「さて、再確認だがテメェはゼスと言いったなァ」
「ヒッ!」
「オレが一番嫌いな奴はなァ、無関係な者を巻き込ませる野郎だ。」
エドルの黒肌の右手に有るイノセンス、『破壊』の白刺青、右手の甲には雷が描かれ、腕に三叉の槍の絵にじみ出る。
「二番目に嫌いなのは、静かな平穏を壊す輩だ。」
エドルの褐色の左手に有るイノセンス、『再生』の黒刺青、左手の甲には不死鳥が描かれ、腕に炎の絵が出てくる。
「さァ、どう料理しようか?」
「ざけんな!そもそもテメーg「うるせえよボケ」ひ!?」
左手を再び弾くと、横一列にレベル3以外のAKUMAを破壊する。
それと同時にレベル3は地に落ち、エドルを見る。
「言っとくが、オレはお前に発言する隙も・・・させる気もない。
テメェに対して一方的な蹂躙される生贄の仔羊役をやらせてやってんだ。」
対するエドルはレベル3を見下し、汚物を見るような目で見る。
「ひ、へへへ!」
「?」
「ヒヘへへへへへへああああああああああ!」
レベル3は唐突に奇妙な笑いを出し、起き上がる。
「狂ったか?」
「狂ったァ!?ンな訳ねえだろうが!」
「・・・」
「オレはよォ!こういう奴を殺したくて殺したくて!今の今まで生きてきたんだよ!AKUMAとしてな!」
「意味が分からないのだが?」
「へへへへ!ならァ!話してやんよ。オレの過去をな!」
『快楽殺人鬼、ゼスのお話』
昔、と言っても三年前。一人の男が居た、彼の名はゼス。
ロンドンの貧困街で育ち、麻薬を使うよりも三度の飯よりも寝るよりも、殺人を楽しみにして居た。
金が無くても殺せれば良い、食えなくても殺せば良い、そんな生の道を歩いていた、彼。
とある日、いつもの時間にいつも通りに殺人をしていた時、ある人外(人間)に会った。
「こんばんワ(ハート)」
人の姿で人より丸い体、顔は何か恐ろしく口が出ていた男。
ゼスは唖然するよりも、この世にこんなキチガイな存在がいる事に身体を震わせ、そして心を躍らせていた。
「あ、アンタ。い、いや!アナタ様は?」
「こんばんワ」
「え?」
「こんばんワ」
「え、こ、こんばんわ」
「よろしイ、さてオメデトウございま~ス!♪」
パン!とパーティークラッカーを何処から出しては鳴らし、カボチャの飾りに付いている傘から
『おめでとー』
と英語で書かれた幕が出ていた。
「へ?」
「いやァ、ちょっと我輩のお手伝いをお願いしたい人を探してたんでス」
「お手伝い?」
「はイ(ハート)、実は殺しをやってもらいたいのでス。報酬は、好きな額だけ払いまス♪」
「良いですかナ?」と人外はそういうとゼスは狂気の笑顔で頷いた。
「では、今日からアナタと私は協力者でス」
「協力者!?とんでもない!アンタ様になら肉体だけじゃなく魂さえ出すぜ!」
「♪!そうですカ♪」
「くひゃ!」
「ムフフフ♪」
それからゼスは殺して、お茶して、殺して、食べて
人外は、殺された遺族に歩(あゆ)みよって甘い言葉で誘惑し、新たな不幸を呼んだ。
しかし、そんな幸せは続かなかった。ゼスは警官に捕まり、処刑されたからだ。
「そして我が主!千年公爵は友人に歩みより、我が魂をAKUMAのボディに入れてくださった!!あぁ、めでたしめでたし!!
千年伯爵サマァ!千年伯爵サマァ!
私のマスター!私の価値を見出だしたマスター!今からエクソシストを殺します!殺しますからねぇ!」
「・・・」
エドルはこのAKUMA自体に取り込まれている魂が生前から気を狂っているという事を受け止めた。
「くひゃひゃ!」
エドルは構えを取り、ゼスの攻撃に備えた瞬間、蹴り飛ばされた。
「!?」
「くひゃ!」
「ぐっ!」
飛ばされる間、回転して体勢を立て直すし、前を向くと
「どうもー」
ゼスが立っていた。
「な!」
「死ねや!エクソシスト!」
「ちぃ!」
ゼスは右の突きを繰り出し、エドルの肉を抉ろうとするがエドルは左腕を使い、突ききる前に止めた。
「!、やるじゃんか!」
「腐っても鯛だ・・・よ!」
そして、そのままエドルは柔道の肩車をして相手を投げ飛ばした。
「うお!♪転換(コンバート)してる姿を投げるなんてスゲェ馬鹿力!」
「東方にある一つの簡単な体術だ!」
ダンッ!とエドルは地面を踏み込み、右手で殴りかかりがゼスは消える。
「!」
そしてゼスはエドルの後ろに現れ、バキッ!と背中から嫌な音を立てながら、蹴り飛ばした。
「かはっ!」
さすがに体勢を直せなかったのか、その場に有った藁を積んだ荷車に激突した。
「っッてぇ!」
左手を腰に回し、叩くと痛みは癒えてなくなった
「お♪生きてた」
「危うく下半身不随になるところだったがな」
「ちっ、なぶり殺しが出来ねぇ」
「生憎、贄になぶられる趣味はない」
「ケッ、つまんねぇ野郎だ」
「よく言われた」
「言われた、か」
「・・・」
「んで気付いたんだろ?オレの能力に」
「あぁ、お前・・・『瞬間移動』能力を持っているな」
「へぇ、よくわかったな」
「一、理不尽な移動速度と角度をしているとボディはともかく中身がおかしくなると考えた、しかしレベル3の接近型ならば出来ると・・・。その為、この仮説は一回破棄した。
二、風を切る音がしない。突きや蹴りの時は風を切る音がしたのに対して、移動時の音もしなかった、一の仮説を掘り起こした。
三、気配が一時的に消えた事だ。」
「気配だぁ?オレは」
「機械、だろ。
知ってる。だが特有のオイルと音は誤魔化せない」
「・・・」
「それに対策は考えた、次は不意を食らわない」
エドルは左手と右手を噛み、軽く血を流しながら周辺に血をまく。
その後、右足の膝を地に着けて片膝立ちをして、両手を手に着けた。
「あ?んだよ、そのポーズは?」
「やる気有る?」と問いかけるようで苛立ちの声を上げるゼス
「有るさ、来いよAKUMA。ビビってるのか?」
「あ゛?んな訳ねぇだろうが!」
ゼスはそう声を上げると消えて、エドルの三十センチの頭上に出てくる
「テメェの対策なんざ、分かりやすいんだ!!
どうせ血はトリック!ブラフ!ハッタリだろうが!」
そうゼスが声を上げた瞬間、赤い槍がゼスの腹や両手、両足が貫く。
槍の出所は血が染み込んだ地面から出ていた
「は?」
「・・・説明は死に直結するが簡単に言わせてもらう。
血には、赤血球、白血球、血小板、血しょうという小さな細胞の個体がある。
しかし電解質検査をすると
ナトリウム(Na)
カリウム(K)
クロール(Cl)
カルシウム(Ca)
無機リン(I.P)
鉄(血清鉄:Fe)
など、有ります。」
「・・・?」
ゼスは首を傾げる。
「つまり、あなたに貫いているのは、私の血の槍にやられたんですよ。
そして、あなた(AKUMA)達は寄生型イノセンスの血も毒になる。」
パチンとエドルは右手を鳴らし、血液の状態に戻して注入させ、毒(エドルの血)をゼスの中に混ぜた。
「な!ぎゃっ!!ギャアアアア!」
「終わりだ、罪人(ゼス)。後の罪は主(神)に任せる」
「ま!まちあがれ!」
「知るか、懺悔しろ。」
「嫌だっ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!あの何もない部屋に行くのは嫌だ!あんな真っ白で綺麗な部屋に行きたくない!!
死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくなぁあガガガガガ!」
ゼスは断末魔を上げて、動かなくなり、砂山が風で飛ばされるように崩れていった
「死んだら死んだで終わりだ。わがまま言うな、罪人」
そう呟き、エドルは村に向かって走っていった。