ただありがたい言葉を書きたかったんだ・・・!
数多の二次創作で転生者が集まる魔都、海鳴市。ここは毎日のように大量の転生者が投下され、日々ヒロインの奪い合いという名の殺し合いをしている。
そう。原作が始まる一週間前までは転生者同士のバトルロワイヤルだった。
現在、高町なのはが初めてジュエルシードを封印した後。結界が作られた異様の空間に300を超える転生者がいた。転生者は円形を作り、真ん中に隙間を開けたドーナツ型を作りながら、円の中心にいる少年を見る。
異様な光景。
転生者達の殺意は全てが中心の少年に向けられている。少年は周りから発せられる殺気を「はっ」と鼻で笑う。それだけで、殺意を放っていた少年少女は身を強ばらせる。
中心の少年が一振りの刀を抜く。少年よりも長く、細い刀。千を超える転生者の血を吸い、その身を裂いてきた殺戮の武器。
その動作をすると周りの少年少女は一斉に己が攻撃準備に入る。
ある者は黄金の波紋を作り中心から武具を顕現させる。ある者は己が魔力を使い宙に百を超える剣軍を呼び出す。ある者はデバイスを使いその身を魔法使いへと至らせる。ある者は身の丈もある巨大な大剣を構える。ある者は銀と黒の大口径の拳銃を構える。ある者は日本の刀を引き抜き放射線を纏わせる。
中心にいる少年は舌なめずりをする。今宵の獲物は数が多い。そして手練もいる。戦いを楽しむ。今はそれだけでいい。考え事など捨てておけ。今の自分は戦に飢えた獣なのだから。
賽は投げられる。
一斉に少年に襲いかかる万を、億を超える武具の群れ。人の幻想を束ねた極光。少年目掛けて撒き散らされる魔力砲。天から落ちてくる裁きの雷。最大限まで倍加された神をも滅ぼすかもしれぬ極大のビーム。時間を止めて無防備に打ち込まれる精神が具現化した拳。
少年は笑う、嗤う。
心地いいぞ、マッサージには丁度いいと叫ぶ。
煙が晴れ少年の姿が見えてくる。今回が初めての者はこれで少年が死亡したと確信した。ならば次の標的は周りにいるモブ達だ。自分こそが真の主人公だと、周りにいる畜生共に思い知らせてやらねば。
少年を知っている者達は身構える。この程度で死ぬはずがない。現に世界を裂く原初の地獄を、空間を喰らい尽くす龍の顎も、彼には効かなかったのだ。たかが物量で倒せるほど、彼らの敵は甘くない。
そして見える。少年がいる。刀を持ち上げ、独特な構えを取る修羅が、獲物を狩る獣のような目で彼らを見つめる。
その光景に絶句する、驚愕する、絶望する、挫折する。星を砕く一撃を喰らったのだぞ?防御不能の顎に食われたのだぞ?原初の宝物がその身に降りかかったんだぞ?
なぜ生きてる、なぜ笑っている、なぜ愉快そうにこちらを見ている。
恐怖、圧倒的なまでの恐怖がそこにいる。
「これが我だ。 我に特殊な能力など必要ない。
時を止める?星を裂く?幻想を束ねてそれを放つ?精神の具現化で殴る?空間を直接攻撃する?際限のない倍加?
なんだそれは?なんなのだ?なぜそんなに小賢しい。弱いから、つまらぬから、物珍しげな設定をひねり出して、頭が良いとでも思わせたいのか?せせこましい、狡すからい。
理屈臭く概念概念、意味や現象がどうだのと、呆れて我は物も言えぬわ。
それで貴様ら、卵を立てたような気にでもなっておるのか。
能力の相性?馬鹿臭い。力を使う際の危険要素?阿呆か貴様ら。
そんなものに囚われるから、未だにこの身に届かない。
質量の桁が違えば相性などに意味はなく、使用に危険を伴う力なぞは単なる使えぬ欠陥品だ。
少し考えれば稚児であろうと分かることを、己の矮小さを正当化するためにみっともなく誤魔化しておる。
やりよう次第で、弱者であっても強者を斃せるとでも言うように。
そのほうが、さも高尚な戦であるかのように演出して悦に入る。
嘆かわしい。くだらない。なんと女々しい。男の王道とは程遠い。
絶望が足りぬ。怒りが足りぬ。強さにかける想いが純粋に雑魚なのよ。
貴様らのごとき、小理屈をこねる輩が横溢するようになって以来、圧倒的というものがとんと見当たらなくなってしまった。
ゆえに我が生まれ、この下らぬ世界を握った。徹頭徹尾最強無敵。誰であろうと滅尽滅相——力、ただ力!
この不愉快な塵を跡形残らず消し飛ばす力が欲しい。
我の世界は我だけのものだろうが!
ゆえに特殊な理など何も要らん。必要ないのだ。白けるわ!
これをつまらんと思うなら、それはそやつがつまらんのだ。
能無しどもが、熊を素手で撲殺する程度の膂力もない分際で、際物めいた一芸さえあれば山をも崩せると迷妄に耽りおる。
救い難い無知蒙昧。恥を知らぬ滓の群れども。要らぬ要らぬ、実に目障り!汚らわしいのだ我に触れるな」
少年が消える。それと同時に叫び声もなく、何があったのかすら理解してない顔で崩れ落ちる三十人ほどの人間。特殊な能力など何も持っていない少年に斬られ、その魂を再び死に預ける者達。
溢れる恐怖。襲いかかる絶望。元より彼らに勝機などなかった。質量が違う。価値観が違う。考え方が違う。魂の根本からして違う。圧倒的に彼らは少年に劣っている。
特典を貰った転生者?特典如きがなんの役に立つ。宴会芸の役にでも立てたいのか?そんな力など塵と同じだ。クソ以下だ、
降り注ぐ剣軍を一刀のもとに切り伏せる。足捌きを率いて懐に入り込み首を刎ねる。噴出される血を払い除け、涙目で怯える少女から放たれた赤き魔槍を手で弾き落としゆっくりと死ぬように達磨にする。痛みで叫ぶ恐怖の旋律を心地よく聴いていると時間が止められる。
だが無意味。
力技で時の停止を跳ね除け、今まさに殴ろうとした少年の身に拳打を打ち込む。臓物を抉り、骨を砕き、拳が幼い身体を貫く。
それを見て少年は失敗した、と思う。貫くつもりはなかったが、力みすぎて貫いてしまった。精進せねばと思った所で停止が解除。出来た隙間から迫る十二の眷獣を剣圧で消し飛ばす。
死を見る魔眼を持った少年と少女の攻撃をあえて受け入れる。彼らの持っていたナイフは弾かれ、大きく出来た隙を狙って二人の顔を掴み、お互いの顔をぶつける。
グシャりと飛び散る何か。少年はそれを逃げようとした少年に向かってフルスイングで投げる。何かは少年の心臓を貫き、そのまま絶命させる。
逃げることが出来ないと感じた彼らは泣きながらも攻撃を続ける。その涙と鼻水と涎で汚れた醜い顔を嘲笑し、少年は迫り来る攻撃全てを切り伏せる。
そして迫り来る赤の鎧と白の鎧。赤の鎧は白の鎧に触れ、倍加した力を譲渡する。白の鎧は少年目掛けて手を伸ばす。少年は受け入れる。抵抗などいらぬ。彼らがやろうとしていることは分かりきっているのだから。
白の鎧が少年に触れ、少年の力を半分吸収する。その光景を見て周りはやった!と歓喜する。勝てる可能性が出てきた。これならあの少年を倒せる。僅かながらも確かな希望が見えた。
少年はそれでも嗤う。自分が言ったことをまるで理解していない低脳達を。そこらの阿呆よりも酷い塵達を。
絶叫が聞こえる。音源は白の鎧。白の鎧は叫びながらその身を掻き毟る。鎧が邪魔だと思ったのか鎧を消してその身を抱く。彼らは見た。白の鎧の人物がどうなっているのかを。穴という穴から溢れ出る血液。耳から、目から、鼻から、口から絶え間なく赤が溢れている。
やがて白の鎧の人物は破裂した。撒き散らされる血と臓物。今までのも酷かったが、更に酷く惨い殺害。
泣き叫び崩れる者。諦めて戦意喪失するもの。それぞれが反応を示す中、正義感の強い赤い装束を纏った少年が少年に叫び語りかける。
お前に人の血は流れているのか?なんでこんな酷いことが出来るんだ、と。
少年は演説のように長いソレを拝聴して笑う。
「貴様らは本当に阿呆よのぅ。言ったであろう。我と貴様らでは質量が違うと。
それすなわち力の質量が違う。あの者の能力は吸収と半減。我の力を吸い、それを取り込んだ故の末路だろう。
自滅と変わらんよ。
重ねて言うが我は先にも言ったであろう。
能力の相性?阿呆か貴様ら。力を扱う際の危険要素?馬鹿くさい。
あの者が死んだのは我の力に、質量に耐えきれなかったから。簡単なことであろうに。それに辿り着かない貴様らは本当に無能よな。
まぁ、塵に期待したところで無駄だろうがな」
死者を鼻で笑う。吸収と言っても限度がある。器が耐えきれずに壊れてしまえば元も子もない。そんな欠点を抱えている能力で少年を倒そうなどと、そんな虫のいい話があるはずがない。
そして再び始まる殺戮。正義を語った少年の手足を粉微塵に砕く。後ろから超スピードで迫り来る少年の顔に裏拳を叩き込み首と胴をサヨナラさせる。黄金に輝く髪をした少年の気で作られた砲撃を息を吹きかけて跳ね返す。
一人の少年が黒いノートとペンを手に少年の前に立ち、どうだ!書いてやったぞ!と豪語する。
ノートには少年の名前が書かれており、それは少年の死を意味する。
知るかそんもの。そう吐き捨て少年はノートを持った少年に脇目も振らずに次の標的の元へ行く。
白い髪に赤い目をした少年が、ベクトルを操作する腕で少年の顔を殴る。それと同時に感じる激痛。白い髪の少年は自分の腕を見る。少年の腕は何故がグチャグチャになっている。
少年は口元を三日月のように歪めながら白い髪の少年を紙のように潰していく。最終的にボール程の大きさにされた白髪の少年。少年はソレをまたもフルスイングで投げ、一人の心臓を貫く。
埒が明かないと思った少年は刀を持って次々と斬殺していく。首を刎ね、心の臓を貫き、手足を切り落として失血させ、攻撃を全て弾き返して絶望した所を斬る。
一時間後、結界が消えて少年が出てくる。少年は返り血一つなく刀すら持っておらず、どこにでもいそうな少年となっている。
異様なのは少年の背後。そこには赤で染まりきった最悪の死の空間が広がっている。凡そ三百人の死体。
後日、死体は全て親元に帰り、連続殺人事件が海鳴市で発見された・・・
ことはなかった。
少年がその場を過ぎ去ると彼らの遺体は光の粒子へと変わっていき、そこには何もない綺麗な空間だけが残された。
続かな・・・い?