朝―――
蒼那視点
チュンチュン
遠くから鳥の鳴き声が聞こえる朝……
蒼那
「ん……まぶ…し……?」
(体が動かない…金縛り?)
蒼那
「……………………如何しろと?」
達哉
「……スゥ」
達哉が隣で寝ていた。9年前来た時は互いに抱き締めあいながら寝ていたっけ―――現在進行形で今もお互い抱きしめているが―――ってそうじゃない!!!
蒼那
「起きて…起きてよ達哉、朝だよ」
達哉
「うう…ん………おはよ」
蒼那
「おはよう…どうしてここにいるの?」
達哉
「昨日…寝る前にここに来たら蒼那がうなされている上に泣いてたから」
蒼那
「え…」
うなされていたって…そこまでひどい夢を見てたんだ。…そういえば、最近になってからいきなり夢のぼやけが薄くなっている気がする……やめやめ、考えても解決するわけでもないし。
達哉
「暫く、頭撫でてて落ち着いたから部屋に戻ろうとしたけど…俺の手掴んでて、離しそうにしなかったからそのまま」
蒼那
「その…ごめん」
達哉
「別にいい…着替えてくる」
蒼那
「わかった」
達哉が部屋から出ていきドアがパタンと閉まる。……取り敢えず制服に着替えてから、荷物の準備をして一階に降りるとすでに伯父さん達がいた。
哉
「おはよう蒼那ちゃん、よく眠れた?」
蒼那
「はい。よく眠れました」
克哉
「……………蒼那?」
うん、知ってた
蒼那
「これを見れば判るよ」
そう言い私は昨日哉さんに見せたのと同じ写真を二人に見せた。
克哉&達哉
「「…………」」
達哉と克哉は写真の私と男子制服を着た私を交互に見ていた。
達哉
「まだ、男子制服を着ている方が違和感ない」
克哉
「ああ同感だ…しかし小さい時もだったがこう見ると双子としても違和感がないな」
蒼那&達哉
「「……」」
克哉
「な、なんだ?」
蒼那&達哉
「「べつに?」」
正一
「早く朝食を食べて学校に行きなさい」
そう言われ、哉さんが用意していた朝食を食べて必要な物を確認した後、2つ封魔管をブレザーの内ポケットに入れ、頭のピンと制服の内側にあるペンダントを確かめる。
達哉
「いくぞ」
蒼那
「うん、今行く」
その言葉で私は家を出た、今日は道順を覚えるために歩いて行くことになった。
蒼那
「ごめん、達哉」
達哉
「何が?」
蒼那
「いつもはバイクで学校に行くって哉さんに聞いて」
達哉
「別にいい、それに雨の日とかは歩いているし」
蒼那
「…そっか」
―――ねえねえしってる?2年前位に流行ったエルミンの噂
―――あーもしかして男子制服を着た女の子のこと?
―――そうそう、それで普段は大人しそうに見えて実は凄い仲間思いなんだって、もしその人に何かあったら普段の大人しそうな表情もなくなるんだとか
蒼那
「やっぱ、エルミンの噂此処まで広がっていたんだね」
達哉
「そっちではどうだったんだ?」
蒼那
「うーん基本外の噂回ってこないからあんまり…」
そうやっていろんなことを話していたら七姉妹学園の校門まで来た。
達哉
「こっちだ」
蒼那
「あ、うん」
――七姉妹学園二階廊下
達哉
「此処をまっすぐ行けば職員室だから……同じクラスになれるといいな…」
蒼那
「ん?なんか言った?まあ、ありがと達哉」
そう言い達哉は教室の方へ歩いて行き、私は職員室に足を進めた。
コンコン
蒼那
「失礼します。聖エルミン学園から転校してきました周防s「蒼那じゃないか!!」さ、冴子先生!?――むぐー!!??」
イデアル先生
「知っている方ですか?冴子先生」
――冴子先生!苦しい!苦しい!
冴子先生
「前、エルミンに勤めていた時の教え子の一人だったんだ。エルミンから別の学校に転入するとは聞いていたけどまさかセブンスに転入するとはね」
冴子…せん…せ…………………………………
イデアル先生
「そうでしたか…所で、そろそろ放してやらないと窒息するのでは……」
冴子先生
「あ、蒼那大丈夫だったかい?」
蒼那
「父さん、母さんに先代方?小川の向こうで何をし…」
冴子先生
「おーい、戻ってこーい」ゆさゆさ、ガクガク
蒼那
「…三途の川…久々に見た……」
冴子先生
「取り敢えず、HRがもうすぐだから教室に行こうか」
蒼那
「はい」
イデアル先生
「……三途の川?…久々???」
達哉視点
同時刻――
蒼那と別れた達哉は、自分のクラス2-Bの自分の席(窓側)で鞄から教科書や筆箱を出していた。
――そういや、今日転校生来るんだろ!?
――エルミンからなんだっけ?
――どんな子なのかな~
――エルミンと言えば新しく入ってきた冴子先生もそこのOG兼教師なんだって
――おまけに、ここのクラスの担任!
達哉
(そういえば、後ろの席…本当にこのクラスになるといいな……)
ガラガラ
冴子先生
「ほらほら、席に着くよー」
その声を聴いて立っていた生徒が座っていった
冴子先生
「さて、今日から2-Bの担任になった高見冴子だよ、じゃ授業を始めるよ…っとその前に、今日からここの生徒になる転校生を紹介するよ」
蒼那
「聖エルミン学園から転校してきました周防蒼那です。蒼は蒼穹の蒼、那は刹那の那と読みます。家の事情で、今学年からこちらに通うことになりました。これからよろしくお願いします」
達哉
(…………)
放課後――屋上
蒼那
「質問攻め初めてだったから…疲れた…」
達哉
「その、済まなかったフォロー出来なくて」
蒼那
「大丈夫だよ…、入学したての頃は誰も寄せ付けなく、仲の良かった、先輩たちに対してもそっけない態度をとっていた頃の罰だと思えば、なんてことないし…」
(え…今の俺と似ている?というか…)
達哉
「向こうで一年何があった…?」
蒼那
「ゴメン、今は…言えない」
達哉
「そ、そうか」
(今度母さんに聞いてみるか?父さんと兄さん?…論外)
そう思い悩んでいたら
キーンコーン……カーンコーン……
達哉
「…そうだ蒼那、部活はどうするんだ?ここ、強制じゃないから俺はアルバイトとかにつぎ込んでるけど」
蒼那
「帰宅部?……強制じゃないなら私は入らないかな。平坂区にある葛葉探偵事務所でやりたいことがあるし」
達哉
「平坂区の…探偵事務所…ああ、あそこか」
蒼那
「知ってるの?」
達哉
「最近所長の雰囲気が変わったとか、デビルサマナーがいるとかなん…と…か……」
蒼那
「達哉?」
達哉
「…………蒼那、そのうちでいいんだ……俺の話を聞いてくれないか?」
『彼』視点
はっきり言ったらいいのになァ片割れ。……達哉は自分の父親の事を知ろうとしている、あの日達哉を傷つけ、蒼那の夢の記憶に出てくる『あの人』に消えない傷を残し、片割れの両親を殺したヤツは俺が直々に殺してやる。
しかし…小さいときから一応見てきたが凛空は…いや…そもそもあの太刀筋にしても、片割れが剣だけだったら絶対に勝てないっていう点でも『アイツ』に共通する…よな…?それとも…わざとそうしているのか?なあ…『凛空』?それに片割れの記憶も少しずつ霧が晴れてきていやがるし、早くても来年にはすべて思い出しちまう……俺の…事も。
鐘の音は放送です