アサシン的な提督が殺伐とした鎮守府を生き抜くようです 作:単塩5人前
「はぁ、はぁ、なんとか撒いたか」
少し走った所に倉庫らしき建物があったのでそこに身を隠すことにした。しかし一体なんだと言うのだ。那智やさっきの女性は自分に並々ならぬ殺気を醸し出していた。前の提督はどうしたのか。提督というものは早々解雇されないような役職なのに。
「これからどうしよ。なんとか血は止まったけど、腕置いて来ちゃったしなー。 接合は無理か」
「私がやってあげましょうか?新入りの提督」
僕が振り向くとそこにいたのはピンク色の髪の女性だった。頭にはハチマキらしきものが巻かれており、レンチを手に持っていた。
「出来るんですか?」
「はい。それくらいなら大丈夫ですよ。取り敢えず付いて来てください」
女性は踵を返し、僕が身を隠していた倉庫に入っていった。
倉庫の中に入ると、造船所のような設備が用意されていた。近くには小人みたいな生物がせっせと働いていた。
「ここに座ってください。座ったら切れてる方の腕見せてください。」
「は、はい」
女性にそう促され椅子に座り切断された腕を見せた。
「あーこれすっぱりやられちゃってますね。誰にやられたんですかー?」
「名前は知らないんですけど、頭の上になんかUFOみたいなものを浮かべてる女性にやられました」
「UFO?あぁ龍田さんか。あの人優しそうに見えて気性荒いんですよね」
「あ、あの!この前の提督って艦娘たちに何かしたんですか?」
「私も詳しいことはよくわかりません。だってここに来たの最近ですから。おっとそんなこと言ってる間に接合出来ましたよ」
少し話してる間に腕は接合出来ていた。勿論義手だが中々使い心地が良さそうだ。
「右も義手なんですね。何かあったんですか?」
「まぁ事故で」
敢えて深海棲艦のことについては言わなかった。言ったところで軽く流されて終わりだろう。暫く義手を付けてくれた女性と談笑し、本来の予定である着任式までの時間を過ごした。
「そうだ、名前を教えていませんでしたね。僕の名前は棚田裕二と申します」
「私は明石と言います。艦を建造したかったり、装備を作りたかったらしたら私のところに来て下さい」
「ありがとうございます。それではまた」
予定の時間まであと5分ちょっとしかない。走ることにしよう。言う言葉は大体決まっている。この殺伐とした鎮守府を生き延びる為に僕がどうしたらいいのか。それも分かっている。
そんな考えを持ちながら、僕は皆が集まる講堂に急いだ。
講堂には沢山の艦娘が集まっていた。僕が朝礼台みたいなところに立つと、ざわめいていたのが一斉に静まり返った。そして殺意がこもった視線を浴びせられた。
「今日からここの鎮守府の提督になりました棚田裕二と申す者です。いきなりですが、今日から1週間出撃や鍛錬などを禁止します。勿論遠征もです。充分に羽を伸ばして下さい。なお、この期間中に鍛錬などをした方はそれなりの罰則があるのでご了承下さい。あと自分を殺したいと言う方は、いつでも襲って来ても構いません。制限時間は3分です。その際名前、艦種を教えて下さい。以上です」
朝礼台みたいなところから降りると早速砲撃が飛んできた。咄嗟にしゃがんだお陰で避けることができたが、当たったら上半身が軽く消し飛ぶくらいの威力だったと思う。
「早速ですか。安心してください。僕は無抵抗ですから」
「私の名は長門。艦種は戦艦だ」
「長門さんこれから宜しくですよ」
「これからではない。今ここでお前は死ぬのだ」
「さて、それはどうでしょうか?一応こう見えて暗殺術やってたんで簡単には倒されませんよ」
「抵抗はしないんじゃないのか?」
「ええ、武力での抵抗は致しません。ですから逃げたり避けたりして抵抗するんですよ。三十六計逃げるに如かず!」
僕は全速力で背を向け鎮守府入口方面へ逃げた。取り敢えず執務室へ行き荷物整理をすることにしよう。
ゴールデンウィーク中に投稿するつもりです。