ガンダム00  マイスター始めてみました外伝  『絶望?何それ美味しいの?』   作:雑炊

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詰まる所は前回の後編です。

原作と違う所が結構ありますのでご注意下さい。(大まかな部分は同じですが)

では、本編をどうぞ


P.S.

ちょっと重大なミスを発見したため、ほんの一部ですが(とはいってもある人物の名前を変えただけ)改定致しました。


さいしょの外伝其ノ二―――京都地獄観光記(観光一切しとらんけどな!!)

さあ、楽しくなってまいりました!!

 

「現実逃避乙」

 

「せからしか相棒!!」

 

もう自らを偽るのも忘れて素モード全開で相棒に怒鳴る。

相棒のハッキングによって使えるようになった通信用のモニターの中でさっき拾った機体のパイロットの方々が目を白黒させながら此方を見てるがもう知らん。疲れた。

というかパイロットの皆様全員エロスーツ着用の若い女性ってどういうこと?

何なのこの世界?俺の心の奥底に眠る欲望が爆発した世界……とかだったら、俺は今直ぐ自殺する。

だって彼女達が着てるエロスーツって、モロに俺ドストライクなんですけど……

 

……って、俺何自分の性癖暴露しとる!?ナシナシ!!今の無し!!!ノーカン!!

 

あ、因みにここに来るまでなんとなく暈しながら赤い機体の人――――――隊長さんに何度か質問した結果、ここが異世界である事が確定致しました。

いや、だって年代聞いたら1998年とか……巫山戯てんのかと思ったらマジっぽいし……

 

(…え?何これ?タイムスリップ……じゃないよなぁ……)

 

まあ、詰まるとこ一番考えられる事柄として「ここは異世界だ」って事になったんだけど……あってるよね?あってるよな?な?

 

「そんな事を考えながら市街到着である。うわー怪獣だらけだ。ゴジラかガメラか破壊のプリンス連れてこいよ。銀色のウルトラな宇宙人でもいいぞ」

 

『クッ……ここまでBETA共が進行してきていたとは……』

 

あ、そういえばあのナマモノ『BETA』って言うらしいね。よくわからんけど。ってか、今の言葉にツッコミ無しかい。スルーですかそうですか。寂しいな。

まあ、そこらへんは置いといて、と…

 

「んー……なんかあそこの駅っぽいトコの近くの道路に佇んでるのって、あなたの部下か?黄色1体に白4体の計5体だ」

 

『っ!篁の小隊か!?よく生きていたものだ……』

 

「確定したわけではないがな。支援に向かうが大丈夫か?お望みならばもっと後退してあなた達を置いてこれるが……」

 

当たり前であるがこれは善意で言った言葉ではない。これ以上こんなデッドウエイトぶら下げてられるかという講義の言葉である。

無論、表に表せてはいない。

……だってここまで来て悪印象持って貰いたくないし。

 

「ヘタレメ」

 

「黙れ。で、どうするのだ?」

 

『いや、我々はこのままでいい。元々さっき死んでいるはずだった命なのだ。今更どうという事もない。それに……』

 

そう言いながら、真正面から見据えられる。

メットのバイザー越しだというのに気圧されるほどの眼力だ。美人なのがそれに拍車をかけている。

 

『そんな事をやって、あいつらが死んでしまったら本末転倒だろう?』

 

違うか?、と一言付け加えてこちらを睨んでくる。

うっ、真っ直ぐな瞳だ……やめて!そんな目で見ないで!!汚らしい俺をそんな目で見るなァァァァ!!!

そんな感じで居た堪れなくなって別の方――ってか他の機体に乗る子の方に顔を向ければこちらも同じような感じだし……

 

「………」

 

『……………』

 

『………………………』

 

「………………わかったわかった。そんなに見るな。私も外道ではないから救援を優先させて貰おう。ただ、乗り心地は格段に悪くなるぞ。ゲロ等は吐くなよ漏らすなよ。言ってくれれば今ならエチケット袋を何枚かくれてやろう」

 

『いらんからさっさと行け『『『『『えー!?』』』』』黙れ貴様らァ!!!』

 

「……あー……もう行くぞ。漫才なんぞしてる暇はないんだろう」

 

呆れながらそう言うと隊長さんから凄まじい勢いで抗議の声が上がったが知ったものかと言わんばかりに機体を動かしたら速効静かになってくれた。

うん。僕そう言う臨機応変な女の人好きですよ。

 

 

「はいはい邪魔邪魔」

 

言いつつ蜘蛛のような見た目の……えーと、要塞(フォート)級?っていうの?の頭部を吹っ飛ばし、胴体をナイフで切り裂きつつ、足の杭のようになってる部分をもぎ取って飛び上がり、別の標的の頭部目掛けてぶん投げる。

クリーンヒット。見事に頭部をぶち抜いた。

直後ブチ抜いた個体の胴体部分よりレーザーの先行照射を確認。

余裕のローリング回避デース。

ぶら下げてるものの中からトンでもない悲鳴が上がっている気がするが気にしない気にしない。

 

「鬱陶しい事この上なし!!」

 

ダブルライフルで吹き飛ばしつつ飛び回る。

既に市街地は地獄絵図の様相を呈し、先程も言った通り怪獣―――要塞級が跋扈しそれだけでなくサソリモドキ―――要撃(グラップラー)級や緑の菱形―――突撃(デストロイヤー)級。そしてあの赤い歯茎―――戦車(タンク)級がものっそいワラワラ動いている。

ぶっちゃけて言うと、キモイ。これ以上無いレベルでキモい。

あ、なんか青い半壊したヒロイックなシルエットの機体が要撃級と突撃級の群れの海に飲み込まれた。ご愁傷様。来世ではもっとマシな世界に生まれ変わってね。

って?あれ?なんかその近くに目標の小隊がいたっぽいな。

100mくらいを飛行しているのが見える。

すぐに近寄ろうとスピードを上げた所で、

 

「げ」

 

その正体の前方に突然要塞級のご登場。オイ空気読めよ蜘蛛もどき。風穴あけんぞ。

しかもそれに何故か長刀ブッ刺してからお腹の尻尾で弾き飛ばされて黄色いのはバランス崩して……あれは、京都駅、か?そう書いてあるからそうなんだろうけどそこのビルの屋上に擱座した。

コックピット周りは無事っぽかったから大丈夫だと思うが……すぐに救出せんとな。

って、あのデカブツついでと言わんばかりに腹から触手を伸ばして白いの2体吹っ飛ばしやがった!?

 

「アカン!!」

 

即座にキャノンで要塞級の頭と胴体と腹を全て吹き飛ばす。

そのまま倒れ込みそうな足を蹴っ飛ばして………っと。

 

「動けボケェ!!」(゚Д゚#)ゴルァ!!

 

『『は、はいいいいい!!』』((((;゚Д゚))))

 

まあ怒鳴りますよねー。キチンと対処できれば危険な目には合わなかったわけですし。

 

『って、中隊長!?そのお姿は一体………それにみんなも……?』

 

『………』←ちょっと見せられない状態。

 

「あー……こちらお前らの目の前にいる機体のパイロット………うん、O-01というんだが……君たちの救援後この人達を救助してな。成り行きでこうなっているのだが……君たち、自力で撤退できるか?」

 

無論そう言いつつ言外に「できるだろ?」と含めるのも忘れない。

するとどうやら伝わったようで白い機体の二人は縮み上がりつつ肯定の声を上げてくれた。

 

『は、はい!できます!大丈夫です!』

『必死になって撤退します!!絶対にヘマはやらかしません!!』

 

「ん。いい返事だ。それだけ言えれば大丈夫だな」

 

そう言うと、俺はダブルライフルの銃口を京都駅の方へと向ける。

そして……

 

 

「それじゃ私は今吹っ飛ばされた3人の救助に向かうとしよう」

 

そのままぶっぱなした。

案の定空いた穴から蛆虫のごとく白いのが出てきた。序でに戦車級も出てきたからこの白いのもBETAとかいうのか。ちょっとプチプチ踏み潰しながら行こうかな。軽いストレス解消として。

そんな俺を見ながら後ろの二人は唖然としている。

ぶら下げてるのは……うん。今ちょっとソレドコロジャナイネ。

 

「さあ、蛆虫ども。ここからが俺流だ。泣いて部屋の隅でガタガタ震えながら神に救いでも請うんだな」

 

言いながら機体を進める。

今のセリフ?いや、なんかこう…かっこいいじゃない?

 

因みに視界に白いエロスーツ着たメガネの女の子が見えたので忘れずに保護しておこう、と。

巻き添え食らわせてプチっと潰したくないもんね。

俺にそんなスプラッタな趣味もないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

『お願い……撃って………私を……私が、食われる前に……』

 

「あ…あ……」

 

戦車級に集られ、ゆっくりと解体され、貪られていく白い瑞鶴。

その中心に、居る。

私の無二の戦友であり友人が。

今にも、食われそうになって、いる。

ゆっくりと、自分の手を見る。

手に握られているのは、拳銃。

今にも食われそうな友を、食われるなどという常識外の苦しみから逃がす為の唯一の手段を成すための、道具。

 

それをするかどうかは――――――私に、かかっている。

 

――――い、やだ……

 

心の奥底で弱い自分がそう呟くのが聞こえた。

その呟きは、だんだんと大きくなる。

本当に、段々と。

 

『おね、がい……撃っ、て……』

 

しかし、その声に耳を傾けている内に、友人に苦しみが到達するまでの時間が短くなっていく。

 

―――――嫌だ……嫌だ……

 

大きくなる声を押しつぶしながら、必死に銃を両手で構える。

 

でも、ダメだ。

心の声は手の震えとなって現れる。

必死に震えを止めようとしても……ダメだ、できない。

 

いや、わかっているのだ。原因など。

 

 

怖いのだ。自分の手で、人の――――――友達の命の灯火を消すのが。

 

 

誰か代わりにやってくれ、と叫びたかった。

或いは友の―――上総と自分の立場を変えてくれ、と叫びたかった。

 

 

でも、現実はそんなに甘いものじゃなくて。

 

そんな時に都合良く助けにやって来る正義の味方や、颯爽と現れる救世主などいるわけがない。

 

これは――――――現実なのだから。

 

 

 

丁度、その時に瑞鶴の胸部装甲が引き剥がされた。

そこから、今度はハッキリと上総の顔が見える。

 

――――――撃たないと…

 

――――――嫌だ…嫌だ…

 

相反する声が、自分の中でせめぎ合う。

こんなに無防備な状況だというのに、忌々しいBETA共が自分を襲ってこないのは、皮肉にも上総の瑞鶴がまだ分解され切っていないからだ、と不意に頭の中で理解した。

こんな時に何を考えているんだ、と自重する。

現実逃避だと笑うなら笑え。

そうでもしていないと耐え切れない。

 

―――それでも、やらねばならない。

 

逃避していた意識を戻して、上総に狙いを定める。

それを見た上総も、少しだけフッと笑って………叫んだ。

同時に、心の弱い私も、叫ぶ。

 

 

 

『撃ってよぉぉぉ!!!こいつらに食われる前に!!唯依ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!』

 

―――――――――嫌だァァァァァァァァァ!!!!!!!!!

 

 

「う、あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、引き金を、私の、指が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いぃぃぃらっしゃいませこんばんわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

「ハ、ロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

引く前にそんな声が聞こえて、思わず私は手を引っ込めた。

そんな私の横を通り抜ける一人分の人影と、丸い何か。

 

瞬間、丸い何かから人影が何かを取り出し、それと同時にその丸い何かと人影が戦車級の群れに飛んだ。

 

 

 

「秘技!!十二王方牌!!ハロビット大車併ィィィィィ!!!!」

 

「オラオラオラァ!!挽き肉になりたいのからかかってこいやぁ!!」

 

まさに独壇場である。

そうとしか形容できない。

ついさっきまでの私の苦悩を返せと言いたくなる。

丸い何かから取り出されたのは目を疑うほど大きなガトリング砲で、さらにそれを片手で取り扱うのは白い見た事もない衛士強化装備を身につけた人物。

いや、衛士強化装備なのかすらわからない。

今や過去の遺物となった航空機乗りが身につけるような物を大型化したようなヘルメット。

防護膜の見受けられない、整備員のツナギのようなジャケットの様な服。

どこからどう見ても自分の知っているものとは一線を画している。

顔はわからない。

ヘルメットのバイザーが遮っているからだ。

声でなんとか男とわかる。

それよりも目を引くものは、人の顔程度の大きさしかない丸い何か。

丸い何かは丸い何かで奇声を上げつつ、自分の体からそっくりな小さい人形を射出し、あっという間に周囲の戦車級を穴だらけにしていく。

戦車級も手を伸ばし口を開け、何とかして襲いかかる者を鎮圧しようとしているのは見える。だが………

 

「虫歯発見ンンンン!!!!」

 

と雄叫びを上げつつ丸い何かが戦車級の口からその恐怖の象徴たる歯を引っこ抜く。

 

「はーい歯の治療をしましょうね。あ、ちょっと穴がありますね。削っときましょう」

 

男の方も男の方でガトリングの銃身を歯に当てて動かし、耳障りな甲高い音と共に戦車級の歯を文字通り削っていく。

 

もう何が何だか分からなかった。

もしかしなくてもこれは自分の見てる幸せな夢で、実際の自分は戦車級に食べられた後なんじゃないかと思った。

頬を抓る。

痛い。夢じゃない。

現実だ。

 

しかしあまりにも理不尽だ。

 

理不尽すぎる。

 

あ、男が上総を助け出した。

俗に言うお姫様だっことかいう体制で。

あ、上総の顔が赤い。

というか、ちょっと羨ましく思ってしまった。

 

で、丸い何かはまだ暴れまわっている。

 

何故かBETA共が我先にと逃げようとしているようにも思えるがきっと錯覚だろう。

 

そう、思いたい。

 

……というか、ああ、もう………

 

「……もう、諦めても、いいよね……」

 

あ、何気なく顔を見上げてみたら視界の向こうに父様と母様がいる。

二人が何か言っている。

その顔はこれ以上無い程に笑顔だ。

……え?頑張り過ぎは体に毒?そろそろ肩の力を抜きなさい?

……そうさせて頂きます。おやすみなさい。

 

そう心の中でつぶやいてから、私は気を失った。

 

 

 

 

「アムロ。気ヲ失ッテルゾアノ子」

 

「でしょうね」

 

「ほ、本当に大丈夫なのですか?」

 

「大丈夫大丈夫」

 

言いながら群がってくる戦車級と白いハグキノコヘッドを相棒に任せて走る。

丁度ホールみたいな感じになっているのが幸いだ。

ど真ん中なら呼び出しても大丈夫だろ。

そう考えつつ、即座に抱えてる女の子をお姫様抱っこから荷物を抱えるように腰に抱えると、すれ違いざま黄色いスーツを着た子を反対側に抱える。

この間僅かに5秒。我ながら好ペースである。

そのままホールの真ん中まで着くと、即座に相棒を呼び戻す。

というか、いまだに増え続けてるからな連中。

その内ホールが飽和するぞこのペースだと。

 

「……ま、その前に脱出するけどね」

 

ポツリと呟くと同時に大きな穴があく。

丁度俺らの足元がど真ん中。

大きさは直径……いくらだ?良くわからん。MS1体分だな。うん。

 

…はい。もう分かってる人は分かりますよね。ここまで好き放題してるんだから。

 

じゃ、落ちまーす。

 

「「イィィィィィヤッホォオォォォォォォォイ!!」」

 

「いやあああああああああああああ!?」

 

抱えてる女の子が叫び声を上げる。ま、そりゃあそうか。

それでも直ぐ下にそれがあったからそんなに落ちなかったんだけどね。

 

「よっほっと」

 

ちょうど頭のとこに着地できたので、肩、胸、腰を経由してコックピットに滑り込む。

無論、先に小脇に抱えていた女の子を放りこむのを忘れずに。

あ、白い子は足を怪我してるの忘れてたよ。

まあ、予めクッション敷いてたから大丈夫だろう。……人だけどな。

 

「っ!?い、和泉さん!?無事でしたの!?」

 

「えへへ…ど、どうも~って、二人共大丈夫!?唯依は気絶してるし山城さんは怪我してるし「黙ってな」っ!?」

 

「喚いてる状態じゃないだろう。そこにサイドシートあるから引き出してそこ座りな。邪魔。あと、この黄色い子……唯依って言ったっけ?抱えてて。あと相棒は定位置嵌ったら包帯出せ。無論ある程度切った上でな」

 

「アエテ短クシテエロイ感ジニ!!」

 

「ただ包帯巻くだけなのにどないせぇと!?ったく……ほらほらボーッとしない」

 

「あ、はい。えっと…これですか?「そうそれ」あ、本当に椅子になった…それじゃちょっと失礼して…」

 

おっかなびっくりだけどキチンと座ってくれたようだ。あとは黄色い子―――唯依を抱えさせて、シートベルトしてっと……

 

「んじゃ、君こうね」

 

「え?!あ、あの!?おおお重くありませんか!?」

 

「? いや全然?むしろ軽い。ウチの姉よりかは」

 

何言ってんだ?ただ単に以前刹那にやったみたいに横に抱えただけだからそりゃ人一人分の重さは来ようよ。

 

「鈍感乙」

 

「なに言ってんの相棒?」

 

言いながら機体を動かす。

すると後ろと抱えてる前からこんな言葉が。

 

「え!?網膜投写じゃないの!?」

 

「こ、こんなに鮮明に外の景色が見れるなんて…」

 

「? まあ、比較的新しいパーツ使ってるから確かに解像度は良かろうよ」

 

言ってからGNフィールド展開してゆっくりと穴の上まで機体を上昇させつつ頭部バルカンで正面の戦車級を蜂の巣に。

……あ。ぶら下げてるのが1個穴の淵にあたってちょっとひしゃげた。

ま、角が折れた程度だから大丈夫か。

チラッと中の状態をチェック。

……うん。形容できないな、これは。

一瞬エイリアンの1シーンを思い出してしまった。

もう吐く物も出す物も無いだろうに…って、言っちゃダメだな。

 

「んじゃ、ちょっと動くぞ。キツくなったら言えな怪我人」

 

「け、怪我人……一応山城上総という名前があるのですが…」

 

「ん、わかった。では山城と呼ばせてもらう。しっかり掴まっていろ」

 

「は、はい…」

 

そういったのを確認次第でビームサーベルを展開して振り回す。

刀身が長すぎるからか壁も一緒に切ってしまっているが、どうせこの状況では建て替え確実だと思うので無視。むしろ作業が捗るだろ。解体の手間的な意味で。

 

しっかし…

 

「無駄に数が多いな…っと」

 

飛び掛ってきてもフィールドで焼かれるか弾かれるかなのでそこまで問題じゃないんだけど、流石にEN残量とか気になる。

せめて後1体でも良いから“囮”で救援来ないかなーなんて事を考えてしまう。

 

(…ん?オトリ?)

 

はて?とさっきまで食われていた機体に目を向ける。

もう殆ど原型は留めていないが……何故か連中はまだ機体を食べている。

 

「……あれ?おかしくね?」

 

「え?」

 

「ン、いや、こっちの話だ。気にするな」

 

思わず口に出てしまった。が考えてみると確かにおかしい。

なんであいつらあんなになった機体をいまだに食べてるんだ?

まるで使われてる材料がこのまま残しとくと勿体無いなって感じみたいに…?

 

 

 

「っ!オーゼさん!!上!!」

 

「っ!?何だ和泉……て、オーゼさん?」

 

突然の声に反射的に返しちゃったけど、なに?今の?ニックネームか?ニックネームなのか?

 

「あ、ダメでした?」

 

「いや、ダメではないが……」

 

もうちょっと良いの無かった?と言おうにも言えず。

だって今避けた頭上から今度は真っ青な差し刺ししいスマートな機体が下りてきたんだもの。

おいちゃんビックリっすよ?

 

「な、何あの戦術機…?不知火…?でも、あんなに刺々しくは…それにあの色…五大武家の……?」

 

「…何?センジュツキ?シラヌイ?ゴダイブケ?」

 

山城の呟きにそう返してから機体を見る。

凛々しい精悍な顔に睨みを効かせる二つの眼。

全身の差し刺ししい刃とその手の武器。

…うーん。“不知火”だと少し変な感じがするな。

俺はどうしても“大神”の方を思い浮かべてしまう。

 

なんてアホな事が考えついたかつかないかのところで、偶々その機体の頭部側面に型式番号の様な物があったので読んでみると、どうもこの機体は『零式 武御雷』と書いてある。

…武御雷?あの軍神の?

成程、確かにこの見た目からすれば、その名にふさわしい頼もしさというものが感じられる。

機体性能も今ぶら下げたりしてるこの機体とは比べ物にならなそうだ。

 

「っと…ボケボケしちゃらんないか」

 

言いつつダブルライフルで背後から来た戦車級と蛆モドキを吹き飛ばす。

そのままサーベル展開。

振り向きつつ周囲の雑魚を薙ぎ払う。

後ろの武御雷というのも中々の腕前だ。

全身から刃を展開し、その手に持った長刀とのコンビネーションをしつつ、回転切りなどといったモーションで確実に周囲の敵を切り刻んでいく。

負けじとこっちも左手にGNナイフ持って簡易的な二刀流。

フィールドを解除してアクロバット。そのまま刃を振り回す。

中の負担?無論考えてるよ?

ぶら下げてるのは知らんけど。

……大丈夫かな?今更ながら不安になった。

 

まあ、そのまま暫く暴れまわったわけだが。

 

 

2分後

 

「いい加減に不味いか!」

 

誰がって?無論ぶら下げているのが。

だってもう顔が土気色である。目が虚ろである。

赤い隊長は何とかそこで終わっているが、残りは全員吐瀉物垂れ流しである。下手すりゃ下も垂れ流しかもしれん。

……あ……………………イヤイヤ何も見とらんとですよ。

そしてコクピットの中の和泉と山城もそろそろ顔が青くなり始めている。

 

「…チッ。オイそこの武御雷とかいうののパイロット、聞こえるか!?」

 

『なんだ所属不明機!』

 

通信を入れて帰ってきたのは若い男の声。…なのだが。

 

(ん?)

 

なんかどっかで聞いたことあるような…無いような……いやでもやっぱりあるような………

 

『オイ!通信を入れてきた以上は反応しろ!』

 

「あ、はい」

 

うん。そりゃそうだな。向こうの言う通り。

ってことで考えるのは後だ。

 

「失礼した。見てくれれば分かるが、今こちらは何人かをぶら下げていてな。挙句操縦席にも3人ほど避難させている。このまま動き続けるとちょっと口に出すのがはばかれる状況になりかねん故に、先に離脱しても宜しいだろうか?」

 

『それは確かに大変だな!早急に下ろしてやらねば可哀想だ!!』

 

言いつつ暴れまわる青い武御雷。

……うん。何度聞いても声に聞き覚えが…動きもなんか覚えが……ま、いいか。

そう考えると同時に向こうは動きを止めてこちらを見た。まるで睨まれているような気がするが気のせいだろう。

 

『では、着いてこい。現在我が軍は集積所に残存兵力を集めている。序でに言えば、私もそろそろ補給をしたかった所だ』

 

そう言いながらブースターを吹かし始めるタケミカヅチ。

成程。道案内がいれば安心だ。是非とも頼むとしよう。

 

「了解した。ではお先にどうぞ」

 

『言われずともそうさせて貰う。遅れるな』

 

「そっちがな!」

 

その言葉とほぼ同時に飛び上がる武御雷。

それを追うOガンダム。

突然の急上昇に和泉と山城は苦しそう。

その事に気付き、思わず謝罪してしまう。

 

「すまん。苦しいか?」

 

「い、いえ…」

 

「こ、このくらいならまだ適正試験よりはマシですし…」

 

「分かった」

 

『フェミニストめ』

 

「黙れ」

 

いきなり聞こえた茶化す声に反射的にそう返した。が。

 

「お、オーゼさん!!相手は五大武家のお方ですわよ!!そんな失礼な言葉遣いは『よい』っ!!」

 

『そも、我はその様に区切られるのが嫌いだ。一々言葉遣いを注意するなどメンド……みみっちいからな。故にそなたらももうちょっと砕けた感じで喋るが良い。咎めぬ』

 

「「は、はぁ…」」

 

ほう。中々わかる奴だな。思考がなんか俺によく似ているが。途中でメンドイとか言いそうになったし。

…たださぁ……

 

「…1つ聞いて良いかね」

 

『ああ、かまわん』

 

「では……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前さん、その言葉使い慣れとらんね?普段はもうちょっと汚いだろ。にじみ出ているぞ」

 

『ブフォッ!?』

 

あ、吹いた。バランス崩した。図星か。

 

「図星か貴様。みみっちぃなんて言葉を使う辺りそうだとは思っていたが」

 

『な、なななな何を言う早見優!?』

 

「オイコラ何年前のギャグ使っとるのだ」

 

それ、少なくとも俺が生まれる役300年くらい前のギャグだろう。

なんで知っとる。

 

『仕方ないだろう!!わが大叔父と師がしょっちゅう使うのだ!!いつの間にか移ってしまったわ!!』

 

「それが素か」

 

『いや実はもうちょっと汚い」

 

「マジか」

 

『マジだ』

 

「……意味解って言ってるか?」

 

『アホ。“マジ”という言葉は江戸時代からあるだろう。モノを知らんのか貴様』

 

「初めて知ったぞ……」

 

『マジか』

 

んー……やっぱり聞き覚えが…ただ、なんか話し易いな。まるで自分と話してるみたいだ。

 

「へ、平然と話せてる……」

 

「お、オーゼさん。色々な意味で尊敬してしまいますわ…」

 

「この距離で聞こえてないとか思うなよ貴様ら」

 

「「ご、ごめんなさい…」」

 

『楽しい連中だな…というか、謝る程の内容なのか…』

 

気分的な物だと言うと苦笑された。失礼な。

 

 

 

 

 

数分後

 

『着いたぞ』

 

「どうも」

 

『何、構わんさ』

 

しっかりと目的地の集積所とやらに到着。

簡易テントがそこらじゅうにあるな…というか、よくも襲われないものだ…

 

って。

 

「お、さっきの子達かな?」

 

「あ、安芸!志摩子!」

 

「二人共、無事だったんだ!よかった…」

 

さっき見たあの白い機体のパイロット達がこちらに駆けてきたのが見えた。

和泉のシートベルトを外し、唯依を抱き寄せる。その際、山城を反対側に少し寄せておく。

 

「え…?」

 

「どうした?友達なのだろう?顔を見せて無事な事を教えてやれ。着地まであと少しかかるからな」

 

そう言ってやると一瞬で笑顔になってからハッチの外へと顔を出した。

現金な子である。

苦笑いしながら機体制御を行う。

 

「嘘コケ。全部オイラヤットル。ラッキースケベメ」

 

「馬鹿言ってんじゃない。どこもスケベな所は触っとらん。本音を言え」

 

「揉マセロ」

 

「黙れポンコツボール!!」

 

なるべく無理のない様に二人の位置を相棒から遠ざける。

っておい手を伸ばすな。気絶してる唯依はともかく、山城が怯えとる。

 

 

 

 

 

 

 

「…面白い奴だな。あの所属不明機の衛士は」

 

通信から聞こえてくるそんな声にそう呟いて、武御雷から降りる。

すると、自分の副官がこちらへと駆け寄って来たのが見えた。溜息を吐きながら対応する。

 

「…なんだ橋本か。一体どうした」

 

「なんだではありません!!仮にも五大武家の嫡男たる貴方様がアッサリと護衛もつけずに出撃しないでいただきたい!!何かあったらどうするのですか!?」

 

「海外にガキ作っていまだに顔を見せに行けない男がほざいてんじゃない。そもそも、俺が拾わなかったら橋本家は不貞を働いたとしてお家取り潰しになってたんだ。その恩を返すと思ってコレくらいは目を瞑れ」

 

「しかしですね!私にはあなたの妹君からコレでもかと言う程念を押されているのです!その上で貴方様に何かあったら、お家取り潰しでは済まない事になります!」

 

「なれようっさい。最悪アメリカにでも亡命してしまえ。もう直ぐ二十なのだろうお前の息子は。或いは身分隠して迎えに行ってこいや」

 

「十何年放置しておいて今更ですか!?……それに私は元々逃げ出した人間です。しかも2度も。……これ以上、逃げる訳にはいきません」

 

「じゃ、お前の嫁さん俺が貰うわ」

 

「それは勘弁してください!?」

 

そんな軽口を叩きながら俺は愛機を見上げる。

別に祖国に愛着なんぞはないが、折角の妹同然の従姉妹からの贈り物だ。大事にしてやらねば泣かれてしまう。それは面倒だ。

…そういえば、義理の妹のあの子は無事逃げ果せただろうか?自分より立場の上になったそれの姉の従姉妹もそれはそれで心配だが、あれは腹黒いから大丈夫だろう。むしろ実直にも程があるあれの方が心配だ。

一応月詠の人間が護衛しているらしいが……それでも武家だしなぁ…どうせ頭カッチカチの面白味のない奴だろうしなぁ…ああ、心配だ。

 

「…何をお考えですか?」

 

「ん?いや、これからの事を、な…」

 

「では、ちょうど良い案件が御座いますよ。紅蓮大将から、直々のお呼び出しです」

 

「…げ」

 

……ああ、ヤダヤダ…あの面白い髪型のオッサン、執念深すぎるだろ。また稽古かよ…

…逃げちゃおうかな?

 

「……だったら、ちょっとさっき救助した奴らの顔を見に行っていいか?それからでもよかろう?」

 

「……成るべくお早めにお願いしますね。“御剣 永久”様」

 

「嫌な部分強調するんじゃねえ。それにもう“御剣”じゃねぇ。“黒銀”だ。しかも明日からは五大武家の人間じゃなくなるんだから、少しはハメ外してもよかろう」

 

「良きゃねーでしょう。言いたかありませんが、つくづくあんたアホですか?」

 

「うっせ」

 

言いながら歩き始める…と。これはこれは……

 

「…おう、見ろよ橋本。朝日だぜ」

 

「おや、本当ですな…皮肉なくらい、澄み切っておりますな」

 

「皮肉なくらい?馬鹿たれ。違げーよ」

 

言って自分の眼差しが鋭くなるのを、俺は自覚した。

こういうガキっぽいのは、何時か直さねばと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…これは皮肉さ。地球其の物から、俺達に対するな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会話知る由もなく着地が完了すると同時に以前刹那を運び出した容量で結衣と山城を運び出し、近くの医療テントの簡易ベッドに寝かせる。

そのまま相棒共々簡易ベッドの隣に腰を下ろした。

疲れたのである。当たり前ながら両手に女の子抱えてあそこから降りてここまで来たのだ。疲労は以前の2倍と言っても過言ではない。

序でに言えば相棒は腕を伸ばしてリフトの代わりになった事もあり、自分の腕をいたわっている。

ああ、メットを取りたい…が、まだ無理かな。

何が起こるか分からん。

 

「…でも眠い」

 

「右ニ同ジク」

 

「いえ、できればもう少し起きていて欲しいのですが…」

 

いや無理だって。

いきなり訳のわからん状況に叩き込まれてそのまま数時間ずっと戦闘とか……

あ、ぶら下げてたのからパイロットが運び出されていく。

ちょっと形容し難い状況に陥っているが、殆ど自業自得だから気にしなーい…

 

あ、太陽が登ってきた。黄色い。どうやら夜が明けたらしい。太陽光が目にしみる。

 

眠れん。

 

「…うごー…」

 

「ネミー……」

 

「「……☆GOODNIGHT☆(;д;)」」

 

「ダメですって」

 

そんなやり取りをしている最中だった。

 

 

 

 

「ぅ……ん…」

 

そんな声が、聞こえた。

 

 

 

気がつけば、医療テントの中の簡易ベッドの上だった。

頭の中がボンヤリとしていて、イマイチ状況がわからない。

ただ、目の前に映った白い布でできた天井が、集積所の簡易テントの中だということを物語っていた。

 

(…う…?)

 

上体を起こして周囲を見渡す。

せかせかと動く医療班の人間や他の仲間達がテントの入口から見え――――――

 

(……あ…?)

 

―――その向こうに、箱のようなトリコロールカラーの戦術機が見える。

 

瞬間、フラッシュバックが起こった。

 

―――光線級のレーザーに撃たれかけた志摩子。

 

―――死の8分を乗り越えた直後に要撃級に殺されかけた安芸。

 

―――自分達の為に、半壊した不知火・壱型丙でBETAに立ち向かった真田大尉。

 

―――京都駅に不時着した自分。

 

―――戦車級に食われかけた上総。

 

 

 

――――――その時自分達を助けてくれたあの所属不明の戦術機。

 

――――――白い男と丸い何か。

 

 

 

瞬間、ハッとして周囲を見渡した。

あの後、どうなったのだろう?

そんな思いに動かされた。

皆は一体何処――――――

 

「―――篁さん。こっちよ」

 

――――――そんな声が、聞こえた。

聞こえて、くれた。

目を向ければ、頭と足に包帯を巻かれてはいるが、それ以外には擦り傷以外どこも欠損した様子のない友の姿――――――

 

 

「zzzzzzzzzzzz……」

「グオー………」

 

――――――と、その直ぐ足元で寝息を立てる白いヘルメットと服を着た人物と丸い白い何か。

 

思わず固まった。

ついで震えて………

 

「……ハァァァァァァァァァ!!!!!?????」

 

「キャッ!?」

 

「……ん?」

 

「……ムニョ?」

 

叫んだ。

 

その瞬間だった。

 

 

 

 

「――――――あれ?」

 

「――――――あら?」

 

“其処には誰も居なかった”。

文字通りに。

ハッとして外を見れば、あのトリコロールの機体も“存在していなかった”。

 

「え…ええ?い、一体何が…?」

 

「わ、私にも何がなんだか……お、オーゼさーん?どこに行ったのですかー?」

 

「お、オーゼ?」

 

…なんだそのへんな名前は?実名なのだろうか?でも日本語はすごく流暢だったし…やっぱり偽名?

 

そんな取り留めもない事を考えている最中だった。

 

 

「…ん?なんだ?アイツら帰ってしまったのか?」

 

テントの入口からそんな声。

顔を向ければ、其処には五大武家の証である青を纏った一人の衛士の姿。

その姿に思わず敬礼しようとして―――

 

「いらん」

 

そう言って手を翳した。

呆気に取られる私達を尻目に、彼は淡々と喋りだす。

 

 

「まずはこれだけ言わせて貰おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――ようこそ地獄へ」

 

その声は、あの白い服の男―――オーゼと全く同じだった。

 

 

 

これが、私、“篁 唯依”の始まり。

 

そしてこれからたったの2年後に繰り広げられる、

 

“とっても巫山戯たバカ話”

 

の、最初の最初の下準備という“プロローグのプロローグ”。

 

でもこの続きはまた今度。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――で、起きたらなんじゃこの状況?」

 

目を覚ましたら、布団の中の目の前に全裸の姉さん。

俺は普通にパジャマ姿。

 

「……」

 

右向きゃ空き瓶に埋もれた相棒。

左向きゃカメラ構えた体制のまま爆睡する師匠。

 

「………」

 

周りを見渡しゃ出歯亀しようとしてそのまま沈んだのであろう兄さん(一人姉さん混ざってるが)方の姿。

窓から外見りゃ爽やかな朝日。

 

「………」

 

静かに寝床を出て朝ごはんの支度。

無論全裸の姉さんにはキチンと毛布をかけ、それ以外は一箇所に纏めてから毛布をかける。

 

「…………」

 

ゴミを纏めてゴミ袋にブッ込み、そのまま外の集積所に置いてくる。

で、ある程度諸々の家事が終わった上で拡声器を片手に持って一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……ぉ起きろこのスットコドッコイ共がァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

それにしても変な夢だったなぁ…エライリアルな夢だった。

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