アサシン的な提督が殺伐とした鎮守府を生き抜くようです 作:単塩5人前
それでは、ご覧下さい
「着きましたよ」
女性はそう言うと、まるで宮殿のような建物に車を停めた。
そして続けざまにこう言った。
「さっきも申しましたが、貴方生きて帰れないと思いますよ?」
「いえ、それはもう覚悟してますので」
「そうですか。それでは、執務室までのルートが書いてある紙です。それでは、私はこれで失礼します」
「はい、ありがとうございます」
僕がそう言うと車は走り出した。しかし、命が狙われているとはどういうことなのか。何気なくそう思いながら、敷地内に入った。すると何か嫌な予感がした。僕が急いで後方に下がると
ヒュンと何かが風を切った。
「なんだ!?」
ふと横を見るとたまたまそこにいた鳩が頭から血を流して倒れているではないか。近くには硝煙の匂いがする。
「やばい、完全に狙われているな」
僕は全速力で走った。入り口ではなく脇の道へと。暫く走っていると、うずくまっている女性を見つけた。女性は何か苦しそうにしていた。髪型はポニーテールで色は黒だった。自分好みの女性だったので、僕は命を狙われているのにも関わらずに声をかけた。
「あのー、大丈夫ですか?」
僕が手を伸ばそうとすると、
「触るな!撃つぞ!」
その女性は腰から銃を引き抜いた。
「お前も、あいつのように私の妹に酷い事をするのだろう!?」
「ちょっと待って下さいよ、どういうことですか?」
「とぼけるな!どうせ男なんて皆ケダモノばかりなのだろう!?だから被害を抑えるために、私が…」
そう言うと何故か女性は倒れてしまった。
「腹が減った…」
どうやら空腹で倒れてしまったようだ。鞄を漁ると面接前に買ったおにぎり(シーチキン)があった。
「食べます?」
「すまない、いただこう」
その女性はなんのためらいもなく、おにぎりにパクついた。
嬉しそうな顔をしてるのを見て、僕はホッとした。
「さっきは変なこと言ってすまなかったな。私は那智。お前は提督か?」
「はい、今日着任した提督です!棚田裕二と申します!」
「そうか、裕二と呼んでもいいか?」
「はい、お好きな呼び方でどうぞ」
「ふっ、ははははははは!裕二、お前の気に入ったぞ!これから宜しくな!」
「はい、宜しくお願いします!」
あれ?この子はいい子だな。みんな俺のあの狙ってるとか言ってたけど。
「裕二、執務室までの道は分かるか?」
「分かりますけど、何か?」
「ならいいんだ。くれぐれも気を付けろよ。じゃあ私はこれで失礼する」
そう言うと那智はこの場を立ち去った。この後執務室へ向かった。しかしここで悲劇は起きたのである。
「那智さんいい人だったな〜多分唯一の癒しだろ」
そんな事を思いながら執務室へと向かっていた。あの時気づくべきだったんだ。後ろから迫り来る気配を。
「提督〜後ろがガラ空きですよ〜」
「何!?ってぐぁ!?」
僕は前方に素早く移動したが、それより早く薙刀的なものが自分左肩を切り落とした。血がとめどなく出ている。
「え?え?僕の左肩が?」
「あともう少しで真っ二つに出来たのに〜惜しかったですね〜でも次は外しませんよ〜」
対峙すると切り落とした犯人は、頭の上にUFOのようなものを乗せていた少女だった。僕は悟った。このままじゃ殺される。かといって逃げたら追いつかれる。
「ごめんなさい!」
僕はその少女のみぞおちに拳を入れた。その少女は膝から崩れ落ちて苦しそうにしている。今の内に逃げなければ。僕はひたすら足を動かして鎮守府の外に出た。
「そういやこの近くに、先輩が経営している義手屋があるみたいだからそこ行こう。逃げ切れるかな」
僕は苦しさに顔をしかめながらも、義手屋に向かった。