紅白の二人は魔法使い   作:ヴァニフィア

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初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。一話目は少なめです。


横丁の問題児

「…なんでまたこんなことになった…」

 

一人の紅い髪の少女が箒を持って、どことなく古めかしい建物が立ち並ぶ通りを気だるそうに走っていた。とはいえ、走る速さは早く、後ろからは数人の男が追いかけてきているが、追いつかれることはないだろう。

 

「待ちなさい!」

「追いかけられている時に待てと言われて誰が待つか。捕まえてから言え。」

「それならまずは一度止めるとしよう。」

「え?ぶっ⁉︎」

 

前を見ていなかった少女は目の前まできていた男に気がつかず、そのまま突っ込んでしまう。

 

「あ…」

 

はじめは逃げようとしていた少女だったが、ぶつかった人の顔を覗き見ると、観念したように大人しくなった。

 

「帰ろうか、アミリア。アリシアが心配してるよ。」

「…はい。」

「君たちも、毎度のことながら本当にすまないな。」

「いや、自分たちも暇ですからいいですよ。最近は平和ですから、子供のイタズラぐらいはね。まあ、少し頻度があれですけど…」

「そう言ってくれると助かる。…注意はしておくよ。さ、アミリア。行こうか。」

 

 

追いかけられていたアミリア・フラムという少女は魔法使いの娘だ。彼女の両親は魔法使いの社会の中ではそこそこの地位にいる、いわゆるお嬢様と言えなくもない家庭だがその性格はそれらしくはなかった。

 

「箒を持ってるってことは横丁の空を飛んだのか?」

「…はい。」

「やれやれ…魔法界の外側で飛ぶのよりはマシだが、ダイアゴン横丁は壁一枚越えればマグルの人たちが住んでるようなところだ。」

「それはわかってる…けど父上…」

「いや、アミリアが箒に乗りたいのはわかるし、アリシアも箒に乗るのは反対してない。でなければ、箒を持ち出すのもできないしな。まあ、箒のことは気をつけてればいいんだ。ただなぁ…」

 

帰るために車の運転をしていたアミリアの父、ダールトは、信号待ちになったタイミングで軽く頭を抱えながら言う。

 

「考えた魔法を使うために魔法省に忍び込んで私の杖を取って行って、広い場所で魔法を使うためにダイアゴン横丁の空まで行くのはそろそろやめてほしいんだが…」

「嫌です。」

「そう言うと思った…まあ、魔法を使った後は逃げるのに箒を使わないだけいいけどな…ただ杖がないと私も仕事が…」

「もう終業時間だったから借りただけです。」

 

自分のやりたいことはなんであれやろうとする、そんなワガママな娘に育ってしまっていた。ある意味ではお嬢様らしいが、いい方向での模範的なお嬢様ではないことは確かだ。

 

「何故私がやりたい事を皆して止めにかかるのか…」

「そろそろホグワーツに入学する時期だからわかってほしいけどな…私は。」

「父上、私は規則は破りませんよ。」

「確かにアミリアは基本的にルールには忠実だが…文句を言えないような抜け道をいつも見つけるから余計にタチが悪い…」

「褒めても何も出…」

「褒めてないよ、アミリア。」

「わかってます。」

「…とりあえず着いたから先に降りてくれ。私は車庫に車を入れてくる。」

 

そう言われ、アミリアは箒を持って車から降りた。アミリアが住む家は魔法界の関係者にしては珍しく、マグルと呼ばれる魔法を知らない人間たちが普通に暮らす住宅街にある。なので基本的には食べ物を買いに行くなら近くのスーパーに車でいったり、父のダールトもまた職場近くやダイアゴン横丁への入り口のところまでは電車だったり車で行ったりと、一見普通のマグルと同じような生活をしている。

 

アミリアがドアを開けると、少し難しい顔をしているアミリアの母親がいた。

 

「ただいま、母上。」

「アミリア、私が何を言いたいか分かるわね?」

「調子は良かった…と思う。」

 

その答えに、アミリアの母のアリシアはアミリアの肩に手を乗せた。

 

「ホント?それならよかったわ。ここ最近忙しくて箒の手入れをなかなかできなかったから心配してたの。」

 

昔はよく怒りはしたが、最近は彼女がアミリアを怒ることはほとんどない。と言うのも、好き勝手してはいるがこれでもマシになっているし、最近の生き生きしているアミリアを怒る気にはどうしてもならないからだ。

 

「ただいま、アリシア。」

「あ、お帰りなさい、ダールト。今日も大変だったみたいね。」

「ああ、また同僚にアミリアの教育はどうなってるんだ、とか呆れ気味に言われたよ…まあ、もう帰る時間だったから問題はないんだが…私としては、アミリアにいつも侵入されてるんだし魔法省に中のセキュリティをなんとかしてくれないかと思うんだが…まあ、もう顔パスみたいなものか…」

 

ダールトがそんな風に一人つぶやいていると、家のベルが鳴った。

 

「はーい、今出ますよ。」

 

そうしてアリシアがドアを開けると、そこには白い髪をした少女がいた。アミリアよりは少し背が低いくらいだろうか。

 

「あ、いた!」

 

そんな少女はアミリアの姿を見ると、自宅であるかのように靴を脱いで家の中に入ってきた。

 

「あら、ラウラちゃんじゃない。」

「あ、お邪魔しますアリシアさん。アミリア、またダールトさんの仕事場に行ってたでしょー。」

「あー…うん、まあ…」

「やっぱり…ダールトさんとかに迷惑かけちゃダメだってば。」

「…わかった、わかったよ。そんな目で見るな。…しばらくは自重するさ。」

「自重っていうかもうやめなよ…あ、それに、今日は遊ぶ約束してたでしょ!時間過ぎてるのにアリシアさんに聞いたら出かけたって…」

「忘れていたわけじゃないさ。ただ私がやりたいことを優先しただけだ。」

「それ余計タチ悪いよっ!」

 

アミリアにそんなことを言うのはラウラ・ブライトフォードという少女だ。アミリアにとっては幼馴染みで親友だが、昔に色々なことがあってラウラにだけはアミリアは頭があまり上がらない。それでも割と好き勝手はするが。

 

「あー…すまなかったよ。明日は遊ぶから…」

「明日はダイアゴン横丁に教科書とか買いに行く日でしょ。」

「ん?ああ、そう言えばそうか。すまない、忘れていた。ダイアゴン横丁には普段から行ってるから特別感がなくてな…」

「そんなことだと思ったよ…明日はちゃんと家にいてよ?」

「ああ、さすがに出かけることはないよ。」

「約束だからね?じゃあお邪魔しました。あ、アリシアさん、次の土日に暇だったら店を手伝ってくれってお父さん言ってたよ?」

「あら、ランディが?えーっと…確か大丈夫だったと思うわ。そう伝えといてくれる?」

「わかった!じゃあ今度こそお邪魔しましたー!」

 

そう言ってラウラは家から出て行った。

 

「ラウラ、別にお邪魔しますとか言わなくてもいいのに…」

「まあ、ラウラはそういう子だ。」

「いや、でも…」

 

『ただいまー!』

 

「家が隣で昔からの付き合いなんだし遠慮とか…」

「…まあ、いらないとは思うが…」




日常パートではせっかくのオリキャラなので会話文を多めにしたいです。
作者の心はガラスでできてますが感想とか待ってます。
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