「そんな事言わないでよ! しょうがないじゃない! 」
「このおっぱいで仏教徒は無理だろォ!! 煩悩の塊じゃねえかぁ! 」
「じゃあ性転換してリボルバー持った金髪のイケメンになろうか? 」
「出来るの!? 」
きょうのぐだ男: 聞き覚えのある法師に銃で撃ち抜かれる
<ラ・シャリデ>
「結局ますたぁの不可抗力によって座から引き戻されましたわ。このひとこわい」
「よしよし……大丈夫ですよ……私が守りますから……」
いつの間にか僕が悪者になってるのが納得いかない。マシュに抱きしめられる清姫ちゃんの姿に興奮を覚えながら、僕たちは崩壊してしまったフランスの街を突き進んでいく。
とりあえず服を着ないといけないので予備用に持ってきていた全身を覆う黒タイツを着ておいた。
「……ッ! 」
「なんて、事? まさかこんなことが起こるなんて」
「なんだあの一団は! マイナーなV系バンドがいるぞ! 」
「誰がThe ALFEEよ! 似てるのこのおじさんだけじゃない! 」
「えっ我なの? ギター弾けないけど我」
僕の視界に黒一色に染め上げられたジャンヌと、彼女が聖杯の魔力によって召喚したサーヴァントたちと僕らは対峙する。長い金髪のナイスミドルが既にキャラ崩壊を起こしているがもうツッコまない方が良いのだろう。
「でも……可笑しい事ね。こうしてもう一人の私と出会うなんて。私はジャンヌダルク。蘇った救国の聖女ですよ、もう一人の私」
「馬鹿げた事を! 貴女は聖女などではない、私がそうでないように! 」
「すげえ……リアルでもう一人の僕ごっこやる人初めて見た……」
「うるさいわね! 何よこの黒タイツ! 誰が武藤遊戯よ! もう! 気持ち悪いったらありゃしない! 」
「あ、それには同意です。もう一人の私」
反面してる同じ人間に存在否定されるのも中々悪くない。何より金髪の美女二人が言い争っているのを見るだけで眼福である。
「……こほん。それで、この町を襲った理由ですって? 馬鹿馬鹿しいですね。そんなもの、明白じゃないですか。単にフランスを滅ぼす為です。私、サーヴァントですもの」
「馬鹿なことを……! 」
「馬鹿な事? 愚かなのは私たちでしょう、私。裏切り、唾を吐いた者たちと知りながらなぜ救おうとしたのです? 」
「それは……」
ジャンヌ達の議論が白熱しているところで、僕は黒ジャンヌ側にいるやけに服装がエロい紫髪のサーヴァントへ向けて左手の指で輪っかを作りながらその穴に右手の人差し指を通す。
このジェスチャーが分かっていないようで、彼女は隣にいた緑の服を着ている貧乳美少女に説明を尋ねていた。意味が分かるなり彼女は僕へ中指を立て、僕は笑みを浮かべる。
「……人類種が存続する限り、この憎悪は収まらない。このフランスを死者の国に作り替える。それが私。それが死を迎えて成長し、新しい自分になったジャンヌダルクの救国です」
「な、なにを……! ってマスターさっきから何やってるんですか? 」
「いや性的なアピールをしてました。あのおっぱいで聖女は無理でしょ」
「黙れ変態! 」
この場にいるほぼ全員が団結して僕に色んな攻撃をしてくるって酷くない? しまいには旗付きの槍で脳天貫かれる始末。これはひどい。
『サーヴァントが人間として成長するケースがあるのか……? 』
「うるさい蠅がいますね。あまり耳障りだと殺しますよ? 」
『うわっ!? コンソールが燃え出したぞ!? あのサーヴァント、睨むだけで相手を呪うのか!? 』
「ずるいドクター! 僕も燃やされたい! 」
「あ、どうぞ」
また黒タイツが燃え尽きてしまった。今回は上半身だけだったから有難いものの、この状態になってしまっては僕の心の師匠である江〇2:50さんになるしかない。
「……貴女は、本当に私なのですか……? 」
「呆れた。ここまで分かりやすく演じてあげたのに、まだそんな疑問を持つなんて。なんて醜い正義なのでしょう。この憤怒を理解できないのではなく、理解する気さえない。貴女はルーラーでもジャンヌダルクでもなく、私が捨てたただの残り滓に過ぎないという事がよく分かりました」
「くっ……! 」
「バーサーク・ランサー、バーサーク・アサシン。その田舎娘と連中を始末しなさい。あと変なポーズとってる黒タイツは入念に痛め付けて」
ドSプレイとはまた興奮する。僕にとって喜びにしかならない事をやってくれるなんてなんとも良い聖女だろうか。もうあっちの陣営についちゃおうかな。
「――よろしい。では、我は血をいただこう」
「いけませんわ王よ。私は彼女の肉と血、腸を頂きたいもの」
「マジで!? そこの銀髪エロエロドS美女! 僕は全てをささげよう! 」
「要らないわ」
「なぁぁぁんでだよぉぉぉぉぉ!? 」
心からの悲鳴。ボンテージ調の衣服をまとった彼女は引き攣った笑いを浮かべながら隣の男性の陰へと隠れる。
「……強欲だな。では私は魂を頂こう」
「ふふふ。血を啜る悪魔になり果てた今になって、彼女の美しさを理解できるようになっただなんて」
「くっ……! 」
「……マスター。ん、マスター? カメラ構えて何してるんです? 」
「いやあの美女とジャンヌのレズプレイを写真に収めようと……」
持ってた盾の穂先をケツに突き刺すのはマスター酷いと思うんだ。
それはともかく、既にジャンヌのあの二人は戦闘を繰り広げているようで僕は即座に小次郎と清姫、エミヤに戦闘態勢へ入る事を指示する。
「絶叫せよ」
「くっ……こいつ……! バーサーカーか! 」
「私を忘れてもらっては困るわね、侍」
「……ほう、お主もあの女狐と同じ性質を持っていると見た」
バーサーク・アサシンから放たれる光弾の数々を躱す小次郎と、槍を持ったバーサーク・ランサーと斬り結ぶエミヤ。その様子を見守る事しか出来ない僕の隣に立つ清姫が手にしたセンスを口元へ運びながら呪文を唱えている。
「ますたぁ。貴方の事を良く思っていなくとも、私は貴方のサーヴァント。全身全霊を以て、あの敵を打倒しましょう。どうかご照覧あれ! これより逃げた大嘘つきを退治します。 "転身火生三昧"! 」
「むっ……これは……」
「アサシン! 戦闘から離脱しろ! 」
二人は清姫が宝具を展開すると同時に後方へ飛び退き、青い炎の竜が現れたと同時に僕の両隣へと舞い戻った。
青い炎に包まれていてもまだしもバーサーク・アサシンとランサーは健在だが、だいぶ体力を減らされてしまったと僕は予測する。
「あんな小娘を仕留めきれないだなんて……温情でもお掛けになったのかしら」
「……ふん。悪魔と謳われた吸血鬼らしくあるまいな」
『悪魔……そうか。ルーマニア最大の英雄、ヴラド三世か……』
「人前で我が真名を明らかにするとは。時を統べる魔術師よ、不愉快極まるぞ」
あれだけ余裕のあったバーサーク・ランサー、もといヴラド三世は笑顔を浮かべていた顔を苦痛に歪ませた。
本来真名を隠して召喚されるサーヴァントにとって元の名前がバレてしまうのは自分の弱点を晒すことにもなるし、そして彼らは過去の名にトラウマを抱えた人物が多く存在する。
ヴラド三世がこういったように不快感を露わにするのはサーヴァントとして道理とも言えた。
「まあ良い。そこの少女よ……お主に一つ質問がある」
「あら、同じことを思っていたのね。年端のいかぬ少女なのに戦闘だけは熟練の技。矛盾しているわ、何者かしら? 」
「……デミ・サーヴァント。確かに、召喚された普通のサーヴァントとは違う存在」
黒いジャンヌ……もとい、ジャンヌ・オルタは僕の隣に立っていたマシュの正体を言い当てて見せる。
「それが君たちにとってどういった事に繋がる。彼女は僕が初めて契約したサーヴァントだ、文句は言わせない。あとこの戦いが終わったら踏んでほしい」
「先輩……一言余計ですけど嬉しいです……」
「マジで! 僕今かっこいい!? よし、この任務をクリアしたら僕の部屋においで」
「嫌です」
即答は先輩泣いちゃう。マシュを守るように使役していたエミヤと小次郎が彼女たちの前に立ちはだかるが、ジャンヌ・オルタのサーヴァントたちとの闘いでだいぶ疲弊しているらしい。
「まあ良いでしょう。さあ、この場にいる全員の首を斬り落としなさい」
「マスター、マシュさん! 私たちの後ろに隠れて! 」
「いくら変態とはいえ、私のますたぁを好き勝手されるのは納得いきませんわ」
「きよひーがかっこいい。あとで膝枕してもらってもいい? 」
「嫌です」
きっぱり断るのもますたぁ泣いちゃうよ? あのスリットから伸びた白い太ももに包まれたいと思ったのは僕だけでないはず。隣に黒髭が居たら全力で同意してくれるはずだ。
その時、ガラス製の羽の生えた馬が僕たちの背後から駆け抜け、オルタ達との間に割って入るように銀髪の美少女が舞い降りた。可憐の一言に尽きる彼女の姿に僕は釘付けになり、思わずマイサンも反応する。
「あ、貴女は……! 」
「バーサーク・セイバー。あの女の正体、知ってるの? 」
「忘れるはずもない、ヴェルサイユの華と謳われた少女。マリー・アントワネット……」
「はい、ありがとう。私の名前を呼んでくれて」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!! ヴィヴ・ラ・フラァァァァンス!!! 」
何故か知らないけど僕は両陣営からボコボコにされた。突然現れた美少女――マリーに踏んでほしいと懇願しただけなのに。
「今考えたら私のアホ毛は抜けたままだった。落ち込んで損したな。つーかあの角女消えたし」
「なんかフランスで頑張ってると思うわよ。私の第六感が告げている」
「……む。新しい連中が来たようだぞ」
「どうもこんにちは。高〇沢俊彦です、ギター担当です」
「いやヴラド三世何やってんの。あ、ドラム担当のカーミラです」
「よし、所長とやら。私たちも対抗してギターとピアノでユニットを組もう。私はアフロにしてピアノを弾き、お前はギターを持って歌え。あとがきからとって名前はスキ――」
「それ以上いけない」