「なにわろてんねん静謐(瀕死)」
今日のぐだ男:鼻から毒を大リバース
<フランス>
「すごーいドラゴンだ見て見てマシュ! マジで火吐いてくる! 」
「言ってる場合ですか先輩! すでにアフロになっててひどい状態ですよ! 」
「全裸になってない辺りまだ温情あるよあの子」
最近になってエネミーの気持ちが汲み取れるようになってきた。
目の前の馬鹿でかいドラゴンは相変わらず僕たちに殺意を向けてるんだけど、まあそこはモンスターなので仕方ない。
「と、とにかく走って! このままじゃ私達全員やられてしまいます! 」
「自立飛行人型物体グダオにトランスフォームしたら逃げきれるかもね」
「あ、やっぱこのままドラゴンに燃やされた方が良いかもしれせん」
どんだけ僕のチン〇プターが嫌なんだろうジャンヌは。
ドラゴンに負ける僕のマイサンが可哀そうでしょうがない。
そんな時、宝具を展開したマリーとアストルフォくんが僕らの隣を滑空する。
「ジャンヌ! 皆さん! こちらへ乗って! 」
「こっちも空いてるよ! ヒポグリフなら3人いけるはず! 」
まるで椅子取りゲームのようにマシュとジャンヌ、それにアルトリアと清姫が二人の宝具の背中へと乗った。
小次郎とエミヤは既に霊体化し、クーフーリンの兄貴は自身のルーンを使用して姿を潜める。
地上に取り残されたのは僕と黒髭、それにアマデウス。
「なんか予想はしてたけどやっぱ残されたね……」
「落ち着いてる場合でござるかマスタァーッ!? 今にもトカゲモドキが迫ってきてますぞォ!? 」
「むむっ! ここは一つ、僕の音楽を聞かせようじゃないか! 」
「さ、流石天才音楽家のモーツァルトなだけある……でもここにゃ楽器なんてないですぞ! 」
「いや、まだケツがあるッ! 僕のドラムを聞けえェェェぃ!! 」
「み、妙につるつるなのが腹立つ……」
「いやそこォ!? 早くズボン穿きなさいこのアホ! 」
妙に優しい黒髭に抱えられながら僕らは必死に迫り来る巨大トカゲから離れようと逃げ惑う。
そこで妙案を思いついた僕はさっそく黒タイツの中に仕舞っていたスケッチブックを取り出して絵を描き始めた。
「こんな状況で何してるんですかマスター! そんな元気あるなら走ってちょ! 」
「いやあでも人間うんこしたい時ほど神経張り巡らされるって言うじゃん。それと一緒だよ」
「あ、それ分かるかも。僕は結果的に漏らしたけど」
「きったねえな天才」
吐かれた炎を間一髪で避ける黒髭に、出来上がった絵を見せる。
「どう黒髭? 題して穴があったら入りたい作戦」
「拙者桃白白が投げた柱みたいになってない? ってかアマデウス氏どうすんの? 」
「……悪ぃアマデウス、この作戦一人用なんだ☆」
「ぶっ殺すぞテメェ」
器用にもアマデウスは黒髭に抱えられたまま僕の胸倉を掴んだ。
このセリフをまさか使うときが来るとは思わなかったけど出来ればアマデウス自身に言ってほしかった、声的に。
「マジでどうすんのマスター!? このままじゃ全員バーベキューですぞ!? 」
「仕方ない、やはり僕がトランスフォームして竜殺しとやらの騎士様を見つけようじゃないか。幸い僕の飛行形態は二人まで載せられるよ」
「ほんと何者なのお前」
「変態です」
閑話休題。
一先ず僕は変形して二人を乗せ、なんとかドラゴンの魔の手から逃げ延びる。
その時、ドクターとダヴィンチちゃんからの通信が入り、僕は片手間に無線を起動した。
『大丈夫かぐだ……うわぁクッソ汚いもの見ちゃったよレオナルド』
『私はもう慣れてきたよ。とにかくあのトカゲから逃げ延びたようだね』
無理もない。
今の僕は全身にモザイクを掛けられても普通に貫通するレベルの汚さだ。
まだ黒タイツがあるおかげでなんとか難を逃れているが、全裸だったら普通に放送事故レベルだ。
「それで竜殺しの騎士っていうのはどこにいるの? この状態あと数時間しか持たないよ」
『いや数時間も持つのそれ? まあいいや、そこから北へ数キロ行くと騎士様が拠点にしてるお城がある筈だ。ひどい手傷を負っているようだから、なんとか治療してあげてね』
「合点承知の助! この特異点は僕に任せてくれて大丈夫だよダヴィンチちゃん! 帰ったら胸揉ませてね」
『中身おっさんだけどいいの? 』
いけるいける。
某騎空団の錬金術師もおっさんだったし。
そんなこんなで通信を済ませ、散り散りになった他のメンバーにも騎士が居るという座標を伝える。
なお僕の今の姿は筒抜けのようで、返答がすごく曖昧なものになっていたのは気にしちゃしけない。
「とりあえずここからは一時間近く掛かるみたいだね。その間に何する? 」
「猥談しようよ猥談」
「よっしゃそれで行こう。まず今のメンバーで一番シコれるの誰だと思う? 」
「拙者マリー氏」
「あっくそう先に言われた! じゃあ僕ジャンヌ」
「僕は清姫」
我ながら会話がひどい。
こんなの聞かれたら絶対にボコボコにされる。
ジャンヌ筋力めっちゃあるし。
「意外と敵側の方にもいい子いるよね。僕あのカーミラさんとかすき」
「あ、わかる。意外と乙女趣味なところありそう」
「ギャップ萌えってやつ? いいよねぇ、マリーがああ見えてヘビメタめっちゃ好きだったら惚れてた」
思春期かお前らと言われても過言ではない。
しかし突然、マシュからの通信が入り慌てて僕は会話を遮断する。
『……先輩、何話してるんですか? 』
「ん? 今いるメンバーで誰が一番かわいいか話してた」
『先輩は誰だと思います? 』
「もちろん清姫ちゃんでしょ」
『は? 』
「すいません、マシュが一番です。そのマシュマロ食べたい」
そう言う事言ってるんじゃ、と言いかけて彼女は突然顔を赤らめる。
え、何?
どう考えてもそういうノリじゃないよね今の?
先輩最低ですと言い残して彼女は通信を切る。
「うわあぐだお今のはやっちゃったねぇ。折角の卒業チャンス逃しちゃったよ」
「ウッソだろお前……。俺青姦でもイケるのに……」
「そういうとこですぞマスター。ん? あれじゃないですかね、お城って言うのは」
黒髭の言葉通りに僕たちはようやく騎士のいる城へと辿り着いた様だ。
誰もいない辺り、おそらく僕らが一番乗りというのだろう。
さっそく僕は飛行形態のまま城へと乗り込む。
中はすさまじい事になっており、あちこちが崩壊してたり瓦礫にまみれたりしている。
そんな中、瓦礫に寄り掛かりながら荒い呼吸を整えている銀髪の男が地面に座り込んでいた。
恐らく彼が竜殺しの騎士とやらだろう。
僕は彼に声を掛ける。
「やあそこの騎士さん、少し手を貸して――」
「うわああああああああああ!!!!! 化け物ぉぉぉぉぉぉ!!!! 」
まあ今更だけどそう思われても仕方ないよね。
僕たちは騎士が放った宝具により消し飛んだ。
「というわけで新しく実装されたアナスタシア皇女に来てもらったのじゃ。なんかしらん男が付いて来てるけど」
「ノッブこの人たち敵ですよ敵! めっちゃ氷出してくる人です! 」
「ねえねえ冷凍ミカンって作れるの貴方達? 」
「所長だけゆるゆるし過ぎィ! わしら凍結の危機なんじゃぞ!? 」
「なんだこいつら……」
「あっそれ炬燵というものでしょ? 私に入らせてくださらない? 」
「アナスタシア!? 」
「おっいいぞぉ、お主炬燵の魅力がわかるとはなかなかできるやつじゃの」
「ふへぇ……なにこれぇ……あったかぁい……」
「アナスタシアーッ!! 出るんだァーッ! 」