捻くれ者と強すぎる艦娘。   作:ラバラペイン

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提督とサブマリン2

「ところで提督、今日はお仕事無いの? 

 随分ゆっくりご飯食べてるけど」

 

 俺がのんびりしたペースでカレーを食べていたら58がそんな事を聞いてきた。因みに58は既にカツ丼を食べ終わっている。普通に俺と会話してたよな……? なんだその謎の技術。

 

「いや、あるぞ。飯食ったら書類仕事が待ってる。あぁ働きたくない。ずっと寝てたい。……でも安くない給料貰ってるからな、本当に働かないわけにはいかん。とはいえやっぱり働きたくないから、少しでも食べてる時間を伸ばして時間稼ぎだ」

 

 なまじ高い給料なものだからあまりサボり続けると罪悪感が半端じゃないんだよなぁ。

 

「うわぁしょっぱい抵抗……。(今日の秘書艦、確か霞ちゃんだった気がするけど忘れてるのかなぁ。でも面白そうだから黙っとくでち)」

 

「いいんだよ、なんだかんだ仕事終わらせるのが俺だから。そういうお前は今日仕事ないの? さっき聞きそびれたけど」

 

「それ自分で言うんでちか……。今日、というか今週のゴーヤは完全オフでち。あ、でも艤装の使用許可は欲しいでち」

 

「んあ、なんで? 折角オフなのに海に出るの?」

 

「暇だからオリョクルしてくるでち」

 

 カラーンッ。

 

 俺は手に持っていたスプーンを皿に落とした。

 

「オ、オフなのに仕事するってお前マジ……!?」

 

 オリョクル。正式名称オリョールクルージングと呼ばれる潜水艦御用達の物資調達任務の事である。燃費の少ない潜水艦を少数用いて、オリョール方面にある物資を少しずつ集めることを言う。当然ながら道中に深海棲艦は出るし、途中怪我することだってあり得る。聞いた話だが他所の鎮守府ではこのオリョクルを延々と回し続け、ノイローゼになりかかっている潜水艦がいる所もあると言う。そんな通常の潜水艦なら忌避するような海域に、暇だから行ってくるっておま……。いやでも、本当にただクルージングするだけかも。

 

「あ、資材はキチンと持ってくるから安心して欲しいでち!」

 

「いやそれだとガチでただの仕事じゃねぇか! 折角オフなんだぞ? 休もうぜ?」

 

「そんなこと言われても暇なんでちぃ! ここ娯楽が無さすぎでち! 何も知らない敵戦艦をステルス撃沈させるくらいしかストレス解消出来ないでち!」

 

 予想外すぎるストレス解消法だった。確かにこいつなら、というかここの艦娘なら単艦で、しかも無傷で帰還出来るからもはや暇潰しになってもおかしくは無いが……。

 

「い、一応居酒屋とかあるじゃん?」

 

「ゴーヤも少しは飲むけど隼鷹さんとかポーラさんみたいにお酒さえ有れば大丈夫ってタイプじゃないでち」

 

 そりゃそうだ……。うぅむ、そう考えると思ったより皆溜め込んでんのかな……。思わぬ闇を見てしまった気分だ。

 この鎮守府は、海域を確保した際に発見した孤島に大本営が作らせたもので、まだ築3年行くか行かないかの新築なのだ。よって施設は最小限。元帥がいた頃はちょくちょく本土に帰っていたみたいだから、そこまで不満も溜らなかったのだろう。本土なら娯楽いくらでもあるしな。

 流石に可哀想だし、58だけの問題じゃ無さそうだ、……なんとかしてやろうかね。今は諸事情あってうちの艦娘を本土に送れないし。

 

「わ、わかった。次の定期便に何か暇つぶしになりそうな娯楽品を頼んどく。ゲームとか本とか」

 

 本自体は少なく無いが、仮にも軍事施設だ、娯楽小説の様なものは殆どない。それこそラノベでも頼んどいたら案外評判良いかもな。

 

「ホントでちか!? やたー!! 提督ありがとうでち! それじゃ58はウキウキ気分でオリョクル行ってくるでち!」

 

 オリョールは行くんかい! 戦艦撃沈させるのが暇つぶしなのはガチらしい。

 

「あ、それと提督、今日の秘書艦霞ちゃんだから急いだ方がいいでちよ」

 

 すいませんそれ死刑宣告です。いや秘書艦忘れてた俺が悪いんだけどな。日替わりだからしょうがない。

 去って行く58を尻目に俺は急いでカレーをかっこんだ。




唐突ですが次話は話をぶっちぎって過去予定です。

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