アルルの魔術学院生活   作:ほよ

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アルルの小説があまりなかったので書きました。

変な所もあるかもしれませんが、よろしくお願いします。

追記

後半を修正しました。


学園モノの最初は大体こんな感じの気がする。

ぐぐぐー!(急げー!)

 

「急げー!」

 

早朝……とは言い難いがまだ閑散としているフェジテの町の表通り。そんなゆったりとした風景の中に、楽しそうな声と慌てたような声、それからパタパタと靴と石畳の重なる忙しげな音が響き渡る。

その音の発信源には、肩でぐーぐー言ってる謎の黄色い生物を乗せて、後頭部の高い位置で一つにまとめられた栗色の髪をなびかせながらひたすらに町を駆け抜ける一人の少女の姿があった。

 

「このままだと遅刻しちゃうよ〜!」

 

ぐ〜ぐぐ!ぐ〜ぐぐ!(頑張れ!頑張れ!)

 

「もー、カーくんも僕より先にカレー食べ終わってたなら言ってくれれば良かったのに〜!!」

 

「|ぐぐーぐっぐぐっぐぐ、ぐぐーぐぐぐっぐぐ。《時間だって言っても気づいてなかったよ》」

 

「えー!そうだったの?!ごめん、カーくん!」

 

肩に乗っている謎の黄色い生物と軽く言い争いをしながら全力疾走する少女の装いは、この町にある「アルザーノ帝国魔術学院」の制服。彼女は学院生であり、現在授業の開始時刻に間に合うように必死に走っていた。

 

「はぁっ、はぁっ……あ、学校が見えてきたよ!あともう少しだ!……で、カーくん今何時?」

 

(時計どうぞ)。」

 

「ありがとう………よしっ、この距離……この時間なら間に合うはず!急ぐよ、カーくん。しっかり捕まって!」

 

時計の針は授業開始時刻の15分ほど前を指していた。走れば十分に間に合う距離だと感じた少女は、謎の生物に一声かけると今までよりもスピードを上げて駆け出した。

 

ここまでは順調な少女。しばらく石畳の上を快調な様子で走っていく。しかし、通学路途中の分かれ道で、不幸にも少女は分かれ道の角から出てきた黒髪の青年に気付かず激突してしまった。

 

「キャッ!!」

 

「ぐぐっ!」

 

「うおっ!!」

 

ドンッ!という強い衝撃と共に2人は互いに進行方向と逆方向に倒れた。黄色い生物も少女の傍らに転がり落ちる。

 

「いたたたた………」

 

「痛ってぇ………今日は厄日だぜまったく……すまん、大丈夫か?立てるか?」

 

頭を軽く打ったのか、片手で頭を抑えてその場でへたり込む少女に立ち上がった青年が愚痴を吐きながら謝罪をして手を差し出す。

 

「こちらこそごめんなさい………あ」

 

「………ん、どうかしたか?」

 

「…………へ、」

 

しかしその青年は全身ずぶ濡れのままで着崩しているとは言えないほどボタンの取れた服、そこらじゅうに擦り傷だらけの格好だった。そんな格好で町に繰り出す者は間違いなく…………

 

「へ、変態だーーー!!」

 

ぐーーーー!!(変態だーー!!)

 

「は………?あっ!!お、おいストップストップ!!これには理由があるんですぅぅぅぅ!!!」

 

気が動転した少女と謎の黄色い生物は人目もはばからずに叫んだ。変態呼ばわりされた青年のほうは、一瞬何言ってんだこいつ……という顔をしていたが、急いで自分の格好を見ると青い顔をしながら必死に事情説明を試みた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にごめんなさい!」

 

ぐぐーぐ!(ごめんなさい!)

 

青年が噴水に落ちてずぶ濡れに、少女とぶつかりシャツの前がはだけたという事情を説明した後、頭を九十度下げて謝る栗色の髪の少女と体を折り曲げて謝る体制の黄色い生物。

 

「おう。大丈夫だ。だから、頭を上げてくれ。また誤解されちまうから。」

 

シャツのボタンを直しながら青年がそれを許し、頭を上げるように促す。言うとうり少女は頭を上げると、黄色い生物を手で持ち上げて肩に乗せた。

 

「今日は、朝から酷い1日の幕開けだったぜ全く………あっ、そうだ。お前、見た感じ魔術学院の生徒だろ?………この時間だと遅刻じゃないのか?」

 

「え?………完全に遅刻だぁ〜。…………って何でそんなこと分かるんですか?」

 

「今日から俺、そこの非常勤なんだわ。」

 

「非常勤………あっ、もしかしてヒューイ先生の代わりに入るって噂の先生なんですか?」

 

「そのヒューズ先生だか何だかは知らないが、講師枠が空いたとか言われてな……。」

 

「やっぱり!僕達のクラスの先生だ!………というか、それじゃあ先生も遅刻じゃないですか!ほ、本当にすいませんでした!」

 

「あー、いいよそういうのは。気にすんな。どうせぶつかんなくても遅刻だったろうしな。今更(わめ)いたって仕方ないさ。お前が俺のクラスの生徒っていうんなら、今回の遅刻は教師権限で不問にしてやる。えーと、名前なんだっけ?」

 

「…………本当にすいませんでした。僕のせいで、先生まで巻き込んじゃって。」

 

「だぁーからそういうのはいいって言ってんだろ。それより名前は?」

 

「………ありがとうございます。僕はアルル=ナジャっていいます。こっちはカーバンクルのカーくん。よろしくお願いします。……あの、先生の名前を聞いてもいいですか?」

 

「ああ。………俺は、グレン=レーダス!よろしくな、アルル。とカーバンクル?」

 

ぐっぐぐー!(よろしく!)

 

「………じゃあ行こうぜ。俺久々にここ来るから俺が担当するクラスどこだか忘れちまってさぁ………。謝罪はいいから案内して貰えないか、お嬢さん?」

 

「はい!グレン先生!…………とりあえず急ぎましょうか。」

 

「………そうだな。仕方ねぇ走るか。」

 

グレンとアルルとカーバンクルの2人と1体は学院へ向かって遅れを取り戻すかのように走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業開始時刻から数分経ち、アルル達は校舎二階の自分達の教室へと到着した。

 

「ふー………ここが二組の教室か………案内ありがとな、アルル。」

 

「………………」

 

グレンの言葉に反応を返さないアルル。疲れている、ということではなく何か考え事をして反応がない。

 

「……アルル?」

 

ぐぐ。(呼んでるよ。)

 

「あっ、はい!すいません!どういたしまして。」

 

グレンの二度目の言葉もカーバンクルに呼ばれることでようやく半分遅れてアルルは返事をした。その様子を見て、グレンが教師らしくアルルに声をかける。

 

「いや、謝らなくていいから。どした?何か調子悪いみたいだけどトイレか?」

 

「いや、そうじゃなくて………ちょっとこれから来る未来のことを考えたら怖くなっちゃって……。」

 

「お、おう……。え、何?お前のクラスそんなヤバイの?」

 

「ふぅー……よしっ。いえ、大丈夫です。行きましょう。」

 

「ちょ、何か言ってくれよ……。」

 

「いや、大丈夫ですよ。普通のクラスです。」

 

心配するという割にはデリカシーのない質問をうまくスルーして、アルルは教室へ入る覚悟を完了させる。この時、調子が悪いように見えたアルルは心の中で一つの重要なことを考えて気落ちしていたせいである。

 

(システィーナ怒ってるだろうなぁ……)

 

それは、クラスの才女でもある自分の友達、銀髪の少女『システィーナ=フィーベル』のことだ。アルルは教師泣かせと呼ばれるシスティーナの怒った姿を思い浮かべて少し気落ちしていたのだ。

 

(でも、遅刻したのは自分のせいだよね………よし。いくぞ!)

 

だが、遅刻をしてしまったことは変えられない。怒られることを覚悟して、教室の扉を開いた。

 

ガララララッ

 

「遅刻よアルル!」

 

アルルが扉を開いて教室に入るとやはり開口一番、システィーナから早速怒声を叩き込まれた。しかも、予想以上にピリピリとしている。

 

「ごめんなさい……システィーナ。おはよう。」

 

ぐっぐー。(おはよー。)

 

「あなた……「まぁまぁ、アルルだってたまには遅刻もあるよ。ね?」ルミア………ごめんなさいアルル。今ちょっとピリピリしてて……!」

 

アルルは、。余計にシスティーナは怒りを爆発させようとしていたが、間一髪その隣にいたシスティーナの親友、金髪の少女『ルミア=ティンジェル』が宥めたことで、ギリギリ怒りが収まったらしい。アルルは心底ホッとした。

 

「いや、遅刻したのは僕が悪いし大丈夫。何でそんなにピリピリしてるのさ?」

 

「…………アルルも聞いてるでしょう?あの非常勤の講師よ!まだ教室に来てないのよ?!遅刻も遅刻!大遅刻よ!!!」

 

どうやら、システィーナが本当に激怒しているのは今日来るグレンのことらしい。アルルは、とても申し訳ない気持ちになった。

 

(あぁ…………本当にごめんなさい………先生。僕からも色々説明しなきゃ。)

 

「実はね、僕が………」

 

「あー、悪ぃ悪ぃ。遅れたわー。」

 

(あっ、終わった。)

 

アルルの弁解を遮るタイミングで気だるげな声とともに噂の非常勤講師が教室の扉を開けてゆっくりと歩いてくる。

 

「やっと来たわね!ちょっと貴方一体どういうことなの?!貴方には………」

 

その講師の姿を見たシスティーナは説教をくれてやろうとして、言葉を詰まらせ固まった。

 

「—————あ、あ、あ、貴方は!!!」

 

「…………違います。人違いです。」

 

「人違いなわけないでしょ!———————」

 

(ん?どういうことだろ………?)

 

アルルはとりあえず自分の席まで足を運びそのまま椅子に座ると、カバンを下に置いてカーバンクルを肩から下ろして膝の上に座らせる。そして、疑問を解消するために近くの席のルミアにそっと小声で話しかけた。

 

「(おはよう、さっきはありがとうルミア。何でシスティーナ固まっちゃったの?)」

 

「(おはよう。いいよ、気にしなくて。……えっとね?学院へ行く途中に先生が全速力で走ってきて私たちとぶつかりそうになって、システィがとっさに『ゲイル・ブロウ』で噴水の方向にあの先生を飛ばしちゃったの。)」

 

どうやら、2人が知り合っているのは魔法で突風をぶつけた、ぶつけられたの関係だったかららしい。

 

「(そうだったんだ……………だから先生ずぶ濡れになってたんだね。ありがとうルミア。大体わかったよ!)」

 

「(良かった。)」

 

(僕と会う前にもうシスティーナとも会ってて、その時にずぶ濡れになったってことかぁ……)

 

一通りアルルは事情を理解するとカーバンクルを撫でながら世間は意外と狭いんだなぁとしみじみ感じたのだった。




アルルは毎日カレー食ってるイメージがある。
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