本作主人公:葉桜 レイ<はざくら れい>
9歳(この世界に転生してからの肉体年齢である 前世を含めたら軽く4桁は超えます)
黒髪黒目の純日本人。目鼻立ちは整っており、愛らしい顔をしている。冥界で2年サバイバルをしていた影響で髪は肩甲骨まで伸びており、前髪も目を隠すほどに長いが、彼はそれを邪魔に感じたので後ろに搔き上げてオールバックにしている。
彼は所謂転生者と呼ばれるものである。彼は前世ではもともと辺境のしがない一村人だったが、ある日まつろわぬ神と邂逅し、奇跡と運、咄嗟の機転によってその神を殺すことができた彼はその日からカンピオーネとなる。彼はその後その力を祭り上げられて一つの都市国家の王として君臨する。それから彼は自身の国を荒らすまつろわぬ神々や隣国から攻めて来る蛮族の殲滅を続け、いつしか小さな都市国家だった彼の国は大国となる。そして国が安定する頃には59年の時が流れ、かつて自身を祭り上げたものたちは死に、そして建国当初から彼を支えた最後の忠臣の最期を看取ると、60年目の建国記念日に次の王を指名した書き置きを残して姿を消す。その後彼は60年の治世では見ることのできなかった市井の生活を見たりしながら見聞を広め、自国や友好国を訪れながら放浪していた。そんな気ままな旅の中、ふと天から自分の元に何かが落ちて来るのに気づいた彼はそれを拾う。それは箱庭への招待状だった。彼はそれを読み、笑う。次の行き先が決まったと。そして彼は生まれ育った故郷を、世界から旅立つ。
彼は最後に所属していたコミュニティに隷属するまでは彼を箱庭に招待してくれたコミュニティで多くの実績を上げ、そのコミュニティを大いに盛り上げた。だが、その名声が『彼女』の耳に入ったことにより、そのコミュニティは崩壊の憂き目に遭い、彼自身も『彼女』のコミュニティに所属させられる。その後、彼は自身の実力不足を悟り、このコミュニティの武人たちに師事し、武芸百般を身につける。それはこれまで権能に頼りきり、後衛専門だった彼が全距離対応万能型のぶっ壊れのスペックを手に入れるためのきっかけとなった。
彼が箱庭に来て初めての師はこう語った「この私が手ずから教えるのだ。槍術とルーン魔術くらいは一流以上の使い手になって当然だ。だが、私の弟子がこの程度で満足するなど私が許さん。よって我がコミュニティの武人たちの技を盗み、己がものとせよ。・・・・・よもや出来ぬなどと言うまい?」
そして彼は最初の師の教えの通り、同コミュニティの武人の扱きを受けたワケである。これが後にこのコミュニティに所属するとある少女にとっての修行のベースとなり彼女を苦しめる悪夢となるのだが、それはまた別の話。
閑話休題
そんな風に自らを鍛え上げた彼はその後『彼女』の覚えめでたく瞬く間にコミュニティ内で頭角を現し、それなりの地位に付き、それと同じくして他のコミュニティの実力者とも親睦を深めた。
そんな彼に人生最期の試練が襲いかかった。人類最終試練『絶対悪』の到来である。
彼は自らの命を犠牲に『絶対悪』の封印に成功し、彼の人生は本来幕を降ろすはずだったが、彼の主による転生とその際のアクシデントによりこの見知らぬ世界に第二の生を刻むこととなった。
彼がこの世界に出生後、時折彼の故国日本では未曾有の大災害が襲うようになった。それは、彼の体から溢れ出す膨大な魔力が原因であり、彼が物心つくまで彼自身でさえそれらが自分の所為だとは気づかなかった。箱庭での日々により、より魔力の質を高めた彼の魔力は体から無意識に垂れ流されるそれにより世界が軋みを上げていたのだ。彼はそれを自覚すると自身の権能を用いてそれを隠蔽することになる。その際、これまで原因不明にして地球全体を覆う彼の魔力の発生地点を調査していた聖書の第三勢力及び他の神話勢力はその魔力が唐突に消えたことにより大混乱に陥ったらしいがこれも別の話である。
そして彼が6歳になったころ、一つの転機が訪れる。彼の今生の両親の死である。この件を境に彼は自身の居場所を失い、日本各地を暫く放浪し、それから冥界の場所をひょんなことことから知った彼は冥界へと赴く。彼は死後平和な生活を送っていたのと新たな体がかつての武技に耐えられないと知り、冥界にて再びの研鑽へとひた走る。そして魔獣を相手におよそ2年の月日が流れた頃、彼は2人の少女と出逢った。
本作ヒロイン1:黒歌<くろか>
初登場時14歳(肉体年齢及び精神年齢)
黒髪を伸ばし金眼を持つ着物を着た少女
彼女は妖怪・猫又の上位種の猫魈である。彼女とその妹の白音は彼女が13歳の頃に両親を亡くしてしまった。その後、姉妹2人で生活していたがある日上級貴族の悪魔に目をつけられ2人揃って冥界へと誘拐されてしまう。彼女の咄嗟の機転により白音と共に貴族の屋敷を脱出する事に成功するが、貴族の放った追手により辺境の森の崖の上まで追い込まれてしまう。そして追手の悪魔による攻撃と不慮の事故から崖の下へと姉妹揃って落下するが、妹だけでも救いたいと白音を抱きしめ庇って着地したため、彼女の体は瀕死となる。その後、彼女は最愛の妹の腕の中で息を引き取るがレイの活躍により蘇生する。その際、彼女の肉体年齢は4年ほど若返り10歳となる。
レイとの合流後、彼の生い立ちを聞いて彼も天涯孤独の身の上と重い境遇を送ってきたのだと知り、家族になろうと決意する。そこには、圧倒的強者であるレイの庇護下につきたいという打算が当初あったが話を聞いて両親を失ったことのシンパシーを感じたのと白音がレイに好意を抱いていると察しくっつけようと画策する。
だが、彼女自身もレイに対して実は好意を抱いている。死の実感を得て震えていた彼女の手を握ったレイの手の暖かさに心地よさを感じて以来、彼の近くにいると動悸が激しくなるのを感じるが彼女はまだそれを恋から来るものと自覚していない。
本作ヒロイン2:白音
9歳
白髪を肩ほどまで伸ばし金眼を持つ着物の少女
大体の話は黒歌と同様。
崖からの転落後、彼の慈悲により姉を蘇生してもらい彼に恩を感じる。彼の生い立ちを聞き黒髪同様シンパシーを感じるとともに彼に少なからず彼に好意を感じた少女は黒歌の家族になろうという提案に賛同する。
とある次元の狭間
そこで揺蕩う一体の巨大な赤い龍神が閉じていた瞳を開ける。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
その龍神は次元内に流れて来る以前感じ、そして唐突に消えた魔力を再び感知したため、微睡みにあった意識を覚醒させたのだ。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
そしてその魔力が再び唐突に消えるのを確認すると龍神は瞼を閉じ、最初の時と同じように次元の狭間を揺蕩い始めた。
赤き龍神のいた場所とは違う次元の狭間にて
赤き龍神とは異なる黒い龍神は突如次元の狭間に流れ込んで来た途方も無い魔力の波動に気が付き、興味を示していた。
「この魔力、我、以前も感じたことがある。・・・・・・でもやっぱり、この魔力の持主、知らない。・・・・・・誰?我やグレートレッドに限りなく近い?」
黒き龍神は魔力が流れ込んで来る先を探知しつつ、自身や自身から『静寂』を奪った忌々しい同族に似た気配を感じる、でも知らない何かに思いを馳せていたが・・・
「・・・・・・・・・・・・あ、消えちゃった」
突然出現した時と同様、唐突に消えてしまったその魔力に残念そうな口振りで呟いた。
「・・・・・・・・・あの魔力の持主いれば、我、グレートレッドを倒せる。そしたら、また『静寂』に戻れる。・・・・・・・・・・・・・・・探さなきゃ」
そして黒き龍神は飛び立つ。・・・・・・・その魔力を持つ誰かを求めて。。。
Side レイ
「・・・・・・・ってことで、んじゃあ、堕天使領目指して出発しようかぁ」
「「おー」」
レイと黒歌、そして白音は自身の自己紹介をしたのち、彼らは家族となった。そして彼らはこれからの方針として冥界内に居るらしい堕天使たちに自身らの保護を求めるべく行動することを決めた。
理由としては簡単、同じ冥界内で悪魔と敵対関係にある堕天使なら悪魔の手から自身らを保護してくれるのでは無いか、という黒歌の提案に対して、レイが他に案がなかったためその提案に乗っかることにしただけのことである。
・・・・・・と、これからの方針を決めたのは良かったのだが・・・
「んで、堕天使領ってどこにあんの、黒歌姉さん?」
「え?知らないよ?」
・・・・・・と、いきなり彼らは壁にぶち当たっていた。
「・・・・・へ?し、知らないの?」
「うん。だって私たちこの冥界にいるのって攫われてきたからだし、冥界に土地勘なんてないよ?」
「ええー・・・。な、なんかないの?ここら辺にあるって聞いたことがある、みたいな・・・・」
「うん、ない」
「・・・・・・・・・・・・・・・Oh」
「寧ろレイこそ何か心当たりないの?2年もこの冥界で生活してたんでしょ?」
「・・・・・生憎この森から出てなくてね。残念ながら外のことは僕も知らないんだよ」
「・・・・・はぁ、レイも知らないとなると八方塞がりねぇ」
方針は決まったは良いものの、まさかの場所がわからないという新たな問題に2人は頭を抱えることになったのだが・・・・・
「・・・・でしたら、レイ君、姉様。ここは一度この森を抜けて、どこかの街か村に行って情報収集をするしかないのではないでしょうか?このままここに居て考えて居ても状況は改善しないのですし」
「んー、って言ってもなぁ、悪魔の領域内で敵対している堕天使領の場所を聞くのって不自然じゃないか、白音姉さん?」
「そこは臨機応変に対応するしかないでしょう。・・・例えば、依頼で堕天使領を調査しにきた、とか何とか理由をこじつけたりとか・・・」
「んー、まぁ依頼を受けてるって感じに言えば聞けなくもないだろうけど・・・ネックなのは見た目が子供なのと悪魔の雰囲気がないことだよなぁ」
「・・・むぅ、たしかに」
と、白音が状況を打開するための案を出すが、やはりそれも問題が浮上してしまい結局八方塞がりとなってしまった。
「・・・あーもう、めんどくさい。ここで考えて居ても仕方ないし、白音の言う通りとりあえずこの森から出ましょう!後のことはどこか村か街に着いてから考えましょう!!」
と、進まない現状に焦れてきたこの中で最年長(肉体年齢的に)の黒歌が白音の案に賛成の意を示した。
「・・・まぁ姉さんたちの言う通りここにいつまでも居ても拉致があかないのは実際その通りだし、あとは野となれ山となれ、かな」
と、この中で最も最年少(肉体年齢的に。白音とは同い年だが白音の方が早生まれだったのと白音自身の要望によりレイは白音姉さんと呼ぶことになった。その際黒歌はそれに何故か焦っていたような感じだったがレイにはよくわからなかった)ということもあり、2人の姉に従うことにした。
「よーし、じゃあ今度こそ出発ね。行くわよ、白音、レイ!」
「はい!」
「あいよー」
こうして一瞬、先行きが不安な3人であったが、目的地である堕天使領の情報を求めるために一行は悪魔の村、あるいは街を目指して旅立ち始めた。
しばらくして。。。
「やっと森を抜けたぁぁぁぁ!!!」
レイたちは4時間ほど歩き続けてようやく森を抜けた。
「私たちどれだけ森の奥にいたのよ!!?ってかレイはなんであんな森の奥深くで修行なんてしてたのよ!?あと、白音だけおんぶして貰ってずるい!!私もう疲れたー、おんぶしてよぉ〜れい〜!」
「森の浅いところにいる魔獣じゃ修行にならなかったんだよ。それに白音姉さんは足を挫いちゃったんだからしょうがないだろ、ってか黒歌姉さんがおぶれって言ったんじゃないか。どこもズルくないぞ」
「ごめんね、レイ君。足引張ちゃって。私重くない?森も抜けたし、私降りるよ?」
「いやこれくらい何ともないよ。それに家族だろ?困った時は助け合わなくちゃ。ってか白音姉さんは寧ろ軽すぎるくらいだよ?」
森を歩いている際に白音は足を挫いてしまったので、それを見た黒歌がこれ幸いと白音とレイの仲を発展させるべく策略を巡らせ、身体的に密着させて姉弟ではなく異性として強く認識させようとしていた。・・・・・つもりだったのだが、黒歌が思っていた以上に森が長く、また悪路であったために黒歌たちが森を抜ける頃には黒歌の体力がそこを着いてしまったのだ。そんなときに怪我をしたとはいえ、レイに負ぶわれて楽に森を抜けてしまった白音に軽い嫉妬を覚えてしまったのだ。
「うぅ・・つかれたよぉ〜、あるけないよぉ〜」
「・・・・はぁ。・・・ふふ、ったく、しょうがないなぁ。白音姉さん、悪いけど片手離すよ」
レイはブウたれる黒歌を見てしょうがない、と言った表情をして黒歌に近づき、彼女を抱き上げた。・・・抱っこする形で。
「きゃっ!!?」
「これなら文句ないだろ? 片手だからちょっと揺れると思うけど文句は無しだからな」
「わ、わ、わ!!(か、顔が近いよぉ///なにこれ、すごく恥ずかしい!!)」
「わ!?こら、暴れるな、動くな、落ちるぞ!!?」
そんな感じでレイは白音を負ぶりながら、黒歌を片手で抱き上げて歩くという器用なことをしながら再び歩みを始めるのだった。
が・・・・・・・
バチィィイィッ!!!
ドォォォォォォン!!!!
突如天から雷撃が彼らの元に降り注いだ。
SIde 黒歌
私はレイにいきなり抱っこされたことに驚き、暴れてしまった。・・・・だって私の目の前にいきなりレイの顔が出てきたんだよ?そりゃビックリするって。・・・・もう、するならするって言ってよ、言ってくれたら心の準備を済ませとくのに・・・。・・・・・・・ん?心の準備?・・・・・もしかして、いや、まさかぁ?
と、私が内心焦っていると・・・
バチィィイィッ!!!
ドォォォォォォン!!!!
突然雷が私たちを襲った。
そして・・・・・
「ようやく見つけたぞ!!猫ども!!」
・・・・・あの男。私と白音を攫った貴族の悪魔が私たちの前に現れたんだ。
「大人しく檻に戻れ、黒歌!この俺の眷属になれるのだぞ?全くなにが不満だと言うのか」
・・・・・随分と勝手なことを言ってくれる。・・・と、私があの男の言い分に憤りを感じていると・・・・
「・・・・おい、貴様。僕の姉さんを家畜扱いか?随分と舐めたことを言ってくれる・・・覚悟しろよ、塵一つ残さんぞ、羽虫」
・・・レイがぞっとするような無表情の顔しながら、不快げな声を出して怒りを露わにしていた。
「・・・・・・ほぉ?俺の攻撃をどうやって防いだか知らんがなかなかやるではないか。貴様何者だ?・・・・・・・ああ、わかったぞ。貴様だな?俺の眷属を殺した奴は?」
「知らねぇよ、取るに足らん羽虫の下僕なんざ」
「吠えるじゃないか、小僧!!面白い!!気に入ったぞ小僧!!!貴様もそこの姉妹同様、俺の眷属に加えてやろうじゃあないか!!喜べ、小僧!カス同然の人間の貴様をこの俺が使ってやると言うのだからなぁ!!!はーっはっはっはっは!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。黒歌姉さん、白音姉さん。あいつが姉さんたちを攫ったっていう悪魔で間違いない?」
「・・・え、ええ。そうよ」
「・・・はい、あの悪魔で間違いありません」
「・・・・・・・そうか。2人ともごめん。ちょっとここで待っててくれ、すぐ戻る」
そう言ってレイは私たちをその場にゆっくりと下ろすと、私たちの周囲に結界を張った。そして・・・
「遊ぶ気は無い。目障りだから、貴様はとっとと殺す」
レイは一振りの日本刀を中空から取り出し、鞘から刀を引き抜いた。
・・・・・・・・その刀は、とても美しかった。まるで磨き上げられた刃は芸術品のように曇りはなく、白刃を波打つように走る模様はそれだけで超一流の鍛治師が丹念込めて打ったものであると、刀に詳しくない私でも解るほど、それは・・・儚くも神々しく、何か高貴なものを感じた。
「ほぉ!!なかなかの業物のようだな。くっくっく。素晴らしい、素晴らしいぞ!!それは俺にこそふさわしいと言えるな。貴様は間違いなく掘り出し物だ、俺の眷属の損失を補うどころかお釣りが出てしまうほどのなぁ!!!!」
・・・・と、悪魔がなんか叫んでいると・・・
シャンっ
と、まるで鈴の音が鳴り響くような音がした。そして・・・
「貴様なんぞ触れるのも烏滸がましい、身の程を知れ」
・・・・私は見えなかったが、レイがその場で刀を振り抜いたらしい。それだけで・・・・レイは動いてもいないのに・・・空に居た悪魔を斬り墜としていた。
・・・・・・それから。どこからか様子を見ていたらしいあの悪魔の『女王』らしい悪魔が無残に真っ二つになった主の死体を見て何事か叫んで激昂して居たが、レイがあの美しい刀を仕舞って新たな武器、漆黒の大弓を中空から取り出し地面に固定するように設置し、槍のようなこれまた真っ黒な矢を4本程地面に突き立てるように展開し、内2本を徐ろに引き抜き、1本を弓に番え、もう一本の鏃とは逆の先端ーーー確か筈だっけ?ーーーを空いている手の薬指と小指だけで握って持つと、弓を構えて・・・・・悪魔に向けて第1射を放った。矢は綺麗に悪魔の下まで飛んでいき・・・・その矢のあまりの速度に躱わし切れないと悟った悪魔が防御障壁を張った。瞬間障壁と矢がぶつかり合う轟音が鳴り響いた。矢と障壁が拮抗し辺りに途轍もない衝撃波が生じる。それを見届けることなく既に第2射の構えに入っていたらしいレイは狙いを絞り終わると同時に放った。・・・・すると2射目の矢は寸分違わず前にあった矢の筈に中り、1射目の矢を押し出した。そして・・・・
「が、はっ!!!?」
信じられないと言ったような顔をした悪魔の胸には、矢が突き刺さっていた。。。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。ふぅ、まだまだ、以前ほどの技には遠い、か」
と、レイが結局使わなかった矢とあの大弓を片付けながら、ポツリとそんなことを言っていたような気がした。
Side 白音
私たちを襲った悪魔たちの襲撃からおよそ2ヶ月が過ぎた頃、漸く私たちは堕天使領に辿り着きました。・・・・・・すごく長かったです。
お姉さまと2人であの暗い森を逃げていたあの時が遠い昔のように感じます。
だけど、実際はあの日はほんの2ヶ月前の出来事でしかなくて、今では新しい家族もできたことを思うと感慨深くも思います。・・・まぁ、この2ヶ月かなり大変でしたが。・・・・情報を得るために街に潜入して、3人で肩車して、その体の上に大きめのローブを被って大人に見せかけてみたり・・・・・・・・3人で寝るには少々手狭なテントで寝るために私と姉様でレイ君に抱きついて寝たり・・・・・・道中ドラゴンの住む領域を見つからないように慎重に抜けたり・・・・レイ君が悪魔の領土で取れた奇妙な素材を活かしたゲテモノ料理を出したり・・今はもう後ろにある、悪魔領と堕天使領を隔てるあの高く険しい山を乗り越えたり、と、うん、思い出したくもないようなことがたくさんでした。
でも、そんな苦労もとうとう報われて私たちは漸くここにたどり着くことができました。まる。
「さて、どうにかこうにか着いたわけだが、黒歌姉さん頼る人の当てはあるの?」
「いや、あるわけないじゃん」
「ですよねー・・・・・・うーん、じゃあとりあえず1番目立つあの場所に乗り込むとしようかぁ」
・・・と、レイ君はそんなことを言いながら歩き始めました。
「「まってまって!!」」
・・・いきなり真正面から乗り込もうとしないでください。・・・・・ほんと、レイ君のやることはいつも度肝を抜かされてしまいます。・・・はぁ。
「そんな考えなしに突っ込んで行ってどうやって私たちの保護を求めるつもりですか!」
とりあえず私は正論で攻めて彼を止めなければ。このままでは保護を求めたつもりが殴り込みになってしまう・・・。
と、私が心配していると・・・・・
「大丈夫だって、こういうのは正面から会いに行って誠心誠意込めてお願いすれば相手も笑って受け容れてくれるって、ばっちゃが言ってたよ」
「いやいやいや。流石にいきなり行っても簡単に話が着くとは思えないですし、何よりアポイントメントもとってない異種族の私たちの話を聞いてくれるとも思えないよ、レイ君・・・」
「んー、そうは言ってもアポイントメントを取ろうにも僕らの中に堕天使の知り合いがいない以上、取りようがないんじゃない?だったら、素直に正面から、がいいと思うよ?」
「・・・・むぅ」
そう言われてしまうと確かに堕天使に知り合いがいない私たちはそれしか手がないように思える。・・・説得は難しいか。そう言えば姉様は何か意見はないだろうか?
と、姉様の意見を聞こうと振り向くと・・・
「あ、そこのおじちゃーん、あそこの偉い人とお話しがしたいんだけどぉ、仲介してくれないかな?」
前髪が金髪の知らない堕天使のおじさんに話しかけている姉様の姿があった。・・・・・・・ねえさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??
「あん?・・・・お前、堕天使じゃねぇな?お嬢ちゃん、何もんだ?」
あわわわわわ。や、やばいです。このままじゃほんとに堕天使に殴り込みに来たと思われてしまいます・・・・・ど、どうすれば。
と、私が1人これから訪れる戦争の気配にワタワタしていると・・・
「うーんとね、私は黒歌って言うんだけど、少し前に貴族の悪魔に攫われてこの冥界に連れて来られたんだ。どうにかその悪魔の隙をついて逃げ出したんだけど、悪魔領にいるといずれまた他の悪魔に転生悪魔にさせられそうだから敵対関係にある堕天使領に保護を求めて逃げて来たの。お願いおじさん、助けて・・・」
と、上目遣いをしながら瞳を潤ませてそう言った。・・・・あざとい、あざといです姉様!!
と、私が1人感心したような呆れたような複雑な心持ちでいると・・・
「・・・・・・黒歌姉さん可愛い」
と、私の隣でレイ君がそんなことを言った。・・・・・えいっ
「痛っ!?」
なんかむしゃくしゃした私はレイ君の脇腹をいつの間にか抓っていた。
「いきなり抓るなよ、痛いぞ白音姉さん」
「・・・・・・ふんっ、知らないです」
「?何か悪いことしたか?」
「・・・・いいえ、別に。ただ、ちょっとレイ君にイラっとしただけです。」
「えぇ?・・・よくわかんないけど、なんかごめん。」
「・・・いえ、私こそすみません、レイ君は悪くないです。」
・・・はぁ、どうしていきなりあんなことしたんでしょう?自分でもよくわかりません・・・・。とりあえず今は姉様の交渉?を見届けましょう
「・・・・・・・・なんだと?・・・ちっ、サーゼクスの野郎、お前がしっかり貴族どもの手綱を握ってねぇからこっちにまで面倒ごとがきちまったじゃねぇか(ボソッ)」
「ん?おじちゃん、今なんか言った?」
「いや、なんでもねぇ。こっちの話だ。・・・・あー、それより黒歌つったか?保護してほしいんだって?」
「ん、そうそう。で、どう?堕天使の偉い人に仲介してくれる?」
「ああ、良いぜ?保護してやるとも」
「? おじちゃんがそんなこと勝手に決めちゃっていいの?」
「あぁ、問題ねぇさ。なんせ俺がその堕天使の偉い人なんだからな」
「!!?」
「じゃあ改めて自己紹介だ、嬢ちゃん。俺はアザゼル。『神を見張る者』のトップをやってる堕天使だ」
そしてこの日、私たちは堕天使のトップ、アザゼルと偶然邂逅を果たすのでした。
今回、前書きと本文含めて9000文字を突破しました。
いやぁ、筆が乗るとスラスラと書けますね。
ビックリしたビックリした(汗)
・・・・と、いうわけでレイたち一行は堕天使領へと辿り着いたその日に堕天使のトップとばったり出くわすという感じになりました。
さてさて、彼らは今後どうなるのでしょうね?
では次回もお楽しみに。アデュー。