「聖者(キリスト)の手を持つ人間?」
とある某所、一人の長い黒髪の少女が眼鏡を掛けた長身の青年に疑問を投げた。
「うん、そうなんだ。だいぶ前、ロンドンのとある地方の村に探索班のトムが調べに行ってもらったんだが、どうも一人の神父が医者がわりや村人に学を教えてるらしいんだ。
その神父、なんやら不思議な力の持ち主でね。手を一拍鳴らして触れるだけで道具を直し、ある時は死にそうな怪我人の傷を一瞬で塞ぐらしいんだ」
「もしかして寄生型イノセンス?」
「かもしれない。実際トムはその現場を見て確信して通信したんだ。」
「・・・分かったわ、コムイ兄さん。行くわ」
「ありがとう、リナリー。」
コムイと呼ばれた眼鏡の青年は頭を下げ、黒髪の少女リナリーに感謝の言葉を言う。
「気にしないで兄さん。神田も含めエクソシスト全員が出払ってるもの」
「リナリ~」
頭を上げたコムイは泣き顔でリナリーを見る。
「じゃ、出発は明日にするわね。」
「うん、分かった」
ロンドン、とある村
「え、くそ、しすとだった!えくそ!だった!くそ!ちくしょ!ふざけ!ふざけ!」
「・・・レベル2、ですか。」
エドルは今、陶器人形の顔をした足が六本もある異様な化け物を踏みつけて拘束している。
陶器人形の化け物はジタバタと逃げるために地面を蹴る。
「哀れなAKUMAよ。魂よ。祈れ、祈れば天に無事昇れるだろう。アーメン」
「いやだあああああああ!」
化け物は暴れるが、抵抗も虚しくエドルの突きにより頭部を潰されて動かなくなった。
「・・・はぁ、襲撃が三桁超え。神父としても元エクソシストだとしても、極めてめんどいです
潮時なのでしょうか?派手に動きまわりましたからね。」
エドルは袖を捲り、腕に埋め込まれた刺青のイノセンス『再臨』と『破壊』を解除し、刺青もない腕となった。
しかし腕は色違いで白人のエドルに合わない褐色と黒色の人間の腕だった。
「・・・ソー姐さん。グリン兄貴。」
エドルは袖を戻してから手袋を嵌めて教会に歩いて戻っていった。
「変なエクソシストが居るもんだ。」
エドルが居なくなった後の草むらから声が聞こえたが消えてすぐに無くなった。
「着いたわね。」
「はい、ではリナリーさん。私は入り口で待つので交渉をお願いします」
「うん、ありがとうトム。行って来るね」
一ヵ月後、リナリーという少女は探索班のトムの案内により、エドルの教会に案内された後、トムの願いを聞き、中に入った。
そしてリナリーは、左を見ては天使のステンドガラス、右を見ては後光の差すマリアのステンドガラスの綺麗さに驚いていた。
「綺麗・・・」
そう言いながら教会の真ん中まで歩くリナリーはマリア像を見入る。
「そうでしょう?」
「え?」
リナリーは後ろを向くと麦わら帽子を被った神父服のエドルが居た。
「申し訳ありません、先程まで裏庭で農作業していたもので」
一礼するエドルの服をよく見ると土埃で所々汚れていた。
「え、いえ!そんな」
リナリーは慌てて両手を振り、待ってない事を表す。
「左様ですか。
さて、我ら神の拠り所に珍しい御嬢さんが来てくれましたので、立ち話はなんですからお茶を出しましょう。主にいるファインダーの方もね」
「え?」
「御口に合いますかな?」
「は、はい。おいしいです」
「それは良かった。お客様に入れるお茶は久しぶりで」
「あ、このクッキーもおいしいです」
「それはそれはお気に召してくれてありがとうございます。」
場所はエドルの個室、トムとリナリーはエドルが入れたお茶と野菜クッキーを頂きながら座っていた。
そのエドルはにこやかに笑いながら、それを見ていた。
「さて、喉も潤った所でお話と行きましょう。」
「はい、実は私たちはバチカンに所属する『黒の教団』という所から来ました。」
「ほう。それはそれは、こんな村に来られるとはご苦労様です」
「ありがとうございます。そこでは不思議な物を、私たちはソレを『イノセンス』と呼ばれる物を集めています」
ここまで聞くとエドルは元エクソシストの件を誤魔化そうとする。
「なるほど、しかし小さな村にはそのような物は-」
「いえ、今回は物ではなく。者なんです、エドル・ガトウ神父。そして誤魔化さないでください」
しかし、誤魔化す前にリナリーに言われる。
「名前まで・・・知られてましたか」
「黒の教団の専門用語を聞ければ、すぐに分かりました。元関係者なんですね」
「・・・えぇ、元元帥候補のエドル・ガトウです」
白状するように、エドルはりナリーを見て、答えた。