将来の夢はマダオ。 作:ら!
マダオ。
それは まるで ダメな おっさん を指す。
聖夜学園小に通う久我春日は一見どこにでもいる小学生だ。
ただ、死んだ魚のような目をしている点を除けば。
久我春日は誰にも言えない秘密が一つ、いや、二つ、三つ..まあ、それなりにある。秘密はいくつあっていいだろう。某怪盗三世のお姉さんいわく、秘密は女のアクセサリーだから。この際男とか女は関係ない。秘密は誰にだってあるだろう?まあ、それはさておき。
一つ、久我春日は前世の記憶がある。彼の名誉のために言うが、ぶっ壊れているわけではない。某名探偵みたく薬を飲まされて縮んでいたわけもなく、はたまた目覚めて自分のノートに〔おまえはだれだ?〕と書かれていたわけでもない。
彼が目覚めると、赤ん坊の姿で母親の腕の中にいた。それから紆余曲折を経て現在は祖父に引き取られ生活している。
祖父は道場の師範代で、春日はその跡取りとして育てられている。剣術道場で日々、木刀をふって、ふって、ときに祖父の叱咤が飛び、そしてふりまくる。
そんな生活のおかげか、精神面はかなり鍛えられた。もともとの前世というアドバンテージがあり、同年代と比べ大人びていてどことなく達観したこどもであったが、現在は無表情がデフォルトになっている。
そして小学校に入学すると春日は将来の夢という作文の宿題に取り組むことになった。前世でもう大人として経験したこともあって、まわりのこどもたちがキラキラとした目で夢を語る様子をみているのがむなしいと思ったのが正直な感想だ。
警察官になる、海賊王になる、シータぼくは海賊になんてならないよ、火影はおれの夢だ!、魔法少女になってよ!..
途中、おかしな発言もあったが、春日はそんなこどもたちを一歩遠くから眺めていた。
いまさらこれと言った夢も思い浮かばず、ただ、漠然と自分はおそらくこの道場を継ぐのだろうと考えていた。
鉛筆を走らせて残りの数行にさしせまったとき。
春日はこう綴った。
〔それでもぼくはマダオになりたい。〕
それ、どこかできいたことあるんですけど!てか、マダオって小学生がなにいってんですか!わたしはか⚪になりたいのパクりだろうがぁああああ!
おいおい。うるせぇな。そんなんだからいつまでたってもお前は新八なんだよ
おいいい!今の僕が悪い?ていうか!人の名前を悪口みたいに言わないでください!!
どこかのメガネがそんな風に叫んでいるような気がするような、ないような。春日は気にせず、満足気に作文をかきおえ、翌朝、自分の布団に奇妙なたまごをみつけるなんて考えてもみなかった。