「あっパパスロット! 君を呼んだのはほかでもない!僕たちと一緒にトナカイになろう! 黒タイツで踏まれるの最高! 」
「王の脚でイきましょう」
「大賛成です! 私もトナカイに……! 」
「お父さん…………? 」
「あっ」
今日のぐだ男とトリスタンとランスロット: 前が見えねェ
<森林>
エロい服装に身を包んだ紫髪のサーヴァント、聖女マルタは十字架を模った杖を掲げて幾つもの魔法陣を展開する。そこから幾つもの魔獣が姿を現し、さっき僕の服を燃やした忌々しいワイバーンの姿も見えた。
「えぇい! またワイバーンか! 」
「こうもポンポンとあの飛竜を出されるとなると……キツイものがあります」
「令呪を以て命ず。あのトカゲもどきをぶち殺せ」
「マスターァ!? 個人的な恨みが含まれすぎてるんですけどぉ!? 」
当たり前だ。僕のイケメンタイムをあの鱗に覆われたクソ爬虫類は絶対に許せない。僕の服もこうして魔術礼装から黒いタイツだけになっちゃったし。
僕の使役するサーヴァントは一斉に緑鱗の竜もどきに向かっていき、聖女マルタに召喚された他の兵士やアマゾネス達の視線が僕に一気に集中する。
「そんな事しちゃったらますたぁが他の敵に狙われてしまいますわ! 」
「先輩!! 逃げてくださいッ!! 」
「マスターッ!! 」
僕を守る者がいなくなったと同時に隙を突こうと操られたフランス兵やアマゾネスの兵士が一斉に飛び掛かって来た。フッ……こうも舐められてもらっては困るんだよ……。
「ほわったァッ!!! 」
切り掛かってきたフランス兵の頬を掌底で弾き飛ばし、周囲にマルタの使役した魔物たちが僕を取り囲む。兵士の槍を拾い上げ、頭上で何回も回転させながらわきの下へ挟んだ。
「僕が守られるだけの男だと思うんじゃねぇぞぉ!? こちとらモテようとして通信空手10年以上やっとんたんじゃい!! 」
「モテようとするベクトルが違うぞマスター! 」
「黙らっしゃい! ほらぁドンドン掛かって来いよ! あっ、アマゾネスさんたちは後で僕の事踏んでね! 」
そう言ってアマゾネスしか向かってこないのはずるいと思うんだ。アマゾネスさんたちに殴られて腫れ上がった僕の顔をお化けと思ってビビったのか、フランス兵やアマゾネスさんたちは逃げ帰っていく。
操る魔力を破る程の僕の顔面の酷さってどうなんだろう。
「くぅ! なんでこうなるのよ! ワイバーン、あの男をやっちゃいなさい! 」
「ガウゥゥ! (はい! 姐さん!) 」
「誰が姐さんよ! 早くやりなさい! 」
マルタさんの号令と共にワイバーンの軍勢が僕へと襲い掛かって来た。手にしていた槍を構えるが、ワイバーンの爪が僕が切り裂くよりも早く青と赤の蓑を纏った男女が立ちはだかる。
「マスター! 無事ですか! 」
「無理はするな! セイバー! 合わせるぞ! 」
「御意! 」
なんともこの二人は頼りになる。セイバーとエミヤの間に入るように小次郎が二人の隙をカバーし、三人共神業ともいえる太刀筋でワイバーンの群れをなぎ倒していった。
「くっ……! なかなかやりますね……! 」
「小次郎氏! 残ったワイバーンの殲滅をお願い致しまする! 拙者はあのライダーの胸を! 」
「おいゴルァ黒髭ェ! それは僕の役目だ!! 」
「いやいやいや! 僕の方が相応しい! 」
「テメェら一回黙ってろ! 」
戦闘中にも関わらず黒髭と僕とアマデウスを足蹴にする余裕があるマシュとマリーと清姫はかなり強い部類に入ると思うんだ。あっ黒髭が良い笑顔を浮かべてる。分かるぞその気持ち。
「ああもう! なんなのよあんたたち! 変態と戦士しかいないの!? 」
「あの本気であの変態達と一緒にするのは勘弁してください」
「私もですマルタさん」
「わたくしも」
「ボクも」
「あっごめんなさい」
存在全否定はひどくない? さすがに泣くよ?
「よしエミヤ! 僕と君で合体技だ! 」
「な、何をするつもりだマスター!? 」
「僕を矢にして射るんだ! 」
「無茶苦茶じゃないか!? 」
エミヤの反論もいざ知らず、僕は彼の弓の弦に股をはめ込み両手を伸ばす。弦に掛かったマイサンが悲鳴を上げているがこの際気にしてはいられない。
三本の矢と共に僕がそのまま射出され、そして股間に溜まっていた魔力を放出すると同時にその一体が爆発に包まれた。
「まっ、マスターが!? 大丈夫なんですか!? 」
「安心してくださいセイバー氏。あれでもマスターはほぼ無傷ですぞ」
「そんな筈は……!? 」
ご安心ください、それが変態クオリティ。セイバーの心配も無用に終わるだろう、何せ僕はいまマルタさんの目の前で全裸で立っているのだから。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!! 何よこいつ!! 裸だしなんかドヤ顔なのが腹立つし! 私こんなので座に還りたくないわ!! 」
「僕の全裸は全年齢対象さ。監査も安心のぐだ男クオリティ。実は男の裸体好きなんでしょ? その服が全てを告げているよ」
「んな訳ないでしょ!! 」
「えぇ? 本当でござるかぁ? 」
「うるさい! つかなんなのよこの侍も! 」
怒りと悲しみを孕んだ表情で消失していくマルタさんのドスケベ礼装を目に刻み込み、僕はケツに挟んでいたスマートフォンで彼女の様子を写真に収める。何故かスマートフォンが爆発して僕はあっという間に黒焦げになってしまったけど全裸よりかはマシだからいいかな。
「……ふっ。決まったな、これぞ僕のグランドオーダー……って痛いなんでマシュ殴るの」
「ワタシ ヘンタイ ユルサナイ」
「ヒェッバーサーク状態になってる! 痛い痛い痛い!! マスター特攻なんて聞いてないよ!? 」
『今しがたマシュの能力の上昇が確認されたね。その調子だぐだ男君』
「ふざけんな! 変態で能力値上がってたまるか!! 」
前回と同じようにマシュの殴撃により僕の顔はボコボコに腫れ上がる。
そろそろこのたんこぶでさえも愛着が湧いて来たよマスター。
「ひ、ひとまずライダーも倒したことだし休憩に入りましょう。マスターの消耗も激しそうですし」
「この通りなんともない。というかあともう一回戦いけるよ」
「あっ丁度良い時にシャドウサーヴァントが来ました」
「いやそれどう考えてもヘラクレス!! さすがにタイマンでヘラクレスは僕死んじゃ――」
そう言いかけた瞬間に僕の意識は彼方へと消えた。
意識が消し飛ぶ際にみんなの歓声が聞こえたのはあえて聞かなかった事にしておく。
「うぅ……なんであんな変態の光景を最後に座に還らなきゃいけないの……? ばっちり見ちゃったじゃない……」
「おっなんか痴女が来たぞ所長。水着の儂よりもエロい」
「ホントだすごくエッチね。彼女には黒い布地に金の筆記体が入ったパーカー着せましょう」
「誰が田舎のヤンキーよ!! 」
「自覚してんじゃねーか! あと儂とポジション変われ! お主の方がゲームのコントローラー持つとなんかしっくり来る」
「だから安直なパクリは止めましょうね!? 」