歩くたびにカシャンカシャンと音が鳴る。
俺は今、二人の兵士に連行されている最中である
「はぁ……」
ため息を吐きながら空を見上げる。
早速人生が詰んだ。金の錬成がどれだけの罪なのかは分からないがとりあえず前科持ちだ。
そんな事を考えていると急に兵士が止まり背中にぶつかった。
「痛ッ」
目線を空から戻すと二人の兵士はある方向を見て敬礼している。
関心はそちらに向かい俺なんかを気にしている様子はない。
俺がぶつかったのにこちらに顔さえ向けないのがその証拠だ。
俺は周りを見渡し、今なら行けると頭で計算した。
パンッと両手を合わせ手錠を腕輪に錬成し直し両手を自由にする。
続いてもう一度両手を合わせ、兵士の持っている銃を銃口を塞ぐ形で錬成し、一目散に路地へ逃げ込む。
作戦は成功だ。
兵士はあっけにとられ数秒固まった後、慌てて銃をこちらに向けて「止まれ!」と威嚇するがその銃口は塞がれており弾を発射する事はできない。
裏路地へ入ってしまえば入り組んだ道を逃げる事ができる。
これだけ距離が開いていればなんとかなるだろう。
そう思い路地に入ろうとした時だった。
目の前にいきなりマッチョな銅像が現れ、道を塞いでしまった。
慌てた俺は道を変えようと振り向いた。
するとそこにはすでに、銅像と同じマッチョな人物が立っており、怯んだ俺をギュッと羽交い締めにしたのだ。
止めろ、暑苦しい!
ジタバタもがく俺を兵士達が敬礼していた人物の前に連れて行った。
「ご苦労。アームストロング少佐」
その人物、眼帯を巻いた体格の良い初老の人物は俺を羽交い締めにしている人物に言葉をかけると俺に向かって話しかける
「錬成陣無しでの錬成とは面白い! さて、君は何の罪で連行されていたのかね?」
「金を錬成した罪であります!」
俺が訝しげに睨んでいると俺を連行していた兵士の1人が代わりに答える。
「そうか、金を錬成したか。 その年で
「金が無きゃ飯も食えない……」
「そうか、飯の為か!」
眼帯の人物は面白いと笑いながら話を続ける。
「では君はご飯が食べられる金があれば金の錬成はしなかった訳か。ならば毎日好きなだけご飯が食べられる職業を紹介してあげよう。勿論、君の今回の罪は見逃そう。 君は、国家錬金術師になる気はあるかね?」
「大総統! それは余りにも_____」
「余りにも何かね?」
眼帯の人物はそれを否定しようとした兵士に睨みを利かせて黙らせる。
「アームストロング少佐、君は錬成陣無しでの錬成ができるかね?」
「できませんな」
それに満足そうにうなづき、俺を連行していた兵士から俺に顔を戻すと首を傾げている俺を見て笑いながら話し始める
「国家錬金術師が分からんかね? 軍に仕える錬金術師の事だ。 軍に有用な研究結果を決められた期間で軍に提出する。 軍属となる事で命令があれば軍人として戦いに出る事もある。 代わりに莫大な研究費と様々な権利を得られる。食いっぱぐれる事もないじゃろう、どうだ?」
眼帯の人物が言う条件は俺にとって有用なものばかりだった。
軍人として戦うとは言っているが、7歳位の俺にそんな事をさせる事はないだろう。
「なる」
俺の答えに満足そうに頷くと眼帯の人物は俺を連行していた兵士達を持ち場へ戻らせ、俺に家族がいない事を確かめるとアームストロングと呼ばれた男に話しかける。
「アームストロング少佐、君の家で見てあげたまえ。 少年、彼も国家錬金術師だ。分からない事があれば色々と聞きたまえ」
こうして、この世界での俺の引き取り手が決まった。
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