BANZOKUという単語を見るたびに北の大地のドヴァキンが脳裏にチラチラしてたのでとうとう筆を執った始末。
※注意事項
・世界史なんぞ知らんので適当な時代考証&曖昧な描写
・「滅茶苦茶すぎィ」という致命的な欠陥・展開があれば出来るだけ修正します(出来るとは言ってない)
・不定期更新
・突如変わる文体
・ゼニマックス翻訳風な会話文
・「ドヴァキンTUEEEE!」「ぼくのかんがえたさいきょうのどらごんぼーん」な地雷表現過多
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始まり
「おい、ガリア人!目を覚ませ!」
突如頭から水をかぶせられた。
顔に張り付くぼさぼさの金髪に顔を顰めながら、目を開くとそこは自分の知らない場所だった。
いまだ覚醒していない頭を回転させ、状況の把握を試みる。
目の前には鉄格子、それと帝国人らしき兵士が二人。
どちらも鋲付きの鎧だが、帝国軍のそれとはところどころ作りが違っていた。
左右と後は石の壁で囲まれている。
部屋の隅には桶と木の器が置いてあり、桶からは悪臭が漂っていた。
体に身に着けているのは汚れたチェニック一枚。どうやら自分は囚われの身分らしい。
一体自分は何をして捕まったのだろうか?
大体のことは金で解決できるし、町の有力者とのコネで今では国中の衛兵が罪を見逃してくれる。
たとえそれが不可能でも自分は各都市の従士であり、即座に開放してもらえるはずだ。
「なにをぼんやりしている!貴様の雇用主を言え!」
雇用主?
一体何のことだろうか。自分は今まで戦争以外で特定のだれかに使えたことなどない。
「では解放奴隷か?とにかく職業と名前を吐け。」
「もしかしたら逃げ出した剣闘士かもしれねぇな。」
ふむ、どうやらまたもや面倒ごとに巻き込まれたようだ。
こうなってしまった以上あとは流れに身を任せて最大限愉しむしかない。
数多くの出来事に巻き込まれてきた経験則というやつだ。
さて、この目の前のシロディール人に名乗ったところで通じるか不明だが、自己紹介だけはしておこう。
「職業は暗殺者、魔術師大学の学長、盗賊、同胞団の導き手、要塞の従士、ドラゴンボーン等。
名はドヴァキンだ」
世界史に、タムリエル最強の蛮族の名が刻まれた瞬間である
――――――――――――――――――――――――
「暗殺者!?」
「スタァアアアアアアップ!!」
兵士が驚愕している。ドヴァキンは己の失言を後悔した。
「お前はローマとその民に対して罪を犯した、これは生き埋め程度では済まんぞ。」
「へっへっへ。生きたまま猛獣の餌になるか、車輪に括られて坂を下るか、もっとひどい目に会えるぜ。」
どうやらドヴァキンを処刑することが決まりつつあるようだ。ここは上手いこと立ち回り、処刑を回避せねばならない。
処刑?懲役ではなく?
❖首長と話がしたい。
ここから出せ、さもないと痛い目を見るぞ
「誰と話がしたいって?ラテン語以外は分かんねぇよ。」
ドヴァキンはここがドール城ではないことを確信した。
首長という単語が伝わらないのであればここはシロディール領内だろう。
❖衛兵隊長と話がしたい
「無駄だ。貴様の処遇は我々が決める。」
どうやら取り付く島もないようだ。
ドヴァキンはかつてヘルゲンで帝国軍の女隊長に問答無用で死刑にされたことを思い出した
どうせ今回もドヴァキンの名前がリストになかったのだろう。
「処刑の決行は明日だ。それまでおとなしくしていろよ。」
言いたいことだけ言って、兵士は去っていった。
—開始:解放—
気まぐれで穏便に解決しようと思ったのが間違いだったのか、それとも話術が低かったのか、詳しいところはドヴァキンには分からないが、とにかく話し合いによる解決は失敗に終わった。
こんなことなら鉄格子越しにスゥームをぶちかましてやればよかったとドヴァキンは後悔した。
話し合いで解決できないなら、殴って解決するのがノルド式。
だが、生粋のBANZOKUであるドヴァキンは“殺して”解決するのがデフォルト。
ついでに殺した死体から身ぐるみを剥ぐまでがセットである。
この瞬間、ドヴァキンのなかで彼らの死が確定した。
彼らの過ちはドヴァキンが目を覚ます前に息の根を止めておかなかったことだ。
あるいは物珍しい鎧を脱ぎ捨て持ち物一つ持たずに全裸で命乞いをしなかったことか
。
もっとも、後者の場合ドヴァキンの気まぐれで殺される可能性が僅かにあるのだが。
とにかく、脱獄しなければ何も始まらない。
手には都合のいいことにアイテムボックスの指輪がついている。
ドヴァキンはロックピックを出すためにアイテムボックスを開いた。
不思議なことに、アイテムボックスにはこれまでの冒険により手に入れたアイテムが全て入っている。自宅に収納していたモノも、文字通り“全て”だ。
金貨を取るつもりで間違えた羽ペン、鉄の矢、いつの間にか紛れ込んでいたメリディアの灯……etc
―ドヴァキンの顔から表情が消えた
数時間後、いらないガラクタを選定し終えたドヴァキンはアイテムボックスを閉じた。
その瞬間、虚空から木の器やら水差しやらが出現し、独房がガラクタで溢れかえった。
膨大なガラクタはドヴァキンの腰辺りまでに達し、身動きが取れなくなった。
すべてのガラクタはガチャガチャと騒音を立てて干渉し合っている。
独房の左隅ではHavok神が降臨し、ドゥーマーのコグや頭蓋骨が暴れ回っていた。
ドヴァキンは周囲のあまりの混沌具合に腹を抱えて笑った。
今度マッドゴッドに会ったときはこれを披露してやろう。
「なんだぁこの騒ぎは!」
「おい!どうなってやがる!」
あまりの騒音に、先ほどの二人を含めた五人の兵士たちが駆けつけてきた。
「げぇ!一体どうなってやがる!?」
「魔法だ、やつは魔法使いだったんだ!」
どうやらこちらを警戒しているようで、剣を構えて鉄格子に近づく。
ある程度の距離を詰めると、隙間からあふれたガラクタの一つを手に取った。
「この皿は極めて精巧なつくりだな」
「なんだこれ。いったいどこから出したんだ?」
「へへっ、ゴールドを数えるのが楽しみだぜ」
兵士が数ゴールドの価値しかないガラクタに夢中になっているのを眺めるのは愉快だが、せっかく抹殺対象が自ら来てくれたのだ。是非とも今ここで殺しておきたい。
「衛兵に200ゴールドを払ったあと、その衛兵を見つけられなかったがためにスリを敢行できなかった」なんてことは御免被る。
彼らを殺したいのは山々だが、下手に動くとHavok神がさらに荒ぶりかねない。
Havok神が暴れると大抵の場合世界が止まる。
こうなると世界はアカトシュにより一定の時にまで巻き戻されるのだ。
フラグが不明なこのイベントを巻き戻されるのはドヴァキンにとって一番避けたいことである。
どうにかしてこのガラクタに激しい衝撃を与えることなく独房から抜け出さなくてはならない。
『ドヴァーの子よ、霊体化のシャウトを使うのだ』
聞き覚えのある声に従い、ドヴァキンは物は試しと霊体化のシャウトを叫んだ。
「Feim Ziii Gron!」
Havok神が吹き飛ばされたそれらを引き延ばし、壁に埋めこみ、震えさせる。
ドヴァキンの独房内はよりカオスになった。
「ひえぇっ!?」
「み、耳がきこえねぇ!」
「おいあいつが消えたぞ!」
本来、攻撃をすり抜けるだけの霊体化シャウト。
しかし、今回はガラクタをすり抜けた挙句、透明化の効果も発生しているようだ。
長年シャウトを使ってきたドヴァキンだが、こんなことは初めてだった。
予想外のことに驚きつつもドヴァキンは鉄格子に近寄る。
もしかしたらこの鉄格子もすり抜けるのでは?
鉄格子に腕を近づけると、すんなりと半透明の腕は鉄格子を貫通した。
素晴らしい。
これでロックピックなしで盗みが働ける。開錠の罪に問われることもなくなった。
ドヴァキンはウキウキした気分で鉄格子を抜けると、未だに阿鼻叫喚な兵士五人をチェインライトニングで丸焦げにした後、清々しい笑顔で監獄を後にした。
その際に、ドヴァキンを捕えようとした監獄内の兵士が全滅したしたことは語るまでもないだろう。
―完了:脱獄―
――――――――――――――――――――――――――――
監獄を出て、入り口の門を霊体化で通り抜け門番をやり過ごすと、そこはまさに別世界だった。
ドヴァキンはてっきり、この地がシロディールのどこかだろうと予想していたが周りの街並みを見てその考えに疑問を抱いた
建物はどれも立派で大きい。四階以上の高さまである建築物も珍しくない。
ドヴァキンはどうやら帝都に来てしまったようだ。
「ドムスに行くならその服装はちょっと避けた方がいいかもね」
「あぁ?なんだとこのクソ女!」
妙に聞き覚えのある煽り文句をドヴァキンの耳がとらえた。そちらの方に歩みを進めると、そこでは男女が言い争っていた。
「全然。とても…素敵よ。でも、もう少し恰好いいのが欲しかったらうちの店に寄ってね。レディアント装具店よ。」
「ケッ、とんでもねぇクソ女だ」
男が立ち去り、女が残った。
ドヴァキンは女性の声と特徴的な煽り文句ゆえに声の主はとある女エルフだと思っていたが、予想は外れた。声の主は釣り目のババアとは似ても似つかぬ、赤毛のシロディール人であった。
「あらそこの貴方、そのボロを新調したいならレディアント装具店によっていきなさいよ」
…見た目はともかく中身は完全に一致しているようだ。
❖やあターリエ。
売り物を見せてくれ
いつも人と会うたびにそうやって侮辱しているのか?
ここはどこだ?
「ターリエ?誰と間違えているのか知らないけど、私の名前はアンニアよ」
どうやらターリエとは関係ないらしい。
❖ここはどこだ?
「どこだなんておかしなことを聞くのね。ここはローマ。帝国の中心よ」
ローマ…聞いたことのない地名だ。帝国の中心は帝都のはずである。
遠くからではあるがシンボルともいえる白金の塔を見たこともある。
貴方はさらに情報を引き出すことに決めた。
❖ローマ?帝都ではなく?
「貴方の言う『帝都』が帝国の首都という意味なら、ローマはまさしく『帝都』ね。こんな常識も知らないなんて、噂通りゲルマニア人は体は大きくても脳みそは空っぽなのね」
❖ゲルマニア?
「金髪青目、それに大きな体!あなたの故郷のことよ。私たちはそう呼んでいる。」
帝国やスカイリムのことをこんな呼び方で呼ぶ人たちに初めて出会い、ドヴァキンは少なからず衝撃を受けた。
いままで旅をした場所ではみなスカイリムやノルドと呼ぶのが普通だったからだ。
しかし、思い返してみればドヴァキンもエルフについて全くの無知だったし、カジートがあれほど多様な種族であることを知らなかったことを思いだしたので、深くは追及しないことに決めた。
それにニルンでは呼び名が変わることなどよくあることだ。
女性が家の鍵や貝の名で呼ばれることも珍しくない。
❖ここからゲルマニアにはどうやって行けばいい?
「ごめんなさい。私はゲルマニアに行ったことが無いからわからないの。だけど、宿屋のマルクスなら知っているかもしれない。」
―開始:スカイリムを目指して―
❖宿屋はどこにある?
「教えてあげてもいいけど、その前にまずその身なりをどうにかすることをお勧めするわ。ほら、丁度あなたの目の前にローマ最高級の装具商人がいることだし。」
❖どんな物を売ってるんだ?
「ちょっと見てくれ」
――――――――――――――――――――――――――――
アンニアから服を買い(服代は衛兵の死体から頂いたゴールドを使った)、宿屋の場所を教えてもらったドヴァキンは地理情報を入手すべく散策を開始することにした。
町は活気に満ちており、小さいインペリアルが殆どだがレッドガードやノルドも少なくない。
カジートやアルゴニアンにはまだ出会っていない。
人間種に近いエルフも全く見かけないので、人間種以外に対する排斥運動が強い街なのだろう。この町の人々もやはりドヴァキンをジロジロと見つめてくるが、これはドヴァキンの巨体が見慣れないからのようだ。タムリエルの人々も基本的にドヴァキンのことをジロジロ見てくるが、それは珍しさではなく、タムリエルきっての問題児であるドヴァキンを監視しておく為である。
「おいゲルマニア人!」
前方の男三人組から声をかけられた。
「おまえをご主人様がお呼びだ。ついてこい」
❖お前たちは誰だ?
ついていこう
消えろ、さもなければ痛い目に会うぞ
「我々はご主人の私兵で、貴様を連れて来いと命じられた。話せるのはそれだけだ」
❖ついていこう
消えろ、さもなければ痛い目に会うぞ
「ご主人様の屋敷はこっちだ。案内する」
―開始:パンとサーカス―
兵士の後をついていくと豪邸に辿り着いた。
スカイリムの閑散とした要塞に比べ圧倒的に人口が多く、建築物も巨大なこの都市の中でも、一二を争うのではないかと思わせるほど巨大な邸宅だ。
ドヴァキンはここのベッドが素晴らしいものであると確信し、抑えきれない胸の高鳴りを感じた。
基本的に睡眠の必要がないドヴァキンにとって睡眠とは趣味の一つである。
ベッドソムリエを自称するドヴァキンは、ドラウグルの闊歩する墓地の中や石のベッドにエリシフのベッドなどスカイリムのありとあらゆる寝床に勝手に入り込み制覇している。
これだけの豪邸ならばさぞかし素晴らしいベッドに違いない。
ついでに言えば盗賊稼業もはかどりそうだ。
いっそのこと、住人を駆除してここを手に入れるのもありかもしれない。
あの老婆の家のように。
ドヴァキンは入り口の守衛の目を盗んで素早く【戦利品】のシャドウマークを門に刻み、素知らぬ顔で門をくぐった。
中に入ると、煌びやかな噴水と彫刻の数々がドヴァキンを出迎えた。
ここの主は相当な権力者に違いない。
ドヴァキンは、住人を駆除する選択肢を一旦取り消した。
「ここで待て」
ドヴァキンをここまで連れてきた兵士はドヴァキンにそれだけ言うと、奥に消えた。入れ替わりで武装したレッドガード数人と線の細いインペリアルの男がやってくる。
「ほぅ…確かに見たこと無いほど巨大なゲルマン人だな。これは期待できそうだ」
インペリアルがドヴァキンを舐めまわすかのように見て言った。
❖お前がここの管理人か?
一体何をすればいい
「違う。私は
❖グラディエーターとは何だ?
グラディエーター?聞いたことないな
主人はどこだ
「貴様に時間を割くほど暇ではないのだ。今から貴様はyesとだけ答えればいい」
短気なドヴァキンはこの不遜なインペリアルの首筋にダガーをねじ込んでやりたい衝動に駆られた。
しかしここで彼を殺せば確実に屋敷の主人に会えなくなる。
ドヴァキンは目を瞑り深呼吸することで怒りを抑えた。
さて、ここで思い出してほしいのはドヴァキンがニルンにおいて有数の英雄だということだ。
そんな英雄が殺意を滾らせばどうなるのか。
「あばばあばばばば」
インペリアルは泡を吹いて倒れていた。
一騒動あった後、ドヴァキンは屋敷の広場に連れてこられていた。
中央には布を巻き付けた(アンニア曰くトーガというらしい)派手なインペリアルと、多数の重装備の兵士が控えていた。
「おお、やっと連れてきたか」
ここの主人か?
❖おまえは誰だ
モラグ・バル(威圧)
「私はこのルドゥスの所有者であり、グラディア―トリアのオーナーだ。お前、剣闘士にならないか」
❖グラディエーターとは何だ?
「愚かな民衆の見世物として
❖なぜ自分に?
コロッセオ?帝都の闘技場か?
報酬はいくらだ?
「街でお前があの五月蠅い装飾店の女と話しているのを見た。貴様の巨体を見てこれは金の生る木だと確信したぞ。私の直感はよく当たるんだ」
❖報酬はいくらだ?
コロッセオ?帝都の闘技場か?
「報酬?それは歩合制だ。勝ち続けて人気が出れば億万長者、負ければ死ぬ。わかりやすいだろ?」
勝てばゴールドが手に入る。
実にシンプルでドヴァキン好みだ。
ゴールド大好きなドヴァキンはこのクエストを受ける気になった。
しかしこのクエストには落とし穴がある。
こう言った賭博の場合、戦士よりも胴元の方が圧倒的に儲かる仕組みなのだ。
カネにがめついBANZOKUであるドヴァキンはそれを良しとしない。
1ゴールドでも金が手に入るのなら、報酬を受け取った直後に依頼者を殺して有り金全部奪うのがBANZOKUスタイル。
❖わかった
「ようし、お前さんが勝つところを早く見せてくれよ」
かつて世界を食らう邪竜すら倒したドラゴンボーンがたかが人間ごときに負けるはずがない。
つまりドヴァキンの勝利は確定しており、同時に目の前の依頼主の死が確定した。
<ドヴァキン>
The Elder ScrollsⅤ:SKYRIMにおけるプレイヤーキャラ。
ドラゴンの魂を持ち、竜の言葉を叫べるドラゴンボーンという人間の皮をかぶったドラゴン。
本作におけるドヴァキン像は活動報告にて掲載予定
<スタァアアアアップ!>
スカイリムにおける衛兵のセリフ。
悪さすると聞くことができる。
<リストにない>
ゲーム冒頭にて主人公の死刑が決定した際のセリフ。
このセリフによって女隊長を殺すためにレイロフを選んだプレイヤーいるとかいないとか
<アイテムボックス>
一瞬で鎧を着脱可能。大鍋三百個とか持てる。
普通に考えてあり得ないので本作では魔術扱い。
<havok神>
物理演算ソフト。
実はSKYRIMでは使われていないが、巨人に殴られると天元突破するなど、その神威は健在。
<シロディール>
TES(The Elder Scrollsの略)シリーズに登場する帝国。
帝政ローマがモチーフだと思われる。
7/24 22:36
あとがきに小ネタ解説を追加