ハイスクールDragon×Disciple   作:井坂 環世

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プロローグ3です。

原作入るまではプロローグの予定です。


3 stray cat

爽やかな陽光が降り注ぐ4月の中旬の頃、桜は咲き乱れそこかしこで命の芽吹きを感じる季節になっている。空はまるで新たな生活を始める人々を祝福するかのように快晴で、雲1つ見受けられない。そんな天気に触発されるかのように賑やかな雰囲気に包まれている通学路に、その晴れやかな天気にそぐわない陰鬱な気配を撒き散らす1人の少年がいた。

 

短めの金髪に碧の美しい眼。身長は160センチほどとその年齢の平均に比べて高く、長袖長ズボンで一見すると細身に見えるが、よく見ると鍛えこまれた肉体を持っている。一見すると外国人に見えなくもないが、紛れも無く日本人の血を引いている少年だ。

 

その名は風林寺 翔。12歳。今年晴れて中学生になれた少年である。

 

普通の人なら何もしなくても中学生にはなれるものだが、翔にとってはやはり中学生になれた、という表現が妥当だろう。なにせ彼は普通からは程遠い少年であるからして、一般人とは言えないのだ。多少どころか大分世間一般の意味するところの「普通」からは縁遠い少年である。

 

(あぁ、まだ生きてるんだな、僕。)

 

そう、翔が武術の修行を始めてから早8年。どんどん修行はエスカレートしていき、高度な技の鍛錬も混じるようになってからはまさしく魂が磨り減る思いをすることも少なくない。

 

しかし、その甲斐あってか翔の実力は順調に伸びており、12歳の誕生日くらいの段階で妙手の段階に到れているのは正に師匠達の指導の上手さと翔の努力の賜物と言えるだろう。

 

ちなみに、妙手とは武術家のレベルを表す言葉で、弟子と達人の武術家の間に挟まるレベルのことだ。当たり前の話だが、弟子のレベルを卒業してすぐに達人の領域に到れるわけでもなく、弟子と達人の狭間に当たる妙手の段階が一番幅広い。そのため、武術家の中では一番不安定な時期で、力に飲まれ修羅道に陥り安い時期でもある。もっとも、翔は師匠達もいるので修羅道に落ちることはないと確信している。

 

翔の年齢の段階で妙手の段階に到れているのはかなり強く、はっきり言って神童と呼んでもよいくらいだ。妙手ともなれば世間一般の常識的な話でのトップレベルの身体能力を逸脱し始める時期である。

 

閑話休題(詳しくはウィキペディアかケンイチ40巻参照)

 

さて、そんな翔も中学生になって数週間が過ぎた。だいぶ学校にも慣れ始め、自らの神器や武術を習っていることは隠しているものの、友人も出来始めていた。そんなある日の帰り道のことである。

 

翔が帰り道をいつも通り歩いていると、道路の片隅に動かない黒い塊があるのを見つけた。それが何かが気になり近寄って見てみる。まるで死んでいるかのように動かないそれの正体は黒猫であった。その様子を見るともなく観ていると翔は違和感を感じた。

 

(体中に怪我を負っている・・・。一体何が・・・。)

 

そう、ただ倒れているのではなく怪我だらけなのである。その小さい体のいたるところに傷があり、かなり痛々しい。普段は烏の濡れ羽色と評されるであろう艶やかな黒い体毛も血が付着し乾いていることによってドス黒く変色している。普通の感性を持つものならば見ているだけで心を痛めるだろう。そして翔もまた例外ではなかった

 

翔はすぐに黒猫が無事かの確認をする。師匠達から体を治すことについても薫陶を受けているため、例え動物でも応急処置くらいは可能だった。そして翔にとって、動物と言えど怪我だらけの生き物を放置すると言う選択肢は存在しない。

 

幸いなことに、傷だらけではあるものの、翔の見立てでは致命傷となるものは存在していなく、浅い呼吸をしていることからまだ無事であることが伺える。しかし、このまま放置しておけばその限りではないだろう。そう診た翔はかばんの中から清潔なタオルを取り出すと、それに黒猫を包み込み懐に抱え、なるべく黒猫の傷を刺激しない限界の速さで走り出した。

 

(猫ちゃんをほおって置けはしない!!)

 

楽園にいる人物(主に風林寺美羽と南條キサラ)の教育(洗脳)の賜物か、着実に猫好きに染まっていっている翔なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~ん。で、ここに連れて来たってぇわけか。」

 

「はい。ここの方が治療道具も揃ってますしね。」

 

場所は変わってここは武術家の楽園の中。そこで翔は先ほど拾った黒猫の応急処置を行っていた。傷口に師匠達が調合した傷薬を塗り、そして包帯を巻いていく。

 

そんな翔に話しかけているのは鼻の上から頬にかけて真一文字に刻まれた傷痕を持つ大男。素肌の上から革ジャンを着込んでおり、その強面も相俟ってかなり怖く見える。そのせいかちょっと返事をしただけでも怒っているように勘違いされることも少なくない。

 

この男の名は逆鬼至緒。ケンカ100段の異名を持つ特A級の空手の達人で、翔の空手の師匠の2人の内の1人である。その実力は彼のライバルと比べられてどちらが空手最強かという議論をされるほど。

 

そんな師弟の話題となっているのは先程翔が学校帰りの途中で拾った傷だらけの黒猫である。翔はその言葉通り治療道具が豊富な楽園内に、治療の為に黒猫を招き入れたのであった。

 

「それに、猫を家に連れて帰ってきたのにここに入れなかったら、美羽さんとキサラさんに怒られてしまいますし。」

 

「確かに、あいつらの猫好きはかなりのモンだからなぁ。」

 

2人の口から名前が出た人物である南條キサラという女性はかなりの猫好きで、猫好きが高じてテコンドーに猫の動きを取り入れた「ネコンドー」という独自の武術を実戦の中生み出し、そしてその達人にまで至ったというほどの猫好きである。そして風林寺美羽はそのキサラと同程度の猫好きなのだ。

 

閑話休題。

 

そんな風に雑談をしながらも翔の手は止まらない。傷口を丁寧に洗い流して綺麗にし、適量の薬を塗り付け、雑菌が入って化膿しないようにガーゼを被せ、そのガーゼがずれないように圧迫しつつ、しかし体の動きを阻害しないように包帯を巻いていく。

 

「ほぉ。人とは勝手が違うだろうに、中々の手際じゃねぇか。」

 

「岬越寺師匠と馬師父から医術も教えてもらってますし、僕自身猫好きなんでそういう本を読んでますから。」

 

翔の応急処置の手際を見て逆鬼が感嘆の声を漏らす。実際、岬越寺秋雨から整体や西洋医学、馬剣星から漢方や針などの東洋医術の薫陶を受けている翔の腕前は中々のものなのだが、彼の師匠達の腕前が神業レベルに到達しているため、この程度は自慢にならないと真剣に思い込んでいる節がある翔である。

 

そんなこんなで雑談しながらも処置を終えた翔は、清潔なタオルで簡易的なベッドを作ると、そこに黒猫を寝かせる。きちんと処置が完了し、黒猫も落ち着いている様子であるのを確認すると、安堵の息をもらしながら立ち上がった。

 

「すみません、逆鬼師匠。お待たせしてしまいました。」

 

そう言って翔は頭を下げる。今日は学校から帰ってすぐの修行は逆鬼の順番だったのだが、猫の治療を行う為に待っていてもらったのだった。しかし、逆鬼はそんなことで腹を立てる程狭量ではない。何でもないように顔を横に振った。

 

「いや、サボった訳じゃねぇし、理由があるんなら仕方ねぇってことよ。ま、消費した時間の分厳しくいくけどな。」

 

「は、ははは・・・。お手柔らかにお願いします・・・。」

 

「何言ってるんだ?そんなんじゃ修業にならねぇだろ?」

 

目から怪光線を発しながらの逆鬼の言葉に、頬を引き攣らせながら乾いた笑い声を出すことしかできない翔。達人級(マスタークラス)になることを目標としている(されている)翔の修業は死ぬか死なないか、壊れるか壊れないかのギリギリのラインで行われるので、時間が短くなったとはいえいつもより厳しい、と言われると「生き残れるかな、僕」とか思っちゃったりする翔なのであった。

 

「今日は時間が短くなったから新しい技は無しだ。いつも通り基礎をやったらその後すぐに組み手をやるぞ!」

 

「はい!師匠!」

 

威勢のいい返事をして、訓練場にささった巻き藁へと向かう翔と、その隣にある太い鉄柱へと向かう逆鬼であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「いや~ん。この猫ちゃんとっても可愛らしいですわ~。」

 

「いや、まぁそうだけどさぁ。なんか普通の猫とは違う感じがするんだよね。」

 

「そうですけど、それでもこの猫ちゃんが可愛いことには変わりありませんの。」

 

その黒猫はそんな会話が耳に届いたのを合図にするかのように意識が浮上していくのを感じた。同時に開いたり閉じたりする視界で現在の状況を確認しようとし、周囲の光景がまったく見覚えの無い場所であること、そして周りにこれまた見覚えの無い2人の女性がいるのを見たところで危機感を覚え、意識を覚醒させてがばっと身を起こした。

 

――ここは?――

 

黒猫は自身に問いかけるが答えは出てこない。警戒しながらも気絶する前の状況を思い出し、すわ自分は追手に捕らえられてしまったのかと思い、身を硬くする。そんな黒猫を微笑ましそうに見る金髪に蒼い目を持つ女性―風林寺美羽―は安心させるような優しさを声音にのせて話しかけた。

 

「安心してくださいまし。きちんと傷は応急処置されていますし、ここにはあなたを傷つける人はいませんから。」

 

「ま、あのお人好しに拾われたことを感謝するんだね。」

 

その言葉に自分が治療され、包帯が巻かれていることに驚きをあらわにする黒猫。その治療は見事なもので、応急処置として考えれば完璧に近かった。

 

――まだ信用は出来ないけど、敵がいないっていうのは本当かにゃ?――

 

と、そこで黒猫は違和感に気付く。先程から自分に話しかけている女性たち。確かに動物に話しかけたりする人もいるだろう。しかし、それにしてもこの女性たちはまるで自分が言葉を理解しているのを知っているか(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のように話している雰囲気のような気がするのだ。

 

しかし、それにしては敵意は感じないし、人外の気配もしない。確かに人の気配をしているにもかかわらず、黒猫の正体を認識しているように黒猫には感じられた。

 

――いったいこの人達は何者なのかにゃ?――

 

「何者かって聞かれると、簡単に言えば達人と呼ばれる人種で、この世界の住人だとしか言えないかな。」

 

――うにゃっ?!心を読んだ!?――

 

「心は読んでませんわよ。ただ黒猫さんの表情からそうなのかなって思っただけですわ。」

 

――え~・・・。――

 

まるで心を読んでるかのような会話なのにそう思っただけって。そう思い呆れるしかない黒猫である。そもそも彼女らの話には突っ込みどころが満載すぎてどこからツッコんでいいか迷う。

 

「そう言えば自己紹介がまだでしたわね。私の名前は風林寺美羽ですわ。美羽と呼んでくださいまし。」

 

「私の名前は南條キサラ。どう呼んだってかまわないよ。ま、だんまり決め込むんならそれも1つの手さ。」

 

「・・・・・・私の名前は黒歌だにゃ。」

 

ここで黙り込むことも出来たが、それは悪手だと黒歌は感じた。なんとなくこの人達には誠意を見せた対応をして、敵対をしないようにするのが正解であると黒歌の直感が告げたのだ。

 

後日、この直感が正しかったことを知り、自らの直感と野生の生存本能も捨てたものじゃないと心の底から思う黒歌であるが、それは余談である。

 

「いくつか質問があるんだけどいいかにゃ?」

 

「かまいませんわよ。」

 

「ま、ここに入れている時点であんたに警戒する必要もないしね。」

 

その言葉にムッとする黒歌。どうやらキサラの言葉を黒歌のことを嘗めてのことだと思ったようだ。だが、そうじゃない。その言葉通り、この楽園に入るには敵意や害意の類は抱いていてはいけないのである。そういう意味で黒歌を警戒する心配が無いということだ。

 

「じゃぁ、達人ってなんなの?それとこの世界っていうのは?」

 

先程の会話の中で出てきた疑問点を聞く。達人。言葉通りに受け取れば何らかの事柄を極めし者。しかし、世界の裏の事情も把握している黒歌もそんなものは聴いたことも無いし見たことも無い。まぁ、「この世界」の方は単純にわからないのだが。

 

そんな黒歌の疑問に仕方ないか、というように苦笑を浮かべるキサラと美羽。達人という概念は平行異世界とも言うべき彼らの世界での概念なので、知らなかったとしても無理は無い。そんな黒歌の疑問に答えるべく口を開く。

 

「達人って言うのは読んで字の如く武術を極めた者のことですわ。自らの肉体を限界まで鍛え、そしてその操作方法を掌握している存在、と言うことも出来るでしょう。」

 

「具体的には拳で岩を粉砕させたり、震脚で地割れを起こしたり、一足で何10メートルも飛んだりするような人間さ。」

 

「にゃっ!!??」

 

なんだそれは!!?黒歌はそう驚愕することしか出来ない。黒歌の見立てでは目の前の女性たちは何ら特別な力―例えばそれは悪魔が持っている魔力であったり、天使や堕天使が持ってる光の聖なる力であったり、自らも扱うことの出来る仙法に用いる気の力であったり―を有していない普通の人間である。それがそんな人間外れのようなことを行うと?到底信じられるものでは無かった。

 

「ま、目にしなかったら信じられないよな。」

 

「あ、当たり前にゃ!」

 

「そう慌てんなって。後で見せてやるから。」

 

「うにゃ・・・。」

 

そう言われれば黒歌とて黙るしかない。その自信満々な様子に「もしかしたら本当かも」という気持ちが湧いてくる。

 

しかし、黒歌はそこでもう1つの疑問を思い出した。「この世界」とは?その疑問に対する答えはまだ貰えていない。達人についての真偽は後ではっきりとすることだ。ならまずはそっちについての疑問を晴らそうと思った。

 

「「この世界」っていうのはなんなのにゃ?」

 

「言葉通りですわ。今ここにいる空間。それ自体が創り出された異空間で1つの完結した世界。神器(セイクリッド・ギア)武術家の楽園(ユートピア・オブ・マスターアーツ)』によって創り出された異世界ですわね。そして私たちはそこの住人というわけですの。」

 

「神器?!」

 

「あんたは路上で倒れているところをその神器の持ち主に拾われて、ここで治療を受けてたってわけさ。」

 

黒歌はその言葉に声を出すことも忘れてしまう。そんな神器が存在するなんて聞いたこともなかったし、その神器保有者が自らを治療してくれる訳も理解できないからだ。もっとも、翔は黒歌のことを純粋に黒猫が怪我してると思い込んで治療しただけなのだが。まぁ、黒歌が話せるような存在であるとわかっていたとしても、翔は黒歌を治療しただろう。

 

と、そこで達人と猫ゆえの鋭敏な聴覚が足音がするのを察知した。どうやら何者かが黒歌たちがいる部屋に向かってきているようだ。

 

「噂をすれば、ですわね。」

 

「ちょうどいいね、あいつがどんな奴なのか見ておくといい。」

 

その言葉に黒歌はどんな人物がこの部屋に入ってくるか想像を膨らませる。筋骨隆々の大男かはたまたしなやかな筋肉を纏った女豹のような女か・・・。達人と呼ばれる人間の規格外が住む神器を持つ人だ。いずれにしてもまともではないと黒歌は心底思う。

 

美羽とキサラはそんな黒歌の内心を感じ取り、顔には出さないものの笑いを堪えるのに必死になる。彼女らは神器の保有者のことをよく知っているのだ。何せ翔を猫好きに染めたのもこの2人であるからして。

 

「失礼します。猫ちゃんの様子はどうですか?」

 

そうして扉を開けて入ってきたのは12歳くらいの金髪の少年。ぶっちゃけ風林寺翔である。そのあまりに想像から掛け離れた容姿の持ち主に黒歌は開いた口が塞がらなかった。

 

「修業の間様子を見ていただきありがとうございました。」

 

「猫ちゃんの様子を見るのでしたら大歓迎ですわ。」

 

「ま、こっちも楽しめたしどうってことないよ。」

 

会話を聞く限り確かに自分を拾ってきたのは目の前にいる少年のようだ、と黒歌は判断した。そして些かの逡巡を経てから、その真意を問うことに決める。

 

――自分は追われる立場なんだから・・・――

 

「ちょっといいかにゃ?」

 

「ん?」

 

黒歌が問いかけると翔はあたりをキョロキョロしだした。どうやら誰がしゃべっているのかわからないらしい。

 

「こっちにゃ。」

 

「うぉっ!?猫がしゃべってる!??」

 

その言葉を聞いて黒歌は状況を正しく認識した。どうやらこの少年は自分の正体がわからず、純粋に怪我した黒猫を治療しようとしたにすぎないのだと。そして黒歌は素直に少年に好感を抱いた。厄介事には見て見ぬ振りをする人達も多い現代で、野良猫であろうと傷を負っているものを見捨てない優しさをこの少年は持っていると思ったから。

 

――だからこそ、巻き込めないにゃ・・・。早く出て行かないと。――

 

「私の名前は黒歌。この度は怪我しているところを治療してもらってありがとうございますにゃ。」

 

「うん、どういたしまして。(猫がしゃべってるよ。・・・ま、そんなこともあるかな。)」

 

黒歌が治療のお礼を告げると翔も素直にその感謝の気持ちを受け取る。基本的に謙虚な翔だが、感謝の言葉や気持ちは素直に受け取らないと逆に失礼に当たるということを理解している。

 

そして猫がしゃべってることは華麗にスルーした翔。達人とかれこれ8年の付き合いになる彼は自らの持つ常識を徹底的に破壊されている。故に今更常識が壊されようと大して驚かないのだ。人間何にでも慣れるものである。ある意味適応能力こそが人間の最大の長所であろう。こんな慣れ方は嫌だが。

 

その返礼を受けた黒歌は早くここから出させてもらおうと翔に声を掛けようとするが、その言葉を潰すように先に翔が提案をした。

 

「あ「この居住区は野生動物とかもいないから安心してね。快適に暮らせると思うから、怪我が治るまでここにいていいよ。」・・・。」

 

「だ「怪我が治るまで絶対安静だからね。その包帯も取っちゃ駄目だよ。」・・・」

 

「いや「じゃぁ、僕は修業に行って来ますから。黒歌ちゃんの世話はお願いしますね、美羽さんにキサラさん。」・・・」

 

黒歌の言葉に悉く被せてくる翔。彼の中ではもう黒歌は怪我が治るまで楽園にいることは決定事項なのであった。黒歌はそのあまりの強引さに黙ることしか出来ない。

 

「相変わらずお人好しですわね。」

 

「お節介とも言うけどね。ま、諦めな。あぁなったら梃子でも動かないよ。」

 

「・・・わかったにゃ。」

 

その無責任な言葉に溜め息を吐きながらも了承の意を示す黒歌。これからどうなっちゃうのかなぁ、と真剣に思ったり思わなかったり。

 

兎にも角にも、こうして翔と黒歌の奇妙な共同生活は幕を開けたのだった。




プロローグが予想以上に長引きそうな予感が・・・

題名の元ネタ・・・Black cat
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