気まぐれで器用貧乏な万能手   作:ハヤヲ

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9年…


第2話

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ピピピピピッッッ!!!

 

 

「うーーん…。うるさい。」

 

ガチャ

 

よし、もう一眠り………あっ!今日から学校だ!

私は急いで起き上がり制服に着替え朝食をとる。

時間がないので、トーストにマーガリンを塗っただけのやつと牛乳だ。何時もはもっとちゃんと作ってるんですよ?ホントですよ?って誰に言い訳してるんだか。

 

「そんなことより、時間!」

 

時計をみると時刻は7時50分を過ぎたところ。学校には30分かかるので、本当に急がなくてはいけない。8時前には警戒区域を越えて市街地まで出ないと間に合わなくなってしまう。

 

「仕方ないか。…トリガー起動(オン)!」

 

トリオン体は戦闘服ではなく、そのままの服装で換装した。

え?勝手にトリガー使うのは隊務規定違反ではないかって?大丈夫よ。何たってここは基地の中。トリオン体になることになんの問題もないわ!

 

 

ひたすら走ること5分市街地についた私は通学路を歩いている。いや、ホントにトリガー様々ね。バレたら忍田さんに怒られそうだけど…。

ひょんなことを考えていると、見知った顔が前を歩いているのが見えた。

 

「やっほー!!若村くん!」

 

振り向いたのはB級香取隊ガンナーの若村麓郎くん。去年、同じクラスでよく話していた。主に香取ちゃんの愚痴か華ちゃんがどうのこうの…何だかんだ仲良いのよね香取隊って。そんなことを考えてると若村くんが私の頭に目を向けてきた。

 

「古賀かおはよう。髪どうした?跳ねてるぞ」

 

「え!?嘘!!」

 

そうだ時間ギリギリで出てきたから髪溶かすの忘れてたんだ。恥ずかしい。

 

「あははは……朝、少し寝坊しちゃって」

 

「新学期そうそうかよ。」

 

「う、うるさいなー。こうして間に合ってるんだからいいでしょ~?」

 

「どうせまた授業中に寝るんだろ。」

 

「あーもう何も聞こえないー!」

 

わーわーわー。と耳を塞ぎながら歩くスピードを速める私に若村くんは額に手を当てやれやれといいながらついてきた。

いつもの通学路、殆ど桜の散った木々を眺めて雑談しながら学校に向かう。

学校に着くと昇降口前にクラス替えの紙が貼り出されていた。ひとまず自分のクラスと番号だけ確認し、一緒に登校していて隣にいる若村くんに何組だったか訪ねると、どうやら今年はクラスが違うらしい。残念だねと話していると若村くんが友達に呼ばれたらしくその場で別れることになった。一人になった私は下駄箱で靴を履き替え新しい教室に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

教室に入り自分の席に着き時間を確認すると五分ほど余裕があったので読みかけの本を取り出し読み始める。

私は特に読むものに統一性はない。恋愛ものや青春系、少年漫画、少女漫画にラノベだって読む。物語として成り立っていれば好きになれる。先入観で変に偏見を持っている人は勿体ないとそう思う。

ひょんなことを考えながら読んでいると騒がしい二人組の男子が入ってきた。

 

「くそ!槍バカのせいでクラス間違えたじゃねーか!」

 

「誰が槍バカだ!弾バカ!お前だって間違えてただろーが!」

 

そんなお互いバカバカ言いながら教室に入ってきたのはボーダーで良くランク戦をする二人だ。……もうチャイムもなって先生がそろそろ来るのにまだ騒がしい二人を見て私は少しイラッとしていた。なので二人の頭にチョップをして黙らせることにした。決して読書の邪魔をされたからではない。決して…。

 

ゴツッッ!!

 

「二人とも?いい加減にしないと周りに迷惑でしょ?」

 

踞っている二人にいい笑顔で語りかける。

 

「痛って!なにしやが…樟葉!?」

 

「ゲッ!樟葉じゃん!」

 

「おはよう。出水くん米屋くん。そろそろ先生くるから座って。ね?」

 

「「はい。」」

 

二人を黙らせ自分の席に戻ろうとすると周りの視線が気になりそちらに向けると若干引かれていた。まあボーダーのそれもA級で有名な二人をチョップ1つで黙らせる女はそういないだろう。それに私がボーダーと知っている人はそう多くない。去年クラスが同じの人たちくらいだ。

こうして、私の晴れやかな新学期生活は崩れ去った。

…泣きたい。

 

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今日は新学期ということもあってお昼で学校が終わった。私は帰り支度をしていると先程黙らせた二人が恐る恐る近づいてきた。

 

「あ、あの樟葉さん。この後暇か?いや、ですか?」

 

「良かったら俺たちと一緒にどっか行かない…ですか?」

 

何故か敬語で話しかけてくる出水くんと米屋くん。さっきのチョップがそんなにきいてるのかしら?

 

「防衛任務もないし暇だよ?」

 

と答えると、私の機嫌を損ねた埋め合わせのつもりか最近できたケーキ屋があるのでそこにいこうと提案してきた。この間雑誌でみたときに気になってはいたので結構嬉しい。何でも海外で修行を積んできたらしく、この三門市で自分の店を開くと書いてあった。

なに食べようかなと話していると、クラスの女の子が一人私たちの話に入ってきた。

 

「あの、私もご一緒してもよろしいですか?」

 

私たち三人はどうしたものかと顔を見合わせていると、それを感じ取ったのか言葉を続けた。

 

「古賀さんたちの話を聞いてましたの。私もこの後そこの店に行こうと思っていましたので、よければご一緒と。」

 

「あ、うん!そういうことなら全然おっけーだよ!ね?いいでしょ?二人とも?」

 

出水くんと米屋くんに確認を取ると頷いてくれたので四人で行くことになった。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

学校をでて四人で雑談をしながらケーキ屋に向かっている。でも、三人が共通して何かに違和感を抱いている。その正体を確かめようと思考を続けているのだが、私にはわからなかった。すると米屋くんが「あ!」と思い出したように声をだし私の隣に歩いている女の子の方に体ごと向け…

 

「そういえば、名前聞いてなかった。」

 

「「あぁ!!」」

 

私も出水くんもそれだ!と言わんばかりに女の子に顔を向ける。

 

「自己紹介がまだでしたね。(わたくし)新宮 菫(しんぐう すみれ)といいます。」

 

どうぞ宜しくお願いします。と丁寧にお辞儀をした。きっと育ちが良いのだろう。私とは大違いだ。…まって私だってちゃんと挨拶ぐらいはできるよ!!

心内で誰に言い訳してるかわからない間に自己紹介は続く。

 

「じゃあ、俺たちも自己紹介するか。」

 

「いえ、その必要はありません。私は貴方たちのことは存じておりますので。…A級1位太刀川隊射手(シューター)の出水公平さんに、A級7位三輪隊攻撃手(アタッカー)の米屋陽介さん。それと、No.1万能手(オールラウンダー)のB級ソロの古賀樟葉さん。」

 

なぜ彼女はA級で有名な二人の他、ソロの私を知っているのか。なぜボーダー事情にこんなにも詳しいのか疑問を抱いていると彼女は更に続ける。

 

「特に、古賀さんにはずっと興味をもっていたんです。」

 

「へ?わ、私!?」

 

突然の告白?に少し驚いてしまった。

 

「ええ。ボーダーに入隊して四年近くがたとうとしているのにも関わらず、未だに部隊に入っていないではありませんか。」

 

「それは、まあなに?色々あるんだよ。」

 

本当は特に理由はない。ただ単に自由にやりたいだけなのである。

 

「樟葉は気まぐれだから団体戦は無理だろw」

 

「う、うるさいなー!」

 

私だってランク戦くらいできるもん!まあ、やったことないんだけどね。

ちょっとへこたれてる私をおいて三人は笑っていた。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「おぉーここか。何か洒落てるな」

 

「男だけじゃ入れないとこだな。現に女子かカップルしかいねぇー。」

 

三人に笑われて数分、目的のケーキ屋についた。男子二人の言うとおり、お店のなかにいるのは女の子のグループか若い男女のカップルだけだ。

 

「でしたら、私たちもその様に振る舞えば宜しいのでは?」

 

「そうだね。この場はその方が自然だしね。」

 

「では、出水さん、米屋さん。私たちのどちらを選びますか?」

 

「はぁ!?」

 

新宮さんの言葉に出水くんは顔真っ赤!確かにいきなりどちらを選ぶ?なんて言われたらそうなるよね。しかも、新宮さんニヤニヤしてるし、これは楽しんでるな~。乗るしかないっしょ!このビックウェーブに!!

 

「そうだよ~二人はどっちを取るの?」

 

はい!ここで上目遣いで言うのがポイントだよ!ここ、テストに出るよ!なんて、下らないこと考えてると米屋くんが面倒臭いからグッパーしようといい、その結果、私と出水くんペア。新宮さんと米屋くんのペアに別れた。

 

「ではお互いペアも決まったことですし入りましょうか。」

 

 

お店に入ると白い壁に薄いピンク色の塗装が施されたタイルがメルヘンチックにアクセントされている。確かにこの内装では男性だけでは入り辛くて然るべきだ。店員さんに席を案内されるとお店の端っこの四人席に通されお冷とおしぼりとメニューを渡され注文が決まったら呼ぶように言われた。

 

「さて、何食べよーかな。」

 

メニューをペラペラ捲りながら物色していると当店オススメと書いてある苺と生クリームのボリューミーなパンケーキが目に入った。

初めて入る店ならオススメを食べとけば間違いないしちょうど苺も食べたかったので即決する。

 

「私はこのフルーツタルトに紅茶のセットにいたします。」

 

「俺はチョコケーキにコーヒーのセットで。」

 

「俺も弾バカと同じで。」

 

「私はオススメの苺のパンケーキに紅茶セットにしようかな。」

 

各々注文をきめ、すみませーんと店員さんを呼び注文を済ませおしぼりで手を拭きながら待つ。

 

「ところで新宮さん。どうして私のこと知ってたの?」

 

「それについては答えは簡単です。私もボーダーでオペレーターを務めておりますので。」

 

「え!?新宮さんもボーダーだったの!?」

 

「ええ、オペレーターといっても部隊ではなく本部でのサポートオペレーターの役目の方が多いですから知らないのも無理ありません。」

 

だから私がB級ソロでチームに入ってなくても知ってたんだ。防衛任務の時は本部のオペレーターか一緒に防衛任務入ってる部隊のオペレーターさんにお願いしてるからオペさんたちにも顔が広い。

 

「それに私の父の会社がボーダーのスポンサーにもなっておりますので唐沢さんとも面識があり、古賀さんの事は前々から存じておりました。」

 

唐沢さんとはボーダーで外務・営業部長でスポンサーからお金を引っ張ってきてボーダーの立役者の1人だ。そんな人と面識があるのならば私のことを知っていても不思議じゃない。まさか唐沢さんとも面識があるなんてこの子は存外ボーダーの内部を理解してるんじゃないだろうか。まあ私には関係ないけどね。

 

「なるほど唐沢さんかぁ〜。」

 

得心いったように米屋くんが呟くと同時に出水くんも質問を投げかける。

 

「じゃあ、新宮さんはボーダー入って長いのか?」

 

「いいえ、入ったのはほんの半年ほど前です。オペレーターになったのは2ヶ月前、その前は開発部にて今では兼任もしています。」

 

「オペだけじゃなくエンジニアもかよ。」

 

こりゃ曲者だなぁ。と額に汗をかきながら出水くんが頬をかく。

しばらく4人で話していると注文の品が定員の手によって運ばれる。

 

「わぁ〜美味しそう!」

 

私の前のパンケーキをみた出水くん&米屋くんは生クリームの多さに若干引いていた気がするけど今私はパンケーキに視線が釘付けだ。

 

「みんなも揃ったね!じゃあいただきまーす!」

 

待ちきれないとばかりにみんなの前に品が揃うとフォークとナイフを手に取り食べ始める。ほか3人も私に続いていただきますと言い各々ケーキに手をつける。

 

苺とたっぷりの生クリームを1口サイズに切り分けたパンケーキにのせて口に運ぶ。苺の程よい甘みと酸味、生クリームの甘すぎずスッキリとした味わいで更にパンケーキはしっとりふわふわしていてそれぞれ調和していた。うん幸せとはこういうことを言うのだな。と頭の中で頷きながら味を堪能する。口直しの紅茶も身体が暖まるように浸透し安らぎを与えてくれる。

 

十数分でパンケーキを平らげた私は満足気にふうと息をはき両手を合わせご馳走様を言う。

 

「あっという間に平らげたな。」

 

「まさに無我夢中という感じでしたね。」

 

「それにしても夢中すぎだろ。」

 

引き気味な出水くんと米屋くんに微笑ましそうにしている新宮さんの姿がそこにはあった。

 

その後4人で少し雑談をしお会計を済ませ店をでた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「俺たちは本部行くけど2人はどうする?」

 

私と新宮さんの少し前を歩く出水くんと米屋くんは身体をこちらに向け聞いてくる。

 

(わたくし)もこの後本部に用がございますのでお供させていただきます。」

 

「樟葉は?」

 

さて、どう答えたものか。迅さんと模擬戦する予定はあるけどその理由は多分他言無用だし、変に誤魔化しても怪しまれそうだなあ。迅さん暗躍大好きだから。うん適当にでっち上げようそうしよう。

 

「私はちょっと玉狛支部にいくんだよね。」

 

「なんでまた玉狛?」

 

「実はこの前迅さんと会ってさ最近玉狛に顔だしてないだの、遊びに来いなど言われちゃって。せっかくだしらいじん丸のお腹でも触りに行こうかなって。」

 

我ながら苦しい理由かなとも思ったけど2人は納得し、新宮さんは首を傾げていた。何そのキョトン顔可愛い。私が男だったら惚れちゃう!チョロ過ぎるか一旦。

 

「あの、らいじん丸とは?」

 

「らいじん丸はカピバラ?だよ。陽太郎ってお子様のペット。」

 

はぁ。と未だ不思議そうにしているけどこれ以上説明のしようがない。だってそのまんまだもん。私もなんで玉狛にカピバラが居るのか知らないし。

 

「てことはここで解散だな。また本部で。」

 

「またランク戦しよーぜ!」

 

「いいよー。今度はダブルレイガストでいこうかな?」

 

「げっ!鉄壁かよ!フルアタック、いや徹甲弾(ギムレット)でも破れるか分からねーぞ…。」

 

出水くんは厄介なやつを見る目で私を見るが知らんぷりだ。私のトリオン量を考えても合成弾を凌ぐのは大変だけど何回かは防げるはずだ。

 

「そこはやってみないと分からないね。じゃあまたね。」

 

そういって私は玉狛支部に向けて歩き出した。迅さんとソロ戦かあー。久しぶりだけどトリガーセットどうしようかなー。なんて考えながら歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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