マイボス マイパートナー   作:ジト民逆脚屋

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続きそうにないので初投稿です。

あ、艦これの短編『隻眼の鬼神』と『ほな、さいなら』も宜しくお願いします。


一年一組のもう一人

早瀬・誠一郎(はやせ せいいちろう)は転生者である。

頭はおかしくなってない。本当に転生者だ。

このインフィニット・ストラトスの世界に、身体能力と頭脳チートをやり過ぎない程度にかつ無双出来る程度に貰って、原作ハーレム崩壊させて一夏を盛大にアンチしてやる。

 

そう思っていた。だが、いざこの世界が現実になったと実感し理解した瞬間、誠一郎は恐怖に駆られた。

 

――アンチって、生きてる奴を現実に追い詰めるんだよな――

 

誠一郎の前世は、決して明るいものではなかったが、よくアンチもののオリ主にある暗くて卑屈な人生という訳でもなかった。

そう、割りと普通な人生をだった。

まあ、彼が生きていた前世の日本は少し治安が悪く、彼も発砲経験があったりするが、今は関係の無い話だ。

 

その割りと普通の人生を送っていた誠一郎には、今の現実で生きている織斑・一夏を、自らの欲望の為に排斥するという行為が、とてつもなくおぞましく恐ろしいものに感じられた。

 

追い詰めた結果、相手が死ぬかもしれない。

そう考えた誠一郎は、一夏をアンチするのをやめた。

よくよく考えてみれば、精神系のチート貰ってないし、普通に話をして普通に過ごしていればワンチャンあるだろう。多分。

 

それに加えて、この世界の一夏は原作の様な突発性難聴系鈍感主人公ではなかった。

セカンド幼馴染みの凰・鈴音とゴールインしていた。

セカン党涙目事案である。

というか、その鈴がおかしい。

他にも、恐らく自分が転生してきた影響であろう差異があるが、飛び抜けて鈴がおかしい。

 

先ず一つ

カーちゃん属性追加

原作でも、暴力を振るわなければヒロインレーストップと言われていたが、この世界の鈴はそれにカーちゃん属性が追加されていた。

落ち込んでいる者が居れば隣にそっと寄り添い、泣いている者が居れば泣き止むまで待ち、話を聞く。

その逆に祝い事でも、率先して祝う。

クラスの女子のコメント

『バブみがやばかった。クラリッサが連絡してこなかったら、私は二度と立ち上がれなかっただろうな』

 

次に

鈴、強過ぎ問題

ビックリした。割りとマジで真面目にビックリした。

原作なら個人的な印象がパッとしない機体の〝甲龍〟が、燃費と龍砲以外は印象が薄い〝甲龍〟が強かった。

マジで強かった。

練習試合で、こっちがバレない様にチートを駆使してある程度無双しようとしたら、正面から力業で捩じ伏せられた。

クラスマッチでは龍砲を、「もう、邪魔ね、これ!」って言って投げてた。双天牙月に至っては一夏との鍔迫り合いで柄を握り潰して、やっぱり「何これ? 脆いわね!」って言って投げ捨ててた。

試合を見に来ていた中国の担当者と技術者が泣いていた。国の威信を賭けた装備が邪魔扱い、泣いていい。

というか、あれ二次移行してるんじゃなかろうか?

もう、鈴が強いのか甲龍が強いのか分からないが、原作イベントは全て鈴が力業で捩じ伏せた。

 

クラスマッチの乱入無人機

鈴がボコボコに殴り倒して、バスケットボールくらいの大きさにまで丸められた。

ビーム? 食らってたけど、意に介さず殴り倒してたよ。

 

毎度お馴染みVTシステム&ラウラ

原作とは違い、一夏がソッコで鈴と組んだからセシリアとボコボコイベントは起きず、試合中で原作通りにシステム発動。

一夏と誠一郎とシャルロットが協力してラウラを救出、原作には無かったVT CHIFUYUとカーちゃん鈴の怪獣大決戦が勃発。

最終的には硬くて力が強くて強い奴が強いという、原始時代から続く絶対のルールが勝った。

つまり、カーちゃん鈴がVT CHIFUYUを力で叩き潰した。

 

銀の福音

鈴が潰した。早かった……。

離れ小島に落として、殴る蹴るの打撃の嵐だった。白式の二次移行なんて無かった。

あれ、絶対防御無かったら、ナターシャ・ファイルスと銀の福音消えて無くなってたかもしれない。

だって、小島の形変わってたもん。

 

いや、もう、いいよね。これから先のイベント。専用機タッグマッチも、文化祭も、修学旅行も白騎士も黒騎士も、全部鈴カーちゃんがソッコで型に嵌めんだよ。

転生した意味? 無い事も無い。

早瀬・誠一郎は普通に青春を謳歌している。空ブンドドしてドンパチするのが、普通の青春なのかと問われたら弱いが、それ以外は普通だ。ラブコメでよくある青春だ。

だから

 

「がフッ……!」

「早瀬クーン!」

「誠一郎ぉー!」

 

ヒロインの料理で命の危機に陥るなんてよくある。

 

「危なかった……」

「ボスゥ?!」

 

誠一郎が食べたのは鈴特製小籠包なのだが、それは全部ではなく一部に他ヒロインズが作ったものも混じっている。

そう、あのセシリア・オルコット特製ロシアンルーレット小籠包が。

 

「ああ、誠一郎。死ぬな、死ぬなよ……! お前、言ってたじゃねえか。宇宙に行くって……」

「いち、か」

「誠一郎!」

「早瀬クン!」

「宇宙は、すぐ、そこに……」

「誠一郎? おい、嘘だろ? 誠一郎、誠一郎ぉ!!」

「ボス、AEDヲ!」

 

崩れ落ちる誠一郎を抱き抱えた一夏の慟哭と、蘇生させようとする傭平。男の友情、ここに極まれり。

 

製法も材料も全て同じものを共有して、他ヒロインズの監視下のに置かれていたのに、こんな悲劇(喜劇)を生み出すセシリアは、きっと未知の物質を分泌しているに違いない。

簪は残った〝異様に〟形の良い小籠包を見ながら思った。




ロシアンルーレット小籠包を食った誠一郎の顔は、〝実は私は〟のあの顔。
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