この素晴らしい世界に祝福を!~英霊エミヤの力を手に入れて~ 作:ごくでヴぁる
基本、原作の話にかかわることは少なめ(ベルディア戦やデストロイヤー戦は少しかかわる)に、オリジナルの話がメインとなる予定。
広がる草原の大地。
周りは草と木々に覆われ、涼しい風が吹く。
青空が広がっており、景色もよかった。
そんな草原に、立ち尽くす男がいた。
白髪の褐色の肌をした男。
普段着とも言える、ジャージとシャツ、ジーンズを履いている。
そして、その首元には赤い布が巻かれていた。
______そんな男の目に入ったのは。
ひとつの大きな街。
そして_____
「……なんでさ」
青空を駆け巡る、みずみずしいキャベツ達だった。
「なんでさぁぁぁぁぁァァアアアアア!!!!」
男の声が、周りに木霊した。
そもそも、こうなったのはかれこれ一時間前の出来事のせいだ。
◆
男が覚えている記憶は、そう多くない。
厳密に言えば、男自身が持っていた記憶だ。
ひとつ言えるとすれば、男は平凡な人間だった。
普通の両親の元に生まれ、普通の学校に通っていたただの高校生。
……ただ普通じゃなかったのは、交通事故にあって死んだこと。
そして、その魂が____『英霊の座』と呼ばれる特殊な場所と接触したことだった。
目が覚めたとき、男の髪は白くなり、肌の褐色になった。
さらには、己の過去は忘却し『エミヤシロウ』という名前しか残っていなかった。
_____そんな男の前にいた、羽を生やした存在_____『女神』と名乗った存在は答えた。
“ごめんなさい……あなたの魂は、ある英霊と接触してしまいました”
いわく、本来ならありえない接触だったらしい。
ただの人間の魂が、『英霊』と呼ばれる高位の存在と会合する。
そのありえない接触が、男に影響を及ぼした。
_____『英霊の侵食』を受けた。
“今の状態ならば、記憶は失いましたがあなたという個はまだ存在します”
そう言った、目の前の『女神』は男のひとつの赤い布を渡した。
赤い布からは、『英霊』の一部を得た男の目には神性が宿ったものに見える。
“それは、あなたの力を抑えると同時に、制御する神の贈り物です”
いわく、これを身につけているならば『英霊』の力も使える。
さらに、自我も保っていられるらしい。
“せめてもの罪滅ぼしです。……どうか、転生後の世界を楽しんでください”
そして、あわよくば。
_____己を忘れずに、事を成してほしい。
その言葉を最後に、男は転生する世界へと導かれた。
◆
「……それが、転生した世界に来てから」
男の声が震える。
一体どうなっているのか、何があったのかなど考える暇もなく放り出された。
それに加えて、目の前の光景だ。
キャベツが空を飛び、それを捕まえている人の姿を見ると。
「なんで、なんでいきなりこんな頭の悪い光景を見せられなくてはならない!!」
このとき、男は混乱していた。
だからこそ、この行動は仕方がないとも言えるだろう。
「
体に染み付いた『英霊』の詠唱を口にする。
それと同時に、手には螺旋状の刃を持つ剣が現れる。
この剣は、今この男が扱える限界値。
もとよりは劣化しているが、その威力は十分だ。
男の手に、黒い弓が表れるとその剣を矢としてセットする。
そして、目標をあの頭の悪いキャベツの真上とする。
_____魔弾は今放たれる。
「
空間をえぐるように、引き裂いていくひとつの矢(剣)。
それは、ちょうど集団となっているキャベツの真上に到達する。
「_____
そして、その魔弾は大きく爆発を引き起こした。
その爆発を受け、飛翔していた多くのキャベツが地に落ちていく。
______その光景を見届けた彼は、一言つぶやいた。
「……頭の悪い光景だ」
そして、それを引き起こした一要因である自分にも。
大きくあきれ、ため息をついていた。
◆
ひとまず、ストレス発散に一発やれたことで彼は落ち着いていた。
そのかいもあり、ひとまずやるべきことを行動に移すことができた。
まずは、街に向かいこの世界について知ること。
_____未だに、空を飛ぶキャベツのことで混乱しているが。
それよりは先に現状を知ることが第一だ。
別に、空飛ぶキャベツのせいでなんか存在が変化したとか、転生したとかを忘れたわけではない。
ついでに、先ほどの宝具の一撃で吹き飛んできた大量のキャベツ的な何かも回収していた。
軽く解析魔術をかけてみたが、中身自体は見た目どおりキャベツのようだ。
「……なんでキャベツが飛ぶ」
量が多いため、大きい風呂敷を投影しそれにキャベツを包み運ぶことにした。
……異世界とやらにきて、最初に遭遇した第一生物がキャベツというのも笑えない話だが。
ともあれ、そうして歩みを進めると無事視界に入っていた街に到達した。
街の中に入ると、中は活気に満ちており多くの店と人で埋め尽くされている。
その光景は、平和と自由を示したようなものだった。
「……ふむ、いい街だな。活気に満ちている」
思わず、声に出るほどだった。
その言葉が聞こえたのか、街の住人の一人が声をかけてきた。
「ハハハッ、そうだろう。ここは冒険者が来る最初の街、アクセルだからな」
笑いながら、街の住人である男は話をしてくれた。
いわく、この街は冒険者をするものが最初に立ち寄る場所。
いわく、この街には冒険者ギルドもあり、そこで冒険者として登録する。
この街と世界における、基本的な情報はすべて聞くことができた。
「ほう、そうだったのか。……ありがとう、恩に着るよ」
今までわからないことで困惑していたシロウは、素直に礼を言った。
男は、いいってことよと笑いながら答えそのまま立ち去っていった。
……ああ、本当にいい街だな。
シロウは、そう思っていた。
◆
男に言われたとおり、シロウは冒険者ギルドに来ていた。
ギルドの中はにぎわっており、多くの冒険者であろう人たちがいた。
シロウは、そのまままっすぐ受付へと向かう。
「すまない、少しいいだろうか?」
「はい、なんでしょうか?」
受付には、金髪の髪をした女性が座っていた。
どうやら、彼女が冒険者ギルドの受付らしい。
「ああ、冒険者登録をしたいのだが。登録料は、これの売却金額から差し引いてもらうことは可能だろうか?」
男から話を聞いた限り、このキャベツとやらは高値で売れるらしい。
すぐにお金が手に入るわけではないが、差し引いてもらうこと自体は不可能ではないだろう。
受付は、少し驚きながらも了承してくれた。
「それでは、こちらの書類に身長、体重、年齢、身体的特徴などの記入をお願いします」
そういうと、シロウに一枚の書類を渡した。
おそらく、転生させた神の配慮か。
言語の読み書きに支障はない。
身長175cm、体重70kg、年齢は……おそらく18歳だ、たぶん。
特徴は白髪、褐色の肌、そして灰色の目。
名前は……覚えている、エミヤシロウとしておく。
「……これでかまわないか?」
書類を書き終えると、シロウは受付に渡した。
受付の人は書類を確認し終えると、一枚のカードを机の上においた。
「エミヤシロウさんですね。それでは、次にこのカードに触れてください。このカードには、あなたのステータスが反映されるためその数値によってなりたい職業を選んでください」
言われたとおり、シロウはカードに触れる。
すると、カードにはシロウの名前が浮かび上がり同時にステータスも表示された。
「えっと、シロウさんは……おお!幸運値は人よりかなり低いですが、知能、筋力、敏捷値、魔力値すべてが平均より上ですね!」
おそらくは、座に接触したことで英霊エミヤのステータスも得たのだろう。
無論、身長や体重、体格も多少異なるため本人並みのステータスではない。
しかし、様子を見る限りステータスの水準はかなりいのだろう。
「これならどの上級職にもなれますね……ん……これは、見たことのない職業ですね」
受付の言葉を聞き、シロウはその職業に目をやった。
職業の名前は、『サーヴァントアーチャー』
「サーヴァントアーチャー……今まで見たことのない職業ですね、特典としてスキルも付与される職業のようです」
そのスキル名は、『対魔力』と『単独行動』
どうやら、『対魔力』は魔法による効果の軽減。
『単独行動』は、魔力消費の低下の効果があるようだ。
……スキル名からも考えて、おそらくは。
「(英霊エミヤの経験した……聖杯戦争におけるサーヴァントクラスか?)」
この職業にするか、正直悩むところだ。
シロウ自身は、英霊エミヤのように正義の味方になる気は正直なかった。
他人を救うために、彼のように個を捨てることができるとも到底思えない。
……ゆえに、この職業を得るのは縛られてしまうのではないかと考えた。
しかし……
「……有益でありそうなのは事実だな。では、サーヴァントアーチャーの職業で頼む」
有益である、それと同時にこのような職業が現れたということは。
似たような職業、サーヴァントの付く職業を持つものがいる可能性も考えられたためだ。
「わかりました、それではシロウさんの職業はサーヴァントアーチャーですね」
職業も決定し、シロウの冒険者カードは完成した。
ステータスも記載され、同時にスキルも記載される。
『対魔力』『単独行動』『投影魔法』『千里眼』『鷹の瞳』『心眼(真)』『????』(使用不可) 『????』(使用不可) 『????』(使用不可)
と、スキル欄には記載されていた。
「……やはり、か」
おのずとわかってはいたが、やはりこの体は英霊エミヤの力を色濃く受け継いでいるらしい。
すでに習得済みのスキルとして、記載されているものはすべて英霊エミヤが所有しているものだ。
使用不可とされているスキルも、おそらくはアレだろう。
「……やれやれ、ままならないな」
スキル詳細
『対魔力』:パッシブスキル、魔法によるダメージを軽減する
『単独行動』:パッシブスキル、魔法などによる魔力消費を少し軽減する
『心眼(真)』:経験に基づく戦闘技術。任意のタイミングで敵の攻撃を自動的にかわす。
『千里眼』:原作どおり。遠くのものを見る、ただしシロウの場合は即座に扱える
『鷹の瞳』:攻撃特化の千里眼。相手の急所、隙を即座に察知するスキル。近距離、遠距離の両方で使用可能。
『投影魔法』:この世界に反映され、記載が魔法となっている。ただし性能は変わらない。近接武器に特化して、魔力を使う実体を出現させる。ただし、現在は使用制限あり
『????』(使用不可)*3:聖骸布を身につけている間使用不可
設定
・名前は『エミヤシロウ』となっており、口調もそれに近くなっているがまだ人間らしい
・『正義の味方』をするつもりは一切なく、平和に暮らしたい
・力の制限には、ある理由がある
なお、最初にあそこまで困惑していたのは内面がまったくの別人だからだったりします(いろいろありすぎて、キャパを超えた)
需要があればかくかもしれません