マイボス マイパートナー   作:ジト民逆脚屋

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短いけど、次はいっぱい書かなきゃだからここで解放!


剣神と龍 配点¦(お待たせ)

凰・鈴音は目を覚ますと、真っ白な空間に座っていた。

見覚えは無いが、何故か安心がある。不可思議な空間の中、鈴音は記憶を探る。

 

「……なるほど、私は斬られた訳ね」

 

まさか、機体に限界が来てアウトとは、国の技術者は一発殴らないといけない様だ。

しかし、これは一体どういう状況なのか。

走馬灯にしては何も無さすぎる。

 

「……鈴音」

「……ああ、なるほどね。そういう事」

 

声がした方に振り向けば、人の形をした真っ白な何かが立っていた。

この謎空間に謎の存在、普通なら慌てふためくだろう。しかし、鈴音は納得していた。

それもその筈、この空間の主は

 

「甲龍、貴女もうちょっと気合い入れなさいよ」

「ごめんね、鈴音。体壊れちゃった」

「まったく……、まあいいわ。で、どうするの?」

「……鈴音はどうしたい?」

 

問い掛けに問い掛けが返ってくる。

鈴音は理解している。理屈ではなく、本能で理解している。

現状、熱田に勝てるのは自分だけで、その自分は今動けない。

そしてこの問答、甲龍が求めているのは、凰・鈴音自身の答え。他の理由も、一夏も熱田も介在しない凰・鈴音自身が望む答えを、甲龍に返さなくてはならない。

 

「ねえ、甲龍。私は小暴龍なんて呼ばれてるわ」

「知ってる。ずっと一緒に居たもん」

「ねえ、甲龍。私は一夏達に会うまで、ずっと一人だったわ」

「知ってる。ずっと一緒に見てたもん」

「ねえ、甲龍。私は一番強いの。あいつらの中で」

「知ってる。ずっと一緒で、ずっと一緒に居たから」

「ねえ、甲龍。なら、私の答えは判るわね」

「うん。だから私はここに居る」

 

凰・鈴音は強かった。神格を持たずとも、人から外れた膂力を持ち、並外れた強度があった。

だがそれは、人から避けられるという事に他ならない。

故に凰・鈴音はずっと一人だった。一夏達が現れるまで。

 

「甲龍、私の答えは変わらないわ」

「知ってる。だから私はずっと待ってた」

「甲龍、私はずっと一人だったわ」

「知ってる。だから私はずっとここに居た」

「甲龍、私は強いわ」

「知ってる。だから私が一緒に居る」

 

凰・鈴音はずっと一人だった。しかし故に一人ではない。

小暴龍、龍と謳われた少女の傍らには、常に龍の逆鱗があった。

難しい答えも、問答も必要無い。ただ、鈴音が手を繋ぐ事を忘れていただけだ。

なら、為すべき事は一つだけだ。

 

「甲龍、一緒に来てくれる?」

「うん、ずっと一緒。甲龍と鈴音はずっと一緒だよ」

 

もう一度、確かに手を取り合い進むだけだ。

 

 

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

 

 

「はっはっはっ、いやはやマジであるか」

「あら~、まさかまさかですよ~」

「まあ、凰なら今か」

 

鼓動は最早学園だけでなく、世界に届いた。

何時か世界を叩いた寂寥の鼓動ではない。これは産声の歓喜だ。

 

『あの、榊原先生。これ、凰選手の甲龍が……』

『……よく見とけ。これから一生に一度拝めるかどうかの光景だ。まったく、今年の一年は色々と揃ってやがる』

 

モニターに映し出された光景、それは榊原が嘗て見た光景だ。

嘗ての時代、世界はあの光に溢れていた。榊原は到れなかった光、神格の産声だ。

 

『二次移行が始まるぞ』

 

 

 

──Reboot 甲龍の再起動並びに再構築を開始

──Error 

──Reboot 再構築開始、パイロット並びにコア人格の再適正化。確認しました。

──Reboot 不要なファイルとして龍砲の破棄、ワンオフアビリティ〝不倒不屈〟の再適正化。確認しました。

──Reboot 迎撃防御武装〝禁鞭〟、反射防御武装〝金蛟剪〟の調整、統合。

完了、迎撃反射防御武装〝盤古幡〝の搭載を認証。

──Error 迎撃反射防御武装〝盤古幡〟に対するエネルギー消費が間に合いません。

認証、感情反応型縮退炉〝雷公鞭〟の搭載。

──Reboot 認証、ワンオフアビリティ〝不倒不屈〟の再調整、〝抜山蓋世〟の適用を認可。確認しました。

──Reboot 該当戦術予測演算機構〝太極図〟の適用、確認しました。

各部統御用演算機構〝傾世元禳〟採用。確認しました。

──Reboot 甲龍・伏羲起動。

 

 

 

   ──ようこそ、創世の新世紀へ──

 

 

 

「……お待たせ」

「ああ、待った。待ったぜ」

 

熱田は泰然自若として、揺るぎも疲労すら無く嬉々として立っていた。

各所の損傷は初めからそこにあったかの如く、汚れすら戦化粧として映えている。

嗚呼、やはりそうだった。

熱田は今の鈴音を見て確信した。

 

「窮屈だったろ?」

「そうね。窮屈だったし、肩も重かったわ」

「だろうな。人が余計なもん神や龍に持たせるもんじゃねえ。私達は最初から持ってんだ」

 

龍砲は無く、双天牙月すら無い。装甲はより厚くシャープに、ヘッドセットも鉢金型となり寄り合わせられた黒の繊維が風に靡き、新たに生えた尾はまるで命を持つ様に艶かしい。

甲龍・伏羲、この姿となった今なら理解出来る。神格を得られる者は、最初から人が持ち得ないものを持っている。

人から外れ、しかし人と寄り添う。故に人は神に捧げるが、神は最初から持っている。

不純物は不要、ただ純粋に生来のものだけでいい。

 

「鈴」

「一夏、待ってなさい。演者交代よ」

「あいよ。あ、そうだ。今日は酢豚にしよう」

「肉マシマシ?」

「ああ、むしろ肉オンリーの勢いで。そこんとこどうよ?」

「いいわよ」

 

 

──感情反応型縮退炉〝雷公鞭〟起動

 

 

「よう、終わったか?」

「ええ、今日の献立が決まったわ」

「はっ、私もだ」

 

一夏との軽い会話を終え、全員が退がる気配を背に、鈴音の感情はある一つだけがうねっていた。

そしてそれは、熱田も同じだ。

 

 

──感情発露型縮退炉〝八尺瓊勾玉〟起動

 

 

「それじゃあ、ついて来いよ」

「貴女こそ、途中で潰れないでよ」

 

歓喜、ただそれだけを胸に両者は再び激突した。

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