藤丸君たちとともにセイバーのいる場所に向かうと、
「!しっ!」
私は刀を振り抜き、飛んできた矢を斬り落とした。
「さすがセイバークラスのサーヴァント、あの矢をよく斬り落とせたものだ。」
「当たり前でしょ。あの程度であれば、いくらでも落とせるわよ。」
私たちの前に現れたのは案の定、聖杯の泥に侵されたアーチャー。
「よぉアーチャー!お前の相手は俺がしてやるよ!」
「そういうわけにもいかない。」
アーチャーがそういうと藤丸君に向かって矢が放たれた。
「先輩は私が守ります!」
マシュが藤丸君と矢の間に盾を滑り込ませ藤丸君を守る。
「おい、坊主たちはセイバーのもとに行け!セイバーを倒してこの聖杯戦争を終わらせろ!」
「行かせるか!」
アーチャーはいくつもの矢を放ってきた。クー・フーリンが矢を消そうとしたとき、
「はぁーーーしっ!」
私が全ての矢を斬り落とした。
「ちっ!またか。ならば、セイバー、お前から倒させてもらおう。」
アーチャーの標的が私に変わったので、
「キャスター、藤丸君たちと一緒に行って。」
「はぁ!?あいつの相手は俺がする!」
「よく考えてみて、私はセイバーの真名を知らない。セイバーとの戦闘経験もない。この中で一番セイバーについて情報を持っているのはキャスターだけ。だから、さっさと行ってこい!」
私はキャスターを怒鳴りつけ、藤丸君たちに同行するように言った。
「…わかった。そのかわり、死ぬんじゃねぇぞ。」
「死ぬつもりもないよ。こんなサーヴァント崩れは私が倒しておくから。」
「そうかよ。アーチャー!お前サーヴァント崩れとか言われてるぞ!悔しかったらそのセイバーを倒してくるんだな!じゃあな!行くぞ!坊主ども!」
「「はい!」」
藤丸君たちはセイバーのいる大聖杯のもとに向かった。
「さて、キャスターの言う通り、君を倒さなければならなくなった。」
「まぁいいじゃないの。私も肩慣らしにちょうどいいからお互いさまということで。」
「意味が分からないことを言うな。では、本気で行かせてもらう!」
アーチャーは弓を構え矢を放ってくる。
「そういう単調な攻撃はもう通じないよ!」
「それはどうかな?―――――――」
アーチャーが何かつぶやいたような気がした。そして、嫌な感覚がしたので、
後ろに飛びのいた。すると、
ドンッ!
「今のをよけるとは恐れ入った。君がどこの英雄か聞いてもいいか?」
「真名を教えるような馬鹿ではない。」
「そうか。残念だ。」
今のはアーチャーの
「考え事をするのであれば、」
「!?」
「死んでくれ。」
私はとっさに体をひねり、アーチャーの剣、
「本当にアーチャーなのか確かめたくなるね。」
そう言いながら私は二刀の刀を抜き、アーチャーに斬りかかる。
私の方が圧倒的に優勢なのだが、
「どうした?もう限界か?」
なかなか決定打となる攻撃がかけていた。
「まだまだこれからでしょ。あなたこそもう限界じゃないの?」
「私はまだまだ余裕はある。」
「そうか。なら、その余裕を打ち砕く。」
私は抑えていた力の半分を出すことにした。
「余裕を打ち砕くか…できるものならやってみるがいい。」
「その首はもうとらえた。」
私はアーチャーの後ろに立っている。ということは、
「な、な、んだ、と………」
「君の首貰ったよ。」
アーチャーの首は宙を舞い、地面に落下すると同時にアーチャーの体は消え去った。
私がしたことは簡単だ。アーチャーが無駄口を言っている間に縮地、簡単に言えば距離を一瞬で詰めて、刀を振りぬく。ただそれだけのこと、今回はアーチャーが慢心していてくれたおかげで首をとることができたよ。首斬りは趣味ではないよ。
「ふぅ、さて、此方は終わったから私も加勢に行きますか。」
私は大聖杯のもとに向かおうとする。しかし、
「あれ?この感じは………そうか、ここですることは終わったのか。」
消えていく体を見てそう思っていた私だったのだが、ふとある疑問が浮かんだ。
私、消えていくけど、何処に戻されるの?
単純な疑問だった。この体は借り物に過ぎない。もし、座という場所に戻った場合、私の意識はどうなるのか?考えるまでもない。宮本武蔵の本体に飲み込まれて消滅するだろう。
「………せめてカルデアに送られますように。」
そう祈りながら、私の意識は沈んでいった。
★
目が覚めるとそこは真っ白な部屋だった。
「あれ?私、なにしてたんだっけ?」
記憶を思い出そうとすると、
ウィィン
扉?が開き藤丸君、マシュ、フォウが入ってきた。
「よかったぁ。意識はありますか?」
「記憶障害がみられる場合はドクターを呼ばなければ「大丈夫だよ。私はこの通り平気。」そうですか。」
「武蔵さん。どうしてここにいるのかわかりますか?」
「予想だと、カルデアに帰還した藤丸君たちは近くに転がっていた私を見つけてここに運んだ。どうかな?」
「そ、その通りです。」
「そっかぁ。今思えばパスはつながっているから座に戻される心配はないね。さて、藤丸君。」
「はい!」
「君は私のマスターだ。そんな畏まる必要はないよ。普段通りに喋ってもいいよ。」
「なら、お言葉に甘えて。武蔵さん、アーチャーの足止めありがとうございました。」
藤丸君とマシュ、なぜかフォウまで頭を下げてきた。
「礼ならいらないよ。う~ん!お腹が空いたような気がする。サーヴァントだから食事はいらないけど、お団子ってあるかな?」
「ありますよ。では、先輩、武蔵さんを食堂に一緒に連れて行きましょう。」
「あぁ!」
こうして私はカルデアの食堂に向かった。