を真っ直ぐに見つめる。
すさまじい眼力、そして迫力。真剣なのがヒシヒシと伝わってくる。
(死と隣り合わせ……か……)
慣れきってしまった感覚。
ここ数千年の間こそ平和であったが私がそれ以前から身をおいていた世界は常に争いが絶えない所が多かった。
ただただ敵を殺し尽くすだけの日々。
紅に染まる空、屍が覆う大地。
私の両腕は既に幾千、幾万、幾億もの数え切れないほどの血で汚れきっているのだ。
「人間としての死は悪魔への転生で免れるかもしれない。
けれど、悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅する。無に帰すの。-無。
何もなく、何も感じず、何も出来ない。それがどれだけのことかあなたはわかる?」
無、それと死。
無限転生体という特殊な存在である私にとってそれはもっとも近く、そしてもっとも遠い存在である。
私は無限。死ぬことも消滅することも無い永遠の存在。
だが私が『世界』という枠に存在するには世界から用意された体を使うしかない。
用意された体は決して無限ではない。必ず寿命が存在し、それが尽きればその世界から消滅する。
本当にではないとは言え『擬似的』には死ぬのだ。
生と死、転生を繰り返すたびにそれを感じてきた私にとって死は最も近く、またもっとも遠い存在になってしまった。
(しかし部長、やたらとそこら辺を押すな)
昔何かあったのだろうか?
反応に困っている私を見て部長はハッと気づいたように首を横に振った。
「ごめんなさい、熱くなりすぎたわね。とにかく、今後は気をつけてちょうだい」
「はい」
会話もといお説教はそこで終わった。
「あらあら、お説教は済みました?」
「ん?」
私の背後に朱乃先輩がいつものニコニコ顔で立っていた。
「朱乃、どうかしたの?」
部長の問いに朱乃先輩は少し顔を曇らせた。
「討伐依頼が大公からから届きました」
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はぐれ悪魔。
それは爵位持ちの悪魔の下僕となった者が主を裏切る、または主を殺して主なしとなり各地で暴れまわる者たちのことを示す。
簡単に言うなら野良犬となんら変わりは無い。
枷無き野良犬は害でしかない。
見つけ次第、主人または他の悪魔が消滅させることになっているようだ。
はぐれ悪魔は他の陣営でも危険視されており天使、堕天使問わず見つけ次第滅するようにしているらしい。
私は部活メンバーと共に町外れにある廃屋近くに来ていた。
毎晩、「はぐれ悪魔」ここを拠点に人間を誘き寄せ人間を食らっているというのだ。
それを討伐するよう、上級悪魔から依頼が届いたようだ。
ちなみにこれも悪魔の仕事の一つだそうだ。
時刻は深夜。静寂が支配する暗黒の世界。
周囲は背の高い草木が生い茂り、遠目に廃墟の建物が見える。
暗闇でも目が利くのは元からというのもあるが悪魔だから、というのもあるようだ。
「……血の臭い」
小猫ちゃんがぼそりと呟き制服の袖で鼻を覆った。
「それに腐敗臭もするな」
最低でも一週間以上前からいたようだ。
周囲には敵意と殺意が満ちている。
「秋葉、下僕の特性は知ってる?」
部長が私に問いかけてきた。
「ええ、それなりには」
悪魔の駒(イービル・ピース)は人間のチェスを模しておりそれぞれの駒に本物のチェスと同じくそれぞれに役割と特性がある。
『騎士(ナイト)』の特性はスピード。『騎士』となった者の速度を増す効果がある。
『戦車(ルーク)』の特性はパワーとディフェンス。『戦車』となった者の力と防御力を高める。
『僧侶(ビショップ)』の特性はフォロー。『僧侶』となった者の魔力を高める。
『女王(クイーン)』の特性はマルチ。『王(キング)』の次に強く、『王』以外の四つの駒の特性を兼ね備えている。
そして私の『兵士(ポーン)』。『兵士』の特性は昇格(プロモーション)。『王』が敵陣と認めた場所でのみ『王』以外の駒へ昇格することが出来る。
チェスのルールは意外と爵位持ちの悪魔たちに好評で、実際に下僕悪魔を使って行う『レーティングゲーム』が開催されるほどである。
「……秋葉って教えがいが無いわね」
少しすねたように言う部長。
「まあ他人の受け売りなんですけどね」
これらの情報はドライグから教えられたものだ。
「まぁいいわ。秋葉、いい機会だからあなたの力を見せてちょうだい」
「了解です……ん?」
敵意と殺意が濃くなった。来たか。
「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」
耳に響く低い声音。
「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しにきたわ」
部長が言い放つ。
ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ……。
異様な笑い声が辺りに響く。
……耳障りな。
ぬぅ……。暗がりからゆっくりと女性の上半身が姿を現した。
ずんっ。重い足音と共に巨大な獣が姿を現す。
あれが下半身か。
両手には槍を一本ずつ所持している。
下半身は四足で太い足、鋭い爪。尻尾は蛇で独立して動いている。
大きさは五メートル以上ある。「はぐれ」だからこんなものか?
「主の元を逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!」
「こざかしぃぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁ!その紅の髪のように、おまえの身を鮮血に染め上げてやるわぁぁぁぁ!!」
案外洒落が聞いてるじゃないか。それに対して部長は鼻で笑うだけだった。
「雑魚ほど洒落の聞いたセリフを吐くものね。秋葉、あなたの力私に見せてちょうだい!」
「了解です部長!」
私は右手に赤龍帝の籠手を展開する。
「いくぞドライグ」
『おうよ!』
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<Boost!>
秋葉は速度を倍化させ瞬時にバイザーの目の前まで跳躍した。
「速いっ!」
祐斗が驚く。それもそのはず。秋葉の跳躍は誰一人捕らえることができないほどの速度だったのだから。
「はぁっ!」
秋葉は右拳をバイザーの腹部に打ち込んだ。
「ぐはぁっ!?」
一撃を喰らったバイザーは派手に後ろに吹っ飛び廃屋の壁を倒壊させた。
「おのれぇぇぇぇぇぇっ!」
派手に吹っ飛ばされたバイザーは体勢を立て直し秋葉へと突進した。
そして両腕の獲物を使って秋葉を切り裂こうと斬撃を繰り出す。
しかし秋葉は身を傾けるなどの必要最低限の動きのみで攻撃を避けていた。
「せいっ」
「がっぁ!」
秋葉の鋭い蹴り上げがヒットしたじろぐバイザー。
秋葉はその間に距離をとり右手を構える。
「ドラゴンショットっ!」
右手からバスケットボールサイズの魔力弾が撃ち出された。
たじろぎ回避することが出来なかったバイザーに直撃。その瞬間大爆発を起こした。
爆発はバイザーを飲み込み完全消滅させた。
「撃破(テイク)」
この日はぐれ悪魔バイザーの討伐が完了した。