兵士達は今日も生きたい   作:よむなのだ

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5話

そして時は戻る

 

逃げる逃げる逃げる!

決して足を止めることなく動かし続ける

止まってしまえば自分の命なんて一瞬で飲まれてしまう

 

ワオオオオオオオオオオン!!!

 

後ろから絶えず聞こえる足音

 

無理!無理無理無理無理むーーーりーーー!

 

人間が狼の脚力に勝てる訳ないだろうがあああああああああああああ!!!

 

徐々に詰められる距離

 

こちとら天下の神に愛されなかった者(ノーギフター)だぞ!?唯の人間だぞ!?

 

ちらっと後ろを見る

 

なにもなかった平原が土埃と銀色で覆い尽くされていた

 

 

1人相手に全力すぎるだろおおおおおお!!

 

奴らの足は止まらない

絶対ぶっ殺すという意思がひしひしと伝わってくる

 

俺なんかした!?君らになんかした!?ちょっとちびっちゃってるから?それとも真っ先に逃げたから!?背中の傷は兵士の恥的な!?

…なんで俺はこんな時にこんな事考えてんだ!!

 

もう奴らはすぐ後ろ

 

自分は息も絶え絶え

 

足はとっくのとうに限界だった

 

群狼の息遣いがすぐ近くで聞こえる

 

 

 

…あーあ、ここで死んじゃうのか

 

もっと生きたかったなぁ。

 

 

 

ちくしょう、院長より先に死ぬのか。

なんか癪だな。

 

 

…ふと、昔を思い出した

 

 

1人泣いている院長を

 

孤児院にて

 

かつて院長が世話をした子供が戦死したと

そんな知らせが何度かきた

 

それを聞いたときはなんでもない素振りをしているが俺は知っている

 

誰もが寝静まった夜

 

俺はもうあいつらの顔をみることはできないのか

 

俺はなんであいつらを守ることができないのか

 

俺は、俺は、俺は

 

そうぼつぽつと懺悔するように

 

1人泣いていた

 

 

 

 

 

なーんでこんなの今思い出すかなぁ

あー死にたくねぇな

 

 

 

…ごめん院長。

 

 

 

グルルァ!!

 

 

 

1回くらい父さんって呼んでやればよかった

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ?」

 

光線が自分の顔すれすれで通り過ぎた

 

それは次々に、

 

途切れることなく群狼のもとに飛んでいく

 

群狼は為す術なく光線に貫かれ、千切れ飛ぶ

 

「えっ!なになになになに!なにが「アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」

 

自分の困惑を打ち消すように気持ち悪い笑い声が聞こえてきた

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!どんどん死ね!ぶっ飛んで死ね!死んで死んで死に尽くせぇ!!!」

 

その声が聞こえたほうに顔を向ける

 

そこには

 

 

 

自分の命を救ってくれた恩人

 

序列5位トラウィス・ブレイ

 

彼がそこにいた。

 

「おい!何ぼさっとしてやがる!邪魔だ!さっさとこっちに来い!」

 

トラウィスさまああああああああ!!!!

 

すごいっすよ!!今最高にかっくいいっすよ!!

俺あんたに一生ついていきやすよ!!

生きて帰れたら!!生きて帰れたら!!!

 

限界の足を酷使してトラウィス様の所まで行く

 

「ぜー、はぁ、な、んでここにいるんですか?」

 

「お前の分隊の加速持ちが群狼がでたってな。よく生きてんなお前。」

 

ほんとよく生きてるよ俺、あと数秒トラウィス様が来るのが遅かったら。

 

うん。想像したくない。

 

「安心しやがれ。このトラウィス・ブレイ様が助けにきたんだ。お前が死ぬなんてありえねぇ!」

 

うおーかっけぇ!さすがトラウィス様!

・・・あれ?

そんな台詞どっかで聞かなかったっけ?

 

「さあ死ね!とっとと死ね!ここで死ね!1匹残らず死ね!塵も残さず死ね!死ね死ね死ね死ね死ねえええええええ!!!」

 

撃って撃って撃って撃って撃って撃ち続ける

 

もはや平原は土埃でなにも見えない

 

それでも撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ

 

群狼の鳴き声も聞こえなくなった

 

それでも撃ち続ける

 

そこまでやるかというぐらい撃ち続ける

 

いつまで撃ってるんだというぐらい撃ち続ける

 

まだまだまだまだまだまだ撃ち続けている

 

 

そして光線の雨は止んだ

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!

ここまでやりゃさすがに死んだろ!!生きてるなんてありえねぇだろ!俺の勝ちだろ!」

 

群狼のいた場所は土埃で何も見えない

 

 

 

「もうここに用はねぇさっさと帰るぞ!」

 

これが5位の力…

 

しばらく呆然としていた俺はその言葉に対して

何か返そうとした

 

しかし

 

 

 

グルルルルルルルルルルルル

 

 

絶望が唸る

 

「は?」

 

段々土埃が晴れてくる

 

そこには

 

 

 

この世の恨み辛みを凝縮したような怒りの形相をした群狼がいた

 

先程の倍の数に増えながら

 

 

「「……………………」」

 

 

「よし逃げるぞ。」

 

「はい逃げましょう。」

 

グルルルルルルルルルルルル!

 

再び、死の鬼ごっこが始まった。

 

 

「うおおおおおおお逃げろ逃げろおおお!」

 

トラウィスは度々後ろを見て光線を放ち群狼を倒す

 

だが倒した群狼は倍になって復活する

 

「これ!どうするんですか!!!」

 

「ああ!?どうしようもねぇよ!!結界の外まで逃げるしかねぇよ!!」

 

そう言われ結界をみる

 

結界はまだまだ先だった

 

 

 

結局助からないじゃんかこんちくしょおおお!

 

序列5位で倒せないってどんだけ規格外なんだ群狼は!!!

 

「チッ!まずいな。このままじゃ追いつかれる」

 

 

 

「…こうなったら群狼に突っ込んで派手に散りましょう!!伝説になりましょう!!」

 

「それ伝説じゃなくあいつらの食料になるだけ!お前が諦めてんじゃねぇよ!!俺が助けに来た意味!!!」

 

たしかに!!

うん。頭の機能まで落ちて来た

 

 

そんなやりとりをしている時

 

向かっている先に人影が2つ見えた

 

「ッ!やっときやがったか!!喜べクソガキ!俺達は死なねえ!!」

 

「え?それってどういう・・・」

 

人影がはっきりとしてきた

 

片方は全力で走ってきたのか肩で息をしている少女

 

もう片方は目を瞑り佇んでいる男

 

一体、何者?

 

すると目を瞑っている男が声を掛けてきた

 

「おーよく生きてたね?怖かっただろう?

でも安心していい。僕がきたからには生かして帰そう。」

 

「いけない!

その台詞はなんかよくない気がする!」

 

今日1日で学んだ!その台詞はだめだって!

 

「?そうなの?まぁいいや。君、早くこっちへ。」

 

「おい!早くしろ!早くしねぇと、

 

燃やし尽くされるぞ!!!」

 

燃やし尽くされる?

 

 

まさか!!!

 

急いで男の後ろに走っていく

 

「さぁて、いいかな。

君、僕の視界に入らないようにね。

さっきトラウィスが言った通り

 

燃やし尽くしちゃうから。」

 

 

 

 

 

ギャヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴン!!

 

目の前で、全ての群狼が火に包まれた

 

群狼は火に焼かれその場でのたうち回っている

 

この惨状に口をあんぐりとするしかなかった

 

そして

 

 

群狼は灰になるまで燃やし尽くされた

 

 

 

1匹残らず

 

「うん、これにて群狼討伐終了。ってね。」

 

 

そう序列1位アシャタが公言した

 

「……へ?」

 

こうして俺は

 

今日を生き延びた




トラウィスは幼女の護衛の途中に第二分隊の加速持ちに助けを求められ徒歩で。
序列1位も第二分隊の加速持ちに助けを求められ、身体強化持ちの弟子に担がれてきました

加速と身体強化の違いは
加速=とにかく速くなる。
身体強化=身体の機能が満遍なく上がる。

ちなみに、群狼は現在lv2です。
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