第1話 ~9年ぶりの再会~
?「あ、 やっときた!」
?「おそいよ ~~~!」
?「チャオ~ クン」
?「あれ? の隣にいる子もしかしてこないだ言っていた ちゃん?」
?「ああ! ほら」
?「あ…えっと…うう…な、夏休み中しかいないけど私も に入れてくれるかな?あ、あと!友達になってくれる?」
「「「「うん!いいよ!」」」」
?「…っ!ありがとう!」
◇
ガタンゴトンと揺れる電車の中で、黒髪のようでありながら勝色と呼ばれる色をしたまだ幼げな所がのこる少女・
蒼那
「………昔の…夢……?」
そう呟き窓の外を見ながら2週間程前のことを思い出す。
丁度その日は珍しく通常の依頼も悪魔系の依頼も無く、あとわずかしかいない町をウロウロするついでに、仲魔達とアラヤ神社に行った時の事だった。
蒼那
「んーーー平和だね」
エクスシア
「何もない事が1番な気もしますね」
モコイ
「平和すぎてもなんか退屈ッス」
こう思えるのは恐らく一年半前にあったセベク・スキャンダルと数ヶ月前にあった天海市の事件が原因だろうか、解散したスプーキーズの皆は元気かな?
蒼那
「てか、毎年大きな出来事に1回は遭遇してるような?」
?「蒼那、のんびりしているところいいか?」
蒼那
「
低い声がした方を見ると、色素の薄い金髪が見え、私がまだ小さかったころ生きていた両親がアカラナ回廊で拾ってそのまま養護として向かい入れた葛葉凛空だった。
凛空
「ああ、確か蒼那は珠閒瑠市の伯父さんの家に引っ越すはずだったな?」
蒼那
「え?あ、うん」
凛空
「実は、マダムから『部屋は手配しておくから、珠閒瑠市の予言絡みで葛葉探偵事務所常時待機兼蒼那の傍についていてくれるかしら?』と…」
蒼那
「え…マダム……心配しすぎじゃn――ッ!?」
私は答えたけどいつもは『ぎ』で終わっているのに別の言い方で答えてしまったので慌てて口を閉じた。
凛空
「……口調、まだ戻り切っていないのに何を言っているんだ。もしもの時お前は『彼』を止められるのか?達哉には…知られたくないのだろう?」
蒼那
「ハイ…」
うん、やっぱ怒っているときの凛空は怖い。
で、なんだかんだ遭って現在―――
エクスシア
「そういえば、駅に着いたらどうするんですか?」
蒼那
「叔母さんが迎えに来て家に帰りながら町案内と買い物を少しするって」
[間もなく、蓮華台~蓮華台~、お出口は…]
モコイ
「ついたっすよ~」
蒼那
「降りる準備をしますか」
そう言い蒼那は足元に置いていた荷物――ほとんどは周防家に送っているため旅行バック1つ――を手に取り電車を降り、広場に出て、辺りを見回す
蒼那
「御影町もいい所だけど、珠閒瑠市もやっぱいいな」
?「あ、おーい蒼那ちゃん」
蒼那
「あっ、
声がした方を振り向けばそこには、達哉達の母・周防哉がいた。と、いうか姿が9年前から(去年会ったがそんな余裕なかった)変わっていないように見えるのは気のせい?
哉
「紅華ちゃんと正治くんの葬式以来ね」
エクスシア
「お久しぶりです」
哉
「蒼那ちゃんの仲魔は相変わらずね。凛空君も元気かしら?」
蒼那
「元気ですけど、マダムに言われて凛空もこの町に来ているので平坂区の事務所に行けば会えますよ?」
哉
「何故?」
蒼那
「…父さんたちが聞いた予言絡みが理由で、念には念を、だそうです」
嘘は言っていないでも哉さんや達哉達には『彼』の事を知られたくない…
哉
「そう…」
蒼那
「あの…達哉の傷はどうなったんですか?」
哉
「痕は残っているけど気にしてないように見えるわ、でも…」
蒼那
「哉さんこの先は歩きながら話しましょう」
―――ロータス
蒼那
「じゃあやっぱり誰も達哉に伯父さんが冤罪だってこと話してないんだ……」
哉
「ええ、でもたっちゃんは気付いてはいるのよ、ただ確かめるのが怖いだけ」
エクスシア
「ですが、逃げてばかりというのも」
哉
「ええ、本当は私達から話すべきなんだろうけど、たっちゃんが知りたがっていたら蒼那ちゃんお願いできる?」
蒼那
(コクリ)
哉
「ま、それはそうと今日の夕飯なに食べたい?」
食べたいものかー、好きだったもの……うーん…
蒼那
「…肉じゃが?」
哉
「紅華ちゃんの十八番の一つだったものね、甘さは控えめになるけど、いいかしら」
蒼那
「別にいいですけど、なぜですか?」
哉
「かっちゃんがよくお菓子作っていたの覚えている?」
蒼那
「はい、とても美味しかったですよ?」
哉
「うん、それをたっちゃんに食べさせすぎたせいで、甘い物が苦手になっちゃったのよ」
蒼那
「あー……」
哉
「じゃ、必要な物買って帰りましょう」
哉
「あ、かっちゃんとたっちゃんには蒼那ちゃんが引っ越して来ることは話してないからね」
蒼那
「えっ?」
…とりあえず、買い物から無事に(途中2、3回悪魔に付きまとわれたけど)帰ってきて現在は部屋の荷物整理をやっている。
――二階蒼那の部屋
哉
「こんなところかしら」
蒼那
「ありがとうございます」
哉
「いいのよ、……そう言えば紅華ちゃんから聞かされてはいたけど本当に、男子制服の方でエルミンに通っていたのね」
蒼那
「込みにこれが、女子制服を着た時の私です」
携帯に写ったその制服を着た時の私を見せた
哉
「……………」
蒼那
「……………」
哉
「何というか……似合わない、の一言につきるわ」
蒼那
「ですよねー」
そう、何故か私は女子制服だけは驚くほど似合わない、その為中学生の頃からずっっっと男子制服で通っている。勿論、克哉の母校であり、達哉が通っている、転入先の七姉妹学園も例外ではない。まあサマナーである以上男子制服は楽でいいのだが。…本当に楽なんだもん…動きやすいんだもん…グスッ
哉
「あら?
蒼那
「ああ、それですか、前錠平が着ていた『弓月の君』の制服で、週2、3回夜に町を見回る時に着てます」
哉
「見回りって…こっちでもやるの?」
蒼那
「はい、なんか癖にになっちゃて。流石にテストの時なんかはしないですけど」
哉
「無理はしないようにね。」
蒼那
「気をつけます」
哉
「じゃあ、私は下にいるからね、何かあったら呼びなさい」
蒼那
「はい」
そう言い哉さんは一階に降りていく。とりあえず少し疲れたのでベットに横になろうとしたら
「サマナー/蒼那」
蒼那
「ああ、ごめんね。君たちも手伝ってたね」
すっかり忘れていた。込みにここにいるのは、ルナ、クー・フーリン、エクスシア、スカアハの4体で残りの4体のケルベロス、エターナル、ヨシツネ、モコイは近場を散歩して来ると言っていたのでそろそろ戻って来るはずなんだが…
蒼那
(そういえば、こっち来る前にあっちで手に入れたアイテムは、他のサマナーにあげたり、売り飛ばしちゃったんだよね…)
クー・フーリン
「ライドウ大丈夫か?」
蒼那
「大丈夫だよ少し体がだるいけど」
スカアハ
「無茶はだめだよ、万が一MAGが枯渇して困るのは、私達もそうだけど一番やばいのはライドウちゃんなんだからね」
エクスシア
「そうですよ、主は他のサマナーと違うところがあるんですから、無理しないでください」
蒼那
「うん、分かってる」
モコイ
「あ、終わってる」
蒼那
(そういえば、ロータスで買ったお饅頭があったはず)
ルナ
「お疲れ、エターナル」
エターナル
「ん……ああ、そうだヨシツネお前は後で説教だ」
ヨシツネ
「なんでだ!」
エターナル
「蒼那の頼みごとを無視して、木の上で寝ていたのは誰だったか?」
ケルベロス
「ン、サマナーソレ饅頭カ?」
蒼那
「ちゃんと皆の分あるから。エクスシア皆に回してくれる?」
エクスシア
「分かりました」
そう言い私は自分の分だけ取ってからエクスシアに渡した。ちびちび食べながら達哉が早く帰ってこないかなという思いと、もう一つの心配事を考えていた。
蒼那
(ここにいる
…
………
……………
………………
……あの時はごめんね…皆…)
達哉視点
数時間後、道には一台のバイクが走っていた、それに乗っている周防達哉は慣れた手付きで家まで走っていき、着いたらガレージにバイクを入れ、玄関に向かった。
達哉
「…誰か来てるのか?」
哉
「あら、たっちゃん帰ってきたのね」
達哉
「母さん?」
夕飯の準備をしていたのかエプロン姿だった。キッチンからは肉じゃがの匂いがする。と同時に二階から誰かが降りてくるような音がした。
達哉
(誰だ?父さんと兄さんが帰ってくるのには時間があるし何より母さんはここにいる…し?)
哉
(ニコニコ)
達哉
(ああ…とりあえず確かめよう)
後ろを振り向いた時にはもう音の主はそこにいた……
蒼那
「達……哉…?」
達哉
「!?…蒼…那?…ッ蒼那!」
蒼那
「ふぁ!?」
俺は気が付いたら蒼那に抱き着いていて、俺たちの間に紅色と蒼色、二つのペンダントが当たって音を鳴らした。
哉
「夕飯ができたら呼んであげるから、1度着替えてきなさい」
~数分後~
達哉の部屋―――
蒼那
「達哉?入るよ?」
達哉
「あ、ああ」
ガチャ…
蒼那
「9年ぶりだね、達哉っ」
達哉
「…ああ(飛びついてきた…)」
蒼那
「達哉の体暖かい…」
それから、蒼那と話していたら1時間は経っていて、珍しく父さんと帰ってきた兄さん――蒼那がいたことに驚いてフリーズしていた、父さんは普通にしていたから知っていたのだろう――と蒼那のことで夕食を食べながら話を聞いていた。
蒼那
「元々は私の両親が亡くなった時に伯父さんから『家に来ないか』って誘われていたんだけど」
哉
「せめて高1の終わりまでエルミンに居たいという事でこの時期になったのよ」
確かにその時は、父さんと母さんだけで兄さんに俺の事頼んで何処かに行っていた記憶がある。
達哉
(……蒼那にだけは話しておこうか…あの時の頭に響いたあの声と力の事、いついえるかはわからないけど)
克哉
「達哉?どうした」
達哉
「いや…ごちそうさま」
食べ終えた食器をシンクに置いて二階に上がろうとしたら
蒼那
「あ…達哉…」
達哉
「なんだ?」
蒼那
「セブンスの職員室…分からないから、明日案内してほしいんだけど…」
達哉
「わかった」
内心そんなことかと思った。最初から教えるつもりだったけど。
達哉
「…克哉や父さんと少しでも話したの久しぶりだったな」
そんなことも思いつつ明日の準備をするために自分の部屋に入る。……明日は歩きだな。
克哉視点
達哉が二階に上がった後、蒼那はうれしそうな顔で母さんと食器洗いをしていた。表情を見る限り達哉と一緒に学校に行く約束でもしたんだろう。一方で僕は、父さんから話があると言う事で、ソファーがある所で向かい合っていた。
克哉
「…それで父さん話って……」
正一
「克哉、これから問う事はお前にとって可笑しく思えるだろうが、受け入れてくれ」
克哉
「……?」
正一
「まずお前はペルソナ様遊びをしたことがあるか?」
克哉
「蒼那が来た時に1度だけしたことがある…」
でもどうして父さんがそんなこと気にするんだろうか、単なる子供の遊びにしか過ぎないのに何かあるというのか?
正一
「最後だ。この先…いや、近い未来達哉と蒼那にどんなことがあってもお前は二人を信じ、味方であることができるか?」
克哉
(!?…どうしてそんなことを?蒼那と達哉に何かあるというのか?…でも父さんはふざけてこうゆう事は決して言わない、それに目が真剣だ。……僕の…答えは…)
正一
「済まない、変な事を聞いたな、答えが出ないというのなら少し「信じるよ」…そうか」
克哉
「信じるし、それに…何かあるのなら力になりたい」
正一
「その答えが聞けて安心した。…もしもの時は私と哉に相談しなさい」
克哉
「(コク)でも、どうして僕にそんな事……」
正一
「まだ詳しく話すわけにはいかんが……そうだな、元刑事としての勘と高校時代の体験からだな」
その後、蒼那と少し話をした後部屋に戻った。