兵士達は今日も生きたい   作:よむなのだ

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6話

群狼が結界に紛れ込んでいた今回の土地確保

 

被害として

 

第二分隊 一部を除いて全滅

第三、第四、第五、第六分隊が行方不明

いずれも群狼によって死亡した可能性が高い

 

そしてその作戦時に務めていた隊長が第一分隊を逃がす為、殿となり死亡

 

近年稀にみる死者数だった

 

 

 

その戦場を生き延びた私は現在、

 

「遅い。そんなんじゃすぐ死んじゃうよ」

 

迫る木刀を避けることができず腕に喰らう

 

 

 

人体から響いてはいけない音が自分の腕から鳴る

 

「いったぁ!!!痛いです!これ間違いなく折れました!すげく痛いです!師匠!!」

 

「大丈夫!ここには怪我を一瞬で治せるお医者さんが常駐してるから、死なない限り問題なし!よかったね!」

 

じゃあ今すぐ行かせてくれ!!

 

それを許してくれない木刀が次々と迫る

 

度々木刀で受け、避けるがほとんど自身に当たってる

 

僅か数秒で俺の体はボロボロになった

 

「ちょ!まって!これ無……」

 

頭に一発喰らう。

 

意識が遠のく。

 

「うーん。弱い!これは頑張らないとだね。

 

ラルフさーん!この子の治療お願いしまーす!」

 

 

 

私は現在、

 

序列3位ラン・ケイの弟子になり修行をしている

 

 

 

 

 

僕はイブキと共に食堂へ向かっていた

 

「そろそろ弟子をとったらどうなのラン。」

 

その言葉にうっ、と呻き声をもらす

 

「だってさー弟子っていってもどうするのさ?僕教えるの下手だし。」

 

「レイはまだいいじゃない。近接特化なんだから教えられることが沢山あるでしょ?私なんて何を指導すればいいのさ!教えることなんて何もないよ!なんだい必ず弟子をとれって!ほんとどうしろっていうの!」

 

相当この弟子制度に憤りを感じているようだ

 

「…まあ今は弟子=部下みたいなものになっているけど。」

 

「アシャタの弟子とか、かんっぜんに召使いだもんね。」

 

アシャタを甲斐甲斐しく世話をする女の子を思い出した

 

「それで?結局弟子はどうするの?」

 

あはははははは…ま、いつかねと笑って誤魔化した。

イブキは呆れたように溜息をこぼす

 

そうこう話してる内に食堂へ着く

 

「相変わらず賑わってるね。ここは。」

 

兵士達が楽しそうに談笑している

 

少し騒がしいと感じるくらいに

 

「ほんとね…おや?」

 

そんな中、一人ぽつんと

 

黙々と、むしゃむしゃとパンかじゃがいもを食べている兵士がいる

 

周りには誰もいない

 

なんか悲しい気持ちになった

 

「あれ?あの子は…」

 

「知ってるの?」

 

「うん。この前の群狼が紛れ込んでいた土地確保、それの数少ない生き残りだよ。

確か、ネモって名前だったかな?」

 

「へーあの子が噂の。」

 

ギフト無しで群狼に追われながら生き延びたと噂になっていた

 

ついでに性別不明と

 

ネモ、か。

 

その子の髪は透き通るような、何にも染まっていない純白だった。

…あの子を思い出してしまう。

 

ふむ…どんな顔か気になる

 

「どれどれお顔を拝借っと………………!?」

 

 

 

 

 

なんで…なんでなんでなんでなんで!!

どうして!どうしてあなたが!

いや、ありえない!あの子はあの日に!

でも…でも僕が見間違える筈がない。

大事なあの子を。

 

「レイ?」

 

あの子とお話しがしたい。

あの子は僕を覚えているのだろうか?

くそっ!

何か話すきっかけはないのか!?

なんて話掛ければ…………

 

 

 

それに思い至った瞬間あの子の元へ駆けた

 

「ねぇ君。」

 

そう声を掛ける

 

だが一向に反応がない。

パンをむしゃむしゃと食べ続けている

 

「ねぇ君!」

 

先程よりも大きな声で同じ言葉を投げ掛ける

 

それでも反応がない

未だにパンをむしゃむしゃしている

 

「ねぇ君!!!!!」

 

ちょっといらっとしたので耳元で叫んでやる

 

すると肩をびくっとさせ慌てて振り返った

 

ああ…やっぱりその顔は

 

「は、はい!なん、なんでしょうか!」

 

よほど慌てているのかどもっていた

 

思わず笑ってしまう

 

「くく、ねぇ君。」

 

そして僕は彼女(・・)

 

「僕の弟子にならないか?」

 

そう、声を掛けた

 

 

 

 

 

 

あの後、一瞬で治療され復活→師匠と戦いボコボコ、意識を失う→一瞬で治療され復活→師匠と戦いボコボコ、意識を失う→一瞬で治療されの無限ループだった。

 

くっ!あの時驚きのあまり、はい?て言わなければ!!疑問形の筈なのに

「そうか!僕の弟子になってくれるんだね!ありがとう!とっても嬉しい!!」

と満面の笑みで言われた。

あの笑顔には敵わないっすよ……

というかなんで俺なんだろうか。

あんな美人さんと知り合った記憶なんてないぞ?

食事中幼少の頃の記憶はないか聞かれたけどまさかその時に会っていたのか?

 

うーん…なぜか院長に拾われる前の記憶が全くないんだよなぁ

なんでだろ。

ま、どうでもいいか。

成り行きだけど序列3位のケイさんの弟子になれたんだ。

強くなれるのは間違いないんだしがんばろう

 

「どうしたんだい?ネモ」

 

首を傾げながら聞いてくる。あざとい。かわいい。

 

「…よく自分は生き残ったなぁと。」

 

「うん本当に。群狼に追われて逃げ延びるなんてすごいよ。生きてくれて僕は嬉しい」

 

…あっれーそっちなのぉ?

確かにすごいけども。奇跡だけども!

 

「いやそっちじゃないです。いまさっきやってたことに対してです。」

 

「???

死ぬ要素なんてなに一つなかったよね?」

 

あ、この人駄目だ!自分がどれだけのことをしたか理解してない!

 

「そんなことより!!ほらさっきので汗かいてるからお風呂にいこうよ!」

 

そう言ってる本人は涼しい顔をしている

 

ちなみに俺は汗だっくだくだ。

理不尽。

 

「そうですね。さっぱりしたいです」

 

「うんうんそうだよね!じゃあ今すぐ行こう!」

 

道中たわいもない話をしていたらいつのまにか着いていた

 

「あれ?もう着いたのか。それじゃ、一緒に入ろうか!」

「それでは自分はこっちなので………え?」

「え?」

「「え?」」

 

 

時が止まった。

 

「……………………体は大事にしなよネモ!!

え?なんで!?どうして!?男湯に!?…………まさかネモが一人なのって…………あいつら絶対ぶっ殺してやる!!!」

「ちょ、ストップ!待って!師匠まって!絶対なんか勘違いしてる!!変な方向にとんでもない勘違いしてる!」

 

というかあんたがそれ言う!?

 

どこかに向かおうとしている師匠を全力で羽交い締めする。

この人めちゃくちゃ力強え!!!

 

 

「離してよネモ!あの大罪人どもをぶっ殺してやるんだ!ネモの…女の子の裸を見るなんて!!!絶対許さない!!!」

 

…………あー、そうゆうことか

 

「落ち着いて下さい師匠!!自分は男です!」

 

 

 

「…え?」

 

入っていた力が抜けた

 

「師匠、自分は男です。」

 

呆然としている師匠にもう一度言う

 

「え、嘘…だよね?だってネモは女の子で、それで」

 

「いいえ、自分は男です師匠。」

 

大分混乱している師匠に再度言う

 

 

 

 

 

「…本当に、本当の本当に男なの?」

 

「はい本当の本当に男です。」

 

すると

 

 

 

 

「………………そっかーそうかー。

ネモは男の子なんだね。ごめん。間違えちゃって。とても失礼だった。あんまりに似てたもんだからそれで………………あーごめん。

また後で。」

 

そう言い師匠は女湯へと入っていった。

 

とてもとても悲しそうな顔で。

 

何かを失ったようなそんな顔で。

 

彼女は泣いていた。

 

その顔を見た自分は、

 

 

 

なぜか、泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、[誰かの記憶]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いだいょお!」「だずげでよおがあさん!たずけで!!」「ぎゃああああああああああうああああああ!」「ぎぎぎぎぎぎゃ!」「やめでぇ!やめでよお!!」「あうっ、あうっ、あひっ」「なんでぇなんでぇ・・・・いぎぃ!!」

 

ここは地獄だ。

 

なにかを折ったような音、なにかを切るような音、

なにかを焼いたような音、なにかをひきちぎったような音、なにかを潰したような音。

そんな、聞いていて恐怖を感じるような音が人体(・・)から響いていた

 

周りは体のどこかを

折られ、

斬られ、

焼かれ、

取られ、

潰され、泣き叫ぶ子供たち。

狂ったように笑う人の形をしたナニカ。

そして

 

耳に響く、ぐちゃ、ぐぢゅという音。

 

頭が熱い

熱い、熱い、熱い

 

 

熱いあついアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイあつい。

 

 

 

 

ああ、 ここは地獄だ。

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