Fate/Hentai Order   作:「旗戦士」

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第一節: 変態、冬木に立つ

<カルデア>

 

日本。

世界有数の経済大国として名を馳せるこの国には、ある文化が根付いていた。

それは魔術。遠坂、間桐、そしてアインツベルンの御三家が集結するこの国では、"聖杯戦争"というものが行われていた。2015年、人理継続保証機関"カルデア"によって収集された多くの魔術師がいた。理由は2016年に起こる大崩壊に向けて、魔術師の力を結束し回避をしようというもの。そして、僕も呼び出されたその一人だった。

 

「僕はこの数年間、エロエロな女性サーヴァントを召喚して童貞卒業をするという試みをしてきた。晴れてカルデアにもマスター候補として呼ばれ、ウキウキしてた矢先になんかカルデアの機械が暴走して昔の冬木市に行くことになってしまった」

「先輩、何ブツブツ言ってるんですか」

「マシュのマシュマロおっぱいを食べたいと言ってたんだよ。だからその盾で後頭部殴るのは止めて? 」

「盾の先で突いた方がいいですかね、フォウさん」

「フォウ、フォウフォ(どてっ腹はいけねぇ。脾臓だ脾臓)」

「なんかクッソ物騒な事言ってない? 」

 

とりあえず冬木市に降り立ったはいいけど辺り一面焼け野原過ぎてぶったまげた。初心者マスターに課す仕事じゃないし、いきなり超展開過ぎないだろうか。僕を励ますように、青いフードを被った男性サーヴァント、クーフーリンが僕の肩を叩いた。

「まあそんな辛気臭い顔すんなよ、坊主。俺が必ず家に連れて帰ってやっから」

「ありがとうキャスニキ……。でも僕兄貴より兄貴の師匠に会いたいんだよね」

「師匠にぃ? やめとけ、おっかねぇぞ」

「性的な意味でおっかないおっぱいしてる筈だから」

「絶対会わせたくねぇ」

 

閑話休題。焼け野原の間を駆けていると、突然僕の頭に男性の声が響いてくる。この声の主はカルデアで医療顧問を務めるロマニ・アーキマン、通称ドクターロマンという青年であった。

『やぁ、ぐだ男くん。そっちはどうだい? 』

「いきなりクライマックスな場所に来させないでくださいよ。どう見てもこれラストダンジョンレベルの崩壊っぷりじゃないですかコレ」

『ごめんごめん。マシュの方はどうかな? 』

「異常な……すいません、今見つけました。私の胸を揉んでるマスターです」

「揉んでるんじゃない、揉みしだいているんだ」

「ブチ殺すぞクソ先輩」

「さんを付けろよデコ助後輩! 」

 

マシュからの一撃が最近気持ち良く感じれてきた。僕もそろそろあっちの領域まで達せそうかもしれない。そんなこんなで僕達三人は比較的安全な場所で野営をする事になり、火の手が回っていない公園でテントを広げた。

「なあマスターよぉ、そろそろ英霊召喚でもしてみたらどうだ? 戦力増強の為にも、必要だと俺は思うがな」

「そうだね……。ちょうど手元に虹色の綺麗な石が6つもある。一個ケツに入れてみたけど、ちょうど良い感じにフィットした」

「お前化物? 」

サーヴァントに化物と言われましても……。困惑したまま僕は先程設置した携帯用召喚陣を展開し、3つの聖晶石をその中へ投げ込む。即座に召喚陣が起動し、六つの光球が円を作り出した。しばらくして光の柱が陣の中心に現れ、その奥から背丈の高い男性が現れる。

「おやおや、これはこれは奇遇ですな。デュフフフフフ。黒髭、参上ですぞ。緑は敵ですぞ」

「なんだよこの黒ひげムックはっ!? しかもなんか聞いた事ある口調してるし! 」

「お、辛辣ゥー! でもマスターからは何故か気の合う感じがしますぞい」

「僕は巨乳のお姉さんか可愛い貧乳ロリっ子を召喚したかったんだ!! 畜生っ! これが人間のやることかよぉぉっ!! 」

 

地面に膝を着き、拳を叩きつける僕。無論の事マシュから養豚場の豚を見るような悲し気な視線を浴び、黒髭ことエドワード・ティーチは優しく僕の肩を叩いた。

「大丈夫でござるよ……。まずはこの本を読むべし」

「なにこれ? …………ねぇ、ティーチって言ったよね……」

「そうですぞ。さて、感想をお聞き願えるかな? 」

「今すぐメデューサさんを召喚したくなった」

「ごめんなさい、クーフーリンさん。今すぐ先輩を殴らないと止まらない気がするんです」

「嬢ちゃん、流石に盾の先で突き刺すのはNGだと思うぞ」

マシュの明確な殺意を感じ取る。これが漆黒の意思というやつか……。気を取り直してもう一度僕は召喚陣を起動し、聖晶石を投げ込んだ。

「サーヴァント・アーチャー、エミヤ。召喚に応じ参上した」

「また男かよぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 」

 

「まあまあ。ここに眼鏡後輩ドスケベ系ヒロインがいるじゃないですかぐた男氏ー。あとマシュ氏は盾で突くのやめてほちぃ」

「止めるなぁぁぁぁぁぁ!! 」

「ちょっとタンマ! マジで座に還るから!! 」

黒髭がマシュにボコボコにされているのは気にしない。なんか今後よく見る風景になりそうだしね。おもむろに僕は召喚できるサーヴァントの一覧を見ると、黒髭が聖晶石から召喚されるサーヴァントではないらしい。隣に立っていたアーチャーの視線が僕を憐れむようなものに変わっていることは気にしない。

「ようアーチャー。男だらけのところに召喚されちまったな」

「構わないさ。むしろ女性だらけのところに召喚されたら私は死ぬ」

「あー……それは言えてる」

なんだこのリア充の会話は。黒髭なんてマシュに盾で殴られすぎて顔の原型が留めていないのに……。僕は霊基が消えかけているティーチに肩を貸し、魔術による応急処置を施した。マシュももう少し手加減してあげたらいいのに……。

「大丈夫か同志ティーチ。このイケメン共は放っておいて僕たちでこのオーダーをクリアしてしまおう」

「そうですな……。でも拙者、マシュ氏に殴られてかなり悦に入ってたでござる」

「テメェこの野郎! 召喚されて早々ご褒美貰ってんじゃねぇ! 」

「童貞には出来ない所業ですぞ」

僕はティーチに自害を命じた。

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<特異点F・最終地点>

 

ティーチが令呪に対してすさまじい耐性を見せるのでとりあえず助走をつけて殴り、僕らは地下洞窟を抜けて聖杯のある場所へたどり着く。僕らに課されたオーダーは特異点の中に悪用された聖杯を取り戻し、歴史を元ある形に修正すること。その道中、女性のサーヴァントが敵対してきたが僕とティーチによる超絶技巧セクハラアタックでどうにか撃退することができた。

「遂にたどり着いたね……苦しくも悲しい戦いだった」

「敵対したサーヴァントが漏れなく憎しみに満ち溢れた顔で座に還っていったがな……」

 

「うるせぇぞエロゲ主人公! 童貞の気持ちが貴様らに分かるのか!! 」

「いや、女は自分で惚れさせるものだろ……」

イケメンの正論により僕の戦意は喪失される。そんなことができたら僕は今頃マシュをイチャイチャしてる頃なんだよ!!!

「先輩、今変なこと考えてませんか? 」

「マシュのタイツを被って香りを楽しみたい」

「あ、分かるー。足のところが臭かったらなお良し」

「止せ嬢ちゃん!! 今こいつを殺したら俺らいなくなっちまうぞ!! 」

段々黒髭の言っていた事がわかってきたかもしれない。頭から大量の血液が流れ、僕の顔は血塗れたものとなりこの場にいた全員の表情が青ざめる。まあこの程度僕にとっては全然問題ないので無視して先に進むことにしよう。

「……マスター、構えろ。何か気配を感じる」

「そうだねアーチャー。僕も美少女の波動を感じるよ」

「いやそうじゃないんだが」

 

崩壊した冬木市の奥にあったのは巨大なクレーター。既に周囲に都市のような影は無く、まるで地球ではない所に来たような雰囲気に僕たち全員の空気が張り詰める。そしてその先に立っていたのは、黒く禍々しい甲冑を身に纏った金髪の少女だった。

「見てアーチャー! 僕の予想当たった! 絶対あの娘ア〇ル弱いよ! 」

「やめろ! 彼女のア〇ルは普通だ! 」

「お前なんで知ってんだよ」

「あっ」

 

あとでアーチャーは殴る。そうしないと気が済まない。黒騎士の美少女はすごく微妙な表情を浮かべながら手にしていた両刃剣を構える。でもなんだかあの目線は興奮するな。

「…………えーと、あの。そろそろいいか」

「あ、ごめんね女騎士さん。あとでこの赤い服を着た男が土下座するんで」

「なんでさ! 」

アーチャーの隣に黒髭が立ちふさがり、彼の肩を掴んだ。

「うるさいでござる! 御用改めろクソエロゲ主人公! 」

「待て待て! 仲間割れしている場合か! マシュ、ランサー! 助けてくれ! 」

「エミヤさん最低です」

「お前そういう奴だったかー、ないわー」

 

膝を地面に着いて落ち込むアーチャーを見て、正直な話僕は彼が可哀そうに思えてしまう。あとでアーチャーにはごく普通の主人公が魔法の戦いに巻き込まれてハーレムを形成するエロゲを渡そう。

気を取り直して黒騎士と対面すると僕はまずキャスターの兄貴の攻撃力を魔法によって上げ、僕は黒髭と彼に攻撃の指示を送った。

「アンサス! 」

「ぐっ……! やるな……! 」

「隙有りですぞ~」

 

さすが黒髭、自身の変態性も相まって黒騎士――セイバー・オルタと死闘を繰り広げている。落ち込んでいるアーチャーを励まし、なんとか戦闘に参加させたが、この後彼に更なる悲劇が襲った。

「貴様らが仲間を率いるのなら、こちらも召喚するまで。出でよ! 」

セイバー・オルタがそう言い放った瞬間、巨大な弓を携えた黒い髪のツインテールの少女と、黒いチューブトップを纏った紫の長髪の女性が現れる。そしてエミヤの顔が真剣なものから引き攣ったものへと変わり、僕は彼の顔を見上げた。

 

「なっ……」

「見ろよアーチャー! またア〇ル弱そうな女の人が出てきたぞ! 」

「止せ! 彼女たちの穴は硬い! 」

「だからなんで知ってんだよ」

「あぁぁぁぁぁぁ!! しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 

もう完全にコイツは戦力外通告だ。そうしないと僕の気が収まらない。でもあの子たちが下の方で緩いというギャップを知ったので正直僕の息子も収まっていない。

 

「先輩! こんな時に何やってるんですか! 」

「ごめんマシュ! でも文句はアーチャーに言ってくれ! 行くぞ黒髭! 今こそ僕たちの友情コンボを見せつける時だ! 」

「任された! 行くでありますぞマスター! 」

 

そう言うと黒髭は僕の両脚を掴んで持ち上げ、肩車の要領で僕の身体を構える。いきり立ったマイサンがこいつの後頭部に当たっているのが非常に不快だが、この状況ではどうとも言ってられない。

「えっちょっ何それ」

「さあ行くぞ! 美少女たち! 僕の流星一条を食らえぃい!! 」

先ほどの威厳はどこへやら、素で引いた反応を見せるセイバー・オルタ。少し寂しい部分もあるが、僕の身体は黒髭によって投擲させられる。

股間部分から急激な魔力爆発を発し、セイバー・オルタを除いた2人のサーヴァントは消滅した。

傷ついた彼女だけが残り、僕は膝を着く彼女の前に立ちはだかる。

 

「立てるかい? セイバー? 」

「私は敵だぞ……そんな奴に手を差し伸べるなどってきゃあああ!! なんで裸なんだ!!? 」

 

何を隠そう、今の僕は流星一条により着ていた魔術礼装が吹き飛び生まれたままの姿となっていた。だがやけに清々しいのは何だろう。

 

「いや待て! この景色を最後に座には還りたくない! あっ待ってちょっ――」

「……決まったな」

「嬢ちゃん……」

「何も言わないでください。今からこの人と一緒に人理を救うんですから」

 

もう一度言うが僕は全裸である。要はケツ丸出しでこの戦いを乗り切ったわけだ。他のサーヴァントたちから向けられる視線がやけに突き刺さるが、僕は気にしない。というか黒髭はいい笑顔してやがる。

そんなこんなで僕は全裸の状態からキャスターの魔法によって股間だけ隠され、聖杯が設置されたとされる場所へと向かう。

「やあ、諸君。よく来たなってなんで一人半裸なんだ」

「レフ教授! 生きてたんですね! 」

「いやそうだけど今自分の状況を見てみような? 半裸だぞ? はっぱ隊と同じだぞ」

 

人生葉っぱ隊とは言い得て妙である。話を聞くにこのレフ・ライノール教授が2016年以降の人理を破壊した張本人らしく、黒幕っぽい感じで待っていたら半裸の僕が立っていた、という事になるらしい。

まあ申し訳ないけどこれが僕のスタイルなんだよね。

 

「貴様……なぜこんなことを! 」

「あっ、そこは普通にするんだ……。ふ、フハハハハハ! 人類というのは等しく愚かなものだ。それを見ている神は――破壊するしかあるまい? 」

「じゃあここにあるレフ教授秘密の日記を……」

「どこから持ち出してきた!! ってかやりづれえなオイ!! 」

 

やけに厳重に仕舞われていたのでこっそり持ち出してきました。早速開いてみるとそこにはまあひどい内容が書かれている。マシュのスリーサイズの成長過程だの、自分好みの性格にしただの……。

 

「何が書かれてるんですか? 見せてください先輩」

「……うん、これはマシュが見ちゃいけないものだね」

「えっなんでですか? 気になるんですけど」

「どわーっ!! 手が滑って日記が燃えてしまったぁぁぁ!! 」

 

迫真とも呼べる演技で日記を燃やすレフ教授。マシュ、この世には知らなくてもいい事実があるんだ。それを守っただけ僕もえらいと思う。

「くそう! ここは一時撤退だ! 覚えておけよ貴様らー!! 」

「物凄く3流な捨て台詞を残して消えたでござるな」

 

聖杯も手にし、この空間を保っていた魔力が崩壊し始めたのか周囲のクレーターから地割れが起こった。その時、通信が遮断されていたロマンからの声が聞こえ、僕はそれに応答する。

『ぐだおくん! マシュ! みんな! ようやく通信がつながったよ、今すぐそこから脱出してくれ! 』

「言われなくてもしてやりますぜ! 早く転送してえええ!! 」

『飛べよおおおおおお!! 』

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<カルデア・転送ターミナル>

 

 

 冬木での戦いを経て、僕たちはようやく元の場所へと帰ってきた。転送された先には人理焼却から生き残ったカルデアのスタッフたちとロマン、それにダヴィンチちゃんが僕らを迎える。

 

「ぐ、ぐだおくん!? なんで裸なの!? 早く服着てよ! 女の子もいるんだから! 」

「死闘の末にこうなりました。な、黒髭」

「ですぞですぞ。というか拙者たちもここに来ちゃったんでありますな」

 

どうやら一度召喚を行ったサーヴァントは僕に仕える者としてカルデアスに記録されているらしく、先ほど泣きそうになっていたエミヤと共に戦ってくれたキャスターの兄貴もこの場に立っていた。ダヴィンチちゃんから替えの服を渡されて腕を通すと、再び布に僕の身体が抑えつけられる。

 

「ひとまずお疲れ様、みんな。後の処理は僕たちがやっておくから、みんなは休んでいてくれ。今回召喚されたサーヴァントたちは部屋に案内するよ」

「……助かる。今は一人になりたい」

「あとで酒でも飲もうぜ、アーチャー」

 

ようやく得る事のできた安心感に僕の身体は疲労を覚え、一気に倦怠感が僕を襲う。マシュに身体を支えられながら部屋まで歩くと、彼女が何か気づいたらしい。

 

「先輩、そういえば所長はどうしたんです? 」

「……………あっ」

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<時空の狭間>

 

「どこなのよ~!! ここは~!!? 」

 

白一色の空間に、閉じ込められる少女が一人。美しい銀髪を携え、黒とオレンジのブレザーを羽織った彼女の名は、オルガマリー・アムニスフィアと言った。

突然起こったカルデアスの暴走により施設が崩壊し、彼女もその爆発に巻き込まれて死亡した……はずだったのだが、何故かオルガマリーはこの白い区画に身体を落ち着けている。

 

「えっちょっマジで!? 本当なら私あのマスター候補とマシュと一緒に冬木にいるはずじゃない!! なんで存在忘れられてんの!? 冗談じゃないわよ! 出しなさいよ! サーヴァント化してもいいから出しなさいよ! 」

 

彼女は地面にへなへなと座り込んだ。

 

「うわ~ん!! 助けてよ! ロマニ、レフ、みんなぁ~!! 」




「ぐすん……誰もいなくなっちゃった……またあの時みたく独りぼっちに……」
「む。確か私はあの全裸の変態に打倒されて……」

「えっ!? 人!? それにセイバー!? 」
「誰だお前は。何を泣いている」

「わぁーい!! 私の他に生き残りがいたわぁー!! 」
「いや二人とも死んだぞ。私の場合は座に還っただけだが」

「えっ死んだの私? 」

というわけであとがきには所長と物語で消滅した鯖を絡ませる小話になります。
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