ワォオオオオオオオオオン!!!!
無数の地を蹴る音が草原中に響く。
それは質量を伴った絶望。
「くそ!!なんで群狼が紛れ込んでたんだ!!あいつらは死んだはずだろう!!」
分隊長が叫ぶ。
「くそ!くそ!クソォ!!!お前ら!!全力で逃げろぉ!!」
10数名の兵士達は必死に逃げる
「あぁ腕が!腕がぁ!!」
「ぎゃあぁあ!!離せ!離してぇ!」
「ああああああ!やめてぇ!いだいいだいいだいい、だぃ」
だが奴らはそれを許さない。
腕や足をかまれる者。複数に囲まれ貪り食われる者。
「ちっ!きりがない!殺しても殺しても増えやがる!!」
奴らは、今尚増えていた。
目の前で1体が2体に、2体が4体に。4体が8体に。
増え続けていた。
"群狼"
群れで1つの個体とされている。
1体は兵士1人でも対処することが可能。
だが奴らは増える。
何百、何千、果ては何万と。
人類にとっての脅威であったがこの数ヶ月前に序列1位が殲滅したとのことだった。
じゃあこいつらはなんなんだよ!!
真後ろにまで迫っていた群狼の1体を斬り伏せる
ぐぎゃ!という声と共に倒れピクリとも動かなくなった。
あれ?意外と弱い?
よし!さっさとーーー
いつの間にかいたもう1体の群狼の口が目の前にあった
「うおぉお!あぶな!」
ギリギリのところで伏せて躱し群狼の腹を斬る
甲高い鳴き声をあげる群狼の1体。どうやら今ので死んだようだ
「ふぅ…」
立ち止まり大量の足音が響く方へ顔を向ける
後ろには数えきれない大量の群狼が
序列16位の分隊長は持ち前のギフトで立ち向かっていたが奮闘虚しく群れに飲まれていった
全速力で群狼のいる反対側へ走る。
「これ死ぬ!!!今度こそ死ぬ!!!絶対死ぬううううううう!!!!!」
今までにないくらいの大声で叫ぶ
しかもむしゃむしゃ食われて死ぬやつ!!!
あいつらの食料コース!!
「ちくしょう!なんでこんなことに!!!」
ああ、神様、そんなに俺のこと嫌いですか?
時は数時間前に遡る。
厳しい訓練を終え、ついに魔物が蔓延る外へ出撃することとなった
なってしまった
結局ギフト貰えなかったなぁ。
もう推定15歳なんだぜ?これから出撃なんだぜ?いっちょ死んでこいと?
神様このやろう!!
…それとも気づかない内になんか貰ってたりするのかな?
うだうだ考えてる内に隊長からの説明がはじまった。
「これから我々は魔物の蔓延るパーダの外に出る!目的は知っての通り土地の確保だ!
向かうのは10人の分隊6組とカラン族のレイ様、その護衛として今回は序列5位のトラウィス様、そして序列11位のイブキ様だ!」
おおおおおおお!と兵士達から歓声があがる
ところどころでやばい人だ!とか不憫な人だ!などの声が聞こえる。
「てめぇらウルセェぞゴラァアアア!!あとやばい人つったのだれだ!?半殺しにすっぞ糞ガキ共ォ!!!!」
トラウィス様が血管を浮き上がらせ怒鳴る。
ばっちり聞こえちゃってるじゃん
序列5位 トラウィス・ブレイ
全てを破壊し尽くす光線を放つギフトを持つ。
彼は魔物との戦闘中常にアヒャアヒャ笑っていることから周りからやばい人認定された。
殺すではなく半殺しと言っている辺り案外優しい?のかもしれない。
「間違ってはいないんだから、そこまで怒んなくても…」
「んだとイブキ!テメェ!!!光線ぶち当てっぞゴラァ!!」
「や、やめてよぉ あれすごく怖いんだよ!?目の前にバーンって!全部反射するけどさ!!怖いものは怖いんだ!!」
尚、本当に光線を当ててしまったら周りは大惨事になる模様。
序列11位 イブキ
範囲は自分の周りだけと狭いが全ての攻撃を反射するギフトを持つ。
トラウィスの全てを破壊し尽くす光線(笑)さえも反射してしまう。
このギフトを使うと自分から攻撃できなくなってしまうが誰かを守るのに最適な為、彼女は土地確保の際必ず出撃することになる。
不憫。
「うむうむ!やはりイブキが怯えてる姿はとってもキュートじゃ!!いいぞ!!もっとやるのじゃ!!!」
レイ・カラン
結界のギフトを持つ。
幼女。
「そんなぁああ!」
不憫。
「…そろそろ続きを話してもよろしいでしょうか?兵士達も待っていますので」
「むぅ、残念じゃがしょうがないの。続けよ」
イブキ様が安堵の溜息を吐く。
かわいい。
「では続きを。
先程言った人員で作戦を実行する!
今回はレイ様に半径5kmの結界を張って頂く
結界は本人を中心に展開するためパーダの外を5km移動することになる。
大体1時間だな。
道中、魔物が現れるだろうから覚悟しておけ。
さらに結界発動時に耳が馬鹿になるような音が鳴り響く。結界が完成するまでの間はその音に寄ってきた魔物を狩ることになる。
その後、分隊で6方向に別れ中の魔物を殲滅だ。
かなり危険なことだがそこまで心配しなくてもいい。
現在、魔物を惹き付ける為に序列上位の兵士達が派手に暴れてくれている。
ほとんどの魔物はそちらに向かって行く。
さらには1つの分隊に30位以内の兵士が2人、緊急時に外部へと連絡するための加速、又は身体強化を持つ兵士が1人、経験者が2人つく。
よほどのイレギュラーが無い限りお前らは生きて帰ることが出来るだろう。」
隊長の話が終わる。
いよいよ出撃とあって兵士達はざわめく。
「魔物は音に敏感だ!
なるべく静かに行動するように!!!これより結界の外へ出る!!!3分隊ずつで2列に並べ!!!」
それぞれの分隊が隊長の後ろに並ぶ
「よし!これより出撃する!!!」
隊長が結界の外へ出る。それに続いてレイ様とその護衛、そして
ついにかぁ。
まぁ隊長もそこまで心配しなくていいって言ってたし、そうそう死ぬことにはならないっしょ!
多分。
いざ!外へ!!
魔物が蔓延る外へと一歩踏み出した。