捻くれ者と強すぎる艦娘。   作:ラバラペイン

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のんびり書いてきますよ


提督になるまで2

 そもそも、あれから3年だ。3年しか経っていない。

 叩き込まれた軍学校は結局卒業せずに提督になってしまった。体裁とか大丈夫なのかと思ったが、艦娘自体あまり公になっていない存在だから今更ではあるか。

 

 そう、艦娘。軍艦の記憶を持って生まれた少女。妖精により建造されたり、敵である深海棲艦を倒した時稀に現れたりする確かな人外。初めて見たときはそりゃ驚いた。俺を軍に入れた理由が艦娘を率いて貰うためだと聞いて更に驚いた。女の子の集団に俺を突っ込むとか正気かと。材木座じゃないが死ぬぞ俺。

 

 閑話休題。

 

 軍学校で恐ろしい縦社会を嫌という程学び、体もある程度鍛えられてきた頃、なんでも元帥が年齢的に厳しいということで引退したらしい。

 その元帥の率いていた艦娘というのが問題で、まず元帥以外の言うことを聞かない。それから他の艦娘と比べるとちょっとおかしい程に強い。具体的には駆逐艦が戦艦を昼戦で屠れる程だ。

 そうなってくると軍からしたら恐ろしい。いつ艦娘の気が変わり国に反旗を翻すか気が気じゃないからな。実際あの艦隊なら数時間暴れるだけで東京は滅びそうである。やはり指揮する人間は必要だと考えた。

 

 しかし何人か提督を当てがったものの、碌な人間がいなかったらしい。何を勘違いしたのか艦娘に手を出そうとする奴だったり、艦娘の強さを利用して軍を好き放題しようとする輩だったり、果ては艦娘を使って日本を滅ぼそうと企てた奴も居たっけか。

 まぁその悉くが優秀な艦娘に事前に察知され、其れ相応の報いを受けたらしいが。さて置き。

 流石に艦娘もうんざりしてきたのか、軍に直接要望を出した。

 

『艦娘のやり方に口を出さない』

『艦娘に手を出すような人間でない』

『艦娘を他者に利用させない』

 

 この三つだ。

 それに追加で軍が、

『野心が無い』

 を加えてから、新たな提督探しが始まった。

 しかし当然ながら提督探しは難航した。

 まず艦娘の提督になるには妖精が見えることが前提であり、見える人間も扱いづらすぎる艦娘の提督にはなりたくなかったのか辞退。野心のあるものはダメというのも足を引っ張った。

 そこで白羽の矢が立ったのが俺である。

 え、なんで? と当然思ったが指名したのは3年前(指名当時からすれば2年前)、俺に給与明細を持ってきた偉いっぽい人物、というか中将だった。

 元々俺は軍に入りたかった訳ではないから野心は無く、ぼっちだから艦娘に手を出すような度胸も無く、知識も無いから艦娘が勝手に指揮することに抵抗も無い、という誂えたような人間だった。また俺の観察眼もバレており、艦娘を利用しようと近づいてくるものはすぐに見抜けるだろうということも加点になった。

 

 そこからはもうとんとん拍子である。あれやこれやと手続きが進み、孤島に送られた。

 

 もう一度言おうか。

 

 孤 島 に 送 ら れ た。

 

 しかも最前線。

 何も悪いことしてないのに酷い島流しもあったもんだ。




あっれ艦娘出てこねぇ

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