ギム・ギンガナム風一夏 作:神の国へのインド王を渡してやる!
脳波コントロールの時間です。
今回はいつもより重め?な感じかもしれません。
束は人類を虐殺せんとバグを世に解き放った後、邪魔をする厄介な女──ほぼ近くに来ている自分の妹である箒を始末せんとラフレシアを起動させ、歓迎する。
「さて、ようこそ。我が妹」
「何故貴女はこんなことを!」
自分の知っている姉はこんな人物では無かった。研究の事故か何かで仮面を被っているせいで鉄仮面と揶揄されることはあったが、人格者ではあったはずなのだ。故に箒は疑問を投げかける。その疑問に対し、束、いや鉄仮面は嗤いながら答えた。
「何故……何故と来たか! 無論、人類の繁栄のため! 増えすぎた人間は刈り取らなくてはならん! 」
人類は増え過ぎた。地球が持たん時が来ているのだ、とは誰のセリフだったか──。そう、増え過ぎた人類は地球を駄目にする。ならば地球を救う為に、より人類が繁栄する為に余剰人口は殺さなくては、処分しなくてはならない。だからこそ、鉄仮面はこの計画を遂行しているのだ。
「余剰人口の削減、なんて馬鹿げたことを!」
「仕方なかろう、人類の10分の9を抹殺しろと言われたのだ、誰だって歪んでしまうッ!」
鉄仮面の哀しい絶叫に対し、歪んでしまった原因を垣間見るも、鉄仮面による多彩な攻撃が為、箒はその歪みの根源を探ることはできないと直感で理解していても歪みを問うことしかできない。
「その歪みに人間らしさを貴女は押し潰されたとでも言うのですか、姉さん!」
「つくづくお前は悪い子だな、箒。姉であり天才の私に楯突こうなど……大人のやることに疑問を持つのは良くないな」
何を解いても無駄。それを鉄仮面の発言で悟った箒は涙を流しながら激昂した。
「貴女はッ、だから貴女は! 人間のエゴが実体化した物の怪だ!如何に血の繋がった姉妹であっても生かしてはおけないッ!」
物の怪と、実の妹に例えられることに自嘲しながらも鉄仮面は攻撃の手を休めない。絶えずメガ粒子砲を、拡散ビームキャノンを駆使して箒の駆る機体に襲いかかる。
「フハハ、無駄、無駄だよ、箒。その物の怪に敵うわけがあるまい!」
「何をッ!……くっ!」
追撃にテンタクラーロットが蠢く。計100基を超えるそれはネオ・サイコミュ・システムによる思考コントロールで蠢き、箒を追い詰めてゆく。それに調子を良くした鉄仮面は笑い声を上げ、余裕の表情を見せる。
「フハハハ、怖かろう。しかも脳波コントロールできるッ! ……さあ、どうだ? 私の実力が、私の計画の正当性がわかったろう? 箒。今なら全て許そう。諦めて私と共に来る気はないかな?」
鉄仮面の誘い。実の姉、あまり好きではなかったとは言え姉は姉だ。いくら何を解いても無駄と悟ったとしてもできれば殺したくはないし、実の所箒は追い詰められている。それゆえに、箒はその誘いに少しばかり揺らぎそうになるも──身内の始末は身内でしなければならないのだと、非常になる覚悟を決めてその雑念を振り払った。
「……誰が。誰が貴女なんかにッ──、断固辞退する!」
ここまで追い詰められてまさか拒否すると予想していなかった鉄仮面は"また"認められなかったと激昂する。しかもその相手は自分より才能がないと思っていた妹。その妹に否定されたが為に劣等感を刺激された鉄仮面は無残に、残酷に殺してやろうと決意する。
「ほう……。断るとは、あの憎き千冬と同じように断るとはッ──!手足を使わずにコントロールできるこのマシーンを使う私を千冬と同じく見下すとは、つくづく女というものは度し難いッ!」
「貴女だって、女だろうに!」
「私はヒトを超越した存在だ! 理想を実現するために肉体を強化し、仮面を被り──。理想を実現するまでには仮面を取らないと誓った! 故にそんなものは関係ないのだよッ!」
そう、鉄仮面は理解のための尊き誓い。自らの理想に対する深き決意の証。その証は尊いものだ。たとえ、その理想が歪んでいたとしても──。
「ゲームオーバーだ、ド外道ッ──!! 斬り捨て、御免ッ!」
だがその理想は実の妹によって破られる。エネルギーを増幅する奥義、絢爛舞踏を用いてエネルギー刃を増幅させ斬り捨てんとする。その溢れ出るエネルギーの冷却をする為に機体の放熱フィンが展開し、強制冷却が行われる。その冷却により金属剥離効果が発生、剥離した装甲はラフレシアからは質量を持った残像に見えた。
鉄仮面は恐怖する。天才の自分の知らぬ新兵器に。普段の天才ならば理解できただろうが、この時鉄仮面は憤怒に、怒りに震えていた。だからその現象が理解できず、恐怖する。
「質量を持った残像ッ!? 化け物か!」
その恐怖故に、思考コントロールも間に合わず──鉄仮面は、ラフレシアは増幅されたエネルギーによりIフィールドごと両断された。
「この私の魂が死に去ることなど永遠にありえないことだぞ……。いいか、箒。我が妹よ。永遠にだ……」
これでラフレシアは撃破され、世界に平和が戻ったかに見えた。しかし、バグに殺された人々は数えるのが億劫なほど多く、それは世界に悲しみを齎す。
そして、箒は両断され死んだはずの鉄仮面の声を聞き、その得体の知れなさに対する恐怖、実の姉を殺してしまったことの後悔と悲しみ、そして身内による大量殺人の罪悪感からくる苦しみにより──。
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では。
感想返しは少し忙しく後でやらせていただきますね。