箱庭出身転生者と猫姉妹   作:めざし

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記念すべき10話目です。
今回結構ほのぼのとしてます。

では、うぷ主の挨拶はこの辺で。では、本編をば。


第10話

「・・・・・・学校生活ってとても忙しいんですね・・・・。毎日毎日、宿題が出るだなんて思ってもみませんでした」

 

「・・・・・特に私たちは平仮名やカタカナから勉強しないと、そもそも問題文がしっかり読めないっていう・・・。

・・・あぁ、遊びたいよぉ〜、つまんないよぉ〜、体動かしたいよぉ〜・・・」

 

「ほら、黒歌姉さん手が止まってるよ。これが終わったらオヤツ用意してあげるから頑張って・・」

 

「!!

オヤツですか!?

急いで終わらせるので私の分もお願いします、レイ君!」

 

「・・・・先に白音姉さんの方が食いついてしまった・・」

 

 

それは初めての休日の朝、3人は2日ある休日を思う存分満喫するために早いうちに宿題を消化してしまおうと考えて行動に移していたのだが・・・平仮名とカタカナを学び始めたばかりで覚束ない2人の少女は、問題文を読むことさえ一苦労するという問題にぶち当たり、想定以上に宿題の進行が滞っていた。当然そうなれば、段々と集中力が下がるし勉強する意欲も落ちてくる。遊びたい盛りの黒歌がブウたれるのも仕方ないことと言えよう。

それを見かねたレイは黒歌を鼓舞するためにオヤツで釣ることにしたのだが・・・・よもや白音が先に釣れるとはびっくり仰天である。

 

「もちろん姉さんの分もあるから落ち着いて。・・・あ、ほら、そこ計算間違ってるよ」

 

「どこですか?・・あ、ここか。むぅ、掛け算難しいです・・・」

 

「レイ、レイ、これはどうやるの?」

 

「ああ、そこは・・・」

 

と、このようにしてレイは自身の宿題をやりつつ、姉たちのノートを時折見て間違いを指摘したり、あるいはどうしてもわからないところがあれば、レイに尋ね、それをレイが答えるといった感じに宿題を進め、それから彼らはそれぞれが一区切り着くまで宿題を進めた。

 

 

「このわらび餅美味しいです!!」

 

「ほんとほんと!どうしたの、このわらび餅?」

 

「あぁ、昨日の夕食の食材の買い出しに出かけた時に見かけてね。美味しそうだったからオヤツ用に買ってみたんだ。姉さんたちの口に合ったみたいだから、買って正解だったね」

 

「次もなんかオヤツ用意してちょうだい!ご褒美があれば頑張れる気がする!!」

 

「私からもお願いします!」

 

「はいはい、思った以上に好評で何よりだよ。機会があれば多めに用意するから2人とも僕の分まで食べようとしないでくれ・・」

 

大人っぽく見えるレイ(実際精神年齢に限って見れば、大人なんてレベルじゃないのだが)もこう見えて甘味は好きらしく、いくら姉であっても自分の分まで取られるのは勘弁して欲しかった。

 

「ほら黒歌姉さん、休憩も終わりにして、とっとと宿題片付けて遊びに行こう?もうすぐ範囲も終わるんでしょ?」

 

「うぅ、まだやるのぉ?いいじゃん、残りは遊んでからで・・・」

 

「・・・・それでも良いけど、多分今日中には終わらなくなる可能性の方が大きいよ?明日も朝から宿題したいの?」

 

「え?なんで?」

 

「だって、遊んで帰って、夜修行したら絶対やらないと思うよ、勉強?」

 

「うっ!

そ、そんな・・こと、ないよ?たぶん・・・」

 

「ほら、自分でもできないって思ってるんでしょ!

今やらないと後で後悔するよ。特に明日絶対」

 

「うぅ・・・わかったよぉ」

 

「姉様、覚悟を決めましょう・・・幸い本当にあと少しなんですから」

 

「白音まで・・・はーい!こうなったら徹底的にやってやるぅ!!」

 

こうしてレイと白音の指摘により覚悟を決めた黒歌は残りの宿題に手をつけ、間も無く終わらせることに成功した。

そして・・・・

 

「終わったぁぁ!!行くよ、2人とも!!!」

 

「うん、お疲れ様黒歌姉さん。じゃあ着替えたら出かけようか」

 

「お疲れ様です、姉様。今日はどこに行くんですか、レイ君?」

 

「そうだね、最初は2人が気になっていたゲーセンから行こうか?」

 

「いや、最初にご飯食べよう!私お腹すいた!!」

 

「さっきわらび餅いっぱい食べてたじゃん・・・」

 

「甘いものは別腹なの!!

ほら、白音もお腹空きましたって顔が言ってるよ!」

 

「え?!

・・・いや、まぁ、確かに空いていますけど・・。

・・そんなに分かり易い顔してました?」

 

 

と、まぁ終わって早々黒歌は溜まった鬱憤を晴らすかのように行動に移したのだった。

 

 

 

・・・・所変わって彼らは黒歌が以前クラスメイトから聞いて気になっていたという通学路の途中にあるイタリアンレストランで思い思いのランチメニューを注文していた。

噂に違わぬ料理の味に満足した後、レイが当初予定していたゲームセンターへ向かった。

そして・・・

 

 

「うおおぉぉ、うるさぁぁい!!」

 

「これは・・・そうですね。ゲームの音がすごいです」

 

「うん、初めて入ったけど・・・これは・・・圧巻の一言・・・・」

 

彼らは初めて訪れたゲームセンターという魔境がまるで魔獣の咆哮のように耳を犯すその騒音に度肝を抜かれていた。

しばらく呆然としていたが、取り敢えずゲームを堪能するべく、レイたちはお札を小銭へと両替し、そのままUFOキャッチャーや格闘ゲーム、射撃ゲームなどを行なった。・・・が、当然初心者の彼らは上手く操作できず悲惨な結果に終わってしまい、次来るときにはリベンジを果たすと誓ってゲームセンターをあとにするのだった。

その後、彼らは新しい服を見繕うためにデパートへと赴き、春物の服を扱っているコーナーにやってきた。

 

 

「レイ君レイ君、これなんて可愛いんじゃないですか?」

 

「レイ、レイ、これなんて似合うんじゃない?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

レイは今、白音と黒歌によって着せ替え人形のように服を取っ替え引っ替えさせられていた。

・・・・・・それも女の子向けの服を・・・

 

「2人とも・・・どうして僕にそんな女の子の服を、き、着させるのかな・・・?」

 

「「似合うから?」」

 

「・・・・・。いや、いや、確かに髪が長い上に、客観的に見ても僕の顔は女の子みたいな顔してるけどさぁ・・・。

だからって!女の子の服を!!持ってきて!!!着させるのは!!!!おかしいんじゃないかな!!!!!??」

 

「まあまあ、落ち着きなよレイ。そういうのが似合うのも一種の才能だから喜んで良いと私は思うよ。

あ、こっちも良いね」

 

「そんな才能願い下げだぁ!

あと、ちゃっかり脱がして着せようとするんじゃない!!」

 

「落ち着いてください、レイ君。騒ぐと他のお客さんの迷惑になっちゃいますよ」

 

「・・・すまない白音姉さん。姉さんの言う通りだ、気をつける。

・・・・・ところで、白音姉さん、その手に持ってるその白いフリフリのたくさんついたワンピースはなにかな・・・?姉さんが自分で着る、んだよね・・・?」

 

「?

いえ、レイ君の分ですよ?」

 

「・・・・・・・・ふぅ、OK。僕は突然日本語がわからなくなってしまったy・・あ、こら!その手に持った服を無理矢理着させようとするんじゃない!!

やめ・・・・ヤメロォーーー!!」

 

 

と、デパートの一角でこのような騒ぎがあったらしい。

しかもそこには・・・・

 

「あわわわ・・・レイ君、お、女の子の格好、すっごく似合って、る・・・。

か、かわいい、かも」

 

と、赤縁のメガネをかけた気弱そうな少女が顔を真っ赤にしてその一部始終を見ていたのは余談である。

 

 

 

 

 

「・・・・ひ、ひどい目にあった・・」

 

と、階段の近くにあった椅子に座ってひどく疲れたような表情をした少年、レイはそう呟いていた。

 

「いやぁ、今日はいい服がいっぱい買えて良かった良かった。ね、白音」

 

「はい、まさかあんなにレイ君に似合う服が見つかるとは・・・。

帰ったら早速また着てください、レイ君!写真を撮ってアザゼルさんに見せてあげましょう!!」

 

「・・・・・・・・・・勘弁してくれ・・・」

 

と、疲れた様子のレイの近くにはやたら良い表情の黒歌と白音の姿がそこにあった。

 

「・・・・はぁ。この借りはいずれ返すとして・・・このあとどうする?大体買い物も終わったし、何もなければこのまま食品コーナーでも行って、夕食の材料買って帰ろうと思うんだけど?」

 

「んー、そうね、特に私は用はないかな?白音は?」

 

「そうですね。私も特にはないですね」

 

「そっか。じゃあ、食品コーナーに行くか」

 

と、この後の予定を決めて、3人は食品コーナーへと向かった。

 

「今日は何食べますか?」

 

「んー、私はなんでもいいよ」

 

「・・・そういうのが一番困るんですよ、姉様」

 

「んー、じゃあ今日は家で焼肉なんてどうかな?なんかがっつり肉食べたい気分」

 

「焼肉!!?良いね、そうしましょう!!」

 

「焼肉ですか?

家に鉄板なんてありましたか?」

 

「ああ、この前倉庫に残ってるものを確認してたらあったよ。まぁ、ちょっと埃かぶってたから一度洗わないといけないけどね」

 

「そうですか。なら、今日は焼肉にしましょうか」

 

「やったぁ!!焼肉♪焼肉♪」

 

「ふふふ、姉様ったら子供みたい」

 

「子供だもーん!」

 

ニッと黒歌は笑って2人の前を歩き出す。

 

「・・・・レイと出会ってから毎日が楽しいなあ」

 

という呟きは後ろの2人には聞こえなかった。

 

 

 

その後、3人は自分が食べたい肉をそれぞれ買い、さらに白音とレイは肉しか食べようとしない黒歌のためにシイタケやピーマン、人参など、おおよそ子供が嫌う食材をもともと購入する分に加え、黒歌が満足するだけバレないように購入していた。

そしてレイは帰宅後早速倉庫から鉄板を運び出し、埃などの汚れを落とした後、庭のテーブルに設置した。

 

「こんな感じかな。おーい、2人ともー、用意できたよー」

 

レイは自身の仕事に満足した後、2人を呼ぶことにした。

 

「丁度良かったです。こちらも準備できました」

 

と、白音がパックに入っていた肉や野菜を皿に移し、塩胡椒での味付けを終えて庭にやって来た。

 

「あれ、黒歌姉さんは?」

 

「買った服などの値札などを切ってもらっているので、そろそろ終わらせてこっちに来ると思いますよ」

 

「そっか。じゃあもう先に野菜から焼いちゃおうか、焼けるの時間かかるし」

 

「それもそうですね」

 

そうして2人は鉄板に軽く油を引いた後野菜を焼き始めた。

 

「ああああ!!先に始めるなんてひどいよぉ!」

 

すると、少ししてから黒歌が外に出てきて、先に焼き始めている姿を見てしまったため、怒り出してしまった。

 

「うおっ!!?

いきなり飛びかからないでくれ、危ないじゃないか」

 

「うるさいうるさーい!勝手に始めた2人が悪いんだよ!」

 

「姉様、落ち着いてください。姉様が来る前に焼けるのに時間のかかる野菜を先に焼いてただけです」

 

「違うの!!そういうのが問題じゃなくて、せっかくBBQみたいになってるのに一緒に始めないのが問題なの!!」

 

「ええ・・・。

それのどこに問d・・・・あ、いや、僕が悪かったです。だから泣かないで・・」

 

レイは黒歌のよくわからない持論に怒られ、言い返そうとしたが・・・黒歌の瞳に涙が浮かんだのを見て自身が悪かったと謝ることにした。

 

「ほ、ほら姉さん・・・肉を焼いてくれないかな?

そ、その・・・僕もいい加減お腹空いちゃったし・・」

 

「うう〜、反省してる?」

 

「してますしてます。次から同じ轍は踏みません!!」

 

「うぅ〜・・・なら、良いよ・・」

 

「ほ、ほら姉様。レイ君も反省しているようなので・・・そろそろお肉焼ませんか?」

 

 

こうしてレイは平謝りして白音にフォローしてもらいつつ、なんとか黒歌から許しをもらい、焼肉を再開したのだった。

 

 

 

「よぉし、今日は食べるぞ〜!!」

 

「あ、ほら姉さんこの肉焼けたよ」

 

「わーい、ありがとうレイ!」

 

(・・・・ふう、一時はどうなるかと思ったけど・・。

なんとか姉さんの気が治って良かった。)

 

「姉様、お肉ばかりじゃなくしっかり野菜も食べましょう。栄養が偏ります」

 

白音はポイポイと黒歌の皿に焼けた野菜をよそう。

 

「うっ・・・や、野菜なんて食べなくても平気よ」

 

「好き嫌いはダメです、しっかり食べてください」

 

「い、嫌だ・・・ピーマン苦いもん、シイタケの食感きもいもん、人参不味いもん・・・」

 

「・・・はぁ、こうなったら仕方ありませんね。レイ君、お願いします」

 

「はいはい」ガシっ←レイが黒歌を羽交い締めする音

 

「は、離せ、離せぇ!!」

 

「では姉様、まずはシイタケから・・・大丈夫です、農家の方が丹精込めて作った出来の良いシイタケです。きっと姉様も気に入ります。食わず嫌いなだけです」ガシッ←白音が黒歌のアゴをつかむ音

 

「あががが・・・ぐごーーー!!?」

 

「あ、吐き出しちゃダメですよ?」ぐっ←白音が黒歌の口元を抑える音

 

「んー!んー!!?」

 

「・・・・なんて絵面だ・・」

 

「もぐもぐもぐ・・もぐもぐ・・もぐ・・・もぐ・・・・もぐ・・・・」

 

「・・・・姉さん、これお茶」

 

「!!」

 

パシッ!!!

ゴクゴクっ!

ぷはっ!?

 

「ぜぇぜぇ・・ひ、ひどいめにあった・・・」

 

「・・・では、姉様、こちら畑で採れた旬の人参です、どうぞ」

 

「また!!?ヤメロォ!!ハナセェ!!!」

 

 

その後近所に少女の悲痛な叫びが響き渡り、なにか事件と勘違いしたご近所さんに通報されてしまったのは別の話。

 

そんなこんなで楽しい(阿鼻叫喚な)食事を終えた3人は少しの休憩を挟んでから修行を開始し、やはりレイの予測通り、遊んだ疲れと修行の疲れにより、黒歌と白音は湯船に浸かっている間に眠ってしまい、全然起きない2人の介護に苦労することとなった。・・・・意識のない人の体を洗うのはとても疲れるということをレイはこの日知り、一歩大人となったのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、レイたちはいつもの朝の修行を終えると、遠出の準備をしていた。ピクニックである。

駒王朝から少し離れたところに山があるので今日はそこで白音の作ったお弁当を食べようと、黒歌が提案したのだ。

なんでも、黒歌のクラスメイトからその山のことについて聞いたらしく、山の頂上はちょっとした原っぱになっていて、この時期に行くととても寝心地がいいのだそうだ。

ということで、彼らは午前中のうちに自宅を出て電車で山の麓へと向かった。

 

「うーん、今日は絶好のピクニック日和だねぇ〜」

 

「そうだね、姉さん。これで原っぱに寝転がったら気持ち良いだろうね」

 

「姉様、レイ君、登るにはあそこから行くみたいですよ」

 

3人は麓に着くと、早速山を登り始めることになった。

 

「うーん、日頃から激しい運動してるから全然苦にならないね」

 

「そりゃあれだけ僕がしごいてるからね。この程度で音を上げるわけないさ」

 

「・・・そう言えば、修行を始めてからだいぶ経ちましたが私たちは強くなれているのでしょうか?」

 

「なれてるさ。実戦をしていないから実感が湧かないだけで今の姉さんたちならあの時の貴族程度とならそれなりの戦いができると思うよ?

少なくとも一方的にやられる、なんてことにはならないさ」

 

「そう・・ですか。レイ君がそう言うなら安心です」

 

「ま、あとは実際に戦ってみるしかないよね」

 

「そうだね。・・・まぁ僕としては極力争いに関わりたくはないから、何事もないのならそれが一番だよ」

 

「・・・むぅ、そう言う割には自分が一番ストイックに修行してるくせに・・」

 

「ははは、まぁ、それはほら、僕の力は一部不安定だし、武に関してもまだまだ未熟だからねー」

 

「・・・・・あれで未熟だって言うのなら大抵の実力者は全員未熟だからね、レイ君」

 

と、前を歩くレイが自身の未熟さについて言及するとジトーとした目で黒歌と白音はレイを見て呆れていた。

 

「・・・・はは、前の僕と比べたら・・・・言葉通り未熟者としか言えないさ」

 

そうレイは俯いて誰に聞かせるともなく、とても小さな声で自嘲気味に呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・はずだった。

 

 

 

 

 

 

Side 猫姉妹

 

「・・・・はは、前の僕と比べたら・・・・言葉通り未熟者としか言えないさ」

 

 

 

それは本当にたまたま聞こえただけだった。たまたま風がその音を拾わなければ・・・・。

私たちが猫魈で五感が普通のモノより優れていなければ・・・。

それを私たちは聞くことは決してなかっただろう。

だが、私たちは聞いてしまった。それを。

 

「「・・・・・・?」」

 

「・・・今の聞こえましたか、姉様?」

 

「うん、聞こえた。

白音はどう思った?今の」

 

「・・・そう、ですね。

何か今の言い方には違和感を感じました。

まるで・・・」

 

「まるで・・・・自分は見た目通りの年齢じゃない、みたいな?」

 

「そう・・・ですね、そんな・・・感じです」

 

「・・・レイって時々ああ言う風に何か隠してる時あるよね・・・、それも多分重要なの」

 

「そうですね、時折・・・。

本人は隠してるつもりみたいですが・・・」

 

「・・・レイにだって隠し事の一つや二つ、そりゃあると思うよ。・・・だけど、」

 

「・・・だけど、私たちは家族だから・・・・悩んでいることがあれば頼って欲しいし、困っていることがあれば相談して欲しい・・・ですか?」

 

「うん、そうだね・・・」

 

「でも、だからこそ・・・」

 

「私たちはレイから言ってくれるまで・・・」

 

「待つだけです!」

 

「ふふ、流石私の自慢の妹ね、よくわかってるじゃない!!」

 

「ええ、姉様こそよくご存知で!!」

 

 

そうだ、だから私たちは待とう。私たちの弟が自分から『それ』を語ってくれるその時まで・・・。

 

そして2人はその日、その時決意したのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぁあ、ほんとにこの原っぱきもちいいね。

これは明日あの子にお礼言わなきゃ!」

 

「そうだねぇ、僕たちもついでによろしく言っといてぇ〜」

 

「あらら、レイがフニャフニャになってるわ・・・。

ま、わかるけどねー、その気持ち。」

 

「ふふ、レイ君の寝顔可愛いですね」

 

 

レイたちは程なくして目的の場所へ着くと、レジャーシートを木陰の下に設置し、そのまま白音の用意した昼食を全て平らげると、彼らは木漏れ日の下、原っぱに寝転がってこれまでの疲れを癒していた。

レイは日頃、自身の宿題に加え、黒歌と白音に平仮名や片仮名に初歩的な漢字、数字に四則演算などを一から教え込んでいたのに、さらに修行も同時進行で行なっていたため、彼が意識していないところで疲労が溜まっていたのだ。

そうなれば当然・・・

 

「すぅ・・・・すぅ・・・・」

 

と、あっさりと睡魔がやってきて、そのまま眠りに落ちてしまった。

 

「・・・ん?あらら、いつの間にか本当に寝ちゃってるよ」

 

「・・・まぁ、ここ最近はレイ君に負担をかけすぎてしまっていましたからね。

レイ君は平気そうに振舞っていましたが、やはり疲れが溜まっていたんでしょう」

 

「・・・うん、そうだよね。

学校に通いだして不慣れな私たちのために頑張ってくれてたもんね、レイは・・・。」

 

「今だけはゆっくり寝かせておいてあげましょう。

また明日から学校ですし・・・」

 

「・・・あ!いいこと考えた!」

 

「・・・・・・なにかロクデモナイこと考えてませんか?」

 

「失敬な!!

至って真面目ですぅ!!」

 

「・・・そうですか、それは失礼しました、姉様・・・」

 

「あー、その目は疑ってるなぁ?」

 

「いえいえ、そんなことは無いですよ、姉様?

それより、そのいいことについて早く教えてください」

 

「・・・・もう、今回は見逃してあげるけど、次からは怒るよ?」

 

「すみません、姉様。それで?」

 

「うん、それでね、いいことっていうのはーーー」

 

 

 

 

 

Side レイ

 

 

ーーーう、ぁ

なんだ?すご、く、心地いいな。なんだこれ?

 

僕はどうやらいつの間にか眠っていたようだ。

微睡みからふと、ほんの少しだけ意識が覚醒すると寝心地の良さと胸の重みに気づいた。

後頭部に柔らかくて暖かい何かがあるな。

・・・・枕は持ってきてないはずだけど・・・・しかも心なしか、良い匂いまでする。

目を開けてまず胸の重みを見てみると・・・・・

 

そこには白い何かが僕の体に乗っかっていた。

 

なんだこれ?

・・・とりあえず、触ってみる。

すると・・・

 

「ん、ぁん・・・・ん、う、ふみゅっ・・・・。

・・・・んぁ?あ、レイ、君?そ、そこは・・・・だ、駄目」

 

変な音がした。

ん?いや、この音・・・・いや聞きなれた声!!?

 

僕はそこで意識が少しだけ覚醒すると・・・・・

僕の胸の上に乗っていたものの正体、白音姉さんが乗っかっていたことに気づいた。・・・・・あぁ、あの良い匂いは白音姉さんの髪の匂いだったのか・・・。

・・・・・いやいやいや!!!!??

 

「し、白音姉さん!!??何してるのさ!?しかも耳と尻尾まで出して!?」

 

「え、えっと・・・その・・・レイ君の胸の上で寝てたらなんか気が抜けちゃって・・・・いつの間にか出てた、にゃん?」

 

 

いや、出てたにゃん・・・って言われても・・・。かわいいけどさぁ・・・。びっくりするからやめてほしい。

 

 

どうやら白音姉さんはいつの間にか寝てしまった僕の上で丸くなって眠っていたようだ。

 

「ん・・ふあぁ・・・・あ、レイ・・・起きたんだ?よく眠れた?」

 

と、僕の頭上から黒歌姉さんの声が聞こえた。

上を見てみると、黒歌姉さんの顔がそこにあった。

・・・・・どうやら、僕は黒歌姉さんに膝枕をされていたみたいだ。・・・・黒歌姉さんのもも、やわらか・・・・・。

 

「・・・・・はっ!!?え、なんで僕は膝枕されてるの?!」

 

「んー、私がしたかったから?」

 

「そ、そう・・・。あー、駄目だ、頭まわんないや」

 

「どうする?まだ眠っとく?」

 

「・・・・そう、だね。

姉さん・・・もう少し膝、貸しててくれないかな?」

 

「ん、良いよ。

まだ日が沈むまで時間あるから・・・しばらく眠ってなさい」

 

「・・・・ん、そうする、よ。

あり、が・・・と・・・・・・・すぅ・・・すぅ・・・・」

 

「・・・・・ん、どうやらまた寝たみたいね。

ナイス白音、仙術の応用はほぼ出来てきたみたいね」

 

「はい。・・・・ふあぁ、私もまだ眠いです。

姉様も寝ますか?仙術で誘導しますけど?」

 

「そうね、お願いするわ」

 

「はい。では姉様、おやすみなさい」

 

「ん、おやすみ・・・・しろ、ね・・・・すぅ・・・すぅ・・・」

 

「・・・・・くぅ・・・くぅ・・・・」

 

 

 

 

こうして3人の休日は暖かな木漏れ日の下、穏やかに過ぎていった。

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