そこは只々だだっ広い平原だった。
初めて結界の外に出たが結界の中と特に変化は感じられなかった。
思ったより普通だな。
さきほどまでうるさいくらいだった兵達はすっかり静かになった。
そりゃ魔物のいる外だものなぁ。
しばらくはがちゃがちゃという歩く音だけが辺りに響く。
歩き始めて30分程経った。
「おかしいな。そろそろ魔物にでくわしてもいい頃なんだが」
隊長が言う。
そんないい頃来なくていいです。
「そうじゃの。ここまで魔物が現れぬとはなかなか珍しい。
むぅ、初めて魔物を見た兵達の反応を見るのが唯一の楽しみだというのに。」
いい趣味をしている幼女に対してイブキ様が苦笑しながら応える
「あはは…いいことじゃないですか 平和で。」
うんうん。平和。いいよね平和。
さらに30分後
魔物は現れなかった。
平和!最高!!
「まさか、一度も魔物と出会うことなく着いてしまうとは…運がいいと楽観視してもいい問題なのか?」
「こんなの初めてじゃのうー
こうなったらちゃっちゃと結界を貼ってちゃっちゃと帰るのじゃ!」
とことこ そんな擬音が付きそうな足取りで
目標地点と思われる場所に向かうカラン族の幼女
その横にぴったりくっついていくイブキ様
ぺたん 目標地点に座る幼女
「いくぞ〜
ふん!!」
まるで雷が轟いたような、まともに聞いたら間違いなく耳が馬鹿になる大音量が広い平原中に響く。
………うおおおぉおおお!!みみがああああ!!みみが!!
じんじんする!じんッッッじんする!!
まともに聞いてしまった。
うぎぎ!いくぞ〜からの間が長い!
あれ?こないのかな?って思って耳から手離したらこれだよ!!
落ち着いてから周りを見ると遠くで膜のようなものが少しずつレイ様のいる場所に向かって伸びてきているのが分かる。
「さぁ音に反応した魔物が寄ってくるぞぉ〜結界が完成するまで我を守るのじゃ〜」
…これから魔物がくるかもしれないのにゆるっゆるだなあの幼女!!
「お前らは下がっていろぉ!これから大量の魔物が向かってくるだろう!
できる限り我々で処理するが魔物の量や強さによってはお前らも戦うことになる!しっかり気を引き締めておけ!!」
隊長の言葉が響く。
魔物との邂逅の時が刻一刻と迫っていた。
顔を青くする者がいれば、緊張で体を震わせる者がいる。
兵達は重い雰囲気に包まれた
その時
「…どいつもこいつも辛気くせぇ顔しやがって もしものときゃあ俺もついてらぁ
これも仕事だからな、死なねえ程度に守ってやるよクソガキどもぉ!」
序列5位トラウィス・ブレイの頼もしい言葉が兵達に届く。
え、なにあの人。かっこよすぎなんだが
あれな人なのにかっこよすぎなんだが!
見た目的にもやばい人ではあるが5位の言葉
兵達も少しは落ち着きを取り戻した。
「ッ!きたぞ!!」
再び兵達に、緊張が走る。
何もない広い平原に黒い影がぽつぽつと見え始める。
それらは徐々に近づいてきていた。
「さぁ、おでましだ。」
それらは姿がはっきりと見える距離まで迫っていた。
「ひっ!」
だれかの引きつった声が漏れる
それらはまさしく異形だった。
カエルのような体、4肢は人間の手のようなもの、顔に該当する部位には触手のようななにかが2本生えており、その先っぽには目と口がついていた。
それに負けず劣らずの歪さをもった魔物が計5体
ばらばらのパーツをてきとーに1つにしました。というような不恰好な姿をしている。酷く不気味だ。
なんだありゃ!!気持ちわる!!
あれ人間の手か?
図鑑で見た事ある動物に似た魔物もいるな…足が異常に多いけど
聞いてた以上に歪だな。魔物って
「おほー今回もまた絶妙にキモいのぉ!
ほれイブキ!見てみろ!兵達がめっちゃびびっておるぞ!面白いぞ!!」
「お願いですから集中して下さいレイ様ぁ!」
はしゃぐ幼女。宥めるイブキ様。
魔物をみたことによる気持ち悪さが少しだけ回復した
「みたところlv2の魔物はいなそうだな。」
「そうですね。ちぐはぐな奴しかいない。」
魔物はlv2になるとlv1のような歪さが無くなり姿に統一感が生まれるそうだ。
「数もそこまでではない、か。
お前らぁ!!!よぉく見ておけ!これが魔物との戦い方だ!いくぞ!!!」
魔物との戦いが始まった。