紅白の二人は魔法使い   作:ヴァニフィア

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真夜中の探検

豪勢だった夕食の時間が終わって食器は魔法によって綺麗に片付けられていた。机の上はこぼれた料理などの汚れも一切ない。さて、毎年ここでダンブルドアから管理人のフィルチからの特定の生徒たち(特にラウラの隣に座っている双子)への苦情や最低限守らねば危険なこと、特に森に入ってはいけないという注意が入るらしいと双子は言うのだが、今年はそれだけではなかった。

 

「それと、最後に…とても痛い死に方をしたくない方は今年いっぱい、四階右側の廊下に入ってはいけません。」

 

その注意に少しだけ場がざわざわとする。

 

「ダンブルドアが立ち入り禁止の理由言わないのって珍しいよな?」

「ああ、確かに。ところで兄弟、フィルチが言ってっていう生徒たちって誰のことだろうな?」

「さぁ?」

 

隣の双子もダンブルドアの言うことにほんの少しだが驚いているようだ。だがラウラはそんなことより、隣のアミリアが何か考え事をしていることになんとなく不安を感じた。

 

 

夕食と注意などがそうして終わり、それぞれの寮の監督生が先導して寮へと案内した。規則や寮の説明も終わり、アミリアとラウラも割り当てられた自分たちの部屋に向かった。そこに入ると、自分たちの荷物と二つのベッドが置いていた。

 

「…あれ?二人部屋?」

「基本四人部屋と言っていたが…人数があふれたか?」

「そういうことなのかな。スペース余ってるけど使ってもいいと思う?」

「まあ好きにしてもいいんじゃないか?他の部屋からの移動とかはいきなりはないだろうし、そもそもダメならダメで書き置きでも置いてるだろう。」

「じゃあいっか。」

「よし、とりあえず今日はもう寝よう。明日も早いだろ?」

「…アミリア、私を早く寝させて学校の探検しようとか考えてない?」

 

その言葉に、若干アミリアが固まった。そして観念したかのように話し始める。

 

「…まあ、正直に言うと確かに抜け出そうと考えていたが…」

「やっぱり…」

「仕方ないじゃないか。森とか四階右側の廊下とか気になる言葉があったし…」

「わざわざ危険なところに行こうとしないでよ⁉︎」

「気になるのは仕方な…」

「………」

「…わかったよ…ラウラを無理やり寝かせてまで行こうとは思わないし仕方ないな…」

「無理やりって…私は何されるとこだったの…?」

「さあ?その時にならないとなんとも…まあ手段を選ばなければ人を気絶させるぐらいならそこまで難しいことじゃないぞ?例えば…」

「いや、いいよ言わなくて…なんか怖いから…」

「そうか?じゃあ、私は少し用を足してから寝るから。先に寝といてくれ。」

「…アミリアまだ抜け出すの諦めてなさそうだもんなぁ…」

「…そんなに信用ないのか?」

「だってさー、アミリアが何かに興味が出た時っていっつもこうやって抜け出そうとしたり夜更かししたりするでしょ?そういう時次の日起きてくれないんだもん…起こすの大変だからやなんだよ…」

「…ん?私が危険なところに行くのが心配なわけじゃないのか。」

「…それはアミリアだし心配するだけ…ねぇ?」

「ねぇ?と言われてもな…それは信頼されてるのか?呆れられてるのか?」

「両方かな…」

 

それからラウラは、しばらく考えるような仕草を取る。

 

「…はぁ…仕方ないかなぁ…私もついて行くよ。」

「いいのか?見つかったら怒られるぞ?寮の得点も減点されるし。」

「そう思うなら抜け出さないでって言いたいんだけど…まあ、アミリア一人で行かせるよりは安心できるからね。心配はしてなくても危ないところには入って欲しくないし…」

「そういうことか…まあ、そこはとりあえず諦めるてるよ。」

 

……………

 

そうしてラウラはアミリアにつきそうような形で二人で夜の学校を歩くことにした。

 

「…でもアミリア、いくら何でも気がつかれずに外に出るのってどうするの?見回りの人ぐらいいるでしょ?」

「まあ、魔法で姿を誤魔化せばいいだろ。」

 

アミリアが杖を出してラウラに向けた。そして杖を一振りするとラウラの姿が少しずつ消えていった。

 

「…ん?なんか冷やっとしたんだけど、何したの?」

「姿くらましというやつだ。ほら、鏡に映ってないだろ?」

「あ、本当だ。でもこれ互いの位置わからないんじゃないの?」

「手をつなげばいいだろ?」

「ああ、なるほどね。」

 

ラウラはアミリアの手を繋いだ。

 

「じゃあ自分にも…と。よし、行くか。声や足音とかは消せないから気をつけてくれ。」

「わかった。…つきあうけど日が変わる前には帰るからね?」

「ああ、一応それぐらいと思ってるから大丈夫だ。」

 

談話室にはまだちらほら人がいたが、二人は一応気づかれないように通り、コソコソと寮の出入り口である太った婦人の絵を通り抜けた。絵の中の婦人は誰も出入りしていないはずなのにどうして開いたのか疑問に思ったようだが、特に誰かに知らせるようなこともしなかった。とりあえずは寮から抜け出せた二人は小声で話し合う。

 

「アミリア、抜け出せたけどこれからどうするの?」

「とりあえずラウラもいるし今日はこの階だけ色々探してみようか。母上たちから聞いた話によると抜け道とかが色々あるらしいからな。」

「そうなの?」

「ああ、そうらしい。抜け道とか隠し通路とかってテンション上がらないか?」

「う〜ん…まあわからなくもないけど…」

「な、だから私たちで全部見つけ出してやろうじゃないか!」

「…まあ、楽しそうかな…そうだね、やってみよう!」

 

変なところで意気投合した二人は、狭いとはいえ割と楽しみながら8階の色々なところを見て回った。何回か見回っている監督生に見つかりかけたがアミリアが上手くフォローして誤魔化した。

 

……………

 

「アミリア、あの壁変じゃない?」

「ん…ラウラ、よく見つけたな。多分だがここの仕掛けは…」

 

何もなかったところに突然現れる通路やいつの間にやら移動する扉に四苦八苦しながら一時間と少しほどたったころ、なんとなく壁に違和感を感じたラウラがアミリアの手を引いた。アミリアがそこをよく見るとほんの少しだけレンガが浮いているところとへこんでいるところがあった。そこの周りをアミリアが杖で軽く叩くと、その下あたりが音なくスライドして空間が空いた。

 

「これって…」

「ダイアゴン横丁の漏れ鍋からの入り口と同じだな。あれより音がしないからこっちの方が最近作られたのかもしれない。さて、これはどこに繋がってるか…行こう、ラウラ。」

 

アミリアを前にしてその穴にしゃがみ込んで入っていった。ラウラも入ると、壁は閉じた。

 

「うわ、これ真っ暗で何も見えないよ…懐中電灯とかない?」

「確かにこれでは見えない…仕方ないか。曲がり角の向こうとかが光の漏れない壁であることを祈るか…ルーモス。わかりにくいから姿は見えるようにしておくか。頭突きされるのは勘弁だしな。…よし、行くぞ。」

 

頭をぶつけないようにしながら埃だらけの小さな道を四つん這いで進んでいく。

 

「そういえばルーモスなんて魔法もあったっけ。」

「ルーモスは初歩というか、魔法使いにとっては生活に必須なレベルだぞ?前に覚えた方がいいって言ったじゃないか。」

「そうだっけ?まあ、これから習うんだしいいじゃない。」

「まったく…ん?ラウラ、少し静かに…行き止まりか?…いや、ここもさっきと同じ要領で開くな。」

「出てみる?」

「ああ。ここまで来て戻る選択肢も無いからな。とりあえずもう一度姿くらましを…ここからはまた静かにな。」

 

二人とも透明になったのを確認してからアミリアは壁を調べ始めた。すると、一箇所だけ押せるようになっており、それを押すとさっきと同じように開いて外が見えた。

 

「…ん?ベッドか…?」

「ベッド?」

「ああ、どこかの部屋の ベッドの下に出たみたいだ。とりあえず出てみ…」

「…?どしたのアミリア?」

「…小声の必要が無くなったな。ここは私たちの部屋だ…」

「え?………あ、ホントだ。」

 

アミリアは少し残念そうな顔をしながらベッドの下から出て来た。ラウラもそれに続く。

 

「隠された部屋か何かとでも思っていたんだが…拍子抜けだな…」

「まあまあ。気づかれないで帰ってこれたんだしいいじゃん。」

「まあ、いきなり寮のみんなに迷惑をかけることにはならないが…しかし、この抜け道は誰が作ったんだ?」

「そりゃ、このお城を作った人じゃないの?」

「いや…そこまで昔じゃないな。他のと見分けがつかないように魔法でカモフラージュはされていたが、入り口の所に使われている石が新しかったように見えた。百年は経ってない…長くて数十年、短ければ十数年ほどか…」

「じゃあ先生とか?」

「それもないな。こんなセキュリティもあったもんじゃない構造を作るのは反対するだろう。そもそもこんな仕掛けを作るメリットが先生方にない。」

「それじゃあ生徒しか残らないよ。」

「…まあ、そうなるんだろうが…誰がいつ作ったんだ…?」

「気になるの?」

「ああ、気になるな…魔法の腕が良くも悪くもおかしい。完成度が高い魔法も使われてるのに基礎的なところがお粗末だ。」

「えっと…どういうこと?」

「誰にでもできることができてなくて誰にもできないことができてる感じだ…としか言いようがないな。わざとなのか抜けているのか…」

「そうだった?」

「入り口はこちらからも見てのわかると思うがかなり巧妙に隠されていた。どうしてラウラが気づけたのかが不思議になるレベルでだ。ただ、中身はほぼそのままで防音の魔法もかけてなかったから壁は挟んでても大声で話してたら普通に外に聞こえるかもしれない。どの辺りを通ったのかはわからないがな。」

「ふーん…まあ、とりあえず気にしなくていいんじゃない?気にしても仕方ないことではあるし。とりあえず今日はそろそろ寝ようよ。ちょっと疲れちゃったし、明日早めに起きた方がいい気がするんだ。この学校で歩くのが少し大変だってわかったし。」

「それはあるな…階段は動くし、さっき歩いてる間でも通路の位置が変わったりしてたからな…慣れるまでは教室にいつ辿り着けるかもわからないから余裕を持っていた方がいいのは確かか…しかし…」

 

まだ外に出たいのか渋るアミリアに、ラウラは一言。

 

「朝ごはん落ち着いて食べたいでしょ?」

「そうだなよし寝ようすぐ寝るぞラウラ。」

「う、うん、わかったから、ちょ、引っ張らないで!ベッド違うでしょ⁉︎」

 

寝させる気で言ったことだったが選択肢を少し間違えたかもしれないとラウラは思った。

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