【if】もしも緑谷出久に〝個性〟があったら 作:ウドの大木
二ヶ月のブランクがあるので言葉の使い方がおかしいのは勘弁してください。二人称ブレブレなのも勘弁してください。キャラの性格が違うのも勘弁してください。いずれの場合も指摘してくださると嬉しいです。
それではどうぞ。
「なあ……てめェ、本当にデクか?」
「へ?」
かっちゃんが何を言っているのかわからなかった。
僕は僕だ。それ以外の何者でもない。
「え……な、なんでそう思ったの?」
「理由は2つ」
かっちゃんが、指で『1』という数字を作りながら言う。
「まず1つ目。頭が急に良くなった」
「正直気にする程のことじゃない。でも、やっぱり引っかかるトコがあった」
そして、その『1』がピースに変わる。
「んで2つ目。性格が変わった」
「絡まれてるヤツ見るとさ、前まで自分で立ち向かってただろ。無謀にも。それが仲裁に回るようになった。お前の性格じゃまずやらないと思った」
「ここまで丁寧に言やぁてめェの無い頭でも分かんだろ」
なんというか……ゾッとした。
あまり目立つことの無い僕の些細な変化にも気付く観察眼。その洞察力。そしてそれを確信し、相手にキッパリ言える自分への自信。
かっちゃんが天才と言われるが故を、この身で感じた。
かっちゃんの言うことも間違いではない。厳密に言えば、今の僕は『僕』ではない。未来の、今とは比べ物にならないくらいに成長した僕なのだから。
だからこそ、恐ろしい。その恐怖が、今この場で僕に立ちふさがっているのだ。そして、僕はそれを乗り越えなければならない。
じゃあ、この場をどうやって切り抜ける?
嘘をつく?
いや、ダメだ。僕はもともと嘘があんまり得意じゃない。つくのも、つかれるのも。それに、かっちゃん相手じゃきっとすぐバレる。何より、人を騙すなど、ヒーローにあってはならない。
本当のことを言う?
それもダメ。信じてもらえない。別に信じて欲しい訳でもないけど、彼は僕を変人扱いし、避けるだろう。嫌な奴だけど、それでもやっぱり友達だ。そんなことされたら傷つく。場合によっては、最悪嘘をつくより酷いことになるかもしれない。
嘘をついても本当のことを言っても、最悪の結末しか思い浮かばない。どうすればいい?……オールマイトなら、オールマイトならどうする?考えろ。この状況を切り抜ける方法を。
……。
…………。
………………。
……………………!
「……そ、そろそろ帰らないと親が「はぐらかすな」……」
ダメだった。これならいけると思ったのに。
やっぱり嘘をつく?いや、どんなになってもそんなことダメだ。一番簡単にバッドエンドを迎える方法を自ら選ぶ人はいない。
考えろ。考え……「勝己!何してんの!」……え?
「は!?ババア!」
「こら、そんなこと言わない!」
失礼な口をたたいたかっちゃんに、母親の鉄拳が見舞われる。どっかで見たな、この光景……。
「今外食中じゃ……「急に
「つーか俺今デクと話してんだよ!邪魔すんなクソババア!」
「まーたそんな口きいて!話すったって、またいじめる気でしょ!」
「人ん家でそんなことしねェよ!」
「あーもーごめんなさいねうちの勝己が!なんかされてない?」
「え?いや特に……」
「じゃあよかった!「話聞けや!!!」うるさいッ!」
そしてまた鉄拳制裁。爆豪家の闇を見た気がする。
そしてかっちゃんはお母さんに連れられ(ほぼ強制連行だけど)家に帰っていった。あの後爆豪家で何が起きたのかは知る由もない。というか知りたくない。
この偶然としか考えようのない出来事に、手の届かないほどの深い闇が関わっていたことを、僕はまだ知らない。
―――――
あの日からしばらく経った。かっちゃんは――よほどきつく言われたのだろう、あのことはもう追求しなくなっていた。口頭以外の注意もあったのかもしれないけど。
まあ、そこ以外は特に目立った変化もなかった。
そして、僕は、個性の強化のために近所の海浜公園に来ていた。ちゃんと親も一緒だ。
「い、出久、大丈夫?」
何をそんなに不安がっているのか、お母さんが何度も心配の言葉をかけてくる。
「だから大丈夫だって」
火の操作精度は、雄英に入るまでの数年間で上がるだろう。かっちゃんや周りの人と同じように、まるで体の一部のように使えるようになる日が来るのだろう。
だから、今真っ先にすべきこと、それは――
「…………!」
「出久?」
「………………!!」
「何してんの?」
「……………………!!!」
「…………」
「ろうそくがどうかしたの?手ェ冷えるの?ハンカチいる?」
「……ああもううるさいな!」
――それは、『自分の出した火』以外も動かせるようになることだ。
「いや……ろうそくに手ェかざして、寒いのかなって」
……全くの見当違いだ。
言われて気づいたけど、ろうそくに手をかざしてても全然熱くない。やっぱり、火の〝個性〟だと熱に強くなるのかな?かっちゃんの手の皮が厚いみたいなのと同じ感じで。
「とにかく、今集中してるから話しかけないで」
気遣ってくれるのはありがたいけど、それはありがた迷惑ってやつだ。
気を取り直して、再度ろうそくに手をかざす。
(動け……動け~~ッ!!!)
そんな感じの練習を続けること一ヶ月。
一週間でろうそくの火がかすかに揺れ、二週間で揺れ過ぎて消えた。三週間で火をそんなに揺らすのは危ないとライフセーバーの人に注意され、一ヶ月でついになんとか動かせるようにはなった。……『動かせる』だけだけど。
言って見れば、方向音痴の人に記憶で家に来いと言っているようなものだ。右に行かせようとすれば左に、上に行かせようとすれば右に、そしてたまに思った通りの方向に。
危ない。すごく危ない。ので、時と共に動かせるようになることを信じて、僕らは公園から退散した。
―――――
月日が流れ、僕とかっちゃんは親密になることも疎遠になることもなく、ただの仲の悪い幼馴染として成長していった。
そうして、ついにあの日がやってきた。
僕があの世界で過ごした最後の日。
そして、
出久にとっての第1話が始まりました。いったいどうなるんでしょうね。