ロードが尋ねてきてから数か月たった。仕事は順調、人間関係も良好、何一つ不自由のない生活を送っていた私だったのだが、
「なに、これ………」
朝、目が覚めると、何もなかった。暗闇だけが永遠と続き、道もない、建物もない、人もいない。ただ暗闇だけが支配している世界がそこにはあった。
「これはどういうこと?………まさか!」
私はあることを思い出した。それは、
「人理焼却?………そうか~ついに始まったんだね。」
普通であれば驚愕し、涙を流しているはずなのだが、私は落ち着いている。なぜなら、
「カルデアのマスターたちが何とかしてくれるでしょ!私はのんびりお団子でも……お団子もない…私、ここで生き延びて見せる!そう、暇という敵から!」
私はとりあえず腹筋、腕立て、走り込み、出来ることをすべてやったが、まだ何も起きない。
「早く人類史を救ってよ!ひ~ま~す~ぎ~る~」
そう言いながらごろごろ転がっていると、
「あれ?私、光ってる。」
………まさか!
「あちゃ~これじゃあロードの勝ちみたいなもの………仕方がない。召喚に応じようではないか!」
その言葉を最後に、私はこの場所から消えた。
★
「おい、坊主。さすがにこの戦力であのセイバーに挑むのはかなりきつい。」
「は、はぁ。」
「察しがわりぃなぁ。今からサーヴァントを召喚しろって言ってるんだよ。」
「それもそうね。藤丸、やりなさい。」
『僕もサーヴァントを召喚したほうが良いと思うよ。マシュだけだとマシュに負担がかかりすぎる。』
「私も召喚したほうが良いと思います。」
俺、藤丸立香はこの特異点Fを修復するためこの特異点の元凶であるセイバーと戦おうとしているのだが、戦力が足りないため追加でサーヴァントを召喚することになっているのだが、
「あの、サーヴァントの召喚ってどういう風にしたらいいんですか?」
「藤丸、まさかそんなことも知らないの?はぁ~分かったわ。召喚サークルに向かって今から言う呪文を一緒に唱えなさい。召喚用の触媒は今回は無しで行くわよ。これは呪文を覚えるための練習なんだから。」
「わ、わかりました。」
「じゃあ、いくわよ。」
オルガマリー所長の言う呪文を聞き逃さず、俺は同時に呪文を唱え始める。
「「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せ
よ
繰り返すつどに五度。
ただ満たされる刻を破却する
――――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うのならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!」」
「えっと、この呪文を次は触媒有りで唱えればいっ!?」
所長が説明をしている途中、召喚サークルが起動した。
「ど、どういうこと?」
「おいおい坊主、やればできるじゃねぇか。」
俺は召喚サークルのほうに目を向けると、激しく光っていた光が収まり、人の姿が見え始めた。そして、
「サーヴァント、セイバー、召喚に応じ馳せ参じました。」
着物のようなものを着た女性が立っている。
「セイバークラスの召喚とは驚いたな。で、あんた名前をなんていうんだ?俺はみての通りキャスター、真名はクー・フーリン。」
「私の真名は新免武蔵守藤原玄信、宮本武蔵って言ったほうが良いのかな?」
「宮本武蔵!?」
「先輩、知っているのですか?」
「宮本武蔵っていうのは日本で名をとどろかせた剣豪。二刀流を使い、巌流島で佐々木小次郎と決闘し、勝利したことで有名よ。」
「そうなのですか。では、よろしくお願いします武蔵さん。」
「うん、よろしくね。ところで、マスターの君の名前を聞いていなかったね。」
「お、俺の名前は藤丸立香と言います!」
「じゃあ、藤丸君でいいか。ところで、私はここで何をすればいいのかな?敵がいれば倒すけど、今はいないようだね。」
「セイバ「武蔵でいいわよ。」…なら、武蔵。今からこの状況を作ったセイバーのもとに向かうけど、一緒に戦ってくれるか?」
「もちろん!あ!この戦いが終わったら団子、おごってね。」
「わかった。キャスター、セイバーのところまで案内してくれ。」
「わかった。」
俺たちはこうしてこの特異点の元凶と思われるセイバーのもとに向かったのだった。
★
(召喚されたのはいいけど、まさか一番最初の特異点とは思わなかった……私、オルタに勝てるかな?)
そんな心配を内心している私なのだった。
「武蔵?どうしたんだ?」
「武蔵さん?」
「うん?何かな?私は平気だよ。たとえこの身が朽ち果てても藤丸君は守って見せるから。」
「そ、そうですか。」
私がここで不安になっていてはダメだ。よしっ!吹っ切れた!
こうしては私は藤丸君たちとともにセイバーのもとに向かったのだった。