艦これの世界で空飛んだ 作:某連合軍の緊急脱出王ヽ(0w0)/
暗く鬱蒼とした森を進む。
空はうっすらと雲がかかり、半月が太陽からの光を優しく照らし返している。
「クソッ、またか」
イライラした口調で鎮圧部隊の年若い伍長がセンサを無力化する。
木の陰等、所々に動体センサや赤外線センサが設置されているようで、暗視装置で確認できる。
嫌らしい置き方だ、余程人を寄せ付けたくないと見える。月明かりは半月のためさほど多くはない。それは好都合だったが、巡回の警備兵が多い。
それに一人ずつ気絶させるのは良いものの…コイツらかなり栄養状況悪いな。
頬はげっそり痩せて目許はクマだらけ。
鎮守府の警戒エリアギリギリで気絶させて先に目を覚ました奴等に尋問を行うと、やはり食堂でなんて食事をとらせてもらえず、毎日Aレーションばかりだという。
(参考までに言うと、Aレーションは少し生鮮食品はあるが大体包装された食品に新鮮な果物が付属する程度)
こんな栄養状況で警戒任務に就かせるって笑っちゃうぜお前(KBTIT)
食事は兵士、ひいては軍の進軍や行動に関わる大事な問題なのに…バカじゃねぇ!?(KBTIT再び)
まぁそんなわけで敵の警戒網には引っ掛かることなく無事に目的の鎮守府には到着したが、柵には高圧電流、鉄条網、それに監視カメラに遠隔起動対人地雷と、不審者対策のオンパレード。
(戦地かな?)
(いや内地でしょ。)
内心黒杉の提督を侮蔑していると通信士が暗号通信を受け取ったようだ。
「坂野少佐。先行したトラック隊からです。"木馬はトロイアに入った"」
トラック隊は先行し、数時間前から電気の修理業者と偽って内部に潜入している。
「よし、木馬隊が施設電源をカット次第ヘリ隊が突入しラペリング後、撹乱のために同時刻に俺達も突入するぞ。提督、宜しいですか?」
突入隊はもう準備を済ませている。やるしかあるまい。
「よし、木馬に電源カットを通達。ヘリ隊は突入させろ。お姫様を救い出すぞ」
薄暗い部屋の中、この鎮守府の主である恰幅の良い白い軍服の提督、そして髪を側頭部に結んだ加賀が座り込み青いカーペットの床に擦り付けんばかりに頭を垂れる。
「やめてください…作戦の失敗は私の落ち度です…これ以上彼女たちを傷つけるのは…!」
「私の命令もろくに聞けん鉄材どもが良くも一端の口を利く…。いいか良く聞け、私たちには敗北など有り得んのだ。ここは本土防衛の要なればこそ、ここまでの出撃ローテーションなのだぞ!貴様等は兵器であるからして、護国の礎とならねばならんのだ!」
「それは理解しています!しかし艦娘とて精神は人間と同等です!過労死だって存在します!いつまでもこんなことを続けたらいつかはまたあんなことになります!あの子の二の舞を増やす気ですか!?」
「あんなこと…?ああ、
「…流石に…頭に、来ました…ッ!」
加賀は守れなかった瑞鶴の事をボロくそに言われ、提督を睨み付ける。
「なんだ、上官に反抗する気か?とんだ欠陥品だな貴様。赤城共々解体してやろうか」
「クッ…」
突如、鎮守府全館の電気が落ちた。
それと同時に、ヘリのローター音も鎮守府内に響き渡る。
「何だいったい!敵襲か!」
言うが早いか、月明かりを照明がわりに探しだした机の上にある緊急無線で各部署に復旧・警戒を急がせる命令を下す提督。声を荒らげた反動での息切れが収まった頃加賀に再び向き直る。
「これで大丈夫だろう…貴様、何か仕組んだな!」
「私は何も「喧しい!」うっ…!」
派手な音を立てて床に倒れ込む加賀。提督は腰に帯びているリボルバーを抜き、照準を加賀の頭へと合わせる。
「止めてください…それ以上は…!」
「ふん、命乞いか。この鎮守府には貴様を守ってくれるものなどいない。死ね」
引き金が雷管を叩かんとしたその瞬間、執務室のドアがこじ開けられた。
我らがトラック鎮守府提督、長瀬である。
「誰だ貴様は!?」
「当ててみろ、ハワイ旅行に招待してやるぜ」
「スカした真似を!」
ドアから加賀達まで凡そ3メートル。
加賀へ向けていた照準を長瀬に向けようとする提督。その前に動き出した長瀬へ照準を向けるのは至難の技だが、それに構わず発砲した。銃身を飛び出した弾は長瀬の腹へ向かいボディアーマーを破り、腹部を食い破った。
「ぐおおおおおおっ!」
獣のような雄叫びを上げ、しかして突進を止めない長瀬。
拳を握り締めて弓を引き絞るように引かれ、その拳は放たれた。
遂にその手は提督へ届いた。
「くそぶぉっ!」
走った勢いもそのままの渾身の右ストレートは提督の右頬に突き刺さり、1メートル裏の執務机を巻き込んで倒れた。
「…」
肩で荒い息をする長瀬。
「助けてくれたこと、感謝します。貴方は…一体誰なんですか?」
「俺か。俺はサンタクロースさ」
ヒューッ!